秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その20

一足先に、奥の部屋へと向かった霊夢は、正邪と針妙丸と相まみえていました。

 

「おやおや……。誰かと思えばオマエかよ。性懲りもなくまたやられに来たってわけか?」

「アンタは!? ……そうか。すべて理解したわよ! 全部アンタらが裏で仕組んでいたのね!?」

「ああ、そのとおりさ! 私たちの計画にオマエは一番ジャマだったんでな。あの森で、お前の心をへし折ったのも全部計画のうちだったって寸法よ!」

「あんときはよくもやってくれたわね! おかげで秋神のヤツらに醜態をさらけ出しちゃったじゃないのよ!」

「心配すんなって。どうせまたオマエは私に負けるんだからな」

「それはどうかしら? 言っておくけど今度は負けないわよ!」

「クックック……。この世界に鬼人正邪の名をのこすためにオマエには死んでもらう! では、そろそろいくぞ!」

「博麗の巫女! オマエを倒して、私と正邪はこの世界の支配者となる!」

「アンタらを倒して幻想郷に秩序を取り戻してやる!」

 

 三人はそれぞれ相手に啖呵(たんか)をきると、武器を構えます。

 

 □

 

 そのころ、静葉たちは……。

 

「……と、いうわけよ」

「なるほど。合点ついた。その『幻夢鏡』とやらを壊せばこの世界が元に戻るというわけだな」

「よし、そうと決まれば……。はやく壊さないと!」

 

 ところが四人が奥の部屋の前へたどり着いた瞬間、中から「キャーー!!」という悲鳴が。

 

「今のは!?」

 

 四人が急いで部屋の中に入ると、部屋の真ん中で霊夢が倒れていました。すかさず慧音が呼びかけます。

 

「おい、霊夢。大丈夫か?」

「うう……。どうしてアイツに勝てないの……? おかしいわ。攻撃がまるで効いていない……」

「ふむ……。きっと何か小細工を仕掛けてるんでしょうね。おそらくマジックアイテムのどれかなのでしょうけど……」

「姉さん! もしかして例の鏡の力じゃ……!?」

「十分あり得るわね。よし、ハクタクさん。彼女を頼んだわよ。私と穣子とリグルで鏡の間に行くわ」

「ああ。わかった。……武運を祈る!」

 

 霊夢の介抱を慧音にまかせて、三人は鏡の間へと向かいました。

 

 

 □

 

 一方、地霊殿奥、鏡の間では正邪と針妙丸が、祝杯をあげようとしていました。

 

「わははははは!! ついににっくき巫女をカンペキに倒すコトが出来たぞ! 野望に大きく前進だ!」

「……いや。まだ油断は禁物ですよ。針妙丸さま。城に入り込んだネズミどもを退治しなければ……」

「そんなのナズーリンたちにでもまかせておけばいいだろう! 目には目をハニワにはハニワを! ネズミにはネズミだ! さあ、私たちは祝杯をあげるぞ! 正邪! 盃を持てー!」

「やれやれ……。困ったお方だ」

 

 と、仕方なさそうにため息をついて、正邪が盃を持ったそのとき。

 

「見つけたわよ! ここが悪の総本山か!」

 

 勢いよく穣子が部屋に乗り込んできます。

 

「よくも地底をメチャクチャにしたな!」

 

 続いてリグルも飛び込んできます。そして

 

「……どうやら、あなたたちが諸悪の権化のようね。天邪鬼と小人さん」

 

 静葉もゆっくりと部屋に入ってくると、すかさず二人は面白くなさそうに盃を投げ捨てて、言い返します。

 

「ふん! 悪でも何とでも言えばいいさ! 私は私の理想のために動いているだけにすぎん!」

「そうだそうだ! 我が野望をオマエらにジャマされる筋合いはない!」

「そう。でも安心して。私たちが用あるのはあなたたちじゃないから」

「なに? それはどういうコトだ!?」

「私たちが用あるのは、その後ろにある仰々しい鏡ってコトよ!」

「なに……? オマエら、まさかこの鏡が何かわかってるのか?」

「……ええ、それは『幻夢鏡』と言って、本来この世界に存在しないはずのもの」

「そして、同時にこれがアンタらの力の源というコトも、こちとらまるっと、お見通しよ!!」

「むむむ……。そこまで……!? おい、正邪、どうする?」

「……ほう? どこでその情報を得たのかは知らんが、そこまで知ってるとならば、オマエらを生かしておくわけにはいかねぇな?」

 

 正邪はいくつかのマジックアイテムをもって構えます。

 

「お待ちなさい。あなたにはいくつか聞きたいことがあるのよ」

「オマエらに教えるコトなんかなに一つねえよ! これでもくらっとけ!」

 

 正邪は何やら爆弾のような丸い玉を取り出すと投げつけます。

 

「あれは!? あぶない! みんな逃げて!」

 

 リグルの呼びかけに三人は慌てて玉から離れます。

 弾は炸裂して部屋一面に爆風をまき散らしました。

 

「ギャーーーーーーーーーー!?」

「あ、穣子が!?」

 

 運悪く爆風を受けた穣子は吹っ飛んでしまいます。本当に、よく被弾する子です。

 

「よし! 次は私の番だ!」

 

 続けざまに針妙丸は、打ち出の小づちを取り出します。

 

「ん!? アレは小づち? なんかスゴイ魔力を持ってるみたいだけど……」

 

 いったいどんな攻撃するのかとリグルが構えていると、彼女は小づちを振りかざし力任せに殴りかかります。

 

「まさかの物理攻撃!? うわぁーーー!?」

 

 意表を突かれたリグルは、脳天に一撃を食らってあえなくKOしてしまいました。

 

「……さて。残るはオマエだけだな」

「クックック。頼りない仲間を持ったコトをあの世で恨め!」

 

 二人は残った静葉をにらみつけます。静葉は表情を変えず二人を見据えています。

 

「ふん。そんな虚勢を張っても無意味だぞ。私たちには神に負けない力があるんだ」

「……へえ。それはすごいわね。でも言っておくけど神を殺すことは出来ないわよ」

「クックック。それはどうかな? 紅葉神さんよ」

 

 正邪は含み笑いを浮かべながら呼び鈴を取り出すと、鈴をチリンチリンと鳴らします。すると目の前にお燐が姿を現します。

 

「お呼びですか? 正邪さま!」

「おい、お燐。オマエに任務を与える!」

「はっ! なんなりと!」

「コイツをオマエにやる」

 

 そう言って正邪は何やら文様のついた短刀を取り出し、お燐に手渡します。

 

「これは。……刀ですか?」

「そうだ。しかもコイツはタダの刀じゃない。神だけを斬るコトが出来るという曰くつきのシロモノさ!」

「ほう。ソレはまた物騒な?」

 

 正邪は不敵な笑みを浮かべると、お燐に言い放ちました。

 

「お燐。コイツを使って、そこの神をヤれ!」

「なっ……!?」

 

 お燐は思わず、静葉を見ます。静葉も思わず、お燐を見つめ返してしまうのでした。

 

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