「それにしても、本当に不思議よねぇ」
そう呟きながら、俺と五代さん。
各々の腹部に現れた物を見比べながら、沢渡さんが呟く。
以前の戦いが終わった後、俺達は東京へと来ていた。
その目的としては、教授が残してくれた遺跡の解析だった。
「2人でバラバラになった時は、少しハラハラしたけど、こうして生きて帰ってこられて良かったよ」
「本当に、五代さんの方は、その」
「・・・うん、なんとか倒せたかな、まぁ嫌な気持ちはしたけどね」
五代さんは、その言葉と共に拳を強く握り締める。
拳から伝わったその感触が忘れられないと言わんばかりに。
「あの感触は、忘れない。いくら奴らが悪い事をしてると言っても。やっぱり嫌な気持ちはするね。君はどうなの」
俺もまた、握った拳の感触が離れない。
「俺も、忘れられません。けど、仕方ない事だと思います。だからと言って、俺達がやらなければいけないのに変わりはない。そう思います」
そう言っている間にも、沢渡さんが解析を進めている。
そして。
「あったわ」
そうして、沢渡さんが画面を見せてくれる。
そこには文字があった。
「これって」
「そうよ。これは古代文字と呼ばれていたもの。これを解読できたらいいんだけど。今は時間が足りないかな」
「それじゃ、その、どうします?」
「そうね。とりあえず私は東京の大学に戻って調査を続けるわ。貴方達はどうするの?」
沢渡さんはノートパソコンを閉じながら尋ねる。
「俺たちは……」
五代さんが言葉を選ぶように一瞬黙り込む。宮崎もまた悩んでいた。遺跡で見たあの碑文。解読できない古代文字。
あそこには、未だに分からない事が多くある。
それは、俺に、この力を埋め込んだ奴の事も。
「東京に戻ろうかと思ってます」
俺が先に答えた。五代も頷く。
「俺達がここに留まってもあまり役に立てそうにないですし……沢渡さんが大学のネットワークを使って解析するのが一番早いと思います」
「分かったわ」
沢渡さんは微笑む。
「じゃあ、まずは電車の時間までここで休憩しておきましょう。疲れたでしょう?」
三人は簡易椅子に腰掛ける。宮崎がポケットからペットボトルを取り出す。
そうして、東京へと戻る事にした。
だけど、この時には、気づいていなかった。
「・・・まさか、本当にダグバの力を持っていたのか」
「間違いない、今後、邪魔をする可能性は大きくある」
「・・・けれど、それはつまりそいつを倒せば、奪っても良いって事だよな」
「そうなるな、その許可もまた貰っている」
未確認の脅威に。