なりそこないと、壊れた生徒   作:クレナイハルハ

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前回、私は小説内でヒフミを敵に回せばアビドスとティーパーティーが連鎖召喚されるのは流石にバグだろ。
とかきましたね。
違いました、訂正します。
ヒフミを敵に回す→アビドス→ゲヘナの風紀委員長
             →便利屋68
        →ティーパーティー
        →補習授業部→正義実現委員会
              →シスターフッド
              →アリウススクワッド
こうして連鎖召喚されていきますね、もう禁止カードだろ。
以上です、本編どうぞ。




地獄の門

突如としてパンドラの箱が虎丸零式へとインストールしたサポートAI『HiNA』、彼女は果たして本当にHiNAなのだろうか。

イブキの名前を呼んだ、それはあの姿の彼女を見て違和感を持たないということから恐らく、あれはAIじゃない。

AIがHiNAではなく、()()()()じゃないのか?とそう思えてしまうのだ。

イブキの世界の空崎ヒナがどうなったのかは知らない、聞けない、踏み込めない。

踏み込むのが、聞くのが……それで彼女が傷付くことが、気分を害してしまうのが怖い。

イブキはパンドラの箱がインストールしたサポートAIのテストを行うため今日は遅くまでこの車庫にいることを選んだ。

そのため俺達はイブキと虎丸を車庫へとおいて外に出る事になりそれぞれが部屋へと戻っていた。

部屋で1人、椅子に座り天井を眺め考える。

パンドラの箱が呼んだ彼女らは、俺のいない間でそれぞれの世界について話すことはあるのだろうか。

それとも、互いが傷付くことを恐れて触れないでいるのか、興味がないのか。

 

『よろしく頼むわイブキ、そしてハンドラー?』

 

ふと、虎丸へとパンドラの箱からインストールされたサポートAI、『HiNA』の言葉が脳に浮かんだ。

ハンドラー、その言葉が誰を指すのか。

何となく、自分のことだろうと感じていたがその意味が分からずパンドラの箱で検索エンジンに検索をかける。

ハンドラー、その言葉の意味は『調教師』。

 

「はは、誰が……でも」

 

ホシノや先生が、俺の事を先生と呼び慕う彼女らの姿を見たらどう思う?

そう考えたとき、俺は自分が先生からどう思われているのか、1つだけ想像できてしまった。

生徒を洗脳し、自身の手駒にする大人……生徒の、先生の敵。

 

「ハンドラーか、はは……ずいぶんと的確じゃないか」

 

でも、そう思われてたとしても俺が生きていくには……俺やケイ、レイサにホルス達が生きていくにはこれしかないんだ。

何なら、ミユだけじゃなく全員に首輪をさせれば悪になれるか?そうすれば悪く思われるのは、先生から敵だと思われるのが俺だけでアイツらは″先生″に保護して貰えるかもしれないな。

 

「ハンドラー、パンドラと響きが似てるし俺に合ってるかもしれないな」

 

誰もいないのに、呟くように俺の口からでた呟きが静かな部屋に消えていく。

先生と呼ばれよりかは、マシだな。

 

「俺の名前は、″ハンドラー″だ」

 

深夜テンションに身を任せて口から出る言葉に、今更ながら中二病みたいで少し頬が熱くなる。

取りあえず、後は明日だな。

そう思いながら俺はパンドラの箱を枕元において布団に入る。

目をつむった彼は知らない、枕元に画面を下にした置かれたパンドラの箱が光を灯していることを。

パンドラの箱に表示された、1つの文を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

P.A.N.D.O.R.A.の箱

 

SystemSoft Update……100%.

 

Alternative Protocol.

 

InstallationCompleted.

 

Ready……Ignition.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銃声や爆発音に意識が現実へと引き戻される。

目の前には、壁や床に煤や空薬莢が散乱しているクランバトル倶楽部の廊下が広がっていた。

あれ、俺は部屋で寝た筈じゃ……。

聞こえて来る銃声や爆発音は、クランバトル倶楽部なら当たり前。

でも、何故こんなにも部屋が荒れている?

気になり、歩きながらもいつもみんなのいる部屋へと向かっていると銃声がより大きく聞こえ始めた。

聞こえてきた方をみれば、何故かアビドス対策委員会やゲヘナの風紀委員長とクランバトル倶楽部でいつも戦っているスケバンやヘルメット団の子達が血を流しながら応戦しているのが見えた。

なんでワンワンズやネオ・ヘルメット団が彼女たちと争っている?

 

『カイチョーを逃がすまで時間を稼げっ!』

 

『わかってるっ!』

 

『まだだ、まだ……終わらせないっ!』

 

『まだまだ……あの人を逃がすまではっ!』

 

『通さ、ないっ!』

 

一体、何がどうしてこんなっ!?

 

混乱していると、目の前の景色がまるでシーンを切り替えたように変化した。そこにいたのは、血が流れる片手を押さえながら、焦った様子で校舎裏で虎丸零式へと乗ろうとしている俺達がいた。

 

『先生は先に乗って』

 

そう促すホルスに俺やレイサ、ケイが虎丸へと乗り込むがホルスは乗り込もうとしない。

この光景から予想できるその後の展開に、嫌なものを感じる。

聞こえてくる爆発音や銃声にハッチから顔を出す焦った様子のイブキはホルスに叫ぶ。

 

『ホルスちゃん何してるの!?早く乗って、じゃないとアイツらが』

 

『イブキちゃん、みんな……先生をお願いね。私は、ここでアイツらを足止めする』

 

盾を展開し拳銃の銃弾を確認すると、ホルスはイブキ達へと笑って見せた。

まるでアビドス二章の最後のようで、何処か儚さと終わりを連想させる笑顔で笑った。

 

『先生を逃がして、後はお願いねみんな』

 

『絶対に、後で合流してっ!虎丸零式、緊急発進!』

 

そういいながらイブキはサポートAIへと発進の指示を出す、車庫の下がったシャッターを突き破り虎丸零式が外へと飛び出す。即座に近くを飛んでいたミサイルコンテナの付いたドローンが虎丸零式へと向けて狙いを付けようとしたが、次の瞬間にドローンが二発の銃声で墜落する。

アビドス対策委員会とゲヘナの風紀委員長を相手に、後ずさることも恐怖することもせずホルスはただ盾を構えた。

 

『ここから先は、絶対に通しません』

 

首に首輪のようなものを着けたホルスとアビドス対策委員会との戦いを始めようとした瞬間に、シーンが切り替わった。

地面に倒れ付し、盾も拳銃も手放したボロボロの姿のホルス。彼女は虚ろな瞳をゆっくりと閉じながら、呟いた。

 

『せん、せ……わた、し──まもれたかな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば俺はトリニティ地区にいた。

近くで道路を走行する虎丸零式から1人の少女が飛び出す。

 

『レイサちゃん!?』

 

『トリニティの、正義実現委員会と自警団の足止めはこの、宇沢レイサにお任せください!さぁ!行ってください、皆さん!』

 

ハッチから顔を出し振り返るイブキが見たのは、受け身を取りながら立ち上がり片手を宙に掲げ1本指を掲げるレイサの姿だった。

 

『レイサっ!?』

 

イブキとは反対のハッチから顔をだした俺は、彼女の名を叫ぶ。表情からしてこの状況に混乱しているのは明らかだった。

レイサの名前を叫ぶ俺の横でイブキは袖で目元を擦ると、前を向き虎丸零式に止まらず前進することを指示する。

 

『待ってくれ!HiNA、イブキ!まだレイサ、レイサがあそこにっ!』

 

『先生、貴方は生徒を預かる者として強くあらねばならない、貴方が帰る者達の家であり、貴方が還らぬ者達の誇りなのよ。さぁ、顔を上げて、胸を張って、号令を掛けなさい』

 

『……進んでくれ、トリニティ地区を抜ける』

 

そういいながら戦車内に戻り、悔しそうに俯く俺やケイの他所に、前を向くイブキ。

すると戦車内から目の前の光景が変化する、正義実現委員会とトリニティ自警団という大勢に対して、たった1人で銃を握り対峙するレイサ。

 

『ここから先は私が倒れるまで誰一人として通しません。残念です、スズミさん』

 

そう話すレイサに、対峙するスズミやこの世界のレイサは何処か悲しげな表情を向けつつも銃を構えた瞬間に、景色が変わる。

 

正義実現委員会の生徒が、何人も地面に倒れている。

そんな異様な光景の中央に彼女はいた、片目は頭から流れる血のせいか閉じており、反対の開いた虚ろな目で宙を眺めている。

片手がダラリと下がって力が入らないのか、不安定に揺れ、反対の手からはシューティング☆スターがすり抜け、地面に落ちていた。

立っているのが不思議なくらい、レイサはボロボロだった。

そんな彼女を正義実現委員会のツルギやハスミにイチカ、そして自警団のスズミとこちらの世界のレイサが囲んでいる。

宙を見つめていたレイサがゆっくりと視線を自身を囲む生徒たちへと向ける。

そんな彼女の様子に、周りにいた正義実現委員会の生徒は後退り、ツルギは冷や汗をかきスズミはどうしてそこまでするのか分からないと涙を浮かべながら銃を構える。

 

そんな中でレイサ、ゆらりと片手で指を指す。

 

『……次は……あなたですか』

 

レイサはそういって姿勢を低く、前傾姿勢となり駆け出し1人の正義実現委員会の生徒の背後に周ると、走るなかで拾った恐らくは倒れている生徒の使用していたアサルトライフルのバレルを持ち、ストックで頭部を殴って気絶させる。

そしてその場から滑るように横へ駆け出しながら、近くにいる正義実現委員会の生徒へと距離を詰めると。

 

『ふっぁぁぁっ!!』

 

無理矢理に身を捻って狙撃を躱しながら倒れるように少女の体を捕まえて、首を握り込んで掴み上げ、そして遠心力を利用して振り回して頭から地面に叩きつける。

地面へと叩き付けられた生徒のヘイローが消える、体を震わせながらレイサへと向けた銃の引き金を引く生徒達。

そんな生徒達のショットガンやアサルトライフルのそれぞれの連射に対して、レイサは先ほど気絶させた生徒を盾代わりにしてダメージを防ぐ。

 

『まだ、……止まれない。ここから先には……誰も通さ、ないっ』

 

盾にした生徒を近くの生徒へと投げて体勢を崩し、想定外の攻撃に怯んだ生徒へと奇襲をかけようとする。それに対してスズミは手に持った恐らくは閃光弾を投げる。

閃光弾が破裂しその場を一瞬の閃光が照らす、だがレイサはそれでも止まらなかった。

レイサは走りながら拾ったアサルトライフルを1人の生徒へと付き出して連射する。体に密着されられ0距離からの連射を食らった生徒がまた1人のヘイローが消えて倒れる。

ゆらりと振り向いたレイサをみてスズミが何かを呟くが聞こえない、その時レイサの体が跳ね数歩程背後に後退する。

ハスミの狙撃だった、そしてそれに続くように多くの生徒が銃口をレイサへと向けて引き金を引く。

銃弾が向かってくるのも構わず、ゆらりゆらりと近付いてくるレイサの両手には銃は握られていなかった。

ふらふらとそのまま歩みを進めるレイサの元に、銃を持たない1人の生徒が……杏山カズサが駆け寄る。

駆け寄るカズサにもたれ掛かるように倒れるレイサ、そんな彼女をカズサは抱き留めた。

 

『カズ、サ?生きてて、良か………』

 

開いていたレイサの片眼がゆっくりと閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、目の景色が変わる。

廃墟らしき一室にスナイパーライフルを構えたまま動く様子のないミユがいた。

 

『……』

 

一言も話さず、ただ静かにスナイパーライフルを構え時折射撃する。

彼女のスナイパーライフルの向けられた先には、虎丸零式らしき戦車とそれを追いかけるいくつもの追手。

そんな追ってから虎丸零式らしき戦車を逃がすため、ミユは集中しスコープを覗いていた。

次の瞬間、廃墟の入り口が蹴破られ1人の生徒が現れる。だがミユはそれを気にせずスナイパーライフルのスコープを覗いている、恐らくは周りに認識されないと分かっているからだろう。

だが、部屋に入ったその生徒……月雪ミヤコはミユの背後まで近寄ると、その頭に手に持ったアサルトライフルの銃口を突き付け口を開いた。

驚いた様子で振り向いたミユは目の前のミヤコを目にして目を見開いた。

 

『なん、で……』

 

ミヤコが口を開くと、ミユは涙を流しながらスナイパーライフルから手を離す。そして涙を流しながらもミヤコに睨み口を開いた。

 

『みんなが私を見つけて、捕まえる?なんでこんなに、酷いんですか。忘れた、くせに』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、目の前の光景が切り替わる。

そこは、トリニティ地区から離れた場所のようで何故か停車した虎丸零式からケイと俺が降りていた。

 

『ケイちゃん、先生をお願い。私は虎丸零式と、HiNAと囮になって時間を稼ぐから』

 

『ですが……』

 

『大丈夫、虎丸零式には迷彩機能があるんだよ?すぐに追いかけるから!』

 

『わかり、ました。行きましょう先生、大丈夫です。パーティから離脱したら後から強くなって合流するものだと、モモイが言っていました』

 

『あぁ、イブキ……絶対に追いかけてこい』

 

そういって目の前の俺とケイが走っていくのを見送ったイブキは、浮かべていた笑顔のまま虎丸零式を走らせる。

 

『イブキ、もう虎丸零式の残りのエネルギーは』

 

『分かってる』

 

HiNAの言葉に被せるようにそう言ったイブキはハッチから顔をだし遠くに見える四人の人影に、被っていた帽子をギュッと深く、強く被り直す。

 

『HiNA、この作戦上手くいくかな』

 

『イブキ、計算上この囮作戦の成功確率は2%よ。仮にあなたが虎丸を乗り捨てて逃げたとしても、逃げ延びられる確率は1%よ』

 

『2%、そんなにあるなら十分だよ。行こう、ヒナ先輩』

 

『……えぇ、行きましょう、イブキ』

 

HiNAのその音声と共に目の前の光景が切り替わる。

ミサキの持つロケットランチャーから放たれたロケット弾頭が虎丸零式に命中、虎丸の装甲は歪み仕掛けられたトラップにより走行は不可能となる。

 

『ここまで、みたいね』

 

『そう、だね』

 

虎丸零式内で座り込んだイブキは、HiNAの言葉に同意しながら宙を眺める。

 

『イブ……さよ、な────』

 

HiNAの言葉が途切れ、虎丸内のモニターや電子機器が機能を停止する。壊れ行く虎丸から抜け出す事をせず、イブキは腰のベルトから帽子達を外して胸に抱える。

 

『ヒナ先輩、マコト先輩、イロハ先輩、チアキ先輩、サツキ先輩……待ってて、イブキも行くから。先生、どうか逃げ──』

 

次の瞬間、虎丸零式とイブキ、HiNAは───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、目の景色が切れ変わる。

目の前に広がるのは、桜の木が並んでいる恐らくは百鬼夜行と思われる場所。

そこで瓜二つの二人の生徒と、その生徒の背後に立ち向かい合う二人の大人がいた。

 

『光よっ!!』

 

『光よ…!?』

 

重なるように放たれたその言葉と共に、1発の銃声がその場に響き渡る。

見れば、ダークグレーのブレザーを羽織った少女……ケイの持つ光の剣:スーパーノヴァは銃弾を放つことなく煙をあげていた。

光の剣:スーパーノヴァがケイの手から溢れ落ち、ケイがふらりと後ろへと倒れる。

 

『ケイっ!?』

 

何故か首輪を着けているボロボロの姿のケイを抱き起こした俺は体を揺すっても反応のないケイに涙を流す。

涙を拭う事もせず彼女を必死に起こそうと俺は声をかけている。

そんな俺達と反対の方には傷1つない大人の男性(シャーレの先生)と、ケイと瓜二つの姿の少女(天童アリス)が光の剣:スーパーノヴァを構えて立っていた。

 

『なんで、なんでだよ……俺と一緒に背負ってくれるって、頼む……お前まで、俺の側から居なくならないでくれよっ』

 

『せん、せい…』

 

『ケイ……』

 

『わたしたちのことを……わすれないで……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あがっ!?」

 

ガバリと布団から飛び起きる、目の前には何時もみている自室が広がっていた。

深呼吸を繰り返しながら、自分が今まで見ていたものが何なのか思い出す。

取りあえず悪夢であったことは間違いなさそうだ、夢である事への安堵に早かった心臓の鼓動がゆっくりになっていくのを感じる。

 

「妙にリアルな夢だったな……」

 

夢で見た全員がミユと同じように首輪をつけているのが気になった、まさかハンドラーとしての俺の結末?なのか?

 

「俺はハンドラーより、やっぱりなり損ないの方があってるってことなのか?」

 

夢みたいな未来は絶対にごめんだ。

そう思いながら俺はパンドラの箱を持ち、自室を出た。

 






パンドラの箱、更新情報なし

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