東京へと戻ってきた後、俺は落ち着けなかった。
「まだ、1週間も経っていないからな」
これまでの人生の中、その事実を受け止める事が出来なかった。
まるで漫画の中の出来事が、次々と起きていた。
それに対して、平凡な人生を送っていた俺が混乱するには、十分だった。
「けれど、戦わなきゃいけないよな」
未確認はこれからも人々を襲い続ける。
その目的も、なぜそのような事をするのか。
全ての謎は、古代の遺跡にあると考えられる。
けれど、それと同じぐらいに重要になるのは、間違いなく。
『君があの未確認達の言葉を聞く事が出来るってのは、大きいと思う。もしかしたら、奴らから何かを知る事が出来るかもしれない』
僅かな情報でも欲しい。
そんな言葉を言われた事もあり、に押し潰されそうだった。
「五代さんは強いよな」
俺には無い勇気。
そして、決意。
自分以外の他の誰かの為に。
『宮崎君がいるから、俺も頑張れるよ』
あの言葉は嘘では無いだろう。
俺もまた、支えられている。
だけど。
『なるほど、貴様がンのベルトを持つリントか』
「っ?!」
後ろから聞こえた殺気。
その殺気に、俺は身体が固まる。
その殺気は、少し前に戦った蜘蛛や蝙蝠の未確認とは比べものにならない程の殺気。
動く事すら出来ない。
背筋が凍る。
本能的な恐怖で逃げる事も出来ない。
その間に、後ろから忍び寄る足音が聞こえる。
やがて、その殺気は近づく。
「警戒するな。まだ、お前を殺す時ではない」
そう、俺の後ろにいる奴は呟く。
殺気を放っている奴の顔を、俺は見る事が出来ない。
それ程の力を、奴から感じる。
「お前は、未確認なのか」
「未確認、確かにそうとも言う。だが、我らはグロンギ。それが我らの種族の名だ」
「種族」
これまで、知る事が出来なかった未確認の名前。
それを聞いて、驚きを隠せなかった。
「なんで、俺に」
「奴の力、それを持つお前を見に来た。だが、未だに覚醒していないようだからな。それでは、意味がないからな」
「覚醒」
それに対して、俺は呟く。
「これから貴様の元にグロンギの戦士達が襲い掛かる。未だに覚醒していないお前の力だが、ズの奴らは生き残る為にお前を襲いに来るだろう」
「ズ?」
「今の貴様の力を成長させるには十分な奴だと言う事だ。貴様が戦いを拒否したとしても、奴らはお前を襲い掛かる。ゲゲルを行いながらな」
「ゲゲル?」
「いずれ分かる。だからこそ、いずれその力を貰い受けるまで生き残れ、ダグバの力を持つ者」
そして、次の言葉を最後に、奴の気配は消えた。
「俺の名は、ゴ・ガドル・バ」