さてさて……。ここは夢かうつつか……。
「……し、針妙丸さま。ご無事ですか?」
「うう。なんとかな……、正邪。それにしてもここはどこだ? なんとも気味のわるい……。まるで見たこともないような悪夢の世界だぞ?」
「針妙丸さま。私たちはどうやら『幻夢鏡』に吸い込まれてしまったようです。つまりここは……」
「フフフ。二人ともおいでませ。夢の世界へ……。それとも、ここはお帰りなさいと言うべきでしょうか?」
「うわ! オマエは……!?」
「急に現れやがったな! 夢の支配者め!」
「フフフ。お二人の活躍っぷり、ずーっと見てましたよ。この夢の世界からずーーーーっとね。楽しい楽しい『夢物語』ありがとうございました」
「おいこら! ドレミー! オマエがくれた鏡のせいで私と正邪はひどい目にあったぞ! どうしてくれるんだ!」
「あらあら。言いがかりはやめて下さいよ。勝手に鏡を持って行ったのはアナタたちでしょう? 私の忠告を聞きもしないで」
「うるさい! 人を食ったような笑みなんか見せてないで いいから、早くこの悪夢から目覚めさせろ! 私には次の計画があるんだ!」
「残念ながら、それはできません」
「なに……!?」
「あの鏡は現実の世界で夢を見るためのもの。ようするに、起きていながら明晰夢を見るようなモノです。夢の世界と認識していながら夢を見た者は、早かれ遅かれ、いずれ夢の世界から出られなくなる運命ですので……」
「なんだと? それは困る!」
「……それに、そうでなくともアナタたちは、どこで方法を知ったのか知りませんが、明晰夢を使って、夢の世界で好き勝手やった挙げ句に『幻夢鏡』を夢の世界から盗み出したのですからね。これは本来なら悪夢の牢獄に収容されるくらいのエーキュウ待遇モノの大罪ですよ?」
「なにぃ!? 悪夢の牢獄だと!? そんなトコロに収容されてたまるか!」
「そうだ! そうだ! いいから早く私と正邪を元の世界に戻せ!」
「……まだわからないのですね。自分たちが犯した罪というものを……。まあ、いいでしょう……。夢の支配者である、この私、ドレミー・スイートが、今まで楽しい楽しい『夢物語』を見せてくれたコトに免じて、ここで一生、ワタシと一緒に暮らすという条件で、特別に許してあげましょう」
「な、なんだと!? ここでオマエと暮らすだと!? そんなのまっぴらゴメンだ! どうせなら私は正邪と二人きりがいい!」
「そうだ! オマエみたいなうさんくさいヤツと、一緒になんか過ごせるか!」
「あらあら。案外、悪い暮らしじゃないですよ……?」
「嫌だ! 私は絶対ここから抜け出してやるからな……!」
「フフフ……。……二人とも?」
「うわ、く、くるな! こっちにくるな……!?」
「キサマ! そのピンクのモヤモヤをしまえ! や、やめろ! うわぁあああ」
――もう……
――目覚めなくて良いのよ。
次で最終回となります。最後までお付き合い、よろしくお願いいたします。