泡沫紀行   作:みどりのかけら

1606 / 1626
白い泡沫の地平が、薄く折れた層として遠くまで続いている。
その境界に立ち、まだ名づけられない観測殿の気配を遠くに感じる。
足元の砂氷はわずかに沈み、歩き出す前から旅が始まっている。


風は存在しないまま圧だけを残し、身体の輪郭を静かに押し出す。
光は方向を持たず、すべてを均される白へと変えていく。
その中で歩くという行為だけが、わずかな差異として残されている。


継ぎ接がれた夢の地形は、遠くで微かに呼吸するように揺れている。
その揺らぎに触れようと、まだ確かな重さを持たない足を前へ出す。
沈黙の深度が増すほどに、旅の輪郭はゆっくりと立ち上がる。



1606 時空が歪む白光の観測殿

白い冬の泡沫を静かにゆっくり踏み歩く。

継ぎ接がれた夢路が薄く続くように。

白光の殿が遠くかすかに静かに歪んでいる。

 

 

霜なき冷気が静かに肌を撫でるのように。

地面はゆるく薄い砂氷の曖昧な層だ。

沈む足音だけが深くひそかに残響する。

 

 

光は白く方向を持たず折れるように。

空気は微かにわずかに薄い膜の抵抗を持つ。

肌で観測領域の歪みを感じる。

 

 

足跡は静かに残らず重みだけ沈むように。

沈殿の感覚を深く背負い進む。

遠く断片的な構造がゆっくり揺れている。

 

 

風はなく白く圧だけが押す。

意味なき圧が淡く肌に届くのように。

その圧に静かに導かれ歩み続く。

 

 

殿は近づくほど薄く遠ざかる。

時間の白い折れ目が浮かぶように。

そこへ冷たく指を想像する。

 

 

影の膜が薄く地表に広がる。

踏むたび静かに色が崩れていく。

透明な崩壊だけが淡く残るのように。

 

 

白構造から微かに振動が染みる。

それは遠く温度なき記憶だ。

裂け目の入口を静かに探す。

 

 

裂け目は薄く光の密度だ。

触れると空間が深くひそかに沈む。

内部へ静かに足を踏み入れる。

 

 

内部はより白く深い静寂。

層が薄く重なり時間が擦れる。

擦過音が遠く空間を示す。

 

 

白光が静かに粒子雨のよう降る。

粒は淡く消え感触だけ残るのように。

残響だけを深く集め歩く。

 

 

床は白く水面のよう揺れる。

影の痕跡が遠く揺れている。

自分の影を静かに重ねる。

 

 

重ねると淡く温度が落ちる。

更新されるような静かな変化。

歩幅だけを深く保ち続ける。

 

 

中心は白く螺旋に崩れる。

音は遠く骨の奥で響く。

無方向へ静かに身を委ねる。

 

 

空間は薄く継ぎ接ぎの層だ。

季節の温度が遠く混ざる。

歩くことだけ静かに残す。

 

 

白く崩れる気配が遠くある。

濁りはすぐ淡く戻る。

重さだけ深く肌に残る。

 

 

観測される側でなく静かに立つ。

足元の時間が薄く剥がれる。

断片が遠く宙へ浮かぶ。

 

 

奥に白く空洞が呼吸する。

揺らぎは静かに空間の息だ。

歩調を深く合わせ進む。

 

 

夢の断片が薄く接合される。

未知の地形が静かに生まれる。

存在を遠く薄く保つ。

 

 

白光は白く静止へ収束する。

歩く行為だけ静かに残る。

断片は淡く足跡の代わりだ。

 

 

白い層がさらに薄く剥がれる。

肌の縁に冷たい圧が戻る。

断片は歩行の内部へ沈む。

 

 

歪む白光が観測殿の核へ収束する。

時間の向きが静かに反転するように感じる。

足裏の接地だけが確かな基準になる。

 

 

すべての継ぎ目が淡く溶けていく。

残るのは歩みの重さだけである。

白の中をまだ歩き続ける。

 

 

白の核がさらに深く沈み込み、観測殿の輪郭が崩れる。

時間の折れ目が重なり、歩行の順序すら曖昧になる。

それでも足裏の圧だけが微かに現在を示す。

 

 

すべての断片が遠く一つの白へ戻ろうとする。

その収束のただ中を、静かに歩幅だけで裂いていく。

残された温度の痕跡が、薄く肌の内側に滲む。

 




白光の収束が過ぎ去ったあとも、地形は完全には消えないまま残る。
その残響の中を、歩幅だけで測るように進み続けている。
時間の折れ目は閉じきらず、薄い膜として肌に貼りつく。


観測殿の崩壊した場所には、名のない温度差だけが漂っている。
それは記憶ではなく、触れた痕跡として静かに積層している。
足裏に伝わる沈みは、依然として現在を示し続ける。


継ぎ接がれた夢は完全には解けず、白の奥で微かに再配置される。
その再配置の上を、意味を持たない歩行として通過する。
残された空間は、まだ旅の続きであるかのように開いている。
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