秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その13

 

 一方、静葉たちとは、別ルートから地底に侵入した慧音とリグルは、旧地獄街道へ来ていました。

 旧地獄街道はレミリアの襲撃で焼け野原となっていましたが、現在は復興中のようで、あちこちの建物が立て直し中、あるいは修復中となっています。その中を二人は歩いて進みます。

 

「……どうやら、見た感じ、復興は順調のようだな」

「たしか、レミリアの襲撃でやられたんでしたっけ……?」

「ああ、そう聞いている」

「なぜ、彼女はここを襲撃なんかしたんでしょうか……?」

「さあな……。それは彼女に直接聞いて――」

「ああ、それはだな。彼女は利用されていたのさ」

 

 突然、何者かが会話に割り込んできます。

 

「誰!?」

「その声は、まさか……」

「やあ。久しぶりだね。慧音」

 

 二人の目の前にニヤリと笑みを浮かべて姿を現したのは、ナズーリンでした。

 

「……何者かがテリトリーに侵入したと聞いてやってきたが、そうか。キミだったか」

「ナズーリン……! 本当に裏切ったのか?」

「……やれやれ、勘違いしないでくれたまえ。慧音」

「なに……?」

「……私は、はじめから誰の味方でもないよ?」

「……私たちをだましていたというのか!?」

「ま、利用はさせてもらったさ」

「なにっ……!」

 

 思わず悔しそうに歯を食いしばる慧音をナズーリンは冷ややかな表情で見やります。

 

「……ナズーリンさん!」

「ん? キミは確か……」

「レジスタンス一員のリグルです! レミリアが利用されていたってのはどういう意味ですか!?」

「……ああ。知りたいのかい? いいだろう、教えてやろう。彼女は我々、リバースにとってジャマだったのさ。なんせあのケタ外れの力。敵に回したら恐ろしいコトこの上ないからね。それで彼女へ懐柔して協力者のフリをした。そして私がレジスタンスの一員として動いて、手に入れた情報を彼女に知らせていたのさ。逐一ね」

「……まて、ナズーリン! それでは彼女がこの旧地獄街道を襲撃したのは……!」

「そうさ。我々が仕向けさせたんだよ。その方が何かと都合がいいからね?」

「貴様。なんてことを……!」

「ああ、そうそう。ついでにもう一つ教えてやろう。彼女は一人で同盟軍に挑んできてただろう? あれも我々の入れ知恵さ。なぜだかわかるかい?」

「なに……!?」

「……ええと、両者を少しでも消耗させるため……ですか?」

「まあ、当たらずとも遠からずってとこか」

 

 そう言うとナズーリンは、フトコロから鉄の板のようなものを取り出します。

 

「すまないが、ここを通すわけにはいかないのでね」

「そうかならば……。貴様を倒すまでだ! ナズーリン!」

「おやおや、怖いねぇ。言っておくが、キミたちがアビリティカードなるモノをもって強化していることは既に先刻承知だ。……なので、ここは私も助っ人を呼ばせてもらうよ」

「何……?」

 

 ナズーリンは合図を送るように指をパチンとはじかせます。その合図とともに三人の目の前に姿を現したのは……。

 

「お前は……!」

「お燐さん……!?」

 

 そう、お燐です。彼女はナズーリンに目配せをすると、ふっと笑みを浮かべます。

 

「よし、お燐。この二人を始末するぞ!」

「りょーかい」

「そんな! お燐さん!?」

「もしかして、操られているのか!?」

 

 慧音の言葉にお燐は涼しい顔で答えます。

 

「……いや。あたいは正常だよ。あたいはあたいの意志で動いているのさ」

 

 すかさずリグルが、お燐に言い放ちます。

 

「そんな……。見損ないましたよ。お燐さん! あの時、居酒屋で落ち込んでいた自分が立ち直れたのは、あなたの温かい言葉があったからだった……。あれは全部ウソだったんですか!?」

「……いいかい。リグル。世の中ってのはさ。一言では言い表せられないモンなんだよ。……それがわからないオマエさんは、まだまだ子どもってコトだよ」

 

 彼女の言葉に思わずリグルは、愕然(がくぜん)としてしまいます。

 

「さて、申し訳ないけど、キミたちには、ここで退場してもらうよ」

「そういうわけさ。悪く思わないでおくれよ」

「……やるしかないぞ。リグル」

「……わかりました!」

 

 慧音の言葉で我に返ったリグルは、懐からアビリティカードを取り出し、二人を厳しい表情で見つめるのでした。

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