なりそこないと、壊れた生徒   作:クレナイハルハ

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クランバトル倶楽部の朝/盾の意味

クランバトル倶楽部、会長の朝は早い、そんな某テレビ番組のようなナレーションと共に朝起きて目の前に広がっていた光景から現実逃避を始める。

右腕、左腕、右足、左足が何かに捕まれており動かせない。最初は金縛りかと驚いたが布団から出ている二人の頭に何となく予想は出来た。

自身の布団に入って寝ることが多いレイサとケイだ、問題は昨日は色々とあって疲れたのもあり部屋で一人で寝た筈だということ。

恐らくはまた悪夢でも見て、部屋に入って来たのだろう。

そんな想像を膨らませていると、右腕を抱えるようにして寝ていたレイサの頭上にヘイローが灯り、レイサが目を擦りながら体を起こした。

 

「ふぁああ……おはよう、ございまふぅ」

 

「お、おう。おはよう」

 

レイサは布団からモゾモゾと抜け出すと大きなあくびをしながら部屋を出ていった。

そしてそんな彼女と連鎖するように左腕に自分の腕を絡めるように寝ていたケイの頭上にヘイローが点灯する。

 

「先生、おはようございます!アリスのHPは完全回復です、新たな冒険に向かいましょう!」

 

「朝から元気だなケイ………」

 

「ユウカが言っていました。勇者たるもの、早寝早起きは基本だと!それではスーパーノヴァのお手入れがありますので!あと私はアリスです!」

 

「はいはい……」

 

そう言いながら朝から元気な声に、布団から抜け出し両手を腰に起き胸を張るケイ。前に見た魘される姿と正反対で脳がエラーを起こしそうだ。

さて、これで両手が自由になったのでかけ布団を捲る。

右足を抱き締め体を丸めて眠るイブキ、そして左足に抱き付き安心した様子で眠るミユがいた。

 

「……いつのまに」

 

思わずため息が出てしまう。

本当に、いつのまに潜り込んだのやら。

ミユに至っては首にはペット用の鈴のついた首輪を着けたままだ。

せめて寝るときぐらいは外さないか?

そう思っていると、二人の頭上にヘイローが灯ると、イブキとミユが足から離れ、目を擦り布団から体を起こした。

 

「おあよ、せんせー……」

 

「おはよ、ございまふ。見えて、ますか?」

 

「おうおはよう、ミユはバッチリ見えてるから安心しろ」

 

「ふぁい……」

 

「シャワー、かりますー……」

 

そう言いながら寝ぼけているのか、ふらふらしながら歩いて部屋を出ていき部屋に一人だけとなった俺は、起こしていた体を布団に預け天井を眺めながら呟いた。

 

「あいつら………異性だぞ俺?危機感や羞恥心、もう少し持ってくれよ」

 

俺の呟きは、誰にも聞かれず静かな部屋に消えていった。

こうして今日も、俺のクランバトル倶楽部会長としての1日が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、本日は柴大将がラーメンを売る日のため朝食を終えたホルスとレイサを護衛に向かわせそれぞれの仕事を始める。

ミユとイブキは俺の護衛として側で待機、ケイは音響装置と言った機械類の点検を行い司会の準備を行う。

登録されていた今日の対戦チームのトーナメント表を制作しつつ、今日の予定を確認する。

 

「そういや、今ってどこら辺なんだ?」

 

ふと、原作がどれ程進んでいるのか気になりネットニュースでトリニティの様子を確認する。

ふむ、取りあえずトリニティでゲヘナの美食部が暴れてた的なニュースがあれば放課後補習授業部のイベントだと分かる。

調印式の日にちを調べるのもありだが……ふと、時計を見るとそろそろ柴大将が到着する時間だった。

思ったよりトーナメント表の制作に時間がかかっていたらしい、今日の仕事柄終わり次第詳しく調べる必要がありそうだ。

パンドラの箱を手にもって、仕事用の会長室となっている場所を出る。

 

「あ、カイチョ!おはよございます!」

 

「おはようカイチョ!!今日は柴関ラーメンの日だよねー?だよねだよねー!」

 

「お、おう。おはよう……取りあえず柴大将の出迎えに向かうが、何かあったら直ぐに呼ぶように」

 

「はーい!」

 

部屋を出ると、接客のためにと脱いで貰ったヘルメット団やスケバンといったモブ達がおり挨拶する。

この子達は、あの日ケイに光よ!されたスケバン達だ。クランバトル倶楽部を作った時、とてもじゃないがケイと俺だけじゃ運営が回らないと思った俺は、あの日の路地裏で倒れていたこの子達に給料を出すから働いてみないかとスカウトしたのだ。

言っておくが、大人の俺には面接なんて出来るわけが無いとか、面接に来てくれたのにお祈りメールをうつのが嫌だとかそんなことを考えたわけじゃない………面接が嫌だとかそんなことをではない、そんなことじゃないのだ。

 

「先生、あの子達は?」

 

「ブラックマーケットの路地裏の奴らだ。ここの従業員として雇ってる」

 

ミユからの質問にそう答えながら柴大将を護衛したレイサ達が入ってくるスタッフ用の裏口、はないので正面玄関に向かうが、そこにはまだ柴大将達の姿は無かった。

あれ、いつもならこの時間に来る筈……。

 

「何かあったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時は遡り、アビドス地区。

何やら準備をして駅前で、誰かを待つ柴大将を影から見つめる二つの人影があった。

 

「……やっぱり、今日だったみたいね」

 

「ん」

 

一人はアビドス高等学校一年生で柴関ラーメンでのアルバイトをしてる柴関ラーメンの看板娘。

最近の柴関ラーメンの営業日が変化しているためシフトが変わり、何処で働いているのか気になっている黒見セリカ。

最近の柴関ラーメンの営業日が変化し、セリカから柴大将が何処へラーメンを売りに行っているのか分からないと相談を受け、面白そ──いや、気になった為に共に行動しているアビドス高等学園二年生、砂狼シロコである。

シロコは柴関ラーメンの営業日が変わったこと、セリカ曰く営業で別地区にラーメンを売りに行っていると聞いたが、連れて行って貰えないため何処へ売りに行っているのが分からずにいた事を相談された。

そこで、営業日に後をつけてみようと言う話となりこうして建物の影で柴大将を監視しているわけだ。

ふと、駅から誰かが出てくる。

只でさえ、人通りの少ないこの駅から出てくる知らない二人の人影。

一人は黒いスーツの上からダークグレーのブレザーを羽織ったオッドアイでショートカットの、()()()()()()()を持っている少女。

もう一人は青に紫と涼しい印象を感じる髪色で、先程の少女と違い私服?のようだが上からダークグレーのブレザーを身に付けていた。

 

「…見覚えの無い人たちね」

 

「ッ!?」

 

二人が柴大将の元に向かい挨拶をするのを観察しながらそう呟くセリカだったが、返事がないシロコの様子に不安を感じて、シロコの方を見たセリカが見たのは、目を見開き動揺しているシロコの姿だった。

 

「し、シロコ先輩?」

 

信じられないものを見たといった様子のシロコに驚いてたセリカだったが、建物の影から出たシロコはショートカットの少女の元へと走りだした。

 

「し、シロコ先輩!?こっそりって話じゃ……あぁもう!」

 

慌てて走りだしたシロコをセリカは追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も美味しいラーメンが食べられるなんて、凄いですよね。ホルスさん!」

 

「クランバトル倶楽部での営業を提案してくれた先生には感謝ですね」

 

「ハハッ!そんなことを言ってくれるなんて嬉しいね、今日はレイサちゃんとホルスちゃんのラーメンにはチャーシュー1枚サービスしとくぜ」

 

「あわわ!?ありがとうございます!」

 

「ありがとうございます、大将さん」

 

そんな柴大将と雑談しながら駅へと向かおうとしたとき、ホルスは背後から感じた敵意とも感じられる、向けられた視線。

 

「レイサさん、大将さんと先に駅に」

 

「分かりました!先にいってますね、いきましょう?」

 

「おう」

 

二人が駅に入ったのを確認したホルスは背中に背負っていた盾を展開させ、ベルトから拳銃を引き背後へと向ける。

 

「何のようですか」

 

ホルスの鋭い目の先には呆然とした様子の犬らしき耳の少女と、驚いた様子の猫耳の少女がいた。

 

「その、盾」

 

「……ホシノ、先輩?」

 

「またですか………私はホシノだとかいう名前ではありません。他に用がないなら、失礼します」

 

「なら、その盾は何処で手に入れたの!それは、ホシノ先輩以外に持っているところなんて見たことないわ!」

 

「知らないと言っているでしょう。これは私が以前の雇い主から頂いたものです、こちらは仕事なんです、あなた達の話に付き合ってる暇はありません」

 

「じゃ、じゃあ貴方は……一体」

 

「私はカイザーPMC所属………では、もうありませんね

 

ふとホルスが腕時計を確認すると、列車の発車時刻が迫っていた。

撃ってくる気配がないため、盾をたたんで背中に背負いベルトのホルスターに拳銃を装填した私は彼女たちに背を向けて歩く。

これ以上は時間の無駄ですし、何よりクランバトル倶楽部の営業開始時刻に遅れてしまいます。

レイサに店主さんもまってくれているでしょうし、いきますか。

 

「か、カイザー!?」

 

「あいつらの!?」

 

「セリカ、早く学校に戻ってホシノ先輩に」

 

うへー、面倒な事にならないと良いんですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アビドス高等学校、アビドス廃校対策委員会の部屋で十六夜ノノミに膝枕をして貰っていた小鳥遊ホシノは、廊下からドタバタと走ってくる足音に何事かと思いながらも膝枕からからだを起こさずにいた。

 

「ホシノ先輩!いるっ!?」

 

「ん、緊急!!」

 

慌てた様子の二人にホシノはノノミの膝枕から起き上がりながら伸びをする。

 

「ふぁああ……二人とも廊下は走ったらダメだよぉ~おじさんお昼寝タイムだったのに」

 

「どうしたんですか、凄く慌てて」

 

そんな落ち着いた二人と対称的に、セリカは口を開いた。

 

「じ、実はホシノ先輩とおんなじ盾を持ってる人いたの」

 

「髪が短いこと以外ホシノ先輩とそっくりだった。あと、カイザーPMC所属だっていってた」

 

「……詳しく聞かせて」

 

小鳥遊ホシノの持つ盾、それは代々アビドス高等学校生徒会長が受け継いできたたった1つの物。

それと同じものを持っていて、私と同じ姿。

そんな情報から、ある大人の姿を思い浮かべたホシノは一瞬だがその瞳を鋭くさせた。

そして髪の短いホシノそっくりの人物と言われ、ノノミは過去。

まだホシノがショートカットだったときの姿を思い出し、何かが起こっていると理解する。

 

 

「これは念のため、先生にも相談かな~」

 

そう話すホシノの瞳は、何を思っているのかノノミ達には分からなかった。

 

 






パンドラの箱、更新情報なし

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