なりそこないと、壊れた生徒   作:クレナイハルハ

3 / 41
拠点制作

あれからケイと共に行動し今いる場所が何処なのか、そして今の時系列を確認することが出来た。

今俺達がいるのは、ブラックマーケットと呼ばれる無法地帯だ。

ゲームではアビドス一章で登場し便利屋68やトリニティの自称普通の少女、阿慈谷ヒフミと出会う事となる場所だ。

治安の悪い場所でいくつかの企業が違法行為を行い、違法な物品の取引や不認可の違法倶楽部等が存在しており、闇市にも拘らずその規模は学園自治区数個分にまである。

そしてたまたま店の近くを通った際にラジオから聞こえた『ミレニアムプライス』という言葉から恐らくは今はミレニアムの一章レトロチックロマンの最後。

つまりこの後にエデン条約編があり、更には時計仕掛けのパヴァーヌがある。

まぁ、暫く行動するならブラックマーケット(ここ)が正解だろうな。

 

「ブラックマーケットを進んでいますが、何か当てがあるんですか?」

 

「当てというか、まぁ銀行だな」

 

「銀行?」

 

「カイザーローンで組んで、当面の活動資金でもってな」

 

そう、カイザーローン。

アビドス一章で登場した所謂、闇銀行だ。

表世界で銀行口座が無かったり、口座が凍結されていても融資を受けることが出来る所だ。

突然、俺はこんな真っ白なスーツに青ネクタイという連邦生徒会を思わせる服装でブルアカ世界に放り出された。

故に金なんて無いし、金になるような物なんて持っていない。

現在の所持品はこのタブレットだけだ。

 

「でも、どうやって融資を受けるのですか?アリスも先生も身分を証明できる物は持っていません」

 

「あー、取りあえず稼ぐ方法を伝えてカイザーにスポンサーになって貰うよう仕向ければ良いのさ。大人の話し合いなんて、息が詰まるし嫌なんだがな」

 

やれやれとジェスチャーをしながら俺達はたどり着いた闇銀行カイザーローンに入る。

ケイは初めて訪れた場所だからか、それとも別の理由があるのかキョロキョロと店内を見回している。

 

「さて、受付は───」

 

「何か御用でしょうか、お客様」

 

受付を探していた俺の前に黒いスーツを着たロボットが現れ、モニターにはニコやかな表示されているが僅かに声色が固い気がする。

警戒されているの?なんでだ、ここに来るのは初めての筈だ。

 

「あぁ、俺達は金が無くてな。一儲けするための下地としてカイザーローンを使わせて貰いたい」

 

「なるほど、少々お待ちを」

 

そう言いながら通信端末を取り出し、少し離れたロボットはすぐに戻って来た。

 

「奥の部屋へどうぞ、詳しい内容をそこでお聞きします」

 

「連れも一緒がいいんだが」

 

「もちろんどうぞ」

 

何処か驚いたような表情を表示させたロボットがそう言いながら奥へと続く扉を指差す。

ケイは警戒しているのか、背負っている光の剣:スーパーノヴァへと手が伸びている。

まぁ、警戒することに越したことはないか。

そう思いながらロボットの後ろをついていき、店内の一室に案内された。

 

「此方のお部屋です、中で理事がお待ちです」

 

促され部屋に入るとそこには予想外の人物が椅子に座り待っていた。

 

「先生が、このような場所に何の用だ。アビドスの件は既に………誰だ、お前は」

 

「呼んだのはお前だろ、まぁカイザー理事に直接伝えた方が話も進むだろうしこっちとしてはありがたいね」

 

部屋にいたのは、アビドス一章のボスといっても過言ではない人物、カイザーPMC理事だった。

取りあえずカイザー理事が座っている場所と対面する位置に座り、ケイを隣に座らせる。

 

「自己紹介からさせて貰う、俺は──」

 

流石に、本名は不味いよな?取りあえず"なり損ない"でいいか。

 

「俺はなり損ないだ、こっちは連れのケイ。単刀直入に言う、金を稼ぐ計画があるんだが元手に必要な金が無くてな。融資を受けたい」

 

「なるほどな、それは計画の妥当性と収益の見込み次第だ…。だが、我々が融資をしたとしよう

その金で何をするつもりだ?何に利益を産むとしても我が社のスタンスとしては反社会的活動に金を出すわけにはいかないのだ。少なくとも公にはな」

 

まぁ、融資を受けて何をするのか気になるのは当然か。

後は上手く伝えてカイザーにスポンサーになりたいと思わせることだな。

 

「カイザーPMC理事殿、あんたはコロセウムって知ってるか?」

 

「昔に人々がグラディエーターを戦わせ、それを観戦する場所だろう?それがどうしたというのか」

 

「ブラックマーケットにコロセウムのような場所を作る」

 

「なるほど、やりたいことは分かった。だがそれでどうやって利益を得るのだ?」

 

「賭博だよ、どちらのチームが勝つか予測し勝てば還元され負ければ失う。掛け金の二割を手数料として徴収すればいい」

 

簡単にいえば戦術対抗戦で競馬や競艇みたいな事をする訳だ。

それを行える施設を作る、俺が知る限り賭博場として登場したオデュッセイア海洋学校のカジノ以外に、ブルアカで賭博場は見たことがない。

 

「なるほど」

 

「儲ける方法はそれだけじゃない、施設内に武器や弾丸の販売所を作り、会場で消費した弾薬の補充やグレネードといった消耗品を買えるようにする。これは他の企業の店を用意するのもありだが、施設内で販売した売り上げの一部を徴収する。武器だけじゃなく、食べ物の販売も同じだ。観戦しながら軽食を食べるように出来ればちょっとしたテーマパークみたいなもんになる」

 

ワンチャン、カイザーPMCが武器販売に関わってくれるなら売り上げを上げる事も出来るだろう。

 

「案はいいが、参加者はどうやって集めるつもりだ?わざわざ手の内をさらすような事をする頭の悪い奴らは傭兵でもそうそういないだろう」

 

「参戦者を増やす方法は簡単だ、金だよ。金、つまりは賞金だ。参加費として前金を払い、勝てば更に賞金を出す。負けたチームへの賞金は無し。参加したくなるよう仕向けるなら、参加中の場合のみ、施設内での武器の購入や軽食の購入料金が割引される、これでどうだ?」

 

プレゼンなんて、やったことがない。

経験としてあげるなら精々、学校でやった研究発表くらいだ。

後は漫画やラノベ、ドラマにアニメで見た交渉を真似ているだけ。

本物の大人なら、もっと良い交渉や案が浮かぶんだろうが俺には無理だった。

大人になりきれない俺が、責任を取ることを恐れる俺がギャンブルを選ぶ、子供に賭け事をさせることを選ぶ。

はは、間違いなく大人失格だよ俺は。

 

「ふむ、悪くない。だが……その戦闘は何処で行うつもりだ?」

 

「それに関してはまだ未定だ、廃校になった学校の校舎を使うなり方法はいくらでもあるさ。んで、理事殿どうだい?このプラン、乗ってくれるか?」

 

「いいだろう、融資の方は此方で進めておく」

 

「んじゃ、こっちも計画を更に練り直しとくよ。ありがとうカイザー理事殿、俺達はこれで失礼する」

 

そう言いながら立ち上がり部屋のドアノブに触れようとした時、カイザー理事は口を開いた。

 

「奴と似た雰囲気を持っているが、ずいぶんと違うのだな」

 

「だから、なり損ない。そう思わないか?俺にはあんな大人として完璧とか無理なんでね」

 

そう言いながら俺とケイはカイザーローンから出てブラックマーケットを歩く。

 

「先生、良かったのですか?あのような態度で」

 

「まぁ、俺もどうかと思うよ?でも交渉は常に強気で行けって何かでみた気がする。だからまぁ、大丈夫だろ。カイザー理事も融資を進めてくれるらしいしな」

 

「では、今夜の宿はどうするのですか?」

 

「あ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数週間、無事カイザー理事から融資を受け取る事が出来た俺とケイは売りに出されていた廃校を買い取り、そのままそこを施設兼家として運用していた。

廃校にある体育館を戦闘エリアに改造し、体育館の二階を観客席として整備した。

校舎に関しては、体育館に近い教室は物販エリアとして軽食や弾丸等を提供して貰う予定だ。

校舎に関しては、スタッフルームや俺達の家として利用している。

店名、というか施設名は『クランバトル倶楽部』。

参加者は2人チーム『バディ』となり2対2のチーム戦を行い、相手を戦闘不能にすることで賞金を貰えるというルールだ、負ければ当然追加報酬はなし。

観客にはどちらのチームが勝つかの賭博を行わせ、掛け金の二割を手数料として徴収する。

思ったよりもクランバトルは人気となり、一つの試合で最初と比べればかなりの額が動くようになった。

他にも軽食や銃の販売でも利益をあげている、

銃機類に関してはカイザーPMCクランバトル店が施設内に設置され、場所代として月の売り上げの2割を貰う形で業務提携をしている。

ケイにも迷惑は掛けているがなんとかこうしてこの世界で無事生きることが出来ている、主にスケバンとかの対応とかで迷惑をかけているのは仕方ないだろう。

あれから、このタブレット端末について様々な事が分かった。

このタブレット端末は当然だがアロナ、プラナは存在しない。

そのため本編で先生が見せたバリアの展開、所謂アロナバリアが発動できない状況なのだ。

あとこのタブレット端末の名前と思われるものが分かった。

このシッテムの箱のようなタブレット端末の名前は、恐らくはパンドラだろう。

以前充電切れとなったこのタブレットを起動した際に最初に『P.A.N.D.O.R.A.』と表記されてから、俺はこれをパンドラの箱と呼ぶことにした。

名前の元ネタを考えるにギリシア神話に登場するパンドラの箱だろう。ゼウスがパンドラに与えたで箱で、中には病気、憎悪、犯罪、争いなど、あらゆる悪や不幸が封じ込められていたとされていた。

だがパンドラが好奇心から箱を開けてしまったため、地上には災厄が広がったとされている、まぁ、こんな内容だ。

パンドラの箱を手に入れ、何故かケイを呼び出し共にクランバトル倶楽部を作り上げた。

拠点を確保して少し余裕のある生活をしていた俺とケイだったが、ある日。

 

パンドラの箱に、見覚えのある封筒が表示された。

 

 







■■■■の箱、情報更新

『パンドラの箱』
なり損ないが持つ、シッテムの箱と似た灰色のタブレット端末。アロナバリア?そのようなものはありません。

先生、新たな生徒のようです。雰囲気がずいぶんと違うと思いますがよろしくお願いします。

ご愛読ありがとうございます。
お気に入り登録や高評価、感想等を頂けると続きを執筆するモチベーションとなりますので書いてくださると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。