泡沫紀行   作:みどりのかけら

1454 / 1455
薄く曇った空の下で、乾いた気配が地面に広がっている。
踏み出す前から、足裏にはわずかな硬さが伝わってきた。


斜面をなぞる風は静かで、まだどこにも触れていないように感じられる。
それでも頬をかすめる冷たさが、ここに流れる時間をそっと知らせていた。
遠い影が、重なりながらゆっくりと形を整えていく。


指先に残る冷えが、歩き出す前の静けさを引き留める。
その微かな感触が、これから触れるものの重みをかすかに予感させた。



1454 城壁の上で踊る時の影

乾いた風が斜面をすべり、落ち葉の縁をかすかに震わせていた。

足を踏み入れると、土は軽く沈み、奥に冷えを抱えたまま応えた。

 

 

低く積まれた石の列が、途切れながらも形を保っている。

指先で触れるとざらりとした感触が残り、時の層が静かに指に滲んだ。

その凹凸は、かつての重みをひそやかに伝えていた。

 

 

空は淡く曇り、光は均されて地表に落ちている。

 

 

細い道は曲がりくねり、足取りにわずかな緊張を与える。

踏みしめるたびに、乾いた葉が擦れ、軽い音が続いた。

 

 

風が高みに触れ、どこかで抜けていく気配がある。

 

 

石の重なりに沿って歩くと、視界がゆっくりと開いていく。

肩に触れる風は冷たく、衣の隙間を抜けていった。

その冷えは鋭くはなく、むしろ柔らかく体に残る。

 

 

足裏に伝わる硬さが、歩みを確かに支えている。

 

 

積み重ねられた石は不揃いで、それぞれが異なる影を落とす。

その影はゆらぎながら、形を変えては静かに重なっていく。

視線を落とすと、小さな隙間に乾いた土が詰まっていた。

 

 

風が一度止まり、周囲の気配が沈む。

 

 

斜面の上へ進むと、空気がわずかに薄く感じられた。

胸に触れる冷たさが、呼吸のたびに形を変える。

 

 

足元の葉が崩れ、わずかな滑りを残した。

 

 

開けた場所に出ると、影は長く引き伸ばされていた。

石の輪郭は柔らかくなり、境界が曖昧にほどけている。

遠くへ続く気配が、静かに地平へと流れていく。

 

 

手のひらに残るざらつきが、まだ消えずにある。

 

 

風が再び通り抜け、積もった葉を軽く持ち上げる。

その動きに合わせて、影もまた揺れながら踊るように広がる。

 

 

足取りはゆるやかになり、呼吸もまた静かに整っていく。

 

 

石の上に立つと、足裏に冷たさがじんわりと伝わる。

その感触は深く、遠い時間に触れているようだった。

重なったものの気配が、体の奥に静かに残る。

 

 

傾いた光が斜面を撫で、影はさらに長く伸びていく。

その先にあるものは見えず、ただ柔らかな余白だけが広がっていた。

 

 

風はさらに静まり、落ち葉の擦れる音だけが足元に残る。

踏みしめるたびに、乾いた感触が薄く広がっていった。

 

 

石の間に溜まった冷気が、足首へゆっくりと触れてくる。

その冷たさは柔らかく、体の奥へと静かに沈んでいく。

視線の先では、影が重なりながらほどけていった。

 

 

足裏の硬さが次第にやわらぎ、歩みは自然と緩やかになる。

 

 

傾いた光が石の縁をなぞり、最後の輪郭を淡く浮かび上がらせる。

その形はすぐに崩れ、静かな広がりへと溶けていく。

触れていたざらつきも、いつしか指先から離れていた。

 

 

風が一度だけ通り過ぎ、葉をわずかに持ち上げる。

 

 

足を止めると、周囲の気配がゆっくりと沈み込んでいく。

残された感触だけが、かすかな温もりを帯びて留まっていた。

やがてそれもほどけ、静かな余白へと溶けていった。

 




傾いた光が消えかけ、影だけが地面に長く残されている。
足を止めると、その影は静かに形をほどいていった。


風は弱まり、落ち葉の音も次第に遠のいていく。
足裏に残る硬さが、ここまでの歩みを淡く伝えていた。
その感触はやがて薄れ、土へと溶けるように消えていく。


視界の端で、最後の光が静かに沈んでいく。
重なっていた気配はほどけ、やわらかな余白だけが残っていた。
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