「お父さん!」
「レイニアか」
ホーマーを父と呼ぶ人物。
名をレイニアという。
ホーマーとは似ても似つかない綺麗な女性だった。
「ここにいた敵は?」
「立ち去った」
レイニアがなのはを見る。
「その子は?」
「命の恩人だ」
ケガに響かないよう優しく扱う。
色々と聞きたいことはあるが、それは後回しにする。
「ここは危ないわ。とりあえず避難しましょう」
「大佐」
そう呼ばれたレイニアが反応する。
後ろにはバリアジャケットを纏った男性が数人いた。
「状況は?」
「現状、民間人の被害はありません。ただ魔力変換施設への被害は甚大でした」
「わかったわ。引き続き救助を優先で行動、それからこちらの方を安全なところまでお願い」
「了解」
レイニアが指示を飛ばす。
一通り指示を終えたところでホーマーに声を掛けた。
「またあとで話しましょう」
「ああ」
そう言い残し、レイニアは被害のあるところへと向かっていった。
意識が戻る。
(またか)
起きたら知らない場所。
通常、起きるはずのない現象だ。
こんなことを何回経験すればいいのかと溜息をつく。
「起きたか」
近くにはホーマーがいた。
ゆっくりと上半身を起こす。どうやらベッドに寝かされていたようだ。
「大丈夫か?」
「はい」
体に痛みはない。意識もハッキリしている。
「ほら」
水を渡される。
「ありがとうございます」
受け取り、一気に飲み干す。
少し気持ちが落ち着く。周りを見ると、ベッドがいくつかあった。
どうやら仮設の避難テントに連れてこられたらしい。
治療をするために人がせわしく動き回っていた。
「すまなかった」
ホーマーが頭を下げる。
おそらく、はやてのことを言っているのだろう。
ホーマーもケガをしていたし、仕方ないとは思っている。それに助けに入っていたら殺されていたかもしれない。
そう考え、責めるべきではないと判断した。
「気にしないでください」
そう言って、さらに続ける。
「俺が必ず助け出しますから」
言葉には力があった。
ホーマーはなのはの戦闘を目撃している。決して虚勢なんかではなかった。
「相手に黒髪の青年がいただろ」
「リッジラインですか?」
「知ってるのか?」
「最後に名乗ってきました」
「……そうか」
確かに最後のほうで二人は会話をしていた。そのときに名乗ったのだろうと推察する。
そして何か考え込むような仕草をした。
「何か言っていたか?」
「リッジラインがですか? えっと……」
なのはが会話を思い出し、内容をそのまま伝えた。
内容ははやてを預かるということ、それから傷つけるようなことはしないということだ。
「そうか、あいつがそう言ったなら信じていいだろう」
何やらリッジラインのことを知ってそうな感じだった。
そのことについて聞こうとしたところ、一人の女性が割って入ってくる。
「起きたのね」
金髪に金色の目。
ストレートな綺麗な髪は腰まで伸びていた。
白い軍服と金色の髪が実に良く映えていた。
「私はレイニア。そこで仏頂面をしている人は私の父よ」
「いつも冷静なだけだ」
「あら、私が生まれるときは吐き散らしたって聞いたわよ」
「どこでそれを」
仲の良い親子の会話である。
人様の家族の話だが、日常会話を聞いて少しばかり平穏を感じる。
(そういえば)
写真に子どもが写っていたのを思い出す。
母親とレイニアは似ていた。
(それに比べて)
ホーマーとレイニアを見比べる。
とてもではないが、似てるとは言い難い。
トンビが鷹を生んでいた。
「父から聞いているわ。助けてくれたのよね」
レイニアが頭を下げる。
「ありがとう」
深々と頭が下がる。
「本当に、ありがとう」
心からの感謝だった。
ホーマーはケガをしているため、守り切ったとは言い難い。
ただここで色々とごちゃごちゃ言っても仕方ないので、素直に受け入れることにした。
「それと少しお話をよろしいかしら」
お礼を終えたレイニアからお誘いを受ける。
「敵軍と戦闘をしたと聞いたわ。それについて聞かせてほしいの」
現状把握のための情報集め及び整理のためだろう。
「大丈夫ですよ」
「ありがとう。それじゃあ場所を変えましょうか」
ここで話を続けるのも落ち着かないので場所を変えることとなった。
なのはが応接室へと通される。
部屋にはホーマーとレイニア、それから初めて見る男性がいた。
「フィラム軍中佐、ロデオと申します」
レイニアの横に控えていた男性が自己紹介をする。
「フィラム軍?」
「国家直属の軍隊です」
奥の机に座るレイニアが答える。
「申し遅れました。私、フィラム軍大佐、レイニアと申します」
座ったままレイニアが会釈程度に頭を下げる。
士官と知り、敬礼をしようとする。
だが今は管理局員ではない。敬礼をすぐに中断する。危うく変な行動をするところだった。
「高町なのはです」
名前だけ伝える。
「敵の戦力について少しでも情報がほしいの。起きてすぐで申し訳ないのだけど話していただけるかしら」
「それは、構いませんけど」
何をどう話そうかと思考する。
管理局員時代に報告してたような内容でいいかと考え、頭の中で情報を整理していく。
「ごめんね。何を話したらいいかなんてわからないわよね」
子どもを相手にするかのような言い方をされる。
黙ったままだったので、混乱してしまったのだと思ったのだろう。
「まあ待て。こいつはガキだが頭は回るほうだ」
ホーマーがフォローを入れてくれる。
ある程度話すことはまとめたので、内容を伝えていく。
「空戦魔導師が一人、陸戦魔導師が二人、それから銃火器を所持した兵士が四人」
何を目的として聞きたいのかわかれば、もう少し詳しく話すことはできる。
余計なことを言う必要もないため、とりあえず事実のみを伝えた。
「集めた情報と合わせると、他世界や管理局の支援などはなさそうね」
「はい。兵士や魔導師もフィラムから離反した数よりは上回っていません」
ロデオ中佐が資料を見ながら話す。
「武器に関してもフィラム産以外は確認されていません。援軍及び物資の支援等もなさそうです」
それを聞いてレイニアがふぅと一息つく。
懸念点が一つ消えたため一安心していた。
「それにしてもあなた強いのね」
話題を変えてくる。
どうやら事情聴取は終わりらしい。
(これなら仮設テントでの応答でも良かったんじゃ)
そう考えるが、お仕事は効率より形式を守ることが多かったりする。
そうした方がトラブルは少ないし、実はそのほうが仕事が上手く回っている場合もある。
「大人相手に、しかも軍人相手に生き残るなんて」
「空戦魔導師と陸戦魔導師を同時に相手にしたとのことですが……信じがたい話ですね」
ロデオ中佐が怪訝そうになのはを見る。
嘘をついてると思われている。
普通に考えてありえないことなので、あたりまえといえばあたりまえである。
「でも変ね。ここを襲撃するのであれば彼らが出てきてもおかしくないんだけど」
「はい、しかしどこからも情報が出てきません。緊急時に備えて遠くに控えていたのでしょうか」
軍人二人があれこれと議論を交わす。
「四英雄のことか?」
そこにホーマーが割って入った。
「ええ」
レイニアが頷く。
「四英雄?」
「ラトリアの英雄──その四人全員が私たちと敵対しています」
空気が重くなる。
何やら深刻な事態らしい。
「剣王アクトロス、不落リッジライン、幻剣グリフォ、城塞キャット」
レイニアが名前を並べる。
何人か聞き覚えのある名前だった。
「正直、彼らがいる限り私たちの勝ち目は薄いでしょう」
眉間にしわが寄る。
表情はとても弱々しかった。
「大佐」
「ごめんなさい。今のは聞かなかったことにしてください」
つい本音が漏れてしまう。
愚痴を言いたくなってしまうほど良くない状況なのだろう。
さらに空気が重くなる。
このあと聞きたいことがあったのだが、どうにも聞ける雰囲気ではなくなる。
「あー」
ホーマーが口を開く。
「その、なんだ。そのうちの三人なんだがな」
頭の後ろをポリポリと掻く。
「そこの坊主がのしちまった」
「…………え?」
「は?」
大佐と中佐が目を丸くする。
「坊主を巻き込むことになるだろうから黙っといたほうがいいと思ったんだが、こんなときに隠し事をするもんじゃないしな」
ホーマーが居心地を悪そうにする。
「すまんな坊主」
「もう十分巻き込まれてますよ」
「そうか、そうだな。すまん」
気にはしてませんけどねとフォローはしておく。
「それでだ。アクトロスを除いた三人は坊主がぶっ倒した。坊主の言っている空戦魔導師はキャットで、陸戦魔導師の二人はリッジラインとグリフォのことだ」
「…………はぁ?」
若干、キレていた。
怖かった。
美人が怒るとどうしてここまで怖いのだろうか。
なのはが縮こまり、申し訳なさそうに目を伏せる。
悪いことはしていないのだが、雰囲気に飲まれてしまっていた。ホーマーも娘と目を合わせないようにしている。
「冗談、ですよね?」
ロデオも切れ気味である。
おそらくだが、こんなときに冗談を言ったら許さんぞということなのだろう。
「嘘は言っていない。本当のことだ」
なのはの代わりにホーマーが答える。
「なぜそれを最初に言わなかったのですか?」
「言っても信じないだろ。というか今も信じてないだろ」
確かにと二人は思う。
どうしたって言葉だけでは信じられない。
「坊主を脅威と感じ、軍隊を引き連れて潰しに来るか、それとも触らぬ神に祟りなしと判断し放っておかれるか、それは知らんが事実だけは伝えておく」
言うべきことは言った。
もう話すことはないとばかりに口を閉じる。
「……わかりました」
実の親が嘘を言っているとは思えなかった。
「ロデオ中佐」
「はい、ひとまず今の話を本当であると仮定するとおおよその事が見えてきます」
二人の議論が再燃しようとする。
また聞くタイミングを逃すと面倒なので、多少強引にでも話題を振ることにした。
「あの」
全員がなのはを見る。
「いくつか聞きたいことがあります」
「なんでしょうか」
ここまでなのはは十分に話をした。
ならばレイニアたちも応じるのが礼儀である。
「敵の情報を知りたいんです。教えられないこともあるとは思います。ですが拠点だけはどうしても知りたい」
一拍置いて、レイニアが理由を聞く。
「なぜですか?」
「友達が連れ去られた。だから取り返しに行く」
レイニアとロデオが一瞬だけ目を合わせる。
「でしたら一つ提案があります」
今まで向けてきた優しい目から、真剣な目に変化する。
「私たちに協力しませんか」
レイニアは本気だった。
「是非、その力を貸してください」
考える。
正直な気持ちとしては、今すぐにでも向かってしまいたい。
だがそれは失敗する気がした。事を急いて好転することはあまりない。
どうにか逸る気持ちを抑える。
(今の自分だと不確定要素が多すぎる)
やはり他の力も借りるべきである。
しかし首を縦に振れば、完全に戦争へ参加することとなる。
(いや、それはもうこの際仕方ない)
一番の目的ははやての救出である。
それに協力すれば、あらかたの情報は手に入るはずだ。
「わかりました」
協力することに同意する。
「ありがとうございます」
レイニアが立ち上がり、なのはに手を差し出す。
「それではよろしくお願いします」
「こちらこそ」
握手を交わす。
手を離すと同時にロデオが声をかけてきた。
「少しよろしいですか?」
なのはが顔を向ける。
「失礼かとは思いますが、あなたの力を確認させていただけませんか」
「構いませんよ」
二つ返事で了承する。
「ありがとうございます。やはりどうしても話だけを鵜呑みにすることはできません。四英雄の三人を相手にしたというのであればなおさらです。協力していただけるのにも関わらず大変申し訳ありませんが、実際にお力を示していただけると助かります」
力量を確認するのは当然のことである。
「大丈夫です。そちらの気持ちも十分にわかりますので」
「そうですか。重ねて感謝申し上げます。それではまた明日ここに来ていただけますか?」
「今からでも大丈夫ですけど」
体調はすっかり良くなっていた。走り回っても問題ないくらいだ。
「今日はゆっくり休んでください」
特に反対することでもないので素直に従う。
それに先ほど襲撃があったばかりである。
このあとに情報整理や会議があるのだろうと推察する。なのはたちばかりに時間は割いていられるわけでもない。
それから集合時間を決め、なのはとホーマーは退室した。
「どう思いますか?」
レイニアがロデオに問う。
「やはり、まだ信じられません」
ロデオが眼鏡の位置を直す。
「四英雄──彼らはラトリアにおける英雄にして、他世界に対する抑止力でもある存在です」
今となっては逆になってしまいましたがと落ち込む。
「一人いれば国家転覆を望めます。それを三人同時に相手にするなど……そのようなことが成せるのは剣王以外考えられません」
「つまりアクトロスと同じくらいということになるかしら」
「それはわかりません。彼女はもはや人の領域を超えています。誰も真の実力はわからないのではないでしょうか」
アクトロスは四英雄の中で最強とされている。それも他の英雄と比べて、桁違いなのではないかと評されているほどだ。
「しかし、彼の実力が事実であればこの戦い」
「勝てるかもしれませんね」
希望の薄い戦いだった。
そこに大きな希望の火が灯ることとなった。
やることは多く不安も多い。
だが暗いだけだった気持ちには、今や明るさも加わっていた。
翌日。
なのはがレイニアたちと合流する。
「お父さん大丈夫そうかしら?」
「少し熱は出てましたけど、何日か休めば大丈夫そうです」
ホーマーは自宅で休養中である。昨日の無理がたたり、本日は安静にしていた。
実は昨日、ホーマーは無理をしていた。
ケガをしていたので休んでいるべきだったのだが、なのはを一人にできないと思い一緒に行動をしていた。
違う世界からやってきたため、何か変な疑いをかけられないか心配だったのである。
「そう、良かったわ。私の代わりに看てくれてありがとう」
訓練場に移動する。
人は少なく、ロデオと数名の兵士がいた。
「本日は私がお相手いたします」
レイニアがなのはの正面に立つ。
誰であろうと構わないのだが、ケガをさせてしまわないか心配になる。
模擬戦といえど万が一はある。
指揮官クラスが出張るのはあまり良くないのでは考えていた。
「心配ですか?」
考えていることを見抜かれる。
「魔力量には自信があるんです。そう簡単にダメージは通りませんよ?」
レイピア型のデバイスを展開する。
同時に目に見えない膨大な魔力の奔流がなのはまで押し寄せてくる。
確かに魔力量はあった。
なのはも決して少ないほうではない。だがレイニアの魔力量は比べものにならなかった。
(やっぱおかしいよな)
ラトリアの人間は魔力量が多い傾向にある。
管理局員にでもなれば、ほとんどの人間がエース級になれる素質があった。
その中でもさらにレイニアとキャットは頭一つ抜けていた。
化け物ぞろいのラトリア。
他の世界に侵略されず、無法者が強行手段に出れない一つの理由でもあった。
ブラック・オルロフを構える。
ひとまず、切削モードは使わないようにしておく。
「では、いきますよ」
まっすぐに向かってくる。
突き出されたレイピアを避ける。
反撃を加えようとするが、その隙はなかった。
剣を引き戻すことはせず、片足を軸にしてその場で回転し、その勢いのまま剣を振るってきた。
剣と剣がぶつかり合う。
(速い、けど重くはない。力を乗せていない振り方だな)
なのはが押し返す。
続けざまに攻撃を入れる。
自動防御のディフェンサーが攻撃を阻む。
(硬いな)
岩を叩いたような感覚が手に伝わる。
魔力の貯蔵量が多く、惜しみなく使えるからこその硬さである。
徹を使うか迷う。
ただ今の自分では調整が難しい。衝撃をモロに与えてしまうことになる。現時点では模擬戦において不向きな技だ。
(どうするか)
このまま攻撃をさばき続けるべきか。
それならそれである程度の実力は認められるだろう。
だがそれでは足りない。
今は自らの利用価値を示さなければならない。そうしなければ、はやてを助けるための協力を得られないかもしれない。
違う星からやってきたなのはの都合など後回しにされるのは目に見えている。
(ケガはさせないように、それに加えてわかりやすいように強さを示す)
レイニアが華麗に、舞うように剣を振る。
なのはがさばき、訓練場に剣げきが響いていく。
(強いわ)
レイニアの実力はフィラムの中でも上位に位置する。
お互いに全力は出していない。それでも相当な実力者であることは認めざるを得なかった。
(それにしても)
レイニアに一筋の汗が流れる。
(とてつもないプレッシャーね)
レイニアは恐れを感じていた。
常に急所を刺されるイメージ。
攻撃を出すたびに斬られるイメージ。
恐怖を想起させられるたびに筋肉が強張っていた。
止まっていたらやられる。
臆してしまわないように、休まず動き続けなければならなかった。
「はあぁ!」
レイニアの攻撃に力が入る。
模擬戦ということが頭から離れていく。
攻撃は苛烈を極めていく。
レイピアに込められた魔力が飛んでいき、剣が振るわれるたびに地面が刻まれていった。
「おい、これ」
「止めなくていいのか」
周りから心配そうな声が上がる。
観戦していたロデオも止めに入るべきかと考える。
なのはが嵐のような攻撃を防ぎ続ける。
未だにかすり傷一つない。
驚愕の事実である。
ただレイニアはそれ以上に驚きを感じていたことがあった。
なのはは常にレイニアの目を見続けていた。
剣の動きは見ない。見たとしても、肩の動きか足の動きである。
それによりさらなる恐怖を生んでいた。
そこにある圧倒的な実力差。
いつでも殺せるという揺るがない事実。
そして、このときにはもう、模擬戦だということは完全に忘れていた。
レイニアは生きようとしていた。
「はあああ!!」
大振りの一撃が放たれる。
それは通らない。
なのはの蹴りが腹部に直撃する。
「ぐふっ!」
飛ばされる。
距離が空き、間合いが開く。
「アスカロン!」
『Luminous Lance』
ルミナスランス、人ひとりを飲み込むほどの光の槍が放たれる。
なのはがいた場所に大きい穴ができていた。
殺してしまった。
だがそんなことを考える必要もなかった。
レイニアの首に黒剣がそえられる。
勝負ありである。
「参ったわ」
勝負がつき、正気に戻る。
「あ」
正気に戻ったことにより、レイニアが過ちに気付く。
「ごめんなさい。度が過ぎてしまいました」
殺意満タンの攻撃をしてしまったことを謝る。
「平気です。それより力のほどは伝わりましたか?」
「……十分よ」
十分すぎるほどだった。
リッジラインたちを倒したというのも頷ける。
「それにしても最後どうやったの? 魔法かしら?」
全くわからなかったわと呟く。
気づいた時には黒剣を突き付けられていた。レイニアからしたら何も見えず、何もわからない状態だった。
「いえ、魔法ではないですね。歩法の一つです」
最後、なのはは神速を使っていた。
実力を示すにはこの技が伝わりやすいと考えていた。
二人がロデオのもとに向かう。
他に見ていた者たちから評価をもらい総評を行う。
その後、高町なのはを今後の作戦に組み込んでいく予定である。
「というか君、本気出してないでしょ」
終始、なのはは余裕そうだった。
「そんなことは……」
言いにくそうにする。
レイニアに認めてもらうために、試合の範囲内では本気を出したつもりである。
決してコケにするつもりなどはなかった。
レイニアもわかってはいる。
けれど、感情として受け入れがたいことはどうしたってある。レイニアも訓練を積んできた一人の戦士である。不貞腐れるのも仕方ないことだ。
「ど、どうしました?」
「別に」
少し悔しかった。
乱されたこともそうだし、まるで弄ばれたかのように感じていた。
しかしそんな感情もすべて水に流せる。
味方として、これほど頼りになるものはいない。
確かな希望を胸に、仲間との会議を開始した。