なりそこないと、壊れた生徒   作:クレナイハルハ

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皆様、何時もご愛読くださりありがとうございます。
本作品への多くの感想の中で
・今がメインストーリーの何処に当たるのか?
・レトロチック・ロマンが終わっているならカイザー理事はもう降格された後なのでは?
というご指摘を頂き、前話の内容をすこし加筆し『カイザー理事』から『カイザー元理事』と表記を変更し、修正ました。
続いて現在の時系列ですが、メインストーリー第3章、エデン条約編となっています。

以上で前書きを終了いたします。

本編をお楽しみ下さい。




ホルスの選ぶ明日

 

 

クランバトル倶楽部の顛末を語るなら、気絶したホシノとシロコは共に来ていたノノミやセリカに連れ帰ってもらった。

報告を聞いた俺は急いでクランバトル倶楽部に常駐して貰っているカイザー経由で雇った猫の獣人……自称天才闇医者「ブラックキャット」先生に頼み、レイサを治療して貰った。

ブラックキャット先生の腕が良いため、どうにか酷いことにならずに済んだ。

 

「その、大丈夫なのか?レイサ」

 

「アハハ、ちょっと休めばすぐに動けるようになります。その、そんなに心配しないで下さい先生」

 

「俺にはお前の身を案じることしか出来ない、これぐらいはさせてくれよ。ともかく無事で安心だ、後でホルスも来るだろうからゆっくりしててくれ。怪我が治るまでは治療が優先だ、絶対に仕事に来るなよ」

 

そう言いながらレイサのいる部屋から出る、そして歩き暫くして自分の部屋に入り畳部分に腰を下ろして、頭を抱えた。

治療の際にレイサが腹部から出血していた姿が甦り俺は、やっぱり俺は先生じゃ無いのだと感じて仕方ない。

大人になりきれなくて、責任もとりきれなくて、生徒を指揮する能力すらない。

 

「はは、俺には……本当に何もないな」

 

自身の声が僅かに震えてきた。

あの時、ミユだけに任せず俺も現場に向かっていたら……何か、変わっただろうか。

何か、出来たのだろうか。

 

「はは、駄目だ。やっぱり俺が行っても、もっと悪いことになる未来しか見えねぇな。やっぱり俺は、なり損ないだ」

 

そんなことを呟きながら、ふとパンドラの箱を見ると、クランバトル倶楽部の運営に使っているパソコンへと連邦捜査部シャーレからのメールが届いたことが、表示されていた。

震える手で、メールボックスの内容を確認する。

内容を簡単に説明するなら、アビドスの生徒であるホシノ達が迷惑をかけたことに関する謝罪と、改めて話がしたいと言う内容だった。

 

「今さら、対話?ふざけんなよ、こっちはレイサの怪我が完治するまで、完治しても表側で動くつもりはないんだよ。エデンにでも集中してろよ、何でも持ってる主人公様はよ……」

 

沸き上がる怒りと苛立ちから、想いのままにパンドラの箱に返事の文章を入力する。

──────────────────────

こっちは怪我した奴に掛かりきりでお前らなんかを相手してやる暇なんてない。

安心しろ、こちらは治療費は請求しない。

治療費も謝罪も、話を受けるつもりもないからな。

俺たちは何も求めない、ただ二度と俺たちに関わるな、関わる暇があるんだったら条約に力を入れたらどうだ。

順当にいけば生徒が死ぬぞ、これは警告じゃない。

──────────────────────

 

メッセージを送信した俺は、コンコン!と扉をノックする音が聞こえてパンドラの箱から顔を上げ、部屋の扉を開けると暁器ホルスが立っていた。

 

「先生、ちょっといい?」

 

「大丈夫だ、入ってくれ」

 

そう言いながら自分の部屋にホルスを入れる、考えてみればホルスが俺の部屋に来るのは、初めてかもしれないな。

部屋の畳へと腰を下ろしたホルスの隣にすわり、彼女に話を促す。

 

「それで、どうした?」

 

「先生、今日私が対応したあの生徒ですけど……あの子、この世界の()なんじゃないですか?」

 

「どうして、そう思うんだ?」

 

「私の顔、オッドアイなのもそうですけど……頭に浮かぶヘイローが同じでしたから……もしかしたらと」

 

「そう、か……」

 

まぁ、あそこまで似ている姿ならそう感じても可笑しくはないか。

 

「先生は、あの子について...私について、知ってるんですか?」

 

「……俺が知ってるのは、あくまでもお前のみたアイツについてだけだ。それでも聞きたいのか?」

 

そう、あくまでも知っているのは正史のホシノのみであり暁器ホルスとしていきる前のホシノについて、俺は知らないのだ。

もし、彼女が全てを知ったのならどうなるな分からない、下手したら自分の命が危うい事が分かっている。

もし彼女が過去を知れば、恐らく……いや間違いなくテラー化する未来が見える。

でも、知らないよりは知っていた方が良いかもしれない。

ホルスが頷いたのを見た俺はゆっくりと深呼吸をしながら、口を開いた。

 

「暁器ホルス、お前の…本当の名前は()()()()()()。アビドス高等学校に所属していた生徒なんだ」

 

「小鳥遊……ホシ、ノ?」

 

俺の言葉を確かめるように、ホルスは自身の本当の名前を呟くと目を見開き固まった。

 

「ホルス?」

 

「そっか、私は……」

 

目を見開いた彼女はそうか、と呟きながらボーッと宙を眺める。

もしかして、思い出したのだろうか。

だとしたらぼんやりとしている様子にも納得が出来るけど、すこし意外だ。

もっと狼狽したり、下手したらテラー化する事も予測していた。

彼女にとって過去は、アビドス高等学校や梔子ユメの記憶はかなり辛いものである筈なのに、何故? 

 

「その、なんだ……ずいぶんと落ち着いてるな」

 

「今、思い出しました。でも不思議です、私の事である筈なのに私の事だと思えない。誰かの人生を映画として見ているような、そんな不思議な感覚なんですよ、まだ自分自身が受け入れられてないのかもしれませんが」

 

「ずっと、暁器ホルスとして生きてきたからか?」

 

「そうですね、確かにユメ先輩の事は悲しいと思います。でも、なんででしょうか……それ以上は何も思えない。この世界の、あの私のようにはなれませんね、私はホシノでなく()()()ですから」

 

そう微笑む彼女は、俺よりもずっと大人に見えた。

 

「…俺より大人だな、本当に自分が情けなく感じるよ」

 

そう言いながら肩を竦めると、ムッとした表情を浮かべたホルスは畳から立ち上がると俺をまっすぐ見て言った。

 

「いいえ、私はまだ子どもです。なのでその……先生がいてくれないと、困ります」

 

「俺よりも、シャーレの先生の方がよっぽど頼りになると思うけどな」

 

「貴方だから、ですよ」

 

そう言いながら笑うホルスの姿に、なんでかアビドス二章ラストで助け出されたときのホシノの笑顔のスチルが重なって見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、俺はレイサをケイとイブキに任せミユとホルスと共にゲヘナのとある場所へとやってきていた。

ちなみにだが、目的である彼女たちに会うためにかなり色々とあったのだが全部ホルスが対応してくれたとだけ、記載しておこう。

 

「ふむふむなるほど、傷付いた仲間の為に()()!!とは、ずいぶんと泣かせてくれる理由じゃないか!!なぁダーゴン!あ、すまない。別の神秘(人格)が」

 

「あはは!まーた部長が変になってるー!」

 

おい中身出てるぞ…。

 

目の前で首をかしげるのはゲヘナ学園の温泉開発部部長、鬼怒川カスミ。そしてそんなカスミの様子を見て笑うのはゲヘナ学園3年生、温泉開発部副部長である下倉メグである。

どうして彼女たちと会っているかだが、レイサの傷を癒す為にも、温泉で英気を養って貰おうと考えた俺はふと、自分の購入した学校跡地の土地の何処かに温泉の元である源泉が流れていたりしないかと考えたのだ。

学校の跡地ということもあり、土地がかなり広かった。

もし源泉があるなら掘り起こして温泉にすれば毎日入れるし、なんだったらブラックマーケットでは珍しい温泉施設ということで、注目されかなりの儲けになりそうだと思ったのだ。

でも俺には、クランバトル倶楽部には温泉を探しだす方法を知る者も整備する者もいない。

そしてメインストーリーで特に大きな関わりのない温泉開発部なら接触しても問題ないのではないか、ここに温泉があるのか調べて貰うことが出きるのはと考えたのだ。

 

「あくまでも、俺の買った土地……クランバトル倶楽部の土地の中に源泉があるか調べて貰えれば良い。もし源泉があるならば温泉施設の建築、源泉が無ければ入浴施設も作って欲しい。勿論これは正式な依頼だ、ゲヘナ学園の方にも連絡はしてある」

 

そうこれは、ゲヘナ学園を通じて正式に温泉開発部へと依頼をしたのである。

ダメ元で連絡をしたところ、何故かオッケーがとれてしまったのだ。

 

「なるほど、ならばこの話受けない理由はないな!早速準備に取りかかるとしよう、さぁ!そのクランバトル倶楽部とやらに案内してくれ!!」

 

 

「ちなみにだが、源泉の捜索及び温泉施設の建築はクランバトル倶楽部の敷地内のみだ。敷地外に出ることは一切許さない。」

 

「えーっ!?嘘だろうモルモットくんあ、違ったクライアント!」

 

「おいまた中身出てるぞ。ったく、ブラックマーケットは危険だからお前らの事も心配して言ってるんだからな。もし敷地外に出たら、首から下が売り飛ばされる可能性だってあるからな」

 

「わァ…ァ…」

 

「部長泣いちゃった!」

 

そんなゲームで見ていた通りの様子の二人に何故か安心感を感じてしまう。

謎の安心感を感じていると、俺の来ているスーツの裾を掴んだホルスは心配そうな表情を浮かべていた。

 

「その……先生、本当に大丈夫なんですか?彼女たちに任せて」

 

「まぁ、温泉に関しては彼女たちは秀でているからな。取りあえずこれで良い、はず!」

 

まぁまず予定地に実際の温泉が出るか不明な上に、彼女達は源泉が出ないことが確定していてもその辺を爆破しまくる怪物であることは事実であるが、それはそれとして半日でそれらしい旅館モドキをでっちあげるくらいの建築力はある。

もし、源泉に関係ないこと調べるような怪しい動きをしたらミユに狙撃して貰うよう指示を出しておくか……。

 





パンドラの箱、更新情報なし

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