※誤字修正
「ところでうずめちゃん。ちょっと聞きたいんだが」
病院からの帰り、うずめちゃんと一緒に出雲荘に向かって歩いている。男たるもの、女性を一人で帰らせるわけにはいかないってね。……道知らないから案内してもらってるんだけど。
もちろん、ようやく出雲荘に行ける嬉しさもある。自力で行くんじゃないかって? 知らんな。
というか、もう原作始まったし、割と焦ってるんだよ。色々考えてたことも全部出来なくなると困る。最低限、千穂とうずめちゃんには幸せになってもらいたいし。
「んー? どしたの翔ちゃん?」
「出雲荘って、どんなとこ?」
原作と同じメンバーが揃ってるのか、それとも何かしらのイレギュラーでもあるのか、くらいは知っておきたい。だから出雲荘に案内してもらってるんだけど。
「うーん……こわーい般若がいるところ、かな?」
「…………えっ」
少なくとも美哉さんは変わらず、かな。良かった……のか?
「あははっ、冗談冗談。いいトコだよ。ちょっとボロいけどねー」
「たっだいまー」
「おかえりうずめちゃーん。……およ? その人、誰かな……はっ! もしかして、うずめちゃんの彼氏!?」
「あー、違う違う。翔ちゃんはただの知り合いだってば」
……えっ、誰?
出雲荘に着いてすぐ、出てきた子は見知らぬ美少女だった。
ボーイッシュな黒髪ショートの美少女。部屋着だからなのか、随分と露出の多い服なので、ついつい肌色に視線が行ってしまう。お腹とか、脚とか。あと胸。いや、流石に胸は露出してないけど。
誰かの葦牙か、それともセキレイか。少なくとも何かしらの関係ではあるよな。出雲荘だし。
「ふーん……でも、中々かっこいいね……ありゃ?」
「どしたの冬華?」
その子は、何を思ったのか首を傾げながら、ゆっくりと俺に近づいてきた。
「んー……ねえキミ、名前は?」
「日高翔。そう言う君の名前は?」
って、何か近いんだけど。別に嫌じゃないけど、近いよ!? 別に嫌じゃないけど!!
「ボクは冬華(トウカ)。セキレイNo49、鋼のセキレイ"冬華"。これからヨロシクね、ボクの葦牙クン」
「えっ、ちょ!?」
何事かと考える間もなく、近づいてきた彼女の唇が俺と重なる。
唇を重ねた途端、銀に煌めく綺麗な翼が彼女の背中から咲いた。
ーーセキレイ、なのか。
「冬華さーん。出雲荘は不純異性交遊禁止ですよ」
「っ!? あ、ゴメンね美哉ちゃん。つい」
……キス、しちゃった。まだちょっと身体が火照ってるよ。
さっきは身体がすっごく熱くなって、思わず羽化しちゃったけど。まさかこのボクにも葦牙クンが出来るなんて思わなかったなぁ。
……今はいっか。ボクにも無事葦牙クンが出来たことを喜ぼう。
ところで、その葦牙クン……翔はどうしてるかな。いきなりキスしちゃったし、変に思われてないと良いんだけど。
「おーい、翔ちゃーん。戻ってこーい」
「…………」
「あー、こりゃだめだねー。唇なんてなぞっちゃって。乙女か!」
ありゃ、初心な反応。……そんなに喜んでくれてると、ボクも嬉しいな。
もっと話したいし……うん。
「とりあえず、ボクの部屋に運ぼっか。良いよね美哉ちゃん。うずめちゃんも」
「そだねー。用事とかはなさそうだったし、大丈夫っしょ」
「冬華さんのせいで固まってしまいましたからね。お詫びにお夕飯をご馳走しませんと」
「あはは……ごめんってば」
相変わらず怖いなあ美哉ちゃん。キスくらい許してくれても良いのに。
……やっぱり、自分には出来ないから「冬華さん」
「は、はいぃっ!」
怖い、怖いよ美哉ちゃん! 確かにさっきのはボクが悪かったけど!
「……はぁ。早く運んであげてください。お夕飯は用意しておきますから」
「はーい」
「じゃ、翔ちゃんのことは冬華に任せるよー。ごはんごはんっと」
さてっと。折角だし、お姫様抱っこでもしてみよっかな。
「ええっと……冬華さん、だっけ」
「冬華で良いってば。ボクも翔って呼ぶからさ」
起きちゃったか、残念。次の機会までお預けだね。
「じゃあ、冬華。何でさっき……」
「あ、ちょっと待って」
うーん……セキレイのことは後でいっか。どうせ社長が説明するから、その時で。
それよりも今は、一緒にごはん食べながら楽しくお話したいしね。
「色々聞きたいことはあるだろうけど、まずはこれだけは聞いてね、葦牙クン」
真剣な顔して聞いてくれる翔。じっと見てると、ますますカッコいいなあ。
それはともかく。大事なことだから気合入れていこう。
……ん、よし!
『幾久しく』
セキレイNo49"冬華"(トウカ)
鋼のセキレイ。戦闘系のセキレイで、攻撃手段は剣。空中から剣を射出したり、遠隔操作したり出来る。近接戦闘も得意。ボクっ娘。黒髪ショートで、他のセキレイ同様胸はでかい。月海以上結以下くらい。作者的にはリリなのstsのスバルをイメージ。