仮面ライダーダグバ   作:ボルメテウスさん

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今回の話にて、クウガは後半戦に突入します。次回以降の時系列としては、EPISODE25以降の物語となります。それと共に、活動報告にて募集していた項目を一部、変更させて貰います。
もしも興味がありましたら、ぜひ。
そして、後書きにて、これまでのダグバに関する設定を書かせて貰います。
良かったら、ぜひ。


暴走

(よし……)

 

それと共に、俺は瞬時に緑の姿へと変わった。

 

普段ならば、緑の姿は盲目になるという弱点がある。

 

けれど、この暗闇においては、それも関係ない。

 

音のみしか頼りのないこの空間では、緑の姿がまさしく独壇場だ。

 

最も、この姿になったとしても、奴を倒す決定打にはならない。

 

暗闇が支配するエレベーター内。息を殺し、耳を研ぎ澄ませる。

 

(右側に質量の移動……次の瞬間)

 

ズドン!

 

壁を揺るがす打撃音。位置的には俺の顔面があった場所だ。避けきれていれば確実に頭蓋骨が砕けていた。

 

(危険すぎる)

 

焦燥が背筋を駆け上がる。

 

息遣いが荒くなる。足が地面に吸い付く感覚。耳だけで感じる怪物の存在は想像以上に重圧だった。

 

(右から!)

 

音速を超える風圧。左へステップ。耳元で金属が拉げるような音が鳴る。振り向きざまの一撃はフェイントだった。

 

(下!)

 

地面を蹴る音。しゃがみ込みでかわす。頭上を通り過ぎる巨大な質量。髪の先がちぎれる感触。

 

(左後方!)

 

壁を使い三角跳び。天井スレスレまで跳躍し背後を取る。だが。

 

「ククッ……」

 

嘲笑が聞こえた。直後、太腿を巨大な手が掴む。万力のような握力。骨が軋む音。

 

「ぐあっ!」

 

痛みで声が漏れる。天井に叩きつけられる衝撃。視界に星が散る。

 

(ここまでか……)

 

諦めかけた瞬間――

 

ズドォン!

 

耳を劈く轟音。怪物の拳が壁にめり込んでいる。コンクリートが蜘蛛の巣状に割れ、鉄骨が露出する。

 

(今しかない)

 

(くそっ……!)

 

背中に冷たいものが流れる。グロンギの拳が壁を貫通した衝撃で、エレベーター全体が揺れている。鉄骨が軋み、天井パネルが剥がれ落ちてくる。

 

考える余裕はない。

 

右手で天井の緊急ハッチを探る。指先に触れた金属の輪を掴み、渾身の力で押し上げる。

 

「ギシ……ミシミシ!」

 

錆びた蝶番が悲鳴をあげる。わずかな隙間が開く。腕を入れ込み、力任せにこじ開ける。

 

「うおおっ!」

 

視界が突然開けた。外の世界――ビルの外壁に沿ったメンテナンス用通路が見える。湿った風が頬を撫でる。

 

同時に左手を壁面に伸ばす。目的はワイヤー。エレベーターを吊るす鋼索だ。

 

「切るしかない!」

 

五指を硬化させる緑の力。変身状態の腕で鋼索を掴み――引く。

 

「バキイイン!」

 

凄まじい張力が腕を伝う。だが腕は曲がらない。むしろ伸びた鋼索が蛇のように蠢く。

 

「今だ!」

 

エレベーター内部に戻る暇はない。開けたハッチから身を乗り出し、空中でバランスを取る。両手でワイヤーを掴むと同時、指先から衝撃波を放出する。

 

「ズバァン!」

 

切断されたワイヤーが四方へ飛び散る。

 

重力が牙を剥く。エレベーターが落下を始める――!

 

「うわああっ!」

 

絶叫と共に下半身が自由落下の負荷に晒される。一方で両腕は必死にワイヤーを掴み続ける。鉄の縄が肘から先に食い込み、皮膚が裂ける。

 

下方ではグロンギが吠える。黒い巨体がエレベーターと共に落下していく。コンクリート片を撒き散らしながら。

 

だが、まだ終わっていない。

 

両腕が悲鳴を上げる。

 

ワイヤーの繊維が肉に食い込み、出血が滑りを悪化させる。

 

「くっ……」

 

歯を食いしばり、片手ずつ登る。

 

ビルの外壁が眼前に迫る。磨りガラス越しの室内灯が星空のように瞬く。高度30階相当。風圧が増す。

 

見下ろせば暗闇が広がる。エレベーターの落下音は既に遠い。代わりに金属の擦過音が近づく。

 

「来たか……」

 

空のエレベーターが地下へ落ちていく。それとは別に――グロンギの咆哮。

 

化け物は落下装置から抜け出し、壁面を駆け上がってくる。

 

両眼が緑に光る。鉤爪がコンクリートを抉る。

 

(時間がない)

 

焦燥に駆られながらも登攀は続く。ビルの谷間風が汗を冷やす。腕の筋肉が痙攣を始める。

 

「うあああっ!」

 

突如として全身を貫く衝撃。雷に打たれたような激痛が神経を焼き尽くす。ワイヤーが灼熱となり皮膚を焦がす。

 

(なんだこれ!?)

 

視界が真っ白に染まる。意識が飛ぶ寸前、ビルの電力系統と接触したことに気づく。非常時の安全装置が誤作動を起こし、高電圧がエレベーター・ケーブルを伝播している。

 

「ぐぅっ……!」

 

歯茎が切れるほど強く噛み締める。筋肉が弛緩しかける。腕の感覚が消失する。

 

(いや……まだだ)

 

左手を伸ばし、目的の物体――エレベーターを動かす為の車輪を掴み取る。重量は数キログラム。だが今はそれが命綱だ。

 

「ひゅっ……」

 

息が浅い。変身状態の肉体でさえ限界に近い。緑色の装甲から蒸気が上がる。電気刺激が循環系を狂わせている。

 

そして眼下では――

 

「キュオオッ!」

 

グロンギの雄叫び。黒い巨体が壁面を這い登る。粘着質な足音が追いかけてくる。

 

(追い付かれる)

 

恐怖が脊椎を凍らせる。しかしその瞬間、エレベーター・シャフト内で奇妙な反応が起こる。

 

ワイヤー伝いに流れる電流が共振し、ベルトが活性化する。

 

「ギュオォン!」

 

腹のラインが明滅する。体内に蓄積された不快なエネルギーが循環し始める。

 

だが、ここまで来て。

 

「死ねるかよぉ!!」

 

俺はそれと共に、俺は引きずり取り、そのまま紫の姿へと変わる。

 

同時に、俺の持った車輪は、まさしく武器へと変わる。

 

腹部が灼熱に沸騰する。ベルトの紫晶が脈打つ。筋繊維が膨張し骨格が歪む。四肢が肥大化する感覚――これが紫の代償だ。

 

「クッ……」

 

視界が狭窄する。脳が圧迫される。全身から湯気が噴き出す。過剰分泌されたアドレナリンが痛みを麻痺させていく。理性の糸が切れかける。

 

「ハハ……」

 

喉の奥から笑いが漏れる。おかしい。なぜか楽しい。怖くて気持ち良い。相反する感情が融合する。

 

「ギャハハハッ!」

 

脳裏に閃光が迸る。記憶の断片が洪水のように溢れる。母の葬儀。父の怒号。白い病室の天井。割れた窓ガラス。血まみれの答案用紙。

 

「ヒャハハ!ハハッ!」

 

笑いが止まらない。涙が流れている。涎が口角から垂れる。眼球が充血する。歯茎から出血する。爪が掌に食い込む。

 

「全部……全部壊してやるよぉ!」

 

車輪が変容する。紫の粒子が渦巻く。金属分子が再編成される。長径70cm、直径1mの円盤状凶器――紫のチャクラムが誕生する。

 

「ゴオオッ!」

 

唸りを上げるエンジン音。

 

それは、本来ならばチャクラムで真っ直ぐ綺麗な刃のはずのチャクラムが、まるでチェンソーを思わせるようなノコギリで形作られた刃となっていきながら形成される。

 

「フゥ……フゥ……」

 

息が荒い。心臓が肋骨を粉砕しそうだ。チャクラムのハンドルを握る掌が痙攣する。鉄臭い味が口中に広がる。

 

「おい……お前」

 

虚空に向かって呼びかける。焦点が合わない。街灯が多重に見える。

 

「俺を楽しませろよ……?」

 

振り返る。眼下でグロンギが咆哮している。爪がコンクリートを穿つ。だが距離がある。普通なら届かない。

 

「ふっ」

 

軽く息を吐く。大腿筋が膨張する。跳躍。ビルの壁面を蹴る。重力が逆転する感覚。螺旋を描いて下降する。

 

「ギュオオッ!」

 

グロンギが迎撃体勢に入る。両腕を交差させた防御姿勢。黒い皮膚が硬化する。

 

「遅ぇ!」

 

紫のチャクラムを投擲する。回転数を最高に引き上げる。モーター音が脳幹を震わせる。空気摩擦でプラズマが発生する。

 

「ギャオオオッ!」

 

グロンギの絶叫。巨大な刃が胸板に食い込む。鋼鉄より硬い表皮が紙屑のように裂ける。鮮血が噴霧状に舞う。

 

「ヒャハハ!まだまだぁ!」

 

追撃を加える。もう一つのチャクラムを連射する。縦横無尽に飛び交う凶器群。グロンギの四肢が切断される。骨が砕ける鈍い音。腱が断裂する悲鳴。

 

「あはは!痛いか?苦しいか?」

 

グロンギの目が恐怖に見開かれる。初めて見せる怯えの表情。それが堪らなく愉快だ。

 

「お前たちがやったことの報いだよ!」

 

最後の刃が頭蓋を貫く。脳漿が爆ぜる。腐敗臭が漂う。灰褐色の血液が路面を染める。

 

だが――

 

「足りねぇ!」

 

身体が燃える。紫のチャクラムを掲げる。地面に突き立てると同時に全身を火球が包む。制御不能の衝動が湧き上がる。

 

「もっと!もっと殺させろ!」

 

ビル群を睥睨する。街灯が揺れる。歩道橋の人影が凍りつく。

 

「ククク……」

 

理性の枷が外れる。本能が剥き出しになる。破壊衝動が血潮に溶け込む。

 

壁に額を叩きつける。コンクリートが粉塵を上げる。額が割れても痛みは感じない。紫の装甲が鈍く輝く。

 

「ふざけんな……」

 

壁面が歪む。指がひび割れに食い込む。爪が剥がれる。それでも止まらない。

 

「誰も殺させねえ……殺させねえよ……」

 

紫のベルトが疼く。背筋を這い上がる異形の欲望。血を求め彷徨う野犬の如き衝動。

 

コンクリート片が崩れ落ちる。瓦礫が転がり金属パイプが軋む。周囲の防犯カメラが回転し始める。

 

「お願いだから……」

 

両手で壁に縋る。灰色の砂埃が服を汚す。頬を伝うのは汗か血か。

 

「戻って来い……頼むから……」

 

装甲から蒸気が立ち昇る。紫の紋様が明滅する。まるで猛獣の瞳孔が開閉するように。

 

「我慢しろ……耐えろ……」

 

唇が切れるほど噛み締める。舌を噛み切ってしまいそうで止められない。

 

「こんなのは……俺じゃない……俺じゃねえよ……」

 

壁に額を押し当てる。冷たいコンクリートの感触。なのに熱い。頭蓋骨の中で何かが沸騰している。

 

「お願いだ……」

 

装甲の隙間から液体が滴る。

 

紫の視界にノイズが走る。警告灯が点滅する。それでも血の味を求める口が止まらない。

 

「ヒャハ……もっと……」

 

その時だった。

 

キィン。

 

微かな金属音。空気が歪む。紫の装甲表面で光の粒子が集約する。

 

「ん?」

 

視界の隅に小さな影が映る。翅が震える昆虫のような輪郭。だが実体がない。半透明のカゲロウ?

 

「なんだ……これ……」

 

瞬間。

 

ブーン!

 

蜂の羽音を超える轟音。青白い光条が空間を貫く。直後──

 

「ぐぁあっ!」

 

腹を貫く衝撃。ベルト中央に突き刺さるのは金属製のクワガタ!

 

「なんじゃこりゃ…」

 

それが俺にとって、最後の呟きとなって、意識が消える。




仮面ライダーダグバ ゼネラリストフォーム
仮面ライダークウガマイティフォームとは対となる姿。その容姿は、ダグバに近い。アンダースーツは白く、クウガを思わせる鎧は黒く染まっている。
これは、アルティメットフォームとダグバの2人が合わさったような姿になっているが、この時点の強さはマイティフォームとそれ程、変わらない。
その最大の特徴は格闘戦に優れていながら、拳の力にある。
真っ直ぐと放つパンチは鋭く、掴めば決して離さない。
腕の力に最も特化しており、キックに対抗するように誕生したと思われる。
また、ゼネラリストはマイティの反対として選ばれ「専門家と反対で万能な人」という事で選びました。

仮面ライダーダグバ タイガーフォーム
仮面ライダークウガドラゴンフォームとは対となる姿。その容姿はまるで流浪人を思わせるスタイルであり、専用武器はタイガーブレード。
非常に機動性が高く、素早く、相手の攻撃を受け流しながらカウンターを行うのが得意な姿となっている。
ただし、その機動性を生かす為か、体重がかなり軽くなっており、軽い攻撃でも簡単に吹き飛ばされる弱点を持っている。

仮面ライダーダグバ ユニコーンフォーム
仮面ライダークウガペガサスフォームとは対となる姿。その姿はまるでガンマンを思わせるスタイルであり、専用武器はユニコーンボール。
視覚を無くす事によって、それ以外の感覚を鋭くさせる事で、周囲の情況をより知る事が出来る。さらには、ペガサスフォームとは異なり消耗もあまり激しくない。
ただし、眼が見えないのは大きな弱点であり、あまりにも騒がしい所では、戦えない弱点もある。

仮面ライダーダグバ スワンプフォーム
仮面ライダークウガタイタンフォームとは対となる姿。その姿はまるで暗殺者を思わせる姿であり、専用武器はスワンプチャクラム。
身体の関節が異常に柔軟かつ関節の付け外しが可能になっている為、身体を自在に操る事が出来る。
ただし、防御力はあまり高くない為、敵の攻撃に当たらないようなトリッキーな動きを要求される。
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