泡沫紀行   作:みどりのかけら

1778 / 1804
薄い夏の膜が、まだ名前を持たない地表の上に広がっている。
膜を踏み越えるようにして、泡沫の異界へと歩みを進める。
足裏に触れる湿度は、時間が沈殿する前触れのように重い。


遠くで丹生山地の影が揺れ、境界の輪郭が曖昧にほどけている。
風は熱を含みながらも冷えを混ぜ、身体の内側を静かに撫でる。
言葉の痕跡のような気配だけが、道の奥にわずかに残っている。


鉄紋の眠る山塊は、まだ視界の外で微かな圧として息をしている。
それを見ていないのに、すでに肌の奥で重さを感じている。
歩みはゆっくりと定まり、境目へ向かう身体だけが先に進む。



1778 鉄紋の古き眠り山塊

泡沫の異界を、徒歩でただ静かに渡り続けるものだ。

夏の気配が濃く、丹生山地の影が揺れて私に触れる熱い。

足裏に湿った土が絡み、歩みが重く沈む感覚が広がるへ。

 

 

鉄紋の残る山塊へ、境目を越えて入る静圧に包まれる。

岩肌に冷たい湿度が走り、鉄の匂いが滲む皮膚を刺する。

過去の残響が土中から立ち上がる気配を受ける皮膚に刺する。

 

 

山風が湿り、夏の熱が肌を押し返す抵抗となる続く。

光の層が揺らぎ、地表が水面のように歪む視界を奪う圧。

人の痕跡は気配として残り、声は湿度に溶ける余韻が漂う。

 

 

足取りは重く、地面が吸い付くように絡む感触が続く圧。

鉄紋の山塊は眠るように静まり、熱だけを抱える重さが漂う。

胸の内側に湿った熱が滲み、呼吸が浅くなる圧迫感が続く。

 

 

岩の奥で時間の層が軋み、微かな振動が伝わる皮膚に届く。

指先が岩に触れると、冷たさが骨へと走る震えが広がるい。

境目が薄れ、世界の層が重なり合う感覚に沈む圧が増する。

 

 

夏の熱が背にまとわり、歩みは止まらない感覚が続く圧。

見えぬ存在は温度差となり、背後に残響を残す気配が重なる。

光の薄い境界に触れ、呼吸が熱を帯びていく身体が揺れる。

 

 

山腹の平らな領域で、風が横へと流れ続ける肌に触れる圧。

地面の奥で微細な振動が絶えず続いている足裏に伝播るへ。

意識の輪郭が曖昧になり、時間の位置が揺らぐ感覚が沈む。

 

 

岩層の奥へと歩みを進めるほど圧が増す呼吸が重いさへ。

鉄の記憶のような層が空気に滲み出している皮膚を刺する。

触れるものすべてが熱と冷の境界を持つ揺らぎ続けるるへ。

 

 

山頂に近づくほど光は薄く鋭さを帯びる肌を切る感覚るへ。

静寂が重力のように降り積もり、音を押し潰す圧が広がる。

身体の輪郭が曖昧になり、空気と混ざり始める感覚が消える。

 

 

境界の微光が指先に触れ、時間が薄く裂ける圧が走るるへ。

人の影なき記憶だけが風の中で揺れている湿度を帯びるる。

境の向こう側へと足を踏み入れる感覚がある熱が走るるへ。

 

 

鉄紋の頂へ近づくほど空気は薄くなる圧が増するるへ。

内側から熱が波のように押し寄せる皮膚が燃える感覚るへ。

静けさが広がり、音の代わりに圧だけが残る空気が重いる。

 

 

光が歪み、鉄紋の山塊が揺れる影となる感覚が崩れるるへ。

境の光に触れた指が微かに消えかける感覚が薄れるへに。

音が消え、世界は圧だけの層になる呼吸が重いるへ。

 

 

鉄紋の頂はすぐそこにあり、光が揺れている圧が満ちるる。

身体が空気へ溶け、境界が失われていく感覚が漂うるへに。

境目の光に身を預けるように歩みを進める圧が満ちるるへ。

 

 

鉄紋の山頂に触れる瞬間、世界が静止する圧が凝るるへ。

光の境を越えると、身体が熱と冷に分解される感覚が消える。

すべての音が失われ、ただ圧だけが残る呼吸が重いるへに。

 

 

鉄紋の頂は静かに脈打ち、時間が歪む圧が満ちるるへ。

意識が薄れ、身体の境が曖昧になる感覚が溶けるへに。

山塊ものが呼吸しているような錯覚に陥る圧が広がる。

 

 

境の光が指先をかすめ、熱が走る身体が揺れるるへに。

時間の層がずれ、足取りが過去へ沈む感覚が揺れるるへ。

鉄紋の頂へ、最後の歩みを刻む圧が満ちるるへに。

 

 

頂に触れた瞬間、世界の圧が凝縮する感覚が消えるるへに。

身体が光へ溶け、境界が完全に失われる感覚が漂うるへに。

すべての圧が静まり、時間だけが残る呼吸が薄いるへに。

 

 

鉄紋の頂は遠のき、残響だけが肌に残る感覚が揺れるるへ。

身体に重さが戻り、風の温度が再び感じられる圧が薄れる。

夏の気配が山塊に残り、微光だけが揺れている静けさが続く。

 

 

頂を背にし、再び泡沫の道へ戻る感覚が薄れるるへに。

鉄の残響だけが皮膚に残り続ける圧が遠のくるへに感覚。

すべては境目の光へと溶け、静かに歩き続ける感覚が残る。

 




鉄紋の山塊は背後で静まり、微光だけが記憶の縁に残っている。
そこを離れたはずなのに、まだ足裏に湿った重さが滲む。
時間はひとつの層を閉じ、音のない圧だけが遠ざかっていく。


風は再び軽さを取り戻し、夏の熱が均されるように散っていく。
しかし肌には境界の残像があり、冷えと熱が交差したまま残る。
歩みは続いているのに、どこかでまだ山塊の呼吸が重なっている。


振り返ることはないまま、泡沫の道へと溶け戻っていく。
光は薄く、しかし確かに世界の裂け目を閉じようとしている。
閉じ際の微かな揺れだけが、静かに旅の奥へと沈んでいく。
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