チヒロ「……あの帝国の兜……だもんね。これ。」
コタマ「ええ……つまり、帝国の方がここで亡くなったということでしょうか?」
チヒロ「たぶん、そう。」
チヒロたちは、イヴァリースでは感じなかった『異常な死への忌避感』を覚えた。
キヴォトスでは、それを自覚するほど明確に、かつ深いものだった。
コタマ「(私たちのせい…………?)」
チヒロが口を開く。
チヒロ「……何かお供えしておこう。」
そう言い、チヒロは持っていたグラノーラバーを、コタマは微糖の缶コーヒーをそっと置いた。
少し盛り上がった土の上に、後頭部が大きく凹んだ兜が置いてある。
二人は、ただ黙祷した。
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同時刻 ミレニアム 尋問部屋
先生「……亡命ってことですか?」
先生が無礼を承知しながらも、あえて『亡命』という言葉を選んだ。
先生からすると、彼らのような人間は保護したいのはやまやまであるものの、本当にそれでいいのか考えて欲しかった。
上官「そうなります。」
上官「まず優先していただきたいのは、部下二人の保護です。」
上官がはっきりとした声で言い放つ。
先生「あなたはどうするんですか!?」
上官「私は……亡命するべきか否か、悩んでおります。」
上官「私はただ…………死にたくない。戦前の緊張、いずれ来る戦乱の世から、逃げたいのです。」
上官「
……ですが、私は少なくとも、『今、平和な状態』である場所に居たいのです。」
上官が俯く。
先生「…人が『死にたくない』と思うことは、普通ですよ。」
先生「死を覚悟させる環境がおかしいんです。部外者の私が言うことではないでしょうけどね。」
先生が真面目な顔をして話し終えた後、いつもの柔和な笑顔に戻った。
先生「……で、どうします?」
上官「我々は…私は、逃げます。」
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ミレニアム 特異現象捜査部の部室
ヒマリ「…………。」
エイミ「部長が感動してる……?」
その時、ヒマリのスマホから着信音が聞こえた。
エイミ「あ、部長。先生から電話だよ。」
ヒマリ「えっ……ああ、先生?」
先生(電話)「もしもし、ヒマリ?私にちょっと考えがあるんだけど。」
ヒマリ「それはどんな内容で?」
先生「この人たちみんな帝国に帰るつもり無いらしいし、キヴォトスの案内とかしてあげない?」
先生「なんかさ……リフレッシュが必要そうだよ。」
先生が真剣な声色で言った。
ヒマリ「なるほど……。私は賛成ですよ。」
ヒマリは先の流れに押され、先生に賛成した。
先生「え、ホント!?やったぁ!」
エイミ「私も賛成だよ。」
エイミもヒマリに同調する。
先生「じゃ、決まりだね。あっそれと……」
先生「ちょっとシャーレ入口の監視カメラをハッキングできる?居住区の空き部屋で寝泊まりしてもらうけど、連邦生徒会にバレたらマズいじゃん?」
ヒマリ「……彼らを、誰にも見つからずにシャーレまで移動させるおつもりで?」
先生「そこなんだよねーー……結構リスキー。」
ヒマリ「うちの部室の隣に、私たちが使っていない倉庫部屋が複数あります。リオが勝手に私たちのものにしていたのですが。」
その部屋は特異現象捜査部の設立に際して、リオがヒマリ割り当てた部屋。
エイミがクーラーや冷却装置を置きまくっていたため、二つある部屋は現在どちらもキンキンになっている。
先生「良ければ……そこでもいい?この人たちは、別にどの部屋でも文句は無いってさ。」
ヒマリ「すぐに応対ができ、私やチーちゃんたちの監視の目も行き渡る……やはりここですかね。」
先生「おっけー。じゃ、誘導は私とトキでやるから、カメラとかセキュリティ周りのハッキングを……」
先生「トキ、オートマタの肩から降りて。……」プツッ
エイミ「……切れたね。部長、私はクーラーを片付けてくるから。」
ヒマリ「今度はこの部室がキンキンに……」ゾワッ
今回でシリアス回は終わりにしたいです。
自分の言葉の引き出しを漁るのも楽しいんですけど、ギャグ要素が少なくなっちゃうので……
あと、とにかく帝国兵Bには近代的な銃を持たせたいです。