高町なのはくん2   作:わず

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プロローグ

 

 世界に掛けられた魔法が解かれていく。

 

 全てが終わる。

 もう何をしても変わりはしない。

 

 思い出すのは大切な人。

 時の庭園から落ちていくフェイトを助け出そうと、必死に手を伸ばしてくれたことがあった。

 

 手を伸ばす。

 

 掴める手はなく、記憶にある温もりだけがよみがえる。

 それは二度と触れることのできない温もりだった。

 

 枯れることのない涙が溢れていく。

 

「けど、もう悲しむ必要もない」

 

 この悲しみともお別れである。

 喜びも悲しみも、あと少しですべて忘れてしまう。

 

 終わりが近づく。

 そうして諦めとともに目を閉じようとした時だった。

 さなか、聖王のゆりかごを中心に何かが広がっていく。

 

「あれは」

 

 とてつもなく膨大な魔力だった。

 何の魔法かはわからない。

 だが、何かが生まれようとしていた。

 

 元に戻っていく世界。

 それと同時に、新しく作られていく世界があった。

 

 フェイトは魔法の深淵に触れている。だからこそ知覚できることがあった。

 

 その世界に三つの光が向かっていく。

 

「なのは、それにアリシア」

 

 確信に近いものがあった。

 あの光はなのはとアリシアである。

 ただもう一つの光に関してはわからなかった。

 しかし、今は気にする必要はない。

 重要なことは、なのはがまだ消滅していないということだ。

 

 閉じようとした意識を蘇らせる。

 

「待って」

 

 再び、雷神化する。

 次元を超えた存在であれば、あそこに跳ぶことができる。

 

「私も、そっちに……!」

 

 立ち上がる。

 フェイトは何もかもを諦め、ただ終わりを待っていた。

 だがそんなフェイトはもういない。

 

 この世で一番大切な人のためであれば、何度でも立ち上がることができた。

 何よりも大切で、かけがいのない存在。

 世界を天秤にかけたとしても高町なのはに勝ることはない。

 

「諦めない」

 

 全身に活を入れる。

 

「だって、まだ!」

 

 目に力が宿る。

 

「キスしかしてない!!」

 

 想いが募っていく。

 力が溢れていき、周りに電気がほとばしっていく。

 

 飛び上がる。

 全速力で向かっていく。

 

(待っててなのは)

 

 向かう先は新たに生まれようとしている世界。

 そこにはなのはがいる。

 

 フェイトが知っているなのはがいる。

 

 フェイトを知っているなのはがいる。

 

 家族もいる。

 姉がいる。

 亡くなってしまった母がいる。

 

「母さん」

 

 過去、夢に見た時間がある。

 母と姉、アルフと共に過ごす時間。

 求めていた時間がそこにはあるかもしれなかった。

 

(必ず、また会いに行く)

 

 元に戻りゆく世界を抜け出し、新たに構築されていく世界へと入り込む。

 

 フェイトは世界を超え、次元のその先へと跳躍した。

 

 

 

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