秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その14

 そのころ寺では……

 

「うわおっ!? なによこの揺れは!? いったい何ゴト!?」

「鬼同士のケンカですよ。ムラサ」

「なんだって……!?」

 

 森で勇儀と萃香が戦っているせいで、森から離れた寺にまで、激しい衝撃が伝わってきています。

 

「うーん。しかし、これはまたハデにやってますねえ……」

「……のぉ、星、放っておいてよいのか? このままじゃ寺が壊れるぞい?」

「うーん。できるなら止めたいところですけど……」

「けど……?」

「……どう考えてもムリですよね。これ」

「う、うむ。確かに……。こんなのに巻き込まれたらたまったもんじゃないわい」

「……と、いうことなので、我々は我々が出来ることをやりましょう。では行きましょう。マミゾウ」

「うむ!」

「と、いうわけでムラサと一輪は、ここの結界が壊れないように見張っていて下さい」

「あ、はい」

「お気を付けて!」

 

 星とマミゾウは寺をムラサたちに任せて、夜空へ飛び上がります。

 二人が森の方へと向かうと、空中に人かげが。パルスィです!

 どうやら鬼達の戦いを上空から眺めているようです。

 

「……やはり彼女が、地底から鬼を連れてきたようですね」

「たしか、あやつはパルスィと言ったか……?」

 

 星は紙切れを取り出し、その内容を読み始めます。

 

「ええ、水橋パルスィ。橋姫の異名を持つ地底の妖怪。その緑色の目が特徴で、嫉妬深いことで有名であると……」

「ん? 何じゃ。そのメモは」

「ああ、ちょっとある人から情報をもらいましてね」

「ほぉ……?」

「それはそうと、あいつを撃退すれば、きっと鬼も撤退することでしょう」

「ほう、そうか。よし、ではワシがいっちょう遊んでやるとするかい」

「おや、あなた一人で?」

「ふぉっふぉっふぉ! おぬしが出るほどでもあるまい!」

 

 マミゾウは笑い声を上げながら変化の術を使います。するとドロンという音とともに、身の丈、九尺もありそうな大男に変化します。

 ちなみに上半身裸です。なんてハレンチな!

 

「おい、キサマ! ここで何をしている!!」

「な、何よアンタは……!?」

 

 マミゾウが変化した大男を見て思わず動揺するパルスィ。まあ、ムリもありません。

 

「わし……。ゴホン。オレは。……この森の守り神だ!」

「も、森の守り神!?」

「そうだ! この森に危害を加えるヤツは何人たりともゆるさん! フフフ……。どうだ、こわいか?」

 

 マミゾウはそう言って鬼のような形相でパルスィをにらみつけます。

 

「そ……。守り神かなんだか知らないけど。……妬ましいわ! ぶっ潰してやる!」

 

 パルスィも負けじと緑の目を光らせてにらみ返します。どうやら脅しは逆効果だったようです。

 

「ほ、ほう、このオレとやろうというのか!? なら神罰を食らえ!」

 

 こうしてとうとう、二人も戦闘状態になってしまいました。夜空に二人の弾幕が花火のように飛び交います。

 

 当然その様子は下の鬼たちからも見えました。

 

「ん? なんだぁ? 上でも誰かがドンパチやってんのか?」

「そうみたいだな。……だが、よそ見してる場合じゃないぞ! 勇儀ぃ!」

 

 スキありとばかりに、萃香の拳が勇儀の顔面に!

 

「いってぇ……っ。このっ! やりやがったな!?」

「戦いの最中によそ見する方が悪いんだよ! ばぁか!」

「ヤロウっ! おかえしだ!!」

 

 今度は勇儀が萃香の脇腹に強烈なボディブローをお見舞いです。

 

「……うげえ……っ! ……相変わらずバカ力め……!!」

「ふん! こちとら、伊達に怪力乱神を司ってはいないんだよ!」

「なろぉおおー! 頭にきたぞー!」

「こっちもだ! カクゴしろ!」

 

 そのまま二人そろって、目にも見えない速さでの拳や蹴りの応酬がはじまります。

 

「うらうらうらうらうらぁーーーーー!!」

「おらおらおらおらおらおらぁーーーーっ!」

 

 二人の叫び声が夜の森に響き渡っています。安眠妨害もいいところです。

 

 

「……うーん。なにやら、ずいぶん下の方がいっそう賑やかになってきましたね。こっちはこっちで始まってしまったし。さて、どうしたものか」

 

 一人置いてけぼり状態になってしまった星は、上や下の様子をうかがいながら、どうしようかと考えていました。そのときです。

 

 彼女のすぐそばを何かが横切ります。

 

「おや……? この気配は……。まさか」

 

 

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