証拠がなければ捕まらないよね   作:アパオシャ

6 / 6
第六話

Side コナン

 

「ねえ、コナン君。あれって何だろう?」

 

小学校からの帰宅中、少年探偵団としての活動を兼ねて普段通らない道を通ると、規制テープで封鎖されたビルを発見した歩美がコナンに問いかける。

 

「妙だな…」

 

彼女の問いかけにつられ、歩美の視線の先のビルを見るとあたかも事件現場といった様相であった。

しかし、それにしては付近にいる警官の数はかなり少ない。

 

この街では犯罪が多く、規制テープで建物が封鎖されること自体は日常茶飯事だがここまで警官が少ないことはまずない。

なにせここの警察は優秀で、たいていの事件は即日または数日で解決するため現場から警官の数が減少するという事はまずない。

解決後の撤収中であればこの数もそこまでおかしくはないが、それにしては警備しかしていない警官の行動はおかしい。

 

気になってニュースサイトを確認しても、この場所で事件が起きたというニュースはない。

 

これらの状況証拠から、ニュース化されていない、事件から数日経過しているにも関わらず解決していない事件となる。

 

つまり、訳がわからない。

 

その野次馬根性ともいうべき好奇心に導かれるまま現場に近づいたコナン達一行は、現場から出てくる知り合いの男の姿を目にし、声をかける。

 

「高木刑事!」

 

その声を聴いた彼の反応はまるで、見られてはいけないものを見られたというもの。いつもの、うわまた事件現場にいるよこいつらといった反応ではない。

 

警察のいつもと違う態度にコナンが考え込んでいる間にも、探偵団の面々が質問を投げかけているが、高木刑事は一向に口を割らない。いつもであればなんやかんや情報をくれる彼とは思えない態度に、ますます怪しさを覚えつつも、コナンは情報収集の糸口を探していた彼は、後ろから近づく男の存在に気付かなかった。

彼はその男に首根っこを掴まれ、気が付くと、持ち上げられていた。

 

「こら、坊主。また事件現場でうろついて。お前らもさっさと帰りな。ここは遊び場じゃねえんだぞ。大変だったな。高木」

 

やってきたのはコナンの保護者の毛利小五郎。たまたま近くを通りがかっただけのようだ。

 

彼はコナンを持ち運んだまま少年探偵団を追い立てて交差点近くまで歩くと、コナン達が帰路に就くのを監視していた。

 

そんな彼の様子を見た探偵団の子たちは諦め、後ろ髪を引かれつつもとぼとぼと歩き出すが、コナンだけは眼鏡に手を当て、どこか上の空で歩いていた。

 

 

Side 小五郎

 

少年探偵団の面々を追い返した小五郎は、袖口に取り付けられた盗聴器に気づかぬまま、高木刑事のもとに戻ると、事情を聴き始めた。

 

「毛利さん、ありがとうございます。今回の件はとてもじゃないですけど、子供には伝えられない内容でして。」

 

「R-18か。」

 

「後ろにGがつきます。全身隙間なく、外部から強い圧力をかけられたようで、内出血で体中が青く変色し、骨が粉々で発見時は人間とは判別できませんでした。」

 

「そりゃあ言えねえな。死因は脳挫傷か?原因はわからないのか。」

 

「ええ。少なくとも大型重機並みのエネルギーを加えられたほどの傷ですが、重機といったものが付近を通った形跡はないうえ、被害者の3人以外の人間が現場に入った形跡もありませんでした。」

 

「犯人が消したのか?」

 

「いえ。実は被害者3人はその、性犯罪の被疑者でして、犯行の拠点として使っていた現場を証拠隠滅もかねて彼ら自ら定期的に清掃していたようです。その後、彼ら以外が侵入した形跡はありません。」

 

「一切の形跡がなしか。天罰が下った…わけはないわな。そんなもんがあったらこの街は不審死だらけだ。窓は…無理そうだな。忍者ならいけるか?」

 

半ば投げやりになりながらそう言った小五郎は、ビルから出てくる男を見ると、姿勢を正す。

 

「…毛利君。またかね?」

 

「いえいえ、警部殿。今回は今日たまたま近くを通りかかっただけでありまして、私が事件を呼び込んでいるわけでは…」

 

出てきたのは目暮警部。小五郎が事件に巻き込まれては顔を合わせるため彼を死神ではないかと疑っているらしく、事件現場で出会ってはこのやり取りをしている。

 

「話は変わるが毛利君。君の出番はないぞ。早期解決の見込みがないとして、この現場は別の班に引き継がれることとなった。」

 

「そうですか。事件の解決を願っております。」

 

 

 

Side コナン

 

探偵事務所についたころ、コナンは盗聴器の受信を終了させた。ほとんど情報は得られなかったうえ、さらなる調査も難しい。こうなってしまってはさすがの彼の手にも余る。

彼の正義感が苦汁を垂れ流しているが、できる範囲でできることをするほかない。

 

苦虫を嚙み潰したような表情の彼は、事務所1階で働く安室の様子に違和感を抱くことはなかった。

 

 

Side 安室

 

黒の組織に潜入捜査をしている彼の下には、組織の任務がちょくちょく入る。今回のメールもよくある任務だ。

 

 

ースプモーニがしくじった。サツに捕まる前に消せー

 

 

よくある任務の中では、マシな部類の任務である。組織の中でコードネームを与えられるほどの悪人がこの世から減るのだから。

大きな悪を倒すため様々な悪を見逃すストレスに晒される生活に慣れきってしまっている彼はこういう任務には積極的である。

 

自身の所属する公安と組織の情報網を駆使し、他幹部を怪しまれない程度に邪魔し、自らの狩場に誘導するようにスプモーニを手助けする。

 

バイトのシフトが終了し、自分が狩場に到着し準備を終えた段階でスプモーニが到着するよう時間の微調整を行い、仕事に戻る。

 

いつものように仕事をこなしている中。

レジにやってきた少女を見ると所々違和感がある。伝票の内容はコーヒーだけ。テーブルを見るとブラックで飲んだようだ。この年齢でブラックは珍しい。しかも彼女は、自分の顔を見ては不思議そうな顔をしている。

まるで、どこかで会ったことがある気がする人間を見かけたかのような。

 

とはいえ、その違和感はとても小さい。これからの任務と比べては例えるものがないほどに。

 

 

 

もし彼がもう少し早くバイトに戻っていたら。彼女の手帳の中身を何かの拍子に覗き見たかもしれない。

だが歴史にIFはなく、覗き見ることによって連鎖的に起こる未来もIFとして消えていく。

 

その手帳の今日の日付の予定に書かれた時間と場所、そして“狩り”の文字を見ていたとしたら。

 

果たして一体、どうなっていくのだろうか。

 

そう言ったIFを考えていくのが後世の人々のお楽しみである。




誤字の指摘ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

七崩賢『強欲の魔女』エキドナ(偽物)(作者:魔女の茶会のお茶汲み係)(原作:葬送のフリーレン)

 フリーレン世界にエキドナ憑依系TS転生者をぶち込んで、ただただエキドナロールプレイさせるだけの愉快なお話。▼「ボクはただ、君の全てを知りたいだけさ」▼ なおスペックは、種族が魔族になった以外まんまエキドナと同程度の力を扱えるが、頭が少しばかり残念になってます。▼「お前はその好奇心を満たすためにどれだけの人間を殺したんだ」▼ ちなこの転生者は人殺したことはあ…


総合評価:4786/評価:8.38/連載:2話/更新日時:2026年04月05日(日) 22:18 小説情報

自縄自縛の十種影法術〜平穏に過ごしたいのに、私の周囲が許してくれません〜(作者:多眼犬)(原作:呪術廻戦)

 ある日の事だった⋯⋯。▼ 突如として私の脳内に過ぎった存在しない(前世の)記憶! どうやら私『禪院(ゼンイン)真魅(マミ)』は転生者だったようです⋯⋯。▼ しかも⋯⋯私の術式が十種影法術とか面倒くさ!!▼ と言う訳で術式をガチガチに縛って、原型を無くす事にします。


総合評価:1922/評価:7.31/連載:21話/更新日時:2026年05月14日(木) 17:14 小説情報

ダンジョンで"救護"するのは間違っているだろうか(作者:救護騎士団オラリオ支部)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

ダンまち本編にブルアカのミネ団長のような転生者を突っ込んでみました。▼AI生成を使用しています。▼【他の作品】▼ブルアカ×エンジェリックレイヤー▼https://syosetu.org/novel/411255/


総合評価:4636/評価:8.08/連載:61話/更新日時:2026年05月18日(月) 23:00 小説情報

ティファレトだったら美少女だろうがッ!!(作者:思いつきで書き出す見切り発車の化身)(原作:ブルーアーカイブ)

鋼鉄の心臓にアンチしようとしたら逆に脳を焼かれたアホの話▼※他作品ネタのタグを追加しました


総合評価:2535/評価:8.48/短編:6話/更新日時:2026年04月28日(火) 12:12 小説情報

英雄にしかなれない男、転スラに行く(作者:ちゃがまくら)(原作:転生したらスライムだった件)

とあるRe:ゼロから始まる異世界生活好きが転スラに転生する話▼*ラインハルトと同じ加護、体質を持っているだけの一般人です(予定)▼ここの設定違うよ、とかあったら遠慮せずコメントにどうぞ


総合評価:2674/評価:7.12/連載:47話/更新日時:2026年05月13日(水) 09:53 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>