転生者はセキレイへ   作:マルラ

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第六話

 

 

「散歩行ってくる」

 

 

出雲荘で暮らすことになったので、部屋割とかその他色々あったが、それも無事終わった。

 

 

冬華と美哉さんと一緒に話していたが、ふと思い立ったので、散歩に行くことにした。

 

なので、美哉さんに言っておくことにした。何も言わずに出ようとしてもどうせ気づかれるだろうし、別に誤魔化す必要はない。

 

「こんな時間にですか?」

 

「はい。最近は夜に散歩するのが習慣になってまして」

 

まあ嘘ではない。セキレイに会うために昼夜問わず歩きまくっていたからな。不良その他に絡まれてもなんとか出来る自信はあったし。

 

 

そして、冬華というセキレイが出来た今日も散歩に行こうと思ったのは、原作のことを考えてたら思い出したからだ。廃棄ナンバー、秋津のことを。

 

 

確か夜の公園で御子上……だっけ?

 

まあどっかのおぼっちゃまみたいな奴に拾われてたのを思い出して、もしかしたら先を越せば仲間に出来るかもと思ったわけだ。

 

俺が葦牙だと確信出来たから、セキレイも見つけやすくなったんじゃないかと期待している。

 

「気をつけてくださいね。こんな夜中の外は危ないですから」

 

「はい、もちろんですよ。……そうだ、冬華もいくか?」

 

もしバトルになったら、俺一人じゃ流石に無理だろうからな。

 

もちろん、一緒に散歩したいというのもある。

 

「あ、うん。じゃあボクも行こうかな。……心配だし」

 

良かった、拒否されたらどうしようかと思った。いや、その時は一人で行くけども。

 

「お二人とも、あまり遅くならないようにしてくださいね」

 

「はい、分かってます。行こうか、冬華」

 

「うん」

 

よし、出発!

 

 

 

 

何となくで道を選び、冬華と楽しく話しながら、さりげなくセキレイっぽい人がいないかを探す。

 

とはいえ、既にセキレイは冬華がいるわけだから、前ほど熱心じゃない。いたらいいな、程度の感覚だ。

 

 

そんな感じで公園に来た。なんだかんだ言ってもやっぱり見つけたいとは思っているわけで。どこかにいないかなー、とキョロキョロしている俺。外から見れば挙動不振に見えるかもしれないが、気のせいだと思うことにする。

 

「……あ、翔。あの子、セキレイだよ。それも羽化前の」

 

「えっ?」

 

マジですか。なんでそんなあっさり……これが物欲センサーの力か!

 

 

まあそんな冗談はさておき、冬華が見つけたという羽化前のセキレイのもとへ近づく。

 

「…………?」

 

俺達が近づいたことに気づいたのか、そのセキレイが顔を上げる。布一枚を羽織っているだけのその子の顔は無表情で、額に模様ーーおそらく鶺鴒紋があった。

 

「額に鶺鴒紋……まさか、廃棄ナンバー……? なんでこんなところに」

 

冬華が何かを呟いていたが、俺はそんなこと聞いちゃいなかった。

 

何故なら目の前にいるセキレイは見覚えのある姿。秋津だったからだ。

 

 

「君は何でこんなところに?」

 

よっしゃキターー! とか叫びたいのを何とか堪えて、出来るだけ柔らかい口調を心がけて話しかける。

 

「……帰るとこ、ないから」

 

そういえばそうだったっけ。ここからどうにかして出雲荘に連れて行くようにしないと。

 

「……あー、じゃあついてくるか?」

 

「翔? でも、それは……」

 

ちょっと考えた結果、もう直球で誘おうとしたところで、冬華がちょっと不安そうに口を挟んだ。

 

その反応はやっぱり秋津が廃棄ナンバーだからか? 俺としては嫉妬してくれてると嬉しいんだが。

 

「大丈夫だって冬華。この子に葦牙はいないんだろ? だったらこんなところに放っておくわけにもいかないし、美哉さんに話せば何とかしてくれると思う」

 

「……うん、分かったよ。翔がそう言うならボクは何も言わない。美哉ちゃんなら確かに何とかしてくれるだろうね」

 

「……葦、牙?」

 

「ああ、そうだ自己紹介。俺は日高翔。ここにいる冬華の葦牙だ。よろしくな」

 

「ボクはセキレイNo49、冬華。よろしくね」

 

「…………秋津」

 

「よろしくな、秋「翔、伏せて!」っ!?」

 

冬華の鋭い声に何とか反応して秋津を無理矢理伏せさせつつ一緒に伏せると、頭の上を何かが風切り音を立てて通り過ぎた。

 

「な、何だ……!?」

 

咄嗟に警告してくれた冬華に感謝しつつ、浮かれすぎて気配に気づかなかったことに反省しながら、後ろを見る。

 

 

そこにいたのは、一人の少年と何人かの少女達。たぶん、御子上とそのセキレイ達。その中に鎌を持った女がいたから、たぶんそいつがさっき攻撃してきたんだろう。

 

「二人とも、下がってて」

 

「気をつけろよ、冬華」

 

見た感じ向こうの切り札、No05"陸奥"がいないのはこっちにとって救いだろう。人数的に不利なことには変わりないが。

 

「そこの葦牙! その子は僕が狙ってたんだよ! 抜け駆け禁止!」

 

ガキみたいな言い分だなおい。……ガキか。

 

まあいいや、無視しよう。

 

「……冬華。流石にこの数相手はヤバイから、何とかして逃げるぞ」

 

向こうに聞こえない程度に声を落として冬華にそう言う。まだ冬華の実力をはっきりとは知らないし、秋津は敵ではないと思うが味方だとはっきり言えるわけじゃない。

 

というわけで、今は逃げだ。出雲荘に帰って秋津を味方につけて皆人と一緒に、って状況ならいけるかもしれないが。

 

「……分かった。じゃあ、秋津ちゃん、翔を連れて逃げて」

 

ちょっと待て。まさか一人で残るつもりじゃないだろうな。

 

「おい冬華。俺はお前を置いていく気はないぞ」

 

「でも、誰かが足止めしないと捕まっちゃうからね。この中ではボクが適任だよ」

 

「無視するなー!」

 

何か聞こえた気がするが無視。それに、足止めの方法はある。

 

「それに関しては俺が何とかするから、一緒に逃げるぞ」

 

「でも、あの数のセキレイ相手になんて……」

 

「僕を無視するんじゃない! 夜見!」

 

「はーい」

 

散々無視していたら、向こうから鎌を持った女ーー夜見、がこっちに突っ込んで来ようとしていた。

 

今がチャンス!

 

「食らえっ、煙幕!」

 

こんな時もあろうかと! ってやりたくて毎日持ち歩いてた煙幕玉を夜見に投げつける。

 

「なっ、きゃああ!?」

 

「うわあっ、何だこれ!?」

 

「よし! 逃げるぞ二人とも!」

 

見事命中して煙を吐き出したのを見て、秋津と冬華の手を掴んで出雲荘に向かって全力疾走。セキレイの二人なら俺の全力疾走にも普通に追いつけるはずだから遠慮はしない。

 

「えっ、ちょっ、待っ、速!?」

 

「……速、い」

 

……たぶん、大丈夫。

 

 

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