退学になったから自分で学校建てる   作:タオンガ

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ヤキニクパーティ

「はいそういうわけでオレたちの新たな仲間になった加倉ヒメカさんです! はい拍手!」

 

 パチパチと、とある焼肉屋の個室に、喝采の音色が響く。

 椅子に座って網を囲うのは当然、オレとカヨコと先程のメイドこと、ヒメカだ。

 

「はいご紹介に預かりました加倉ヒメカです。まだミレニアムを退学はしていませんが、時期を見て正式にミレニアムを抜ける所存です。改めてこれからよろしくお願いします」

 

「うん、よろしく。まぁ、知ってるらしいけど、一応自己紹介しておく。鬼方カヨコ、16歳。無所属で、一留はほぼ確定」

 

「そしてオレが天帝シャク! 同じく16歳で一留ほぼ確! 自分で言ってて悲しくなる!」

 

 出来れば18歳のうちに卒業したかったなァ!

 いやもう後の祭りだからそんなこと言ってもどうにもならないんだけどさぁ!

 

「……成程、そう考えると、遅くとも夏中には退学する以上、私も一留確定ですかね、これは」

 

「一応、今のうちなら引き返せるけど?」

 

「そんなに不義理な女ではありませんよ、私は。一度やると決めた以上、やってやりますとも」

 

「ふぅん、頼もしいじゃん」

 

 サッサと牛タンを網に乗せながら、ヒメカとカヨコが言葉を交わす。

 うむうむ、早速仲が良いようで何よりだ。

 

「ただまぁ、お二人の仲間のくわえていただく上で幾つか気になったことがあるのですが、質問よろしいでしょうか、シャク様」

 

「はい何でしょうヒメカさん」

 

「まず第一に、傭兵学校と仰られましたが、どのような形態で推し進めるつもりで?」

 

「まぁ、その辺は気になるところだよな」

 

 一口に傭兵と言っても、その形態は多種多様だ。

 少なくとも、今のキヴォトスで確認されている傭兵の種類は、以下の4つ。

 企業、グループ、組合に属する個人、組合に属さない個人。

 これらはどれも一口に傭兵と呼称されるが、しかしその雇用形態には確かな違いが存在する。

 

 まず企業は、読んで字の如く、傭兵を生業とする企業だ。

 主にPMC(private military company)なんかがここに当たる。

 企業単位で傭兵としての仕事を請け負い、行動する。

 この形態のメリットは企業の質にもよるが、装備がちゃんとしている事、頭数が揃っている事、きちんと訓練されている事などが挙げられる。

 デメリットとしては、やはり雇うのに金がかかるだろう。

 だからまぁ、雇うのは専ら大企業の社長などの金持ちだ。

 

 で、次にグループ。

 何人かの傭兵たちが集まって一つのチームとして行動し、仕事なんかもチーム単位で引き受ける形態だ。

 企業と似たようなものなのだが、公式か非公式かという点で差別されている。

 メリットとしては、企業に比べれば圧倒的に安い点と、多少後ろ暗い仕事でも受けてくれる事。

 デメリットは、企業のそれに比べて質が低い事と、たまに内ゲバとかが起きる事。

 傭兵は雇いたいけど金にそこまで余裕が無い中小企業が、適当な1チームと契約を結んで抱えてるような印象がある。

 

 そして最後に個人。

 勿論読んで字の如く、個人で傭兵業を営んでいる人たちのことである。

 で、そんな個人勢も、組合に属しているか否かでグループ分けをする事ができる。

 

 まず組合に属している方だが、そもそも組合というのは個人勢を統括し、傭兵としての仕事を斡旋する組織の事。

 クライアントが組合に手数料を支払い、傭兵を紹介してもらうというシステムだ。

 なので、クライアントは割とスムーズに望んだ人材に沿う傭兵を雇う事が出来るし、傭兵は自分で仕事を見つけられなくても組合に斡旋して貰えるので、双方にとってかなり都合が良かったりする。

 ただ、手数料を差し引かれる分、少々割高ではあるが。

 

 そして最後に組合に属していない、つまりフリーの傭兵であるが……まぁ、うん。

 何にも縛られないので、とにかく自由だ。

 実力はピンキリ。料金もピンキリ。受けてくれる仕事も個人個人で大きく異なる。

 当たれば強いし、外れればゴミ。玉石混合って感じだ。

 

 ……で、ヒメカが聞いているのは、オレが作る学校がこのうちの『企業』としての形態をとるのか、『組合』としての形態を取るのか、という話だろう。

 何も問題はない。その辺に関しては、しっかりと決めている。

 

「オレたちが取る形態は、『企業』と似たような形になるだろうな」

 

「ほう、では、そうする理由は?」

 

「そっちの方が『クリーン』なんだよ、やっぱりな。組合方式だと、どうしても生徒たちの手綱を握りきれねぇし……何より、あぶれるやつが出る。学校として、そういう犯罪やいじめに繋がりかねん形式は避けたい」

 

「…………成程、よくわかりました」

 

 一度目をパチクリさせ、そしてぎこちなく頷くヒメカ。

 何か文句でもあるのだろうか?

 

「意外でしょ、バカっぽそうに見えて、意外と色々考えてるの、コイツ」

 

「ええ、意外でした」

 

「テメーもオレを馬鹿にしやがるのか」

 

 何だってどいつもこいつもオレを馬鹿扱いするのかね。

 オレってばヒメカに対しては特に何も変なことはしなかったと思うんだが。

 

「オーラが出てるんでしょ」

 

「心を読むな。そして馬鹿のオーラって何だ」

 

 そんなのが出ていてたまるか。

 

「……まぁいい。とにかく、オレたちはあくまでも企業のような方式で行く。勿論普通の依頼も受け付けるが、『軍事演習や訓練にも使える生徒の軍団』ってのを前面に押し出して売るつもりでもあるから、そこら辺は把握しておいてくれ」

 

「ん、わかった」

 

「了解いたしました」

 

 2人が揃ってこくりと頷いた。

 

「よし! んじゃあ真面目な話も終わったところで焼肉パーティーだ! これはヒメカの歓迎と150万の収入を同時に祝う会なので、遠慮せずにじゃんじゃん食え!」

 

「食べ放題プランだけどね」

 

「だまらっしゃい! はいそれじゃあ2人ともグラスを持って! はい乾杯!」

「「乾杯」」

 

 

 現在の生徒数:2(+1)人。

 預金残高:約194万円

 

 次のステップまで、残り約806万円。

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