神奈子との決戦から1ヶ月後、傷もとっくに癒えたバーンと変わらぬ紅魔館の日々を過ごす紅魔館のメンバー達
「あたいの勝ちね!やっぱりあたいってば最強ね!」
「むー!でもあたしが勝ち越してるもんねー!」
試合を行っていた二人、今回はチルノが勝ったようだ
「イッテー!反則だろ妹紅!含み弾幕なんてズルいぜ!」
「勝てば良い!それが全てよ!……ワリィ、思い付いたからちょっと試したかったんだよ」
「小細工なんてするなよな!弾幕はパワーだぜ!」
同じく試合をしている魔理沙と妹紅、今日も変わらず研鑽に励む
「……魔力の力が完全に同じじゃ無いわね……氷が少し強い……」
ブツブツと独り言を言っているのはパチュリー、魔法の修行の様だ
(頼もしい事よ……)
その光景を見ながら魔導書を読むバーン、今は鍛練を各々に任せ必要があれば助言をしたり相手をしたりしている
((我が主よ応えよ……我はここにいる!))
「むっ……」
突然バーンに謎の声が語りかける
(魔力を使った念話……)
謎の声は魔力を使った念話と察したバーンはその念に応答を試みるがバーンの魔力に反応を示さない
(……応えぬか、主の魔力のみに応える様だな)
バーンの魔力に応えないその魔力は主の反応が無いのを知ったのか去っていった
(魔力の出所は……)
去った魔力の後を魔力で追う、暫くした後、魔力はある場所で収まった
(……出所は香霖堂からか)
魔力は香霖堂から発せられた物だと確認したバーンは立ち上がり告げる
「香霖堂へゆく、鍛練に励め」
そう言うと誰の返事も待たずに歩き出すバーンに魔理沙が話し掛けた
「すぐ戻ってくるんだろ?帰ったら相手してくれないか?」
「よかろう」
承諾すると図書館を出ていった
「いきなりどうしたんだ?パチュリーわかるか?」
いきなり香霖堂に向かうと言い出したバーンの意図が分からない妹紅はパチュリーに首を傾げる
「私にも分からないわね、まぁ良いじゃない、たまにはバーンだって1人で何かしたいのよ」
「ふーん……まぁ良いか」
とりあえず納得した妹紅はバーンだけズルイと喚くチルノとフランを宥め始めた
香霖堂
「邪魔をする」
ルーラで香霖堂へ来たバーンは店内へ入った
「いらっしゃい、ここは道具屋だよ……バーンじゃないか、どうしたんだい?」
「少し気になる物がある」
霖之助へ軽く返事をしたバーンは迷いなくその物へ向かう
(主を呼んでいたのはこの剣か……)
バーンが向かったのは壁に飾られている大剣、翼の生えた悪魔の様な柄、口から吐き出す様に鋭利な両刃が生えている
「アラストルがどうかしたのかい?」
アラストルと呼ばれる剣を凝視するバーンに霖之助が聞いた
「……この剣が主を呼ぶ声を聞いてな」
「へぇ、君の所にも来たのか、ずっと呼んでいるんだよこの剣は……持ち主が来ないって事は多分異世界にいるんだろうけど」
霖之助の考察を聞きながらアラストルを凝視するバーンはある事に気付き目を見開いた
(こ、この刃に着いた魔力は……これはまさか……)
アラストルの刃から滲む僅かな魔力に気付く
「どうしたんだい?」
バーンの変化に気付いた霖之助が尋ねる
「……良い剣だと思ってな、この剣は強い力を持つ魔が自身を剣に変えたのだろう……まさに魔剣」
「流石大魔王だ、見ただけで分かるなんてね」
能力を使っても名前と用途しか分からない霖之助はバーンの説明に感心する
「……邪魔をしたな」
直ぐ様踵を返し店を出ていくバーン
「……見に来ただけかい?」
出ていったバーンがルーラで帰るのを見て霖之助は1人呟いた
「おっ!帰って来たな!勝負だぜ!」
図書館に戻ったバーンに魔理沙が箒を突き立てる
「よかろう、来い魔理沙」
「頑張れよ魔理沙ー!」
妹紅が応援する中、二人の試合は始まった
同時刻・レミリアの部屋
「何を読んでおられるのですかお嬢様?」
レミリアの私室を掃除しながら咲夜が尋ねた
「……これはね、力が全てと考える者がより強大な力に倒されてしまうお話、ありきたりな物語だけど中々面白いわ」
本を片手に紅茶を飲みながら答える
「面白そうですね、私にも読ませて貰ってもよろしいですか?」
「もうすぐ読み終わるからその後でね……アツッ!?」
本に気をやり過ぎて紅茶を服に溢してしまう
「大丈夫ですかお嬢様!」
「え、えぇ大丈夫よ咲夜……」
レミリアの服を大慌てで拭く咲夜に答える
(熱がるお嬢様カワイイ!!)
鼻から忠誠心を出すのを必死で堪えながら拭く咲夜
「替えを持ってまいります」
何故か鼻を押さえながら小走りで咲夜は部屋を出ていった
「ふぅ……」
咲夜が着替えを持ってくるまでの間、再び本を読み始める
(なーんかバーンに似てるのよねこの話に出てくる奴……)
レミリアがそんな事を思っている時に図書館ではバーンと魔理沙の試合は終わっていた
「ぜぇ……ぜぇ……クッソー勝てないぜ……」
倒されて床に寝ている魔理沙は天井を見ながら悔しがる
「そう悲観せずともよい、お前は強くなった」
椅子に座るバーンが魔理沙の成長を認める
「手加減されて全く敵わないのにかぁ?」
機嫌悪そうに話す魔理沙、神奈子との戦いで今のバーンの全力を知る魔理沙は嫌味を言われているように感じている
「それでもお前は余に勝とうとしている、今は敵わなくとも力を蓄えればいずれ余に肉薄する事も可能だろう」
(あの者達の様に……)
記憶に残る者達を思い出す、バーンにとって忘れられぬ記憶
バーンがそんな昔の事を思い出していたその時に魔理沙が聞いた
「バーンって私達の相手をしてくれるけどさ、バーンは楽しいのか?私達じゃ相手にならないだろ?」
魔理沙の問いにバーンは一瞬だけ間を置いて答えた
「楽しいね」
バーンが出した言葉に魔理沙は凍りついた、バーンの言葉もそうだがその冷たい表情に
「ハ……ハハ……全然面白くないぜ?バーン……」
何とか軽口を捻り出した魔理沙にバーンが語り出す
「お前は面白くないのか?鍛え上げて身に付けた強大な力で弱者を思うようにあしらう時、気持ちよくはないのか?優越感を感じないのか?」
「わ、私はそんなつもりじゃ……」
否定の言葉を出すがバーンの語りは止まらない
「お前は異変をスペルカードルールにより解決するまでやり直すのだろう?挑む度に鍛え、越えていく、そして越えた瞬間にその者はお前にとって弱者となる、そこに優越感は無いのか?」
「うっ……」
魔理沙は反論出来なかった、神奈子達や鬼の様な例外はいるが魔理沙が挑み、勝ってきた者は魔理沙にとって弱者になる、そして勝った事に喜びを感じている事も事実だから魔理沙は口ごもるしか無かった
「じ、じゃあお前は弱い私達をあしらうのが楽しいから今まで相手をしてくれてたって事か?」
魔理沙は聞いた、いつもなら冗談混じりに笑いながら魔理沙は話すだろう、だが今回はいつもの陽気な会話とは違う
「それを知ってどうする?」
「良いから答えろ!」
いつの間にか魔理沙に怒りが見えている
「……そうだ、だが余が……」
「もういい!!」
バーンの言葉を遮り魔理沙が叫んだ
「お前がそうゆう奴だってのに気付くのが遅かったぜ!もうここへは来ない!」
バンッと床を叩いた魔理沙はバーンに告げた
「次に来る時はお前を倒す時だぜ!」
バーンに怒鳴った魔理沙はそのまま紅魔館を出ていった
「……」
無言で魔理沙が出ていったドアを見つめたバーンは気にする素振りを見せず魔導書を読み始めた
「バーン……聞いてたけどさ、ちょっとあれは酷いと思うぞ」
様子を見ていた妹紅が苦い顔でバーンに近寄る
「……お前は違うのか?」
「そりゃあ……確かに私にその気持ちが無いとは言えないさ、でもさ、言い方って物があるだろう?あれじゃあ私達はバーンの遊び道具みたいじゃないか」
「その様な意味で言ったつもりは無いのだがな」
「……魔理沙が出て行ったのが結果だよ」
「……」
バーンが何も返さないのを見た妹紅は溜め息をついて出口に向かい歩き出した
「魔理沙を探して来る、あいつに謝る言葉を考えてとくんだね」
そして妹紅も紅魔館を出ていった
「はぁ……不器用ね貴方って」
「……」
返事をせずに魔導書を読み続けるバーンに呆れた様にパチュリーが言った
「最後……何か言おうとしてたわね、言いたい事は分かってるつもり、せめて順番が逆だったらこうはならなかったかもね」
「……かもしれんな」
魔導書を読みながら呟くバーン、彼も思うところがある様だ
「もぉー!喧嘩しちゃダメだよバーン!」
「帰って来たらちゃんと魔理沙に謝りなさいよ!」
フランとチルノがバーンに言い寄る
「あの……みんな仲良くしたいです……」
大妖精が涙を滲ませバーンに訴える
「……わかっておる、泣くな大妖精」
大妖精の頭を撫でたバーンは静かに魔理沙の帰りを待つ事にした
「……やっちまったぜ……」
空を飛びながら魔理沙は後悔していた
「喧嘩する気は無かったんだけどなぁ……でもあの言い方は無いよなぁ……誰だって怒る、私は怒った」
どこへ行くわけでもなくブラブラと空を漂いながら1人呟きは続く
「まぁ啖呵切っちゃったもんはしょうがないぜ!絶対にバーンをギャフンと言わしてやるぜ!」
前向きに考えた魔理沙はバーンを倒す方向へシフトした、どうやら彼女に謝るつもりは無いらしい
「となれば修行だけど……先にミニ八卦炉を調整して貰うか、使い過ぎてガタが来てるからなぁ……」
懐から取り出したミニ八卦炉を見ながら呟く魔理沙、彼女のミニ八卦炉はバーン達との修行で酷使し過ぎた為に色々と不具合が出ていた
「よっし!香霖堂に行くぜ!」
魔理沙は香霖堂へ向け箒を飛ばした
紅魔館
「あら、魔理沙と妹紅は帰ったの?」
図書館へやって来たレミリアが皆に聞く
「喧嘩した家出少女を姉が探しに行ったって所よレミィ」
「何それ?」
パチュリーの例えに疑問符の浮かばす
「どうゆうことバーン?」
「……」
返事がない、ただの読書家の様だ……
「ははーん、喧嘩したのはバーンと……魔理沙って所かしらね、それを妹紅が探しに行ったと」
「正解よレミィ、それで今は妹紅が連れて帰って来るのを待ってる訳」
「原因はどうでも良いけどバーン、貴方に言っておく事があるわ」
「……なんだ?」
「花は大切にね」
ニコリと笑うレミリアはパチュリーと談笑を始める、そこから少し離れたバーンは魔導書を読みながら返事をする
(……わかっておる)
香霖堂
「酷いなこれは……」
渡されたミニ八卦炉を見た霖之助が思わず呟いた
「よくもまぁここまで痛めたものだよ、後少しでバラバラになる所だ」
ミニ八卦炉を分解しながら損傷具合を見た霖之助はまた呟く
「使いまくったからな、私もよく持ったと思うぜ!」
ミニ八卦炉の状態を聞いて面白そうに笑う魔理沙
「状態を全部見るから商品でも見てると良い」
「直せそうか?」
「ギリギリだけど大丈夫そうだ」
「わかったぜ」
そう言うと魔理沙は店の奥に向かう
「おっ!ナビィじゃないか!久しぶりだぜ!」
「あ、魔理沙!いらっしゃい、どうしたの?」
店の奥で異世界の妖精ナビィを見つけ挨拶する
「ちょっとミニ八卦炉の修理にな、なんか面白い物とかあるか?」
「うーん……面白い物ねぇ……」
ナビィが思案していると魔理沙が何かを見つけ指差した
「あれは何だぜ?えらく厳重にしてあるけどさ?」
魔理沙が見つけた物は大きい箱、箱を鎖で覆いかぎを掛け魔術の封印をしている
「危ない物らしいわ、危険だから触っちゃダメだって言われてるの」
「ふーん……」
「何か無いか探して来るわ、ちょっと待ってて」
ナビィは店の表へ飛んでいった、一人残された魔理沙は封印してある箱に近付き触る
「……結構強力な封印だな、でもこれぐらいなら……!!」
魔理沙が魔力を込めると封印は解かれてしまう、以前の魔理沙なら解く事は出来なかったがバーン達との修行で強くなった魔理沙は強力な封印をわりと簡単に解いてしまう程になっていた
「鍵はバーンから習った魔法でと……アバカム!」
箱を覆う鍵付き鎖と箱の鍵をバーンから習った解錠呪文で開ける
「何が入っているかなぁ?……これって……」
箱の中に入っていたものそれはナイトメアと呼ばれる兵器のコア、破損してしまい更に動力の魔力が無いので今は停止している状態
「前に見た魔道具じゃん……」
以前バーン達と香霖堂に来た際に見た物体、霖之助がバーンに地上を侵攻する為の物と説明した物だが説明の場に魔理沙は居なかったので魔道具と誤解したままの物
「……これだけ厳重に封印してあるって事は凄い魔道具って事だよな!三種の神器並みだったりして!」
良く観察せずに期待だけを膨らませていく魔理沙、危険な物だとは考えていない
「決めた!これを使いこなしてバーンをギャフンと言わせてやるぜ!」
ナイトメアを魔道具と決めつけた魔理沙はバーンへの対抗心も手伝い、ナイトメアを持ち上げた
「ミニ八卦炉は……また今度にするか、さぁてバレないように裏口からオサラバだぜ!」
香霖堂の裏口から出た魔理沙はナイトメアを抱え飛んでいく、そしてそのすぐ後にナビィが店の奥に戻って来る
「良い物があったわって……あれ?魔理沙?」
辺りを見回しても魔理沙は居ない、そこに霖之助が現れる
「調整に2日程貰うよ……魔理沙はどこに行ったんだい?」
「私も分からないの、さっきあの箱の……あっ!!」
ナビィが驚愕の声をあげた
「開いてる……」
「何だって!?」
気付いた霖之助が箱に近付き中身を確認するが既にもぬけの殻
「大変な事になった……妖怪ならまだしもよりによって魔法使いの魔理沙が持っていくなんて……」
焦りを見せながら立ち上がる
「ど、どうするの?」
「決まってる魔理沙を止めないと!魔理沙の家に行ってみる、ナビィは留守番を頼む!」
ナビィに留守番を任せると霖之助は急いで魔理沙を探しに出て行った
「おーす!久しぶりだぜアリス!」
「いらっしゃい魔理沙、あら?何なのそれ?」
ナイトメアを持った魔理沙は家に帰らずにアリスの家に来ていた
「魔道具なんだけどまだよく分からなくてさ、一緒に調べてくれないか?」
「それが魔道具?わかったわ、見てみましょう」
机にナイトメアを置き二人は色々と調べて見たがよくわからない
「これ本当に魔道具?確かに材質は魔道具特有のだけど……壊れてるみたいだしガラクタじゃないかしら?」
ナイトメアをコンコンと小突きながら疑問気に言う
「うーん……大事に保管してあったからそれはないと思うんだけどなぁ……」
魔理沙もナイトメアを見つめながら呟く
「……魔力込めてみるか」
ふと思い立った魔理沙が呟きナイトメアに手を添える
「無駄だと思うけど……」
魔力を込め始めた魔理沙を眺めているとナイトメアが反応を示した
「おっ!動いたぜ!」
「あら本当ね」
ナイトメアがカタカタと動きだしたのを見て喜ぶ魔理沙
「……何か出してるわね」
アリスがナイトメアの変化に呟く、ナイトメアのコアから灰色の液体が生成され少しずつ広がっていく
「何だぁ?汚いな……アリス、外に出そうぜ」
ナイトメアのコアを持ち上げると魔理沙は外へアリスと共に出ていく、ナイトメアから生成された液体はコアから離れずにぶら下がったまま付いていく
「……結構変な液体出したけどそれだけだぜ、何なんだコレ?」
コアを覆い尽くし、二回り程大きくなったナイトメアを見ながら魔理沙は益々疑問に思う
「コレ……魔力を自己生成してない?少しずつだけど」
アリスがナイトメアの魔力の生成を感じ魔理沙へ告げる
「えっ?本当かアリス?」
魔理沙がアリスへ顔を向けた瞬間、アリスの表情が変わった
「魔理沙!!」
アリスが叫んだ時にはナイトメアは魔理沙の体に液体を覆う様に被さっていた
「な、何だ!」
被さって来た液体を振り払おうとするが液体は離れない
「コイツ……私の魔力を吸い取ってる!?」
自身の魔力を吸い取られている事に気付いた魔理沙はアリスに助けを求める
「アリス!コイツを吹っ飛ばしてくれ!」
「わかったわ!」
アリスがコア目掛けて魔法弾を当てるとナイトメアは魔理沙から引き剥がされて地面に落ちる
「大丈夫魔理沙?」
「ああ、結構吸われたけど大丈夫だぜ、それより……変な液体がかなり増えたな」
魔力を吸われたが怪我は無い魔理沙は吹き飛んだナイトメアを見て徐々に危険を感じ始める、魔理沙から奪った魔力を元に更に自己生成を行っており、5メートル程の量のゲル状の液体を広げていた
「もう完全に球は隠れちゃったしね……どうするのアレ?壊す?」
アリスも危険を感じ処理方法を持ってきた魔理沙に尋ねる
「……そうだな、危なそうだから壊そうぜ!」
「わかったわ!」
二人同時に弾幕をナイトメアに浴びせる
「効いてない!?」
放った弾幕を液体が飲み込んだのを見てアリスが驚く
「あの球をどうにかしないといけないみたいだぜ……」
「でもあの液体で守られているのにどうやって?」
「それは……」
液体をどうにかしようと思案しているとナイトメアが液体を魔理沙達に数滴飛ばしてきた
「……避けろアリス!」
「えっ?」
払い除けようとしたアリスに魔理沙が叫んだ
「ッ!?イタッ!!」
液体はアリスに触れた瞬間、一瞬で凝固し氷柱の様に刺を出しアリスの腕を引き裂く
「大丈夫かアリス!」
牽制の弾幕を放ちながらアリスの安否を確認する魔理沙
「大丈夫よ、少し切れただけだから、それより攻撃が効かないのが問題ね、どうするの?」
「普通の弾幕じゃダメみたいだな、じゃあパワーで球ごと吹き飛ばしてやるぜ!私のマスタースパークでな!」
ミニ八卦炉を取り出そうとした魔理沙は懐に手を入れて青ざめた
(そうだった……調整に出してたんだったぜ……)
霖之助に調整を頼んでいた事を思いだした魔理沙はナイトメアをどうするか別の方法を考え始める
「!?魔理沙見て!」
アリスに促されナイトメアを見た魔理沙はその様子に叫んだ
「逃げる気か!」
地面に同化していき消えていくナイトメア
「逃がすか!」
弾幕を放つもナイトメアには効かず逃走を許してしまう
「……逃げられたわね、追うんでしょ魔理沙?」
「当たり前だぜ、アレが人里でも襲ったら危険だからな」
すぐさま箒に跨がった魔理沙は浮きながらアリスに告げる
「アリスは魔法の森を探してくれないか?私は広く探してみる」
「わかったわ、気を付けてね魔理沙」
「アリスもな!」
飛んでいった魔理沙を見送ったアリスは愛用の人形を持ち捜索に向かった
「家にも居ない……どこに居るんだ魔理沙」
魔理沙の家を訪ねた霖之助が呟く、急いで来たので息を切らしながらも魔理沙の行き先を考え始める
(友人のアリスの所か……バーンの居る紅魔館かだな)
今までの傾向から行き先を予想した霖之助は走り出そうと足を出す
「霖之助じゃないか、霖之助も魔理沙に用事か?」
そこへ妹紅がやってくる
「ちょうど良かった!魔理沙を探してるんだ、どこにいるか知ってるかい?」
「……どうしたんだそんなに慌ててさ?何があったんだ?」
霖之助の慌てようにただならぬ物を感じた妹紅
「……君も前に見たナイトメアを覚えてるかい?」
「えーと……確か地上の侵攻のやつだったな、それがどうしたんだ?」
「……魔理沙がそれを持ち出したんだ、封印を解いてね」
「何だって!?」
霖之助から詳細を聞いた妹紅は驚愕する、本当に地上を侵攻する為の物なら危険極まりない代物だからだ、そして霖之助の本気の表情がそれが本当だと思わせた
「どこにいるか分かるかい?」
「いや、私も魔理沙を探してたんだ、今ちょっと事情があって魔理沙は紅魔館に戻らないんだ……」
「だとすればアリスの所か、それか霊夢の所といった所だね……僕はアリスの所に向かう、君はバーンにこの事を伝えてくれないか?彼の知恵を借りる事になるかもしれない」
「わかった!気を付けろよ!」
そして二人はすぐに別れて駆けて行った
「クッソー!どこに行きやがった!」
上空から捜索する魔理沙は魔法の森の近辺を探していた
(早く何とかしないとヤバイ事になる!クソッ!バーンがいたら……)
ハッと気付いた魔理沙は頭を振り思い出した
(何言ってんだ!バーンに頼ってどうするんだ!あいつとは喧嘩してるんだ、あいつ無しでもやってやるぜ!)
ヨシと意気込んだ魔理沙に遠くから声が聞こえる
「何だ……悲鳴?……まさか!?」
ナイトメアが誰かを襲っていると直感した魔理沙は声のする方へ急ぎ箒を飛ばした
「おわああああぁ!な、何だコイツは!」
ナイトメアに襲われていた少女は逃げ惑っていた
「ゲッ!?行き止まり!?」
岩壁が少女の逃げ道を塞ぎ、少女をナイトメアが追い詰めた
「わ、私とやろうってのか?良いのか?ぎったんぎったんにしてやるぞ?」
強がるが腰が引けている上にナイトメアに言葉は通じない、ナイトメアが問答無用とばかりに液体を放つ
「ひゅい!?」
ナイトメアの攻撃に少女は目を閉じ身構えた
「大丈夫か!」
そこへ間一髪魔理沙が間に合う、飛ばした液体とナイトメアに弾幕を放ち攻撃を抑える
「……魔理沙?」
目を開けた少女は助けに来た魔理沙を見て呟いた
「にとりか!こんな所で何してる!」
魔理沙も少女を知っていた、少女は河城にとり、妖怪の山に住む妖怪エンジニアの河童である
「あた、あたしは何か面白い物が無いか探索してたらこの変なドロドロに襲われたんだ!」
「!!にとり隠れてろ!」
ナイトメアが魔理沙達に攻撃を放ったのを見て魔理沙が応戦しながらにとりを逃がす
「何なんだよアレは……魔力で生成したゲル状の液体に、それからアレは……」
隠れながら魔理沙の戦いを観戦するにとりはナイトメアを分析する
「クソッ!やっぱりダメか!」
やはり弾幕が効かない事に歯噛みする魔理沙、それでも攻撃を止めない、攻撃が効かないナイトメアは弱る事は無い、だが魔理沙の体力と魔力は確実に減っていく……
紅魔館
「バーン!大変な事になった!」
紅魔館へ戻った妹紅がバーンに駆け寄る
「どうした?」
魔導書を読むバーンは慌てる様子も無く詳細を尋ねる
「魔理沙が香霖堂にあったナイトメアを持ち出したんだ!起動したらマズイ事になる!」
「……それで?余にどうしろと言うのだ?」
ナイトメアが起動した際の危険性を訴える妹紅にバーンは冷静に聞く
「決まってるだろ!魔理沙を止めに行くんだよ!もしナイトメアが起動してたら止めないと!」
早く行くぞと促す妹紅だがバーンは動かない
「お前達で何とかするのだな、余が出る必要は無い」
魔導書を読みながら冷徹に告げる、力は貸さないと
「あー!もういい!チルノ!手伝ってくれ!行くぞ!」
「あたいの力が必要なのね!わかったわ!」
バーンの協力を諦めた妹紅はチルノを連れて出て行こうとする
「待て妹紅……」
それをバーンが呼び止めた
「何だよ!急いでるんだ!」
協力を拒んだバーンにイラつきながら聞き返す
「博麗の巫女を連れて行くが良い」
「……霊夢を?何でだ?」
霊夢を連れて行けと言うバーンの意図がわからない妹紅は説明を要求する
「おそらく奴の力が必要になるだろう」
それ以上は話さなかった
「……わかった」
それ以上話さないバーンに問答を諦めた妹紅は一先ず助言に従う事にしてチルノと共に博麗神社へと向かった
「貴方は行かないの?」
傍に居たパチュリーがバーンに聞いた
「お前も行かぬではないか」
「私には興味無い物だからね、傍観するの?」
「……」
バーンは答えない、魔導書に目を向けたまま指だけがページをめくる為に動く
「放っておきなさいパチェ、バーンに何もかも押し付けるのは良くないわ」
「そうね……レミィの言う通り、幻想郷の事は幻想郷の者が解決しないといけないわね」
納得したパチュリーはそれ以上バーンに言う事はなかった
「あの……バーンさん……」
「……どうした大妖精?」
もじもじと話しづらそうに大妖精とフランがバーンに寄る
「その……出来ればチルノちゃん達を助けてあげてください……私の力じゃ無理なので……」
「あたしはお昼は出れないから無理なの、日傘したままじゃ戦えないし……行ってあげてよバーン!」
「……」
「お願いします!」
答えないバーンにお願いすると二人ははすぐ離れていった
「……」
変わらず魔導書を読むバーン
その指は次のページをめくる事無く止まったまま……
ナイトメア起動!
ナイトメアについて補足、ゲーム・デビルメイクライに出てくる地上侵攻の為の兵器でその力は魔界を滅ぼす程、その危険性は持ち主すら危険視し一種の制御装置とセットで運用していた程。 気になったら調べてみてくださいより詳しい事がわかります。
クロス内容が漫画とゲームなのでわかんねーよ!ってなるかもしれませんがどうか生温かい目で見てやってください……