かぐや様の世界に転生した   作:ぐぬぬです

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だから私は目を見開いた。 後編

高校にあがってからの俺の生活はいつの間にか騒がしいものになっていた

 

 

「いーしがみ!今日のお昼はスマブラしよう!家で即死コンボ練習してきたんだ!」

 

「俺スマブラあんまやってないんだけど?そんな俺に即死決めるつもりなのお前?」

 

「どーせ石上もガン逃げするだけなんだから変わんないって。」

 

 

「だって逃げなかったら容赦無くシバくじゃんお前‥‥俺の立場にもなってくれないか?」

 

 

授業と授業の合間にそんな会話を人目を気にせずに繰り広げちまう奴が居るせいで、みんなにも視線が集まるであろう廊下でさえこの調子だ。

 

最初の頃は俺から話しかけられるのを避けてきてたんだが‥‥‥

 

いつの間にかこいつに捕まって、いつの間にかこいつの隣でゲームをいつもしてしまってる。

 

 

‥‥‥正直言って、悪くないと思っちまってる自分が居る

 

 

こんなの、絶対に長くは続かないと分かっているのに________

 

 

 

 

 

「優、そこ違うわ。ここはその公式じゃなくてこういう考え方でやった方が簡単よ。」

 

 

「‥‥‥あ、なるほど。ありがとうございます‥」

 

「‥‥‥‥‥‥」カキカキカキ

 

 

そして、テストが残り三日まで迫っている中 俺と進上は最近知り合ったツンデレ先輩改めて、眞妃先輩に勉強を見てもらっている。

 

 

‥‥‥という名目だが実際は俺と進上の勉強を四条先輩に見てもらってるというより、俺の勉強をこの2人で見てもらってると言ったほうが正しい。

 

俺の解いてる問題を四条先輩がマンツーマンで見てもらいながら、裏で進上が採点、課題点、どこを伸ばすべきか それらをまとめながら次俺にやらせる問題を選んでるそうだ。

 

‥‥‥‥‥‥‥正直、この現状に対し俺はもう理解が追いついていない 見てほしいと言った張本人は最初こそは四条先輩から色々聞いてたりはしてたけど、ハッキリ言って見てもらう必要がないくらいにはこいつは勉強が出来る。

 

こいつからしたら四条先輩に勉強を見てもらう必要は元々なかったんだ。

 

それが分からない奴では無いことはもう既に知ってる つまりだ こいつは端から眞妃先輩と自分の2人で俺に勉強を教える気でいたんだ。

 

 

‥‥‥改めてこいつの考えてることがわからなくなる

 

「眞妃先輩はあとでくるってさ、こっちで先に始めちゃお」

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥おう」

 

 

次の日も俺らは図書室て集まって勉強する流れになっている

 

そんな図書室での勉強はとても静かだった 普段進上といる時と比べてとてもギャップを感じてしまうほどに

 

静かすぎて 椅子を引く音や、ページをめくる音が妙に大きく聞こえる

 

俺と進上が並んで座った瞬間、 いくつかの視線が、すっとこちらに向いたのが分かった。

 

ヒソヒソと、声が落ちる。

 

内容までは聞こえない。

 

 

でも、自分の名前だけは、はっきり聞こえた。

 

 

「石上‥‥‥‥」

 

「石上と‥‥‥‥やっぱり‥‥‥‥」

 

 

進上は、気づいていないフリをしているのか。 それとも本当に気づいていないのか。

 

ノートに視線を落としたまま、ペンを動かしてる

‥‥それどころか

 

「んー‥‥‥昨日の石上が間違えてた部分はここらへんだから‥今日は改めてここの復習とかしとこっか」

 

 

……なんで。

 

なんで、そこまでするんだよ。

 

 

 

俺は、進上の手元から目を逸らして、ぽつりと口を開いた。

 

「なあ」

 

「ん?」

 

「……なんでさ」

 

 

進上のペンが、一瞬止まる。

 

 

 

「なんで、ここまでするんだよ」

 

 

声が思ったより低く出た。

 

怒ってるわけじゃない。

 

責めたいわけでもない。

 

ただ___ 分からなかった。

 

 

「‥お前、俺の噂‥‥詳しく知らないだろ」

 

 

「噂‥‥‥荻野コウってヤツをぶん殴って停学になったってやつ?それとも大友さんって人をストーカーしたってやつのこと?」

 

「‥‥‥‥‥‥両方共ちゃんと知ってたんだな」

 

「そりゃあ耳にするよ。なんならちょっと話すようになったクラスメイトの女子から聞き飽きるくらい聞かされたよ。 女子って本当そういう話好きだよね〜」

 

 

「‥‥‥それで良く俺から離れようとか思わないなお前‥‥‥それとも全部デタラメの噂だとでも思ってるのか?」

 

 

「んー‥‥全部が全部デタラメってわけじゃないでしょ。現に石上は停学になっちゃったらしいし?荻野って奴と大友さんっ人が付き合って破局したってのも事実らしいし」

 

 

心臓が、嫌な音を立てた。

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥嫌じゃねえのかよ‥‥‥そんな奴と一緒に居て‥‥‥」

 

 

「嫌じゃないよ?全然」

 

 

即答だった。 迷いも、間もなかった。

 

 

「ってかそれ今更じゃない?それに言ったでしょ?周りの評価だけで判断するのは馬鹿のすることだって」

 

 

胸の奥が、ざわつく。

 

 

「私は私の判断で石上と仲良くして良いと判断したの。」

 

 

「‥‥‥‥‥‥お前‥‥‥」

 

 

「こうやって一緒に勉強してるのも、その延長線上だよ。石上、授業中ずっと寝てるし、放課後はゲームばっかだし。赤点取ったら留年でしょ?一緒に遊べる時間減るの嫌じゃん」

 

 

……そんな理由で。

 

 

「‥‥‥眞妃先輩を頼ったのは?」

 

 

「人にモノを教えられる程の才能はもちあわせていないから だから先輩を頼ろうかなって」

 

 

言葉が、 胸の奥で静かに落ちていく。

 

 

「‥‥‥ふふ、石上って本当に分かりやすいよね。」

 

 

「‥‥‥‥なにがだよ」

 

 

「そういうとこ」  

 

 

 

 

進上は、急に立ち上がった。  

 

 

 

 

「そこの二人。図書室では静かにするって知らない?」  

 

 

背後でヒソヒソしていた女子生徒二人が、 びくっと肩を跳ねさせる。  

 

 

 

「え、……進上さん……石上と関わるの、やめたほうが_____」  

 

 

 

「絶対ヤダ」

 

 

 

即座に遮ったのは進上の言葉だ

 

 

「陰口言う人の言うことなんて死んでも聞きたくないね。それも、大切な友人のことを言われるなら尚更」

 

 

「‥‥‥‥‥‥!!」

 

 

 

——友人。 その言葉に、 胸がぎゅっと締め付けられたように感じた

 

 

 

「「ご、ごめんなさい‥‥」」

 

 

 

二人は逃げるように去っていく。

 

 

「‥‥‥いいのかよ。あんな事言って‥‥」

 

 

「いいんだよ。石上は周りのこと気にしすぎ」  

 

 

 

「……お前が気にしなさすぎなんだよ……後悔しても知らねえからな……」  

 

 

「多分一生しないよ」  

 

 

 

進上は、少しだけ笑った。  

 

 

 

「だって、石上と一緒に居るの、めちゃくちゃ楽しいもん」  

 

 

 

……俺は、その言葉に、 何も返せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

図書室の入り口付近。

 

扉の陰に、二人の少女が立っていた。

 

 

「……おばさま、もういいでしょ?」

 

 

低く、抑えた声で四条が言う。

 

その視線の先には一年生二人の姿があった。

 

 

「……そのようですね」

 

 

四宮かぐやは、静かに頷いた。

 

四条眞妃は、すでに図書室には到着していた。

 

だが、進上奈緒について調べていた四宮とかち合い、 彼女の提案であえて、声をかけるのを遅らせていたのだ。

 

 

「……そこまで警戒しなくてもいいと思うけど」

 

 

四条が、小さく肩をすくめる。

 

 

「あの子、少なくとも悪意で動くタイプじゃないわよ?」

 

 

四宮は、しばらく黙ったまま、 図書室の奥を見つめていた。

 

 

「……ええ。存じております」

 

 

一瞬だけ彼女は目を伏せる。

 

石上優は、 救われることを前提に生きていない。

 

 

期待しない。

 

信じない。

 

だからこそ、裏切られない。

 

 

 

そんな彼に。

 

 

(……“居場所”を与えている)

 

 

 

進上奈緒は、 それを無自覚にやっている。

 

 

計算ではない。

 

 

善意‥‥‥とも少し違う。

 

 

言うなれば‥‥そう‥‥ まるで

 

 

—— “結末を知っている者”のよう

 

 

(‥‥‥‥‥)

 

 

かぐやの背中を、 冷たいものがなぞった。

 

 

(進上奈緒)

 

 

(あなたはいったい__何者なの)

 

 

かぐやは、四条があの二人の元へ向かうのを尻目にしながら 静かにその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は生徒会室 テスト期間も終わり、各々テストの結果がぼちぼち返ってきた今日のこの頃 役員メンバーがこの室内に集まっていた

 

生徒会室には、テスト期間特有の張り詰めた空気はもう残っていない

 

 

 

「お〜‥」

 

 

 

私がそんな反応を示す目線の先には無事赤点を回避し、それどころか全科目70点〜60点ほどをキープしてる石上のテストの紙が並べられていた。

 

 

 

「やるじゃん石上、一週間みっちりやった成果が出たね」

 

 

「‥‥まぁ、お前と眞妃先輩にあんだけみっちり教えれば流石にな‥」

 

 

「ちゃんと眞妃先輩にもお礼言わなきゃだね〜。喫茶店の割引券2枚とか渡しとく?」

 

 

「進上の方は‥‥‥歴史のテストだけ何故70点なんだ?」

 

 

 

そんな会話を石上としてると、椅子に座ってた会長が私の答案用紙を見るなりそんなことを聞いてくる

 

 

 

「解答する時間無かったんですよ〜。」

 

 

「進上でもそういうミスもあるんだな。回答欄が一段ずつズレたとかか?」

 

 

「いや普通に寝過ごしただけですね。

気が付いたら残り5分でした」

 

 

「寝過ごした!?解いてる途中に寝たってことか‥‥?」

 

「いや会長、こいつテスト開始と共に各教科寝てますよ‥‥‥毎回残り15分くらいになってから解き始めてます。」

 

 

「そうなの!?それで歴史以外全部満点なのか!?」

 

 

「えっへん」

 

 

 

自分でも少し言い過ぎたかな、と思ってから、遅れて照れが来る。

 

 

 

 

「時間フルに使ったら全教科満点だったろうに‥‥‥なんでわざわざ?」

 

 

「いやだって、15分で解けるし‥‥あと‥‥眠いじゃん?」

 

 

「あっそぉ‥‥」

 

 

 

石上が呆れたような反応を見せる

そんな彼にどやさぁと胸を張ってみせたが華麗にスルーされた

 

腹立つからあとで髪の毛3本くらい引き抜いてやる

 

 

さて、テスト明けということもあり生徒会の仕事もぼちぼちに皆各々撤収する流れになってくる

 

 

石上と一緒に帰ろうと思ったけど、手荷物を確認してたら忘れ物したことに気が付いた

 

 

ので、私は石上を校門前で待たせた上で生徒会室へと戻ってきていた

 

 

「えーっと‥‥スマホの充電器は〜っと‥‥」

 

 

そんなふうに探していると、生徒会にもう一人入ってきた

 

 

 

「‥あら、進上さん。どうかなさったんですか?」

 

 

「四宮先輩。えっと、スマホの充電器忘れちゃったみたいで

それを探しに」

 

 

「進上さんのでしたか。

でしたらあの棚に置いておいたはずですよ。」

 

 

指を刺された方向を見ると確かに丁寧に片付けられた充電器が置かれていた

 

 

「おー!ありがとうございます!」

 

 

 

 

石上も待たせてるし、カバンに入れたらちゃっちゃと出なきゃだね

 

そんなことを思いながら充電器を片付けてる時だった。

 

 

「テスト前‥‥図書室で同級生と揉めてたそうだけど、大丈夫でしたか?」

 

 

「あ、もしかして見られてました?」

 

 

「えぇ、たまたま通りかかって」

 

 

 

あそこをよりによって四宮先輩に観られていたことに少し恥ずかしい気持ちになる

 

何を隠そうあの行動は原作の四宮先輩の真似をしたようなものだから

まさか本人に見られるとは思わなかった

 

 

 

「貴方のあの行動、立派ですよ。

私がもし石上君に勉強を教える立場だったとしてもきっと同じことをしていたでしょう」

 

 

「えへへ〜。ありがとうございます」

 

 

真似をしたとはいえやはり褒められるのは悪い気分じゃないし、なんならあの四宮先輩に褒められてるということもあり少し口元が緩むのを感じる

 

多分、こうやって油断しきっていたのが良くなかったんだと思う

 

言葉にしてから、自分が余計なことを言ったと気づいた。

 

 

 

 

 

「まあ‥‥()()()()()()()()()になるのも分かってたんだろうけど、だからって見てみぬフリは出来ませんし‥‥」

 

 

「‥‥‥‥‥‥そうですね。石上君も覚悟はしてたと思います」

 

 

「そうなんですよ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、なにより____」

 

 

「進上さん。」

 

 

 

 

私はここでやっと気がついた。

 

四宮先輩の纏う空気が変わっていることに、

そして私を見る目が明らかに変わったことに、

 

何故そのように雰囲気が変貌したのか、一瞬分からなかったけれど

 

その理由もすぐに理解する

 

 

 

「_____何故‥‥()()()()()()()()()()()()。‥と?」

 

 

「‥‥‥‥‥えーっと‥‥‥‥‥その‥‥‥」

 

 

「その反応、石上君から聞いたわけじゃないようですね」

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

「答えて貰ってもよろしいですか?‥‥‥何故貴方が本来ならば知り得ない情報をご存知なのかを」

 

 

 

 

____拝啓 石上君へ。

 

ここから入れる保険はありますか?

 

というか助けてください。




一般人というよりアホよりかもしれん
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