「・・・この前のグロンギが」
「・・・あぁ」
桜子さんに悩みを聞いて貰った後、俺は五代さんと合流した。
それと共に聞いた話は、五代さんがあの時に戦ったサイのグロンギと交戦した。
その結果、五代さんが放った蹴りを難なく受けきり腕力で圧倒。トドメとばかりに投げ飛ばして角で刺し殺そうとするも、そこに他のグロンギが乱入した。
「君がいなかったので、詳しい事は分からなかったが、何か分かるか?」
「・・・正直に言うと、さっぱり。けれど、これまでの奴らの言葉からグロンギにとってゲゲルは神聖な儀式のはず?それを邪魔するのかな?」
「・・・邪魔をしても良い理由?もしかして、そのグロンギのせいで自分のゲゲルを始められなかったから?」
「なるほどな……儀式を邪魔する者は排除するルールか」
俺の推測に五代さんが腕を組む。
「グロンギ同士で争うなんて初めて聞いたぞ。しかも人間を殺すために……」
「ルール無視した暴挙だから他のグロンギも制裁した……ってことか」
「あるいは『あいつ殺せば自分に順番が回る』とか」
俺の言葉に五代さんが首を振る。
「とにかく奴が最も危険だ。俺の必殺キックすら受け止めたパワーは異常すぎる」
「ええ……」
あの場面を想像するだけで鳥肌が立つ。五代さんの渾身の一撃を片腕で防ぎ、押し返す膂力。鉄壁どころか要塞だ。
「だが弱点はあると思う」
突然五代さんが言った。
「あれだけ硬い皮膚なら多分……防御一点張りだ。攻撃はスピードに頼らない。つまり……」
「重い一撃さえ当たれば倒せる?」
「そうだ」
彼が力強く頷く。
「問題はその一撃の威力なんだよなぁ」
五代さんが頭を掻く。
「だから宮崎くん」
「はい?」
「アイデアがある」
五代さんが唐突に立ち上がった。
「俺のキックを跳躍と宙返りで加速させて威力を上げる」
「え?」
「要はジャンプする際の重心移動で慣性エネルギーを溜め込み、着地寸前で膝を曲げてバネにする。空中での回転でさらに遠心力を加えて……」
専門用語を並べる五代さんを俺が遮った。
「つまり……高く跳んで回りながら蹴るってことですか?」
「簡潔に言えばそうだ」
五代さんがにっこり笑う。
「あと君も協力してくれ」
「俺も?」
「同時攻撃だ。君のパワーと俺のスピードを合わせる」
「……なるほど」
理屈は分かる。だが。
「息を合わせた同時攻撃ですか? 難易度高そうですけど……」
俺の疑問に五代が答える。
「その点は特訓あるのみだな」
苦笑しながらも、答える。
けれど。
「やるしかないですね」
苦笑しながら、俺もまた頷く。