___は諦める。 作:匿名冷ボウ
今日も今日とて魔物を砕く。
今日の晩御飯分の金を稼ぐ為に。
「はぁ…」
何故か今、デジャヴというか、あれ、今の状況って何処かで見たことあるな? と思ってしまう。
まぁ気のせいだろうと思いながら、群れを伴って突っ込んでくる
しかし目的の
案の定、今のヤツらからのドロップはゼロ。しかし今日は初っ端から残っていて三つは確保しているので問題はない。今のはストレス発散のようなものだ。
さて、少し早いがそろそろ外に行くか___。
「あれー? 今日はいませんねー」
舌打ち。
眉間に皺が山脈のように刻まれるのを自覚すると同時に、私は帰還を諦める。どう考えても入口方面から来ているので引き返せなくなった。
帰ろうとした足を翻し、私は更に…
さて、ここまで来れば問題ないだろう。
ダンジョンの
「はァ…」
思わずため息が出た。なんで私がこんな気遣いせにゃならんのだ。いや、気遣いじゃないな。単純に私が嫌ってるだけだわ。
最近の配信者というやつは何処にでも沸いてくる。昔は室内とかでの配信が主流だったのに、ダンジョンが現れた今じゃ外にでもダンジョンの中にでも沸いて出る。個人情報の漏洩が怖くないのかアイツら。
私も一回くらいは配信に興味を持ったことはある。しかし昔から存在するネットに自身を晒すというデメリットの数々が理性をフル強化して、あーやっぱりやめよっていう考えに至る。それは機材を買い揃えたり浮かれて購入した配信用の衣装を用意した後に発生する。今はもう押入れの奥深くの中だが。
比較的中腹の所で狩っていたから、あの配信者が順当にここまで魔物を殺してきたのなら、恐らくあまり待たなくても良いと思うが…。
時計を見ても先程とあまり変わらない時間。三十分程度なら、私は快く待てるとも。それ以上はもう砂埃を盛大に撒き散らしながら視線を切って走り抜けるとしよう。服が汚れるので嫌だが死活問題なので妥協。
しかしこういう時スマホが使えないのは面倒だな…オフライン系のアプリゲームでも落とせばよかったか…。
「きゃぁぁああああ!!?」
…?
あれ、ここ一番下だよな。なんで悲鳴が聞こえるんだ?
というかこんな初心者ダンジョンで悲鳴? 群れにでも襲われてるのか? それにしては鳴き声が聞こえないけどな。
そう首を捻りながら腕を組んで不思議に思って、そもそもの話として、「私ここに来るまでに魔物は全部ぶっ殺してきたから悲鳴とかあり得ないよな」と考え付く。
そうして私は、カッスカスに霞んだダンジョンの知識___魔物を短期間で全滅させる、という文面を思い出し、少し嫌な予感が過った。
女性…じゃないかもしれないが、あの悲鳴からして男性はない。女性(仮)は恐らく、私が魔物を轢き殺してきたせいでエンカウントせずにここまで来てしまった。
酷く朧げだが、短期間でダンジョン内の主以外の魔物を短期間で全滅させたりするとダンジョンに異変が起こる。例えば異物を排除するための白血球的な魔物とかが現れたり。
そしてその魔物は比較的異物の近くに現れる。恐らく私の今いる一階層上にポップしたと思われる。そして女性(仮)もそこにいる。
私(異物)を排除しようとする、白血球が女性(仮)をとりあえず的な形で狙っている可能性。
その可能性を考えた私は、「あちゃー」と頭を抑えた。まさか配信者のバカ思考がここまでのものだとは。
…いいや、面倒臭い。どうせ助けても遠くもない近くもない未来で私のせいって知ったら罵詈雑言投げつけてくる未来しか見えないし。
私は僅かに蠢く良心を抑え込む為に、断固としていかない意思を確固たるものにする為に、この狭くもなく広くもない階段で横になる。幸い細い身体が幸いしてはみ出て落ちる事もないし、脚を組んで寝ればジャストフィットして中々に寝心地が悪い寝方ができる。
しかしまぁ、女性(仮)には悪い事をしたな、と思うだけならタダなので一応心の中で謝罪する。
「ぁぁぁ」
しかしまだ生きてるのか。生まれてきたのは初心者ダンジョンの魔物を短期間で全滅させる程度の冒険者を少し上回る程度の魔物の筈だが、ここまでしぶとく生きるとは、中々に有望だったんだろうな。
「あああ」
しかしまぁ、ランクにしてBランク。初心者ダンジョンで配信するような輩に勝てるはずもない格上の魔物だ。恐らくすぐに悲鳴は止む。
「あああッ!!」
しかしなんか悲鳴が近くなってきている気がするな、まさかこっちまで降りて…いや、多分すぐ追いつかれるからないか。階段に向かう途中で引きちぎられる筈だ。ありえ___。
「ぁぁあああああッッッ!!!」
「…は? うぶっ」
視界が勢いのある物体で遮られた。柔らかいような硬いような、更には汗臭い臭いと血生臭いのが一変に嗅覚を刺激する。
更には私は寝転んでいたので勢いのある物体に抗う暇もなく背中を引きずる形で数mくらい移動されてしまったので、ダンジョンの最下層に
顔にへばりつく何かを形で押し飛ばす。…あぁ、胸だったのか。硬かったから分からなかった。それと女性(仮)は女性(真)だったようだ。
「うっ…ぅう…」
頭から血を流して呻き声を出しながら起き上がる女性(真)。周囲を見渡すと同時に私の姿を発見…そして上から降りてくる魔物の足跡を察知して顔を青くしてそちらの方を向きながら悲鳴を上げる。
「ひぅ!? ま、まだ来てるぅ!」
「…はァ」
溜息が出る。声的にさっきの配信者だ。しかしカメラは何処にもない為恐らくカメラは破壊されていると予想。なら問題ない。
「す、すいません助けてください! 知らない魔物がいきなりぃ!」
「
「へっ? …きゃうわぁぁぁあああ!!!?」
女性(真)の背後にはデカいゴブリン…ハイ・ゴブリンが仁王立ちしている。そう、このダンジョンの主だ。
さて…中々に面倒な事になったな。