一足先に、奥の部屋へと向かった霊夢は、正邪と針妙丸と相まみえていました。
「おやおや……。誰かと思えばオマエかよ。性懲りもなくまたやられに来たってわけか?」
「アンタは!? ……そうか。すべて理解したわよ! 全部アンタらが裏で仕組んでいたのね!?」
「ああ、そのとおりさ! 私たちの計画にオマエは一番ジャマだったんでな。あの森で、お前の心をへし折ったのも全部計画のうちだったって寸法よ!」
「あんときはよくもやってくれたわね! おかげで秋神のヤツらに醜態をさらけ出しちゃったじゃないのよ!」
「心配すんなって。どうせまたオマエは私に負けるんだからな」
「それはどうかしら? 言っておくけど今度は負けないわよ!」
「クックック……。この世界に鬼人正邪の名をのこすためにオマエには死んでもらう! では、そろそろいくぞ!」
「博麗の巫女! オマエを倒して、私と正邪はこの世界の支配者となる!」
「アンタらを倒して幻想郷に秩序を取り戻してやる!」
三人はそれぞれ相手に
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そのころ、静葉たちは……。
「……と、いうわけよ」
「なるほど。合点ついた。その『幻夢鏡』とやらを壊せばこの世界が元に戻るというわけだな」
「よし、そうと決まれば……。はやく壊さないと!」
ところが四人が奥の部屋の前へたどり着いた瞬間、中から「キャーー!!」という悲鳴が。
「今のは!?」
四人が急いで部屋の中に入ると、部屋の真ん中で霊夢が倒れていました。すかさず慧音が呼びかけます。
「おい、霊夢。大丈夫か?」
「うう……。どうしてアイツに勝てないの……? おかしいわ。攻撃がまるで効いていない……」
「ふむ……。きっと何か小細工を仕掛けてるんでしょうね。おそらくマジックアイテムのどれかなのでしょうけど……」
「姉さん! もしかして例の鏡の力じゃ……!?」
「十分あり得るわね。よし、ハクタクさん。彼女を頼んだわよ。私と穣子とリグルで鏡の間に行くわ」
「ああ。わかった。……武運を祈る!」
霊夢の介抱を慧音にまかせて、三人は鏡の間へと向かいました。
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一方、地霊殿奥、鏡の間では正邪と針妙丸が、祝杯をあげようとしていました。
「わははははは!! ついににっくき巫女をカンペキに倒すコトが出来たぞ! 野望に大きく前進だ!」
「……いや。まだ油断は禁物ですよ。針妙丸さま。城に入り込んだネズミどもを退治しなければ……」
「そんなのナズーリンたちにでもまかせておけばいいだろう! 目には目をハニワにはハニワを! ネズミにはネズミだ! さあ、私たちは祝杯をあげるぞ! 正邪! 盃を持てー!」
「やれやれ……。困ったお方だ」
と、仕方なさそうにため息をついて、正邪が盃を持ったそのとき。
「見つけたわよ! ここが悪の総本山か!」
勢いよく穣子が部屋に乗り込んできます。
「よくも地底をメチャクチャにしたな!」
続いてリグルも飛び込んできます。そして
「……どうやら、あなたたちが諸悪の権化のようね。天邪鬼と小人さん」
静葉もゆっくりと部屋に入ってくると、すかさず二人は面白くなさそうに盃を投げ捨てて、言い返します。
「ふん! 悪でも何とでも言えばいいさ! 私は私の理想のために動いているだけにすぎん!」
「そうだそうだ! 我が野望をオマエらにジャマされる筋合いはない!」
「そう。でも安心して。私たちが用あるのはあなたたちじゃないから」
「なに? それはどういうコトだ!?」
「私たちが用あるのは、その後ろにある仰々しい鏡ってコトよ!」
「なに……? オマエら、まさかこの鏡が何かわかってるのか?」
「……ええ、それは『幻夢鏡』と言って、本来この世界に存在しないはずのもの」
「そして、同時にこれがアンタらの力の源というコトも、こちとらまるっと、お見通しよ!!」
「むむむ……。そこまで……!? おい、正邪、どうする?」
「……ほう? どこでその情報を得たのかは知らんが、そこまで知ってるとならば、オマエらを生かしておくわけにはいかねぇな?」
正邪はいくつかのマジックアイテムをもって構えます。
「お待ちなさい。あなたにはいくつか聞きたいことがあるのよ」
「オマエらに教えるコトなんかなに一つねえよ! これでもくらっとけ!」
正邪は何やら爆弾のような丸い玉を取り出すと投げつけます。
「あれは!? あぶない! みんな逃げて!」
リグルの呼びかけに三人は慌てて玉から離れます。
弾は炸裂して部屋一面に爆風をまき散らしました。
「ギャーーーーーーーーーー!?」
「あ、穣子が!?」
運悪く爆風を受けた穣子は吹っ飛んでしまいます。本当に、よく被弾する子です。
「よし! 次は私の番だ!」
続けざまに針妙丸は、打ち出の小づちを取り出します。
「ん!? アレは小づち? なんかスゴイ魔力を持ってるみたいだけど……」
いったいどんな攻撃するのかとリグルが構えていると、彼女は小づちを振りかざし力任せに殴りかかります。
「まさかの物理攻撃!? うわぁーーー!?」
意表を突かれたリグルは、脳天に一撃を食らってあえなくKOしてしまいました。
「……さて。残るはオマエだけだな」
「クックック。頼りない仲間を持ったコトをあの世で恨め!」
二人は残った静葉をにらみつけます。静葉は表情を変えず二人を見据えています。
「ふん。そんな虚勢を張っても無意味だぞ。私たちには神に負けない力があるんだ」
「……へえ。それはすごいわね。でも言っておくけど神を殺すことは出来ないわよ」
「クックック。それはどうかな? 紅葉神さんよ」
正邪は含み笑いを浮かべながら呼び鈴を取り出すと、鈴をチリンチリンと鳴らします。すると目の前にお燐が姿を現します。
「お呼びですか? 正邪さま!」
「おい、お燐。オマエに任務を与える!」
「はっ! なんなりと!」
「コイツをオマエにやる」
そう言って正邪は何やら文様のついた短刀を取り出し、お燐に手渡します。
「これは。……刀ですか?」
「そうだ。しかもコイツはタダの刀じゃない。神だけを斬るコトが出来るという曰くつきのシロモノさ!」
「ほう。ソレはまた物騒な?」
正邪は不敵な笑みを浮かべると、お燐に言い放ちました。
「お燐。コイツを使って、そこの神をヤれ!」
「なっ……!?」
お燐は思わず、静葉を見ます。静葉も思わず、お燐を見つめ返してしまうのでした。