「さてっと。今日も今日とて散歩散歩」
二人と別れて数分、適当な所を歩き回ってセキレイ探しをすることにした。
……と、言いたいところなんだけど。用事があるので今日の散歩はここまで。
用事というのは、まああれだ。病院だ。
というわけでやってきました氷山会病院。
……そう、あのNo10、比礼のセキレイ鈿女ちゃんの葦牙、日高千穂ちゃんのお見舞いだ。
「千穂。今日も元気か?」
「お兄ちゃん。うん、今日は調子良いよ」
俺は日高翔。千穂の兄だ。
「今日も来たんだねー翔ちゃん」
「こんなんでも兄貴だからな。うずめちゃんは調子はどうなんだ?」
うずめちゃんとも勿論知り合いだ。といっても、俺はセキレイ関連のことを知らないことになっているが。
「あたし? あたしはほら、頑丈だからさ。……っていうか、いい加減『ちゃん』はやめてってば」
「うずめちゃんが俺をちゃん付けしなくなったらな」
「なにおう、卑怯だぞー翔ちゃん。あたしにそんな苦行を負わせるなんてっ」
「いやいや、苦行ってのは大げさ過ぎるだろいくらなんでも」
「……ふふっ」
うん、こういう平和なのは良いよな。千穂もうずめちゃんも楽しそうに笑ってるし。
とはいえ、千穂の病気を何とかしないといけない。千穂のことが心配だし、放っておくと近い将来、うずめちゃんが機能停止になる可能性は非常に高い。
一番可能性が高いのはMBIに何とかしてもらうことだが……コネも金もない俺には荷が重すぎる。
うずめちゃんに頼もうとも思ったが、原作皆人達でも試練とかを出して来たあの社長のことだ。似たようなことはやってくるだろう。それをうずめちゃん一人にやらせるのは流石に酷だ。それに、成功する可能性も低い。
次点で、うずめちゃんが皆人達を庇う時に俺が庇うって手もなくはないが、それやると俺が死ぬ。うずめちゃんが機能停止になるくらいなんだから、人間の俺にはひとたまりもないだろう。……これは最終的な手段だな。
「おーい、翔ちゃーん。……ダメだ、全然聞いてないや」
「……お兄ちゃんは、集中すると周りを見なくなるから」
他の手段……その他の病院とか。いや、氷峨の技術より上だとは思えない。
あーくそ、俺にも転生時の特典でもあれば何かしら手は打てたってのに!
そういえば、セキレイ達はMBIのマネーカードを持ってたっけ? それもVIP用の。……でも、金だけじゃダメか。あの自己中野郎(社長)だもんな。そもそもMBIの金だし。
……やっぱり、原作通りの作戦が一番か。そうなると、今やれることはほとんどないな。上手くいくように祈るだけか。
「あ、やっと戻ってきた」
「……あー、すまん」
「それは良いんだけどさ……翔ちゃん、一体何を考えてたのかなー?」
ニヤニヤしながら言うんじゃねえよ……。しかし、考えてたことを直接言うわけにもな……あ。
「そうだな……やっぱり、二人って付き合ってたりするのかと思ってな」
「へ? な、ななな何を言ってるのかな翔ちゃんはっ!」
「そ、そそそそそうだよお兄ちゃん」
うわ、顔真っ赤。それに動揺しすぎ。やっぱり葦牙とセキレイはそういう関係になるもんなのか?
「まあ落ち着け二人とも。冗談だよ冗談」
本当に恋人になりたいと思ってても反対しないけどな。
「冗談……なんだ、冗談かぁ。酷いなあ翔ちゃんは」
「……うぅ、お兄ちゃんのばか」
「あっはっは!」