警察署の狭い取調室で、俺はパイプ椅子に座らされていた。刑事が冷たい目で私を見つめている。
「……つまりあなたは“黒い服の男”がみんなを殺したと言いたいわけだ」
「はい」
俺は喉の渇きを感じながら答えた。
「突然現れて……一人ずつ……」
俺は、あの時の惨劇を思い出しながら、ゆっくりと語る。
刑事は、それを聞きながらも。
「・・・実際に、既に証拠もありますし、偽造されている可能性もない。映像内でもあなたがいた事は確認している為に、あなたと男が同一犯ではない事は確認されています。しかし、事件直後に姿を変えたと言うのであれば別ですが」
「いえ・・・それはありません」
そこからは刑事からの質問もあった。
「じゃあ、あの後はどうした?」
「私は、すぐに逃げました。逃げなければいけないと思いまして・・・」
「なぜ?」
「怖かったんです。あれ以上いたら私も殺されると思いました」
すると刑事はため息をついた。
「わかった。今日はもう帰っていいぞ」
「え?」
俺は拍子抜けした顔をする。
「帰ってもいいんですか?」
「ああ。君は被害者側だしな。それに……正直言って君の言うことが信じられない部分もあるんだよ」
刑事は疲れた表情で続けた。
「あの現場の惨状を見て誰が納得すると思う? 君以外全員死亡していてしかも死因不明なんてありえないだろう。だからといって嘘をついているようにも見えないし……とにかく今日はもう遅い。また明日詳しく話を聞くことにするよ」
警察署を出ると夜風が頬を撫でた。まだ昼過ぎなのに日は傾き始めており辺り一面夕焼け色に染まっている。まるで世界の終わりのような雰囲気だった。
ふと自分の左手を見る。相変わらず奇妙な模様が刻まれたままだった。皮膚の下から透けて見えるそれは血管のように複雑に入り組んでいるように見える。触れるとひんやりとしていた。
(夢じゃなかったんだ)
改めて実感する。
これからどうすればいいんだろう……?
怖い。誰か助けを求めたいけれど誰にも相談できない。そもそも信じてくれる人もいないだろう。
その時だった。
「たっ大変です!」
「なんだっ!」
「下に怪物がいきなり現れて!」
「なんだとっ!すぐに対応する!」
何が起きたのか、分からないまま、刑事達が下に降りていく。
同時に宮崎の異変。
「うっ!」
突然叫びだし、暴れ始める。
周囲には誰もいない。
同時に、俺は、あの時の異形の姿へと変わっていた。
「あぁぁぁ!!」
異形の姿になった、俺はそのまま近くの壁を破壊した。
本能のままに、
壁を破壊し、そのまま外へと飛び出してしまう。
その先にいたのは。
「っ!」
俺と同じ二体の怪物だった。