「ったく好き勝手暴れやがってこの野郎……」
魔理沙は怒っていた
「よくも私達の暮らす幻想郷を荒らしてくれたな!」
怒りのままグリフォンに怒鳴る
「グォオオオオ!!」
グリフォンも負けじと威嚇し体に電撃纏わせる
魔理沙がグリフォンを追う最中、幻想郷の空を飛びながらグリフォンは電撃を無差別に撃ち続けていた、そのためグリフォンの通った道は電撃により穴だらけになり更に被害者まで出ていた
「お前は許さないぜ!絶対にだ!覚悟しやがれ!」
魔理沙は空を駆けた、そして弾幕を展開しグリフォンに放つ
「グォオオオン!!」
電撃を棒状に縦に並べて放つ、それは電撃のカーテンの様になり魔理沙の弾幕を消しながら迫る
「おっと!力だけで雑な弾幕だぜ!この間から避けてくださいって言ってる様なもんだ!」
電撃の隙間を抜けた魔理沙はグリフォンへ一直線に向かい、擦れ違い様に弾幕を浴びせる
「効いてるのかよくわからないな……ナイトメア程耐性があるわけじゃなさそうだけど……」
手応えはあるがピンピンしているグリフォンに渋い顔で呟き一旦距離を取る
「こんなボスキャラは弱点があるのが相場なんだが……」
グリフォンの電撃を回避しながら注意深く観察してみる
「……よくわかんねぇや、まぁ良いか!撃ち続けたらその内死ぬだろ!」
弱点の発見を諦めた魔理沙はグリフォンへ弾幕を放ち続ける事を決め飛び込んで行く
「魔符「スターダストレヴァリエ」!!」
星形の弾幕を展開しグリフォンを囲む
「私の弾幕は痛いぜぇ?」
魔理沙の合図で星弾はグリフォンに向かう
「グォオオオオオオッ!!」
電撃で打ち消そうとするが数が多過ぎて消しきれず星弾はグリフォンに命中し爆煙があがる
「さぁてどうだ……?」
今度も手応えはある、爆煙を眺めながら呟く魔理沙
「!!」
煙が揺れるのを見逃さなかった
「なんだぁ!?」
煙の中から赤い何かが魔理沙目掛け突進してきた
「なんだこいつは!?電気の鳥か!?」
逃げる魔理沙に何かは追従してくる、赤い電撃を鳥の形にした電鳥をグリフォンは放ったのだ
「妹紅の不死鳥みたいなもんか……これでも食らいな!」
逃げながら後方に弾幕をバラ撒く、弾幕は追う電鳥に命中し電撃を発しながら薄くなっていく
「そら!」
最後に強めの弾幕を放ち電鳥に命中させる
「っしゃ!」
消し飛んだ電鳥を見てガッツポーズを決めた魔理沙は前に向き直す
「!?」
眼前にはグリフォンが待ち構えていた、電鳥を囮に魔理沙の前に回り込んでいたのだ
「グォオッ!!」
体から放電しながら電撃のカーテンを放つ
「くおおっ!?」
箒を力ずくで強引にルートを変え電撃のカーテンをギリギリで回避した魔理沙とグリフォンが擦れ違う
「あああっ!?」
魔理沙が悲鳴をあげた、グリフォンの纏う電撃が擦れ違い様に一瞬だが魔理沙に触れていた
「かっ……こんの野郎……」
体の痺れとダメージを感じながら一瞬ふらつきながらも飛行を続ける魔理沙はグリフォンを睨む
(魔力で体を覆ってなきゃ黒焦げだったぜ……攻撃用の電撃じゃなかったからこれで済んだけど……流石にアレを直接は食らいたくないな……)
ただ身に纏う電撃でさえダメージがある、それを攻撃用の電撃で受ければ間違いなく高いダメージ、若しくは重傷は免れない
(近付くのも危険……かといって遠距離から弾幕でも効いてるかわからない……さてどうするか……今マスタースパーク撃っても避けられるのがオチだし……)
「!!……ちっ!」
模索している魔理沙にグリフォンが電撃を放つべく魔力を口内に溜め始める、それを見て回避すべく身構える魔理沙
だが……
「グォオ!?」
電撃を放つ間際、グリフォンを謎の弾幕が襲い攻撃は中断される
「……あのシルエットは……まさか……」
紅霧の中に見える何かを構えたシルエットに魔理沙は見覚えがあった
「あら……魔理沙だったのね、あの異常にバカでかく育ったスズメを追いかけてた小さいのは」
「幽香!」
紅霧から現れたのは風見幽香、幾多の悪魔の返り血を浴びているがキズは皆無
「無事だったんだな幽香!」
幽香の無事に笑顔が出た魔理沙だが幽香は不機嫌そうに顔をしかめる
「誰に向かって言ってるの……あまり私を舐めないで……殺すわよ?」
睨み付ける幽香、自分が雑魚の悪魔にやられていると思われていたのが感に触ったようだ
「殺されるのは勘弁だけど無事で良かったぜ!よし幽香!やるぜ!」
グリフォンに向き直し突撃しようとした魔理沙だが前方を傘で遮られる
「なんだよ!!」
幽香の謎の行動に抗議を入れるが幽香は見下す様に言った
「私一人で充分よ……貴方はそこで見てなさい」
「あぁ!?」
幽香を睨み付けるがフッと笑った幽香は魔理沙を置いてグリフォンに向かう
「ちぇ……相変わらず自信過剰な奴だよ……」
不機嫌な魔理沙だがすぐ思考を切り替える
(幽香一人に任せるのは心配だけど他の奴等も気になる……特に魔界にいるあいつらだ……あそこにはムンドゥスもいる……どうするべきか……)
眼前で繰り広げられる激戦を眺めながら今自分に出来る最良の選択を考える
だがその間にも時は進む、時間は残されてはいない……
博麗神社
「もうすぐだ」
博麗神社へと向かう大妖精達6人は神社目前まで来ていた
「あまり襲撃はありませんでしたね」
周囲の警戒を行う藍が話す
「そうだな、途中いくつも悪魔の死体があった、誰かこの辺りにいるのだろう」
中央で守られる慧音
「……!誰か居ます!」
先頭の鈴仙に促され博麗神社へ続く階段の前に居る誰かに注意する
「そこに居るのは誰なのだー?」
「この声は……ルーミアちゃん!」
聞き覚えのある声に大妖精が飛び出した
「ルーミアちゃん無事だった……ん……」
大妖精の笑顔がみるみるうちに曇る、遅れてやって来た5人がルーミアを見ると5人も顔が曇った
「悪魔を……食ってる……」
慧音が唖然として呟いた、ルーミアはアサルトの死体を食べながら笑っていた
「……どうしてここに?」
「悪魔がいっぱい現れたから異変だと思って霊夢を呼びに来たのだー、でも居なかったけど悪魔が入ろうとしてたから守ってたのだー、それでお腹が空いたから食べてるのだー!」
霖之助の問いに血塗れの笑顔で答えるルーミア、彼女は食人妖怪、人間が好物だが別に他の物が食べられない訳ではない、戦闘でお腹が空いた彼女は悪魔を食べて空腹を凌いでいたのだ
「そ、そうか……ありがとうルーミア、さぁ僕達と博麗神社へ入ろう、博麗神社の聖気を強化して強力な結界にする、ここは幻想郷の中でも大事な場所でもあるからね」
「わかったのだー」
「それと悪魔は食べない方が良いと思うよ……体に悪そうだ……」
「そーなのかー」
ルーミアを加え博麗神社に辿り着いた7人は霖之助の先導のもと博麗神社を守るために結界の作成に取りかかった
永遠亭
「あっ、また掛かった」
縁側から眺めていた少女が呟いた
「やっぱり悪魔って言っても低級じゃ簡単に嵌まるなぁ」
庭に空いた穴に向かい見下ろす、アサルトが落とし穴に嵌まり、穴の底に仕掛けられた槍で串刺しになっている
「ほいっと」
まだ息のあるアサルトにトドメを刺し穴を埋めてまた縁側に戻る
少女の名は因幡てゐ、永遠亭に住む妖怪兎、たまたま外出していたてゐは悪魔の襲撃に永遠亭に帰ったが誰も居らず、悪魔が竹林を抜け次々と来るので独断で永遠亭に部下の兎を匿い、罠を張りやって来る悪魔から永遠亭を守っていた
「おわぁ!?なんだこりゃあ!!」
縁側に戻ったてゐに叫び声が聞こえた
「また嵌まった奴がいるね、今度は悪魔じゃなさそうだけど……どれどれ……」
声が聞こえた方向に向かう、作動している落とし穴に向かい見下ろす
「これは珍しい奴が掛かったもんだ……あの悪名名高い鬼人正邪が掛かってるよ」
掛かっていたのは鬼人正邪、僻地から悪魔をやり過ごしながら来た彼女は迷いの竹林で迷った末に永遠亭に辿り着き罠に嵌まったのだ
「コラァ!見てないで助けろよ!」
ギリギリ槍の手前で踏ん張る正邪は必死に助けを求める
「飛べば良いじゃん」
「あ、そうか」
槍に刺さらぬ様で必死で飛ぶ事に気付かなかった正邪は穴から浮いて落とし穴から脱出する
「ふぅ……死ぬかと思った」
「あんた何してんの?逃げてきたの?」
「あー……うん、まぁ逃げてた訳じゃないよ、ちょっと行くところがあってさ」
「それで永遠亭に迷い混んで来たって訳?ここは目的の場所じゃないだろ?逃げてるじゃん」
「うっ……確かに私じゃ悪魔に敵わないから逃げながら来てここに辿り着いたけどさ……でも目的からは逃げるつもりはないよ!」
「ふーん……あんたの目的って?」
「あ、いや……それは……」
話しずらそうにモジモジとしている正邪、似合わない事をしようとしているのが自分でもわかっているから恥ずかしいのだ
「あんたの目的によっちゃ協力してやらんでもないよ?今は非常事態だしね」
「ほ、本当か?いやでも……」
協力は嬉しいがやはり恥ずかしさがある正邪は渋る
「じゃあもう良いよ、あたしゃ別にあんたがどうなろうと知った事じゃないしね、勝手に行って食い殺されて来な」
踵を返し縁側に戻ろうとする、てゐからすれば正邪が何かしたところで現状が変わるとは思えない、だから別に絶対に協力しなければならない必要は無いのだ
「ま、待ってくれ!……わかったよ、話す……」
正邪もこのままでは目的を達成出来ないと感じていた、自分に協力してくれる者はこの幻想郷にいないと思っていた正邪にはこの申し出はありがたかったからだ、だから観念して目的を話す事にした
「バーン……知ってるだろ?」
「ああ、あの大魔王って奴ね、見た事無いけど」
「そのバーンにさ、私は助けられたんだ……私が悪いんだけど敵しか居なかった幻想郷でただ1人……バーンだけが私を助けてくれたんだ……だから……」
「私は恩返しがしたいんだ!」
てゐに話した、自分に生まれた感謝の気持ちを返す目的を……
「アハハハハハ!!」
それを聞いたてゐは突然笑いだした
「可笑しいかよ!」
顔を真っ赤に怒る
「ああ!可笑しいさ!あんたが恩返しなんてね!笑わせてくれるもんだ!アハハハハハ!」
「~~ッ!!もういい!!」
てゐに背を向け怒りのままに竹林に向かう
「ふぅ……まぁ待ちなって」
その正邪を笑いを止めたてゐが呼び止めた
「あたしゃが笑ったのはあんたが似合わない事をしようとしてるからよ……あんたの目的を笑った訳じゃない」
「……」
立ち止まる正邪にてゐは歩み寄っていく
「良い目的ね、気に入ったわ、その目的に力を貸してあげる……手を出して」
差し出された手を両手で包むと光が正邪を包んでいく
「本来は人間にしか使わないんだけど今回は特別……持続するように強くしといてあげる」
「これは……何を?」
「あたしの能力は人間を幸運にする程度の能力……でもそれは私のこだわりがあるから人間を……なの、本来は誰でも効果はあるの」
光が正邪を強く包み、正邪の中へ入っていく
「これでよし、これであんたは竹林を悪魔に出会わず迷う事無く抜けれるでしょう、それから先の事は保証は出来ないけどかなり持つ筈さ……行ってきなよ」
「あ……ありがとう……」
「慣れない感謝は別にしなくて良いよ、それより早く行かないと間に合わないかもしれないよ?そこまでは責任持てない」
「……わかった!行ってくる!」
てゐに笑顔を見せた後、正邪は走り出した、その目的を果たすために
「……さて、あたしも頑張らないとね」
縁側に戻ったてゐはまた永遠亭を守るため戦いに戻った
聖輦船
「被害状況を報告!」
水蜜の声が響く
「全体損傷率3割!まだまだ大丈夫です!」
「よし!砲撃主!まだまだ聖輦船は大丈夫だ!撃って撃って撃ちまくれー!」
聖輦船は幻想郷の空を駆け悪魔を駆逐していく
「はっ!!」
白蓮の蹴りがシン、デス、蝿の悪魔ベルゼバブ、電気の集合体の悪魔プラズマを纏めて葬る
白蓮の魔法は肉体強化、バーンの居た世界で言えばバイキルト、スカラ、ピオリムを重ね掛けしている様な物、肉体的な強さは妖怪にこそ劣るが肉体強化により並の妖怪など寄せ付けない強さを誇っている
他の者も負けていない、弾幕や能力を駆使し悪魔の大群を葬っていく
(悪魔はかなり減りましたね……他の場所でも戦ってくれているのでしょう……今、幻想郷は目的の為に1つに……)
思わず口元が緩む、嬉しいのだ皆が幻想郷の為に戦っているのが……だがそんな嬉しさは聖輦船からの通信で止められる
「白蓮様!!レーダーに巨大な魔力反応があります!それと交戦する者が2つ……この識別反応は風見幽香と……」
「霧雨魔理沙です!」
「魔理沙が……!?」
自分の気に入る魔理沙が謎の、おそらく悪魔と交戦しているのを聞いた白蓮は表情を引き締める
「救援に向かいます!総員、悪魔を撃滅しつつ魔力反応の元へ!」
「了解!!」
白蓮の号令の元、聖輦船は悪魔を駆逐しながら魔理沙達の元へ向かう
side魔理沙・幽香
「おい幽香!無茶すんなー!」
グリフォンと戦う幽香に魔理沙が叫んだ、幽香はグリフォンの背に乗り殴り付けている、纏う電撃を妖怪の強靭な肉体で耐えながら
「うるさいわね!でしゃばるんじゃないわ!黙って見てなさい!」
怒鳴った幽香はグリフォンを殴り続ける、纏う電撃が体を蝕もうとするが妖力を纏う幽香の体にはあまり効果が無い
「グォオオオオ!!」
耐えかねたグリフォンが体を回転させ幽香を引き離す
「ちっ……なかなか頑丈な奴ね、誰かを思い出すわ」
再びグリフォンに突撃する幽香
「危なっかしくてハラハラするぜ……考えるどころじゃない」
幽香の強い身体能力に任せた攻防に封印の地に向かおうかと考えていた魔理沙だが幽香に付く事を決める
「加勢するぜ幽香!食らえ!」
幽香を追い越して弾幕を放ち飛び回る
「邪魔しないで!でしゃばるなと言った筈よ!」
幽香も魔理沙に負けじと弾幕を放ち飛び回る
「うわっ!?危ねぇだろ幽香!」
幽香の放った弾幕が魔理沙の眼前を通り過ぎたまらず抗議する
「邪魔だって言ってるのよ!引っ込んでなさい!」
「なんだとぉ!?加勢してやってるのになんて言い草だ!」
戦闘の最中、喧嘩を始めてしまう、他の部下達を相手にした組は連携が取れていたがここは違った、幽香のプライドの高さが災いし更に魔理沙も我が強い為に連携が上手く取れない、互いの弾幕が邪魔し合い中々グリフォンに効果的にダメージを与えれないでいた
「あーもう!構うか!こいつで吹き飛ばしてやる!」
なかばヤケクソ気味に懐からミニ八卦炉を取り出した魔理沙はグリフォンに照準を合わす
「食らいやがれ!マスター……」
撃とうとした瞬間、魔理沙の目に信じられない者が映る
「はあああっ!!」
幽香がグリフォンに突撃し傘で顔を殴打したのだ
「撃てねぇじゃねぇかバカヤロウ!!」
撃てば幽香も巻き込んでしまう、撃つ寸前で止められた魔理沙は思い切り叫んだ
「くっそ……なんだってあいつはこんな時にも協調性が無いんだ……」
頭を掻きながらグリフォンの胴体に接近し弾幕放つ
ダメージが積み重なっていきグリフォンの体が一度フラついた
「グォオオオオオオオオン!!」
咆哮と共に纏う電撃を広範囲に拡げ二人を引き離す
「またこれか!?」
電鳥を放ち魔理沙を遠ざける
「先に私を仕留めるつもりね!」
残る幽香にカーテン状の電撃を放ち、更に2本の線状の電撃を左右に放ち鋏の様に閉じる
「っ!?……この程度じゃまだまだね」
電撃を紙一重で回避していく幽香、だが彼女は電撃に気を取られ過ぎて迫るグリフォンに反応が遅れた
「がっ!?」
電撃を回避している最中、グリフォンの体が見えた時には遅かった、突進を受けた幽香はそのまま飛ばされそうになるがグリフォンの肉を掴み堪える
「やってくれたわね……ふん!」
グリフォンの肉を拳分引き千切り、背に乗った幽香は傘を突き刺しビームを放とうと妖力を高める
「風穴を空けてあげる」
バチッ バヂヂヂヂヂ
ビームを放とうとした瞬間、幽香に激痛が走った
「うあああああ!?」
激痛に身を震わせビームを撃つのを止められる
激痛の正体はグリフォンの電撃、身に纏う電撃を最大にして放電したのだ、その威力は幽香の肉体を持ってしても耐えられる物ではなかった
「幽香!!」
電鳥を始末し戻ってきた魔理沙が叫んだ、だがそんな叫びも聞こえないほど幽香は苦しんでいた
「この鳥野郎!それをやめろぉぉぉ!!」
幽香を救うべく弾幕をグリフォンに浴びせるがグリフォンは意に介さず放電を続ける
(ヤバイ……このままじゃ幽香が……こうなったら一か八か……)
意を決した魔理沙は呪文の詠唱を始める
「……マジックバリア!」
魔理沙の体を魔法力が包み込む、マジックバリア、攻撃魔法に対する耐性を付加させる呪文、バーンから教わった魔法の1つ
「あの電撃も魔力だから効果はある筈だ……行くぜ!」
グリフォンの背に居る幽香に向かい空を駆ける
「うぎぎぎぃ……!!」
電撃の中を突き進む魔理沙、マジックバリアは効果を発揮した、しかしそれでも苦痛が襲う、スピードは落ち、苦痛に顔を歪めながら幽香に近付いて行く
「幽……香……!!」
苦痛に歯を食い縛り、幽香へ手を伸ばす、グリフォンの体が動く度に少し離れては近付くのを繰り返す
「う……おおおお!!」
全身に力を込め一気に幽香の元へ駆け、幽香を掴む事に成功する
「よっし……んぅ!!」
電撃地獄の中を幽香を連れて抜け出した、脱出した魔理沙は幽香を掴んだままグリフォンから距離を取る
「はぁ……はぁ……助けてなんて……言ってないわ……よ……」
体から黒い煙をあげ、力無くうつむき魔理沙の肩を借りる幽香、肉の焼ける臭いがする、強力な電撃が肉を焼いていた
「そうだ……な……これは私の勝手さ……お前が気にする事は無いぜ……」
微笑む魔理沙だがダメージは浅い物ではない、体が焼けてこそいないがダメージと痺れが体に残っている
「ゴオオオオォ!!」
脱出した二人を発見したグリフォンが二人に向かい咆哮する
「……絶体絶命のピンチってヤツだなこれは」
「そうみたいね……」
電撃を纏い突撃してくるグリフォンを前に二人は動けなかった、ダメージと体の痺れが体を動かせずにいたのだ
「幽香……逃げろ」
「何を言って……!?」
幽香は突き飛ばされて落下していく、浮遊の力が痺れにより上手く出来ない幽香は落ちるスピードを緩める事しか出来ない
「魔理沙!!」
落下しながら叫んだ、幽香を見て微笑んだ魔理沙は八卦炉をグリフォンに構える
「こうなったらお前も一緒に地獄へ道連れだ!」
相討ちに持ち込もうと決めた魔理沙は八卦炉に魔力を込める
(!?魔力が……上手く込めれない!痺れのせいか……)
痺れが八卦炉に充分な魔力の注入を妨げ、八卦炉には全力の半分以下しか込められていない
「ハッ……悪運尽きたな私も……」
目前に迫るグリフォンに一言漏らすと手を下げただグリフォンを見つめた
「撃てー!!」
巨大な音声と共に大量の弾幕がグリフォンの側面を襲い、グリフォンの突進は中断される
「あれは……白蓮の船?」
その光景に呆気に取られている魔理沙の前でグリフォンに走る閃光が1つあった
「せあああ!!」
グリフォンを殴り怯ませる、足に渾身の魔力を込め蹴り抜いた
「グォオオ!?オオオォ!!」
凄まじい威力の蹴りに数メートル飛ばされるグリフォン、そして……
「無事ですか魔理沙!!」
「白蓮!!」
危機を救ったのは白蓮と聖輦船、悪魔を引き連れて来てはいるが魔理沙にとってはそんな事はどうでも良いくらい嬉しかった
「……怪我をしていますね魔理沙、私達に任せて休んでいなさい」
魔理沙の状態を一見で見抜いた白蓮は下がるよう促し聖輦船や仲間と共にグリフォンと悪魔を相手にし始める
「助かったぜ白蓮……でもこれじゃあ格好つかない、もう痺れも治る……加勢するからな」
体の痺れが無くなってきた魔理沙は白蓮達の戦いを見ながら焦燥感で箒を強く握り締める
「やめときなさい」
焦る魔理沙に声が掛かった
「幽香……」
声の主は幽香、痺れもほぼ無くなり満足に動ける様になった彼女は戦線に復帰する前に魔理沙の元に来ていた
「いくら軽減したって貴方は人間、その弱い体じゃ次は死ぬわ」
幽香が止める理由、それは人間、如何に魔力で覆っても妖怪に比べ遥かに弱い人間の体、平気な振りをしているが実は魔理沙の体はかなりのダメージを受けていた、それを見抜いた白蓮はこれ以上無理させないように下がらせたのだ
「……私がさ……なんで人間のまま魔法使いでいるかわかるか?」
幽香の制止に空を見上げながら問うた
「……わかるわけないじゃない」
訝しげに魔理沙を見つめる、どうやら最後まで聞いてくれる様だ
「私にもわからなかったんだよ……なんとなくって言うか気紛れみたいな感じでさ……それが今やっとわかったんだよ」
「……何なの?」
「誇りだぜ!お前も持ってる誇り……それが私が人間でいる理由だったんだぜ」
「誇り……」
「気付く切っ掛けはバーンと萃香の勝負だ、あの時レミリアが誇りについて言ってたんだけどその時はピンと来なかった……それから色々考えてたんだよ、それで白蓮を見て幽香のさっきの言葉でやっとわかった」
一呼吸置いて幽香に向き直す
「私は人間である事に誇りを持ってたんだってさ、確かに本物の魔法使いになれば寿命とか体とか色々良くなる、でもそれを良しとしなかったのは私の中に人間としての誇りがあったからなんだ……好きだったんだな、人間って種族が……」
「だからこそ私は人間のまま誇りを抱いて戦う、仮にそれで死んだってそれは私の中で満足な誇り高い死なんだ」
「だから……心配してくれるのは嬉しいけど気にしないでくれ幽香」
「……」
魔理沙から目を逸らさずにいた幽香は話が終わっても見つめ続ける何も返す事なく
(貧弱な人間が生意気に誇りを語るなんてね……でも言う通り……私にも誇りはある……誇りの有無に種族は関係無い……か……)
思わず口元が緩む、精神的な意味で魔理沙は自分と対等になったのだと感じていた
しかしそんな思いは轟音によりすぐ掻き消される
「聖輦船が!?」
グリフォンの電撃が聖輦船に直撃していた
「損傷率5割超えました!これ以上は避難者も危険です!」
オペレーターの報告が船内に響く
「白蓮様ぁ!」
それを聞いた水蜜が通信越しに白蓮に指示を乞う
「下がってください!避難者の安全が最優先です!後は私一人で構いません!他の者も聖輦船の直衛に回ってください!」
悪魔と戦う一輪達に指示を飛ばした後、魔力を全開にした白蓮はグリフォンに対峙する
「これ以上はやらせません!」
「グォオオオオオオオオン!!」
電撃を最大に纏ったグリフォンは聖輦船に突撃する、回りを飛ぶ悪魔を殺しながら
「ぐうぅぅぅぅぅ……ああっ!?」
その突撃を止める白蓮、突撃は止まったが電撃が白蓮を襲い苦痛に喘ぐ、グリフォンの電撃は白蓮が肉体強化をしても耐えられる威力ではなかった、徐々に押され、まだ避難しきれていない聖輦船に近付いていく
「私は行くぜ!止めても無駄だからな!」
白蓮と聖輦船の危機に飛び出そうとする魔理沙、それを聞いた幽香は魔理沙の横に並んだ
「少し待ちなさい……白蓮!!」
魔理沙を止めた幽香が白蓮に叫んだ
「それをこっちに!!」
「お前何を……」
突然の行動に幽香を見るが説明は無い
「……!!」
グリフォンを抑えている白蓮は幽香の声に振り向き、その瞳に強い意思と勝機を感じ微笑んだ
「……ハアアアッ!!」
抑える力を全て拳に込めグリフォンの顔を殴った、殴られたグリフォンは自身の勢いと殴打の勢いで真っ直ぐ二人へ向かう
「そういう事か!」
意図を理解した魔理沙は懐から八卦炉を取りだしグリフォンにかざす
「!!」
傍の幽香も傘を構えた
「……今回だけ貴方に付き合ってあげる」
無愛想に一言告げる
「私のスペル名……覚えているか?」
にやけながら魔理沙は返す
二人は構えたまま魔力と妖力を全て解放する
「「マスタァァァァァ!!」」
八卦炉と傘に力が集中していく
「「スパァァァァァク!!」」
絶叫と共に撃ち出された2つの極大のレーザー、それは途中で絡み合い、巨大なグリフォンを超える1つの超大のレーザーとなりグリフォンに向かった
「グォ!?グォオオオオ!?」
レーザーに飲み込まれたグリフォンは身を徐々に崩壊させていき胸の中にある弱点を露出させる
「グ……オォ……オオオオォオオォ!!」
エネルギーの奔流が弱点を砕き、飲み込まれ、消える、弱点を壊されたグリフォンは急速に全身を崩壊させていき、そして全てがレーザーの海に消えた
「フン……品の無い名ね……」
傘を下ろしながら呟く、しかし顔は魔理沙には見えないが笑っている
「言ってろ……」
顔を背けた魔理沙も笑っている
奇妙な感覚が二人を笑わせていた、力を合わせる事の未知なる感覚が孤高の強者だった幽香を笑わせ、その強者から協力を得たことが魔理沙を笑わせ
そして何より勝利が二人を笑わせた
「よくやってくれました二人とも」
体を労りながら白蓮が二人の前に現れる、グリフォンの電撃を受けた彼女も相当のダメージを受けている、3人に現れるダメージがグリフォンが如何に強敵だったのかを示していた
「傷だらけのところ悪いんだけどさ……着いてきてくれないか?力を貸してくれ!」
勝利の余韻に浸る間もなく魔理沙は二人に協力を求めた、そう、まだ戦いは終わっていない、他にも戦っている仲間がいる、そしてこの戦いの元凶ムンドゥス、戦いは寧ろこれからなのだ
「何があるっていうの?」
3人の内、ただ1人事情を知らない幽香が尋ねた
「悪魔を幻想郷に放ったクソ野郎がいるんだよ!魔帝ムンドゥスって奴だ!私が感じた限りじゃバーンより力は上だ……」
「バーンよりですって……?」
幽香の顔が引き吊る、バーンの力を知っている幽香はその瞬間、敗北感を感じたが頭を振り思考から消した
「わかっています……私も微力ながら協力しましょう、最後まで希望を捨ててはいけません、諦めたらそこで幻想郷は終わりです」
「私も行くわ……魔帝?……上等じゃない!相手にとって不足はないわ!」
白蓮に続き幽香も同意した、傷だらけの二人だが闘志にダメージは無い
「……よし!行くぜ!」
魔理沙を筆頭に封印の地に向かう3人
このグリフォンとの戦いを最後に幻想郷に放たれた悪魔はほぼ殲滅されていた
ある幻想郷の平地
「……通しなさいよこのバカ!」
封印の地、魔界から外に出て地霊殿に向かうチルノは行く手を3体の悪魔に阻まれていた
「キシュウゥゥ……」
悪魔の名はフロスト、アサルトを強化した悪魔であり余り数はいない悪魔だ
「凍ってなさい!えいっ!」
チルノが能力を使いフロストを凍らせようとする
「こいつ氷の悪魔!?」
しかしフロストを凍らせる事は出来なかった、フロストは氷を操る能力を持つ悪魔、チルノの能力は得意属性故に効かなかった
「キシュウ!!」
フロストが冷気を放ちチルノを凍らせようと3体で攻めてくる
「く……うぅ……」
チルノも能力を使い対抗する、フロストの冷気はチルノに向かう途中で止まるがチルノの顔は辛そうにしている
(疲れてなきゃこんな冷気なんてへっちゃらなのに……!?)
ファントムとの戦いで消耗していたチルノの力はかなり落ちていた、全快ならフロストが3体居ようとも冷気を押し退け凍りつかせる事が可能な程チルノの冷気の力は強い、しかし消耗した今はフロストの冷気を抑えるのが精一杯だった
「くっそー……」
こんな所で時間を取られている暇は無い、それがわかっているからチルノはこの状況が腹立たしかった
フロストの1体が冷気を放つのを止め爪を突き立て迫ってくる、チルノを刺すつもりだ
その瞬間、一陣の風が辺りを襲いフロスト達を切り裂いた
「あやや!?チルノじゃないですか!危ないところでしたね!」
フロストを切り裂いたのは文、数ヵ所に傷はあるがまだまだ元気だ
「ありがと……あたいは行くわ……じゃあね」
文の顔をろくに見ずにチルノは飛んでいく
「フラフラじゃないですか!?そんな状態で行くなんてどうしたんですか!?」
スピードも出ずフラフラと飛ぶチルノに文が詰め寄り掴んだ、フロストとの小競り合いでいよいよ体力にも限界が来ていたのだ
「バーンに……地霊殿に居るバーンを呼ばないと……」
文の胸に寄りかかりながら話した、その辛そうな表情は今にも倒れてしまいそう
「……わかりました!地霊殿ですね!」
チルノの言葉を聞いた文は詳細を尋ねず決めた
「私が送ります!掴まっててください!」
がっちり掴んだ文がチルノに告げた、自分が送ると
「なんで……?」
「貴方がそんな状態でも呼びに行こうとするって事は余程の事態なんでしょう?それにバーンさんの力が必要と思うのは私も同じだからです!」
「……ありがと文……」
文の力強い言葉に安堵したチルノは文の服を強く握った
「さぁ飛ばしますよ!!」
掛け声と同時に文は空を駆けた、悪魔も目にくれずただ一点、バーンの居る地霊殿へ駆けた
封印の地
「ちょっとパチュリー!いい加減にしなさいよ!効かないって言ってるでしょ!」
ナイトメアと交戦する霊夢が叫んだ
「日符「ロイヤルフレア」!!」
霊夢の叫びを無視してパチュリーはナイトメアのコアに弾幕を放ち続ける
「だから効かないって言ってるでしょ!」
霊夢が怒りを混じらせ詰め寄った
「……こんな所かしらね」
パチュリーは攻撃を止めた
「何がしたいのよあんたは……」
漸く止まった攻撃に呆れている、パチュリーはコアに対してずっと弾幕を撃ち続けていたのだ、多種多様の弾幕を惜しみ無く
「弾幕がかなり効きづらいのは知ってたわ、でも有効な弾幕もあるかも知れない、だから属性を変えたりしながら攻撃してたんだけど……」
「結果はアレよ……」
元気に攻撃してくるナイトメアを指差した
「大した成果は無しね……でも一応無駄にはなってないわ、ダメージは入ってるから、少しだけどね」
「……なんであんたがナイトメアに来たのよ……格闘出来ないくせに……妹紅が残るべきだったのよ……」
はぁっと溜め息をつきながら攻撃を回避する霊夢
「じゃあとっておきを見せてあげるわ霊夢」
「……期待して良いんでしょうね?」
霊夢の疑心に満ちた問いに頷いたパチュリーは霊夢と共にナイトメアへ向かう
(フフフ……足掻け……その小さき力で必死に……その先には絶望と死しか無いがな……フフ……フハハ!!)
その様を観賞するムンドゥスは不気味にたたずむ、仮にナイトメアや他の悪魔を退けたとしても後に控えるのは自分、その圧倒的な力への自信がムンドゥスの内心を笑わせる、どう足掻こうとも絶望だと……
残すは悪夢との決着、魔女と巫女は戦う、例えその先が絶望だとしても彼女達の歩みは止まらない
なんとか早めに書けれました。
グリフォン戦終了です、決着はDMC3のJackPotオマージュです。
既にお気づきの方もいると思いますが部下3戦のサブタイは各ドラクエの戦闘曲から取りました、バーンの出番がないのでせめてものドラクエ要素をと思いつけました。
次はナイトメアですが先にネタバレです、少ないです、もう3戦もやってるのでもう良いかなと思ってます。