秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その21

「……クックック。どうしたんだ? お燐。なにを躊躇している。心配するなって。ちゃんと死ぬさ」

「……な、なるほど? わ、わかりました。では……」

 

 お燐は、おもむろに刀を鞘から抜くと、静葉に近づきます。

 

「お燐……」

「……静葉さん」

 

 お燐は静葉の手前まで来ると、にこりと笑みを見せ、刀を握りしめて、大きく振りかぶります。そして……!

 

「覚悟!」

 

 刀を振り下ろしたその瞬間、お燐は体をひねり、なんと後ろにいる正邪に斬りかかりました!

 

「ぐわあ……っ!?」

 

 まったく無防備だった正邪は、肩口を斬りつけられ、思わず声を上げてしまいます。その肩口からは血が。

 針妙丸が青ざめた表情でお燐に言い放ちます。

 

「な、何をする!? お燐! お、オマエ、血迷ったのか!?」

 

 正邪が出血しているのを確認すると、お燐は、にやっと笑みを浮かべて言い放ちます。

 

「……ああ、やっぱりそうだったのか。オマエさんは、神と同等の肉体を手に入れていたんだね。……あの人の言ったとおりだ」

「きっキサマ……!?」

 

 肩の傷をおさえながら正邪は、お燐をにらみつけます。すかさず、お燐は正邪に向かって刀を構えました。

 

「おっと! 近づくとこの刀で斬るよ?」

「ぐっ。おのれっ……! 図ったな!?」

「……悪いね。ずっとこのときを待っていたんだ。反撃をするチャンスをね。おかしいと思ったんだ。なんで霊夢のあの強烈な攻撃を食らっても平気だったのかってさ。でも、コレで合点いったよ。その鏡の力を使って、自分が神と同等の存在になるようにしたんだろ。どおりで頑丈なわけだ! わざわざあたいにこの刀を持たせたのは、万が一、自分が傷ついたときにバレないようにするためだね?」

「ぐ……っ!」

 

 正邪は苦々しい表情でお燐ににらみつけます。お燐は刀を構えたまま静葉の方をみやります。

 

「……静葉さん。驚かしてゴメンよ。これも全部作戦だったんだ『あの人』の……」

「お燐。話はあとよ。今は一刻も早くあの鏡を壊しましょう」

「ほい来た!」

 

 お燐は『幻夢鏡』に向かって霊銃(れいがん)を撃ちます。しかし、光線が直撃しても鏡はビクともしません。

 

「ありゃりゃ……!?」

「……やはりタダの鏡ではないわね」

 

 そのときです。

 

「ええーい! その鏡を壊させるものかぁー!」

 

 針妙丸が小づちの力で、大きくなって二人に襲いかかってきました。

 

「うわっ!? 巨大化した!?」

「巨大化と言っても、私たちと同じくらいの大きさになっただけだけどね」

「うるさい! 小人だからってバカにすると痛い目にあわすぞ!」

 

 大きくなった針妙丸は小づちを振りかざします。その攻撃の威力はすさまじく、振りかざした勢いで衝撃波が発生し、二人に襲いかかります。

 

「おわっ!? マジかいっ!?」

「お燐。こっちに来なさい」

 

 静葉はお燐を呼び寄せると、すかさず防御のアビリティカードを発動させ衝撃波ふせぎました。

 

「静葉さん。このままじゃ……!」

「ええ。そうね。ジリ貧だわ」

「そんなバリヤーなんか、たたき壊してやる!」

 

 針妙丸は力を込めて小づちを振りかぶります。そしてバリヤーに向かって振りおろそうとしたそのときです。

 

「南無三!」

「ふぎゃーーーーっ!?」

 

 針妙丸に向かって強烈な掌底が放たれ、彼女は吹き飛ばされてしまいました。

 

 突然の出来事に、思わずあぜんとしている静葉とお燐の前に姿を現したのは……!

 

「……ふう。これで一応のお返しは出来ましたね」

「聖さん!?」

 

 そう、オリに閉じ込められていたはずの聖でした。ちなみに正邪も床に倒れています。どうやらいつの間にか彼女に倒された模様。

 

「二人とも無事ですか?」

「ええ、私たちは平気よ」

「まあ、二人ほどそこで伸びてるけどね。ところでどうやってあの頑丈なオリから出てこられたんです!?」

「ええ、実は魔理沙さんが……」

 

 と、彼女が話をしようとしたそのときです。

 

「……クックック。オマエら! コレを見るがいい!」

 

 いつの間にか復活した正邪が、いつの間にか鏡の近くにいました。

 

「鬼人正邪……!」

 

 聖は正邪をにらみつけて構えを取ります。

 正邪は不敵な笑みを浮かべて皆に言い放ちます。

 

「クックックッ……。オマエら! 遊びはもう終わりだ! もうすぐ『幻夢鏡』のエネルギーが満タンになる! そうなれば私の願いが叶い、世界は今度こそひっくり返る。そう、文字通り、世界はリバースするんだよ!」

 

 見ると鏡の下にあるゲージが満タンになりかけています。そうなる前にあの鏡を壊さないと大変なコトに!

 

「皆さん! あの鏡にありったけの攻撃を! なんとしても壊さないと!」

 

 聖の呼びかけで皆いっせいに鏡に向かって攻撃を仕掛けます。都合よくちょうど意識を取りもどした穣子とリグルも一緒になって攻撃します。しかし、それでも鏡はビクともしません。

 

「ムダ! ムダ! ムダぁーっ! オマエらのその貧弱な攻撃じゃあ、この『幻夢鏡』はキズ一つ付きやしなーい!」

「くっ……! もっと強力な攻撃をあたえなければ……!」

「しかし、もう攻撃のアビリティカードは使い果たしてしまったわ」

「静葉さんに同じく……」

「あたいの霊力も底をつきつつあるね……」

「私もイモ力がたりないわ……」

「クックック! どうやら万策尽きたみたいだな!? それでは全員そのまま死ぬがいい!」

 

 鏡が、まばゆく輝き始めます。ついにゲージが満タンになったのです!

 

「フハハハハハハ! どうやら私の勝ちのようだな……! さあ! 今こそ世界変革の時だ!」

 

 正邪が勝ち誇った表情で鏡の前に立ったそのときです!

 

 突然、彼女の体に何かが巻き付きます。

 

「うわっ!? なんだこれは!?」

 

 それはバラのツルでした。

 あっという間に彼女の体は、バラのツルにとらえられ、宙づりになってしまいました。

 いったい何が起きたというのでしょうか!?

 

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