東方大魔王伝   作:黒太陽

27 / 45
第26話 魔帝

「もうすぐ着きますよ!」

 

チルノを抱えて飛ぶ文、旧都の寸前まで辿り着いていた

 

「このまま一気に……ッ!?」

 

高速で飛ぶ文の視界に何かが映る

 

「オッオッオッオッ!」

 

ノーバディが2体飛び掛かって来ていた

 

「突き抜けます!」

 

構ってられない文はそのままノーバディに体当たりを食らわせた、かなりの速度を持った体当たりはノーバディをバラバラにし体液を撒き散らしながら絶命させる

 

「!?」

 

文の体を異変が襲った

 

「あうっ!?痛いぃ……!?」

 

抱えたチルノが苦痛に喘ぎ、文も体に痛みを感じて速度が落ち、地に降り立つ

 

「つぅ……!?酸の……体液?」

 

体に掛かった体液が皮膚を溶かしていた、ノーバディの体液は酸、それを被ってしまったのだ

 

「チルノ……!大丈夫ですか!?」

 

身を溶かす酸を風で吹き飛ばしチルノへ安否を確認する

 

「なんとかね……それより早く……」

 

早くバーンの所へ、そう言いかけた時、大量のノーバディが現れ二人を囲んだ

 

「まだこんなに悪魔が……」

 

チルノを庇う様に文は構える、ノーバディは知能がアサルトより更に低い、このノーバディ達は旧都へ続く道が居心地良かったのか攻めに行く事なく潜んでいたのだ

 

(今の酸で上手く飛ぶことが出来ませんね……)

 

体のダメージを確認した文は傍のチルノにしゃがみながら告げた

 

「行ってください、私が道を作りこの場を受け持ちます 」

 

「あたいも戦う!」

 

「今はバーンさんが最優先です、ここで時間を取られる訳にはいきません……ハァッ!!」

 

鎌鼬を発生させ旧都へ続く道のノーバディを切り刻む

 

「今です!早く行ってください!」

 

チルノの返事を待たずに文は襲い来るノーバディに対抗する

 

「……!!」

 

文の行動を無駄に出来ないと感じたチルノは旧都へ向かい飛び出していく

 

(頼みました、私が行くより貴方の方がきっと良い筈です)

 

チルノが行ったのを確認した文は構え直す

 

「ここから先は行かせません!」

 

残る文は悪魔の残党との戦いに身を投じる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地霊殿

 

 

「会いたかったぞ八雲紫……いつまでも来ぬから逃げたとばかり思っていたが……どうやらまだアレに抗う意思はあるようだな」

 

「私は失望したわ……まさかこの程度の結界で動けないなんてね……貴方の力を見誤ったかしら?」

 

 

遂に出会った二人、そこに喜びは無かった、感慨深さも無く互いに挑発し合う

 

「フン……」

 

紫の挑発に鼻を鳴らしたバーンは体に力を込め魔力を高める

 

「ッ!?」

 

さとりが顔を歪ませた瞬間、拘束結界は一気に爆ぜる

 

「へぇ……やるじゃない」

 

その様に紫が感心の声を漏らす

 

「この程度の拘束など外そうと思えばいつでも出来た……それをしなかったのは幻想郷がどうなろうと知った事ではなかったからだ」

 

表情を変えず語るバーンは続けて紫へと話し出した

 

「聞かせて貰おうか、おおよそわかってはいるが余を連れてきた真意をな……お前の口から」

 

「……貴方の想像通りよ、私が探しだす事が出来なかった時の保険……アレに届きうる刃として貴方を連れてきた」

 

「それだけではあるまい?余に枷を付けて幻想郷に放ったのは何故だ?幻想郷の者と関わらせる事で愛着を持たせ幻想郷を守る様に仕向けていたのだろう?」

 

「……それもある……でもそれは理想、そうなって欲しかったからそうしてみたの」

 

「……余が幻想郷を荒らすとは考えなかったのか?」

 

「無論考えていたわ、もしそうなった時の為に貴方の魔力に細工をしてあるの、私の能力に反応して貴方の魔力と肉体を切り離しスキマ送りにする秘術をね」

 

「成る程な……余が幻想郷を荒らせば肉体と魔力を切り離されそのスキマとやらに幽閉される訳か、その上で……」

 

幻想郷での自由の理由を知ったバーンは見透かした様に紫へ微笑した

 

「上手くアレと余を対峙させ倒せたならそれでよし、だが余の力も危険、細工を利用し余を始末すれば幻想郷に平和が訪れる、例え倒せずとも弱らせる事は出来る筈、その時はアレに再び封印を施し捜索の時間を稼ぐ事が出来る……そんな所だろう?」

 

「……御明察……力だけではなく頭も切れるみたいね」

 

思惑を見抜かれていた紫は面白くなさそうに扇子で口元を隠す

 

「フン……その程度の思惑が見抜けぬと思うか?賢しいだけの妖怪が考えそうな事など知れている」

 

「……普段ならそんな事を言われて黙ってはいないのだけど……」

 

扇子越しからバーンをじっくりと鑑賞する

 

「まぁ良いでしょう、それより協力して貰えるかしら?もう何度も聞いているでしょうけど」

 

挑発には乗らない、今はそんな事態ではない、ここでバーンと争ってしまえば協力を得る事は限りなく不可能になる、そのため紫は怒りを抑え冷静に協力を求めた

 

「断る……幾度言われても変わらん、お前達でなんとかするのだな」

 

だがやはり出るのは拒否、現状バーンに協力を求めるのは不可能とも思えた

 

「何もタダとは言わないわ、貴方は幻想郷の民と上手くやっている……もし協力してくれたなら枷を外し、更にアレを倒せれたなら細工を外し貴方に真の自由を約束しましょう、アレと戦うだけで自由を得られる、どうかしら?」

 

そこに出されたのは交換条件、協力すれば枷を外し更に秘術を外してくれる、つまりバーンの完全な自由を提示した

 

「断る……如何に条件を出そうとも余の考えは変わらん、失せろ」

 

それにもバーンは頷かなかった、それどころか嫌悪感を露に紫を見ている

 

「……何故?貴方にとっても悪い話ではない筈よ?」

 

考えられる最高の条件を出した筈、それでも首を縦に振らないバーンを紫は信じられなかった

 

「気に入らんのだ、八雲紫……貴様がな」

 

瞳を冷たくし紫を見下した

 

「私が……?」

 

首を縦に振らない理由が自分にあると知った紫、だが何故かわからない

 

「貴様の何でも思い通りに出来ると勘違いしている性根が気に入らんのだ……」

 

「……そこまで自惚れてはいないわ」

 

「ならば聞くが余に掛けた秘術とやらを外す保証がどこにある?外したと嘯きアレを倒した後に危険な余が目障りなら無力化する事も可能な筈だ、違うか?」

 

「……」

 

紫は返せない、そんな事をするつもりは彼女には無かったがバーンの言う通り保証が出来ない、そんな事はしないと言っても信じてくれる保証も無い、だから黙るしか無かった

 

「貴様は余の居た世界のザボエラと言う者に似ている……自分が頭の良い者だと自惚れ他を利用する事しか頭に無い……貴様は賢し過ぎるのだ、だから臆面も無く他を利用し、すがる事しか考えない、この数百年間も……」

 

「ッ……!?」

 

バーンの指摘に紫の表情が歪む、内面を見抜かれ更に貶された事が紫には耐えがたい屈辱を与えた

 

「なら……どうすれば良かったの?私にはこうするしか考えれなかった、幻想郷を守る為にはこれしか思い付かなかった!」

 

感情を露にしてバーンに食いかかる、愛する幻想郷を守る為にしてきた事が貶されたのだ、紫にとってそれは今までの苦労が否定されたと同じだった

 

「愚か者が……だから貴様は賢しいだけの妖怪なのだ!アレを封印している間に貴様は何をしていた?アレを瀕死にした者を探すだと?それが貴様が愚かだと言う理由だ!」

 

声を荒らげ紫に怒鳴る

 

「居るかもわからん者を宛も無く探すだと?そんな不確かな事をするより何故その間に力を上げて対抗しようとしない!貴様は成すべき事を誤り楽な道に逃げただけの腑抜けよ!それで幻想郷の賢者だと?笑わせるな!」

 

「……ッ!!」

 

紫はただ拳を握り怒りを抑えている、怒りを抑えるのはバーンに言われた事が的を得ていたから、それを知った紫は反論も出来ず震えるしか出来なかった

 

その様を見ながらバーンは目を閉じ、呟く様に語った

 

「今も悪魔と戦っている者達が居る、貴様の様な腑抜けより、あやつらの方が強く……そして気高い……」

 

そう語った後、今も戦う者達の事を想っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

封印の地

 

「食らいやがれぇ!!」

 

ムンドゥスに向け13人が一斉に弾幕を放つ

 

強者達の放つ強力な弾幕は幾重にも重なり巨大なムンドゥスを覆い隠す程の密度で直撃した

 

凄まじい爆音が鳴り爆煙があがる、並の……いや、幻想郷最上位の鬼でさえ軽く倒せてしまうだろうと思える威力の弾幕

 

しかし……

 

「フフフ……」

 

ムンドゥスには効いていなかった

 

「バリアかい……」

 

ムンドゥスの前面に展開される物に萃香が呟いた、ムンドゥスは自身の前面に魔力によるバリアを作り先の弾幕全てを防いでいた

 

「あれだけやってヒビすら入らないなんてね……冗談キツイわ……」

 

強力な弾幕を易々と防げるバリアにうんざりするように呟くレミリア、その横から魔理沙が箒に跨がり飛び出そうとしていた

 

「あたしがやる!」

 

その魔理沙を抑え萃香が飛び出した

 

「鬼神「ミッシングパープルパワー」!!」

 

能力を使いムンドゥスと同じ大きさに巨大化した萃香がムンドゥスに殴り掛かる

 

「そぉらぁ!!」

 

巨大な拳が唸りをあげ振り抜かれる

 

「フフフ……」

 

しかしまたもやバリアに阻まれる、しかも萃香の拳打でさえバリアはヒビすら入らない

 

「っちぃ……!!」

 

バリアの防御力に舌打ちしながら下がった萃香、その直後パチュリーが声をあげた

 

「その4つの白い魔球を壊せば破壊出来るわ!」

 

冷静に分析していたパチュリーはバリアの要であり急所を見抜き皆に伝えた

 

「ハアアアッ!!」 「せああああっ!!」

 

「ハッ!!」 「うらあああぁ!!」

 

その瞬間に飛び出した勇儀、白蓮、妖夢、妹紅の4人が魔球に直接攻撃を仕掛けた

 

バリン

 

魔球を破壊しバリアを破壊する事に成功する

 

「今だ!!」

 

再び13人が弾幕を一斉にムンドゥスに浴びせる

 

また爆音と同時に爆煙があがる

 

「やったか!?」

 

魔理沙の希望に満ちた言葉が出た、これだけの弾幕を浴びせたのだ、やっていれば最良、やっていなくてもかなりのダメージはある筈だ、そんな思いが言葉には籠っていた

 

事実、守るバリアは無い所に強力無比な弾幕を浴びせたのだ少なくともダメージはある筈だ

 

 

しかし……

 

 

「フッフッフッ……」

 

 

悪魔の帝王、効かず

 

 

倒すどころかダメージすら皆無だった

 

 

「嘘……だろ……」

 

全力の弾幕を放った筈だ、それも1人ではない13人の弾幕を……なのにダメージすら無い、嘘みたいな光景に魔理沙が唖然としてしまった

 

 

「……終わりか?ならば次は我の番だ」

 

 

佇むだけだったムンドゥスが構えを取り始める

 

「させないよ!そらぁ!」

 

萃香がそれを防ぐべく殴り掛かる、ムンドゥスの顔面を吹き飛ばさんとする勢いで炸裂する

 

「まずはお前か」

 

鬼の本気の殴打を受けてもムンドゥスを揺らす事も出来なかった、構え掛けた手を萃香にかざし大型の魔力弾を萃香に放った

 

「う!?がぁ!?」

魔弾を受けた萃香が巨体を浮かし魔弾ごと吹き飛んでいく

 

「萃香!!」

 

叫んだ勇儀が萃香に目をやった瞬間、目の前にムンドゥスが現れる

 

「次はお前だ」

 

勇儀に向かいその巨大な拳を振り落とした

 

「うぅらああああ!!」

 

力を発動し殴り返す、強力な力のぶつかり合いは衝撃となり拡散する

 

「フフフ……中々だ」

 

押し合うムンドゥスが笑った

 

ドン

 

直後、魔界の大地が爆ぜた

 

「カッ……ハッ……!?」

 

ムンドゥスが大地にめり込ませた拳を引き抜くとそこには血を吐きながら立ち上がる勇儀がいた

 

「ほお……」

 

「この……程度じゃ!まだ……!?」

 

 

ドン

 

 

再び地が爆ぜる

 

 

「舐めるなあぁぁぁぁ!!」

 

 

ムンドゥスの拳を投げ上げた勇儀の怒声

 

 

「怪!力!乱!神!!」

 

 

能力を発動しその全てを力に変え右腕に込める

 

「らああああああッ!!」

 

また振り上げられた拳を迎え打つ

 

「がああああああッ!!」

 

ぶつかり合う力と力、衝撃が辺りを走り周囲の者は見守るしか出来ない

 

 

 

「フフフ……フハハハハ!!」

 

 

 

高笑いが響いた

 

 

ドン

 

 

大地が爆ぜた

 

 

「……ッ……カッ……」

 

 

爆ぜた大地からムンドゥスの手が引き上げられた後に映されたのは倒れ、意識を失った勇儀

 

 

山の四天王、力の勇儀、自身の領域である力で敗北し地に伏せる

 

 

「この野郎!!」

 

直ぐ様、魔理沙と妹紅がムンドゥスに向かうが

 

「フン……」

 

風圧の様に出された魔力が二人を吹き飛ばす

 

「……!!」

 

次の標的は妖夢、圧倒的な威圧感を出し妖夢に迫る

 

「ハアッ!!」

 

妖夢を掴もうとする手を飛び避け腕に切りつけた

 

ギンッ

 

聞こえたのは切る音ではなく弾かれる音、妖夢の剣閃はムンドゥスの強靭な体に弾かれる

 

「我を切れるのは魔剣スパーダのみ……そんなナマクラでは木の棒と何も変わらん」

 

「そ、そんな……う"っ!?」

 

唖然とする妖夢にムンドゥスの手の払いが襲い防御ごと吹き飛ばされ大地にまた爆ぜさせる

 

「……」

 

既にダメージを負っていた妖夢は倒れたまま起き上がる事はなかった

 

 

白玉楼の剣士、信じる剣を振るうも通用せず、倒れる

 

 

「妖夢!コンニャロー!!」

 

妖夢をやられたフランが怒り、飛び掛かろうと足に力を込める

 

「よくも妖夢を……!!」

 

フランより更に怒る幽々子が飛び出した

 

「死を持って償いなさい!!」

 

怒りのままに弾幕をムンドゥスに撃ちまくる、いつも冷静な彼女なら効きはしない攻撃などしない、だが妖夢をやられた事が彼女の冷静を怒りに変えていた

 

「ん~……!!」

 

一心不乱に撃ち続ける、怒りを込めた弾幕はいつも以上の威力でムンドゥスを襲う

 

「効かぬ……なぁ!」

 

弾幕を撃ち消しながら出た指が人間大の魔力弾を放つ

 

「こ……こんなものぉ……!!」

 

魔力弾を受け止めた幽々子は全霊を込めて止め、押し返し始める

 

「凄まじい気迫を感じる……フフフ……」

 

押し返される様を見たムンドゥスは笑いながら指を突き出した

 

「フッフッフ……」

 

指から同じ魔力弾が撃ち出され幽々子の押す魔力弾に重なる

 

「~ッ!!」

 

耐えた

 

「ああっ!?」

 

耐えたのは一瞬、二重の魔力弾に押された幽々子は彼方へ飛んでいき、遠くの空で魔力弾は弾けた、爆煙から幽々子が現れ落下していく

 

 

白玉楼の主、忠臣の仇を討とうとするも一矢報いる事叶わず地に伏せる

 

 

「せあっ!!」

 

白蓮の正拳が胸の亀裂にある赤い球体に炸裂する

 

「!?」

 

その赤い球体から何かを感じた白蓮はムンドゥスから離れようとする

 

「気付いたか……しかしこの程度では無意味だがな」

 

自身の事を知られたムンドゥスは好きにさせても良いと考えたが遊び故の気紛れは白蓮を黙らす事に決めた

 

「皆さん!む……ああっ!?」

 

感じた事を話そうとする白蓮にムンドゥスの魔弾が放たれる

 

「くっ……うぅ……み、皆……さん!」

 

喋れるかどうかギリギリの威力に調整し白蓮をいたぶる

 

「む……ぐぅ……!?む……むぅ……!?」

 

「頑張ったではないか……褒美だ」

 

必死に攻撃に耐え伝えようとする白蓮に大玉の魔弾が当たり、墜落していく

 

「まだあるぞ、受け取るが良い」

 

落下する白蓮に魔弾を撃ち続ける、白蓮が地面に落ちるまで

 

「皆……さん……ごめ……ん……な……さ…………い……」

 

弱く、小さく呟かれた謝罪は誰にも聞こえる事はなく目は閉じられた

 

 

聖白蓮、魔帝の弱点に気付き伝えようとするも伝えきれず、地に伏せる

 

「……!」

 

ムンドゥスの背中を弾幕が襲う

 

「火水木金土符「賢者の石」!!」

 

「魔符「フィットフルナイトメア」!!」

 

「禁弾「スターボウブレイク」!!」

 

パチュリー、レミリア、フランの同時攻撃がムンドゥスを攻撃していた

 

「……」

 

攻撃されるがままのムンドゥスは攻撃する事なく顔だけを3人に向け眺めている

 

「随分余裕じゃない?」

 

そこに輝夜が正面から頭に向け弾幕を放つ

 

「……」

 

輝夜の攻撃に二人を見ていた顔を戻し輝夜に視線を移す

 

「次はお前と遊んでやろう」

 

二人の攻撃を受け続けながらも何故か3人を攻撃せず輝夜を標的にするムンドゥス、それを受けて輝夜は構える

 

「私と遊ぶのは高くつくわよ?」

 

そう告げた瞬間、能力を発動する

 

刹那の一瞬を集めた輝夜はムンドゥスに向かい認識出来ぬ間に数百、数千の攻撃を浴びせる

 

幻想郷屈指の強能力を存分に発揮し悪魔の帝王に立ち向かう

 

「はぁ……はぁ……」

 

能力を限界近くまで使用した輝夜が疲れを露に睨み付ける

 

「何か……したのだろうな、余りに弱過ぎて感じなかったがな」

 

ムンドゥスには数千の攻撃も意味をなさなかった

 

「はぁ……はぁ……ッ!?」

 

ムンドゥスの魔弾を回避しながら能力を使い攻撃を続ける、しかし幾度やってもダメージが無い

 

「ッハアッ……ハアッ……!?」

 

能力の使い過ぎが先に輝夜の限界を越えた、息を荒げ肩を落としムンドゥスの放つ払う様な裏拳をただ睨むだけ

 

「化物が……」

 

当たる直前に呟いた後、裏拳を受けた輝夜は飛び、地に叩きつけられまた地を爆ぜさせた

 

「我が化物……?違う、我は悪魔よ!悪魔の帝王よ!」

 

 

永遠を生きる姫、その能力で善戦するも圧倒的な力を前に力が及ばず、地に伏せる

 

 

「この野郎!!」

 

「くたばれー!!」

 

戻ってきた魔理沙と妹紅の弾幕が浴びせられ、5人の弾幕がムンドゥスに浴びせられる

 

「……」

 

5人の攻撃にムンドゥスは何故か動かない、ただ弾幕を受け続けながら5人を眺めているだけ

 

「私を無視するなんて……殺してやるわ……!!」

 

関心どころか自分を見もしないムンドゥスに殺意をたぎらせ幽香はレーザーを放つ

 

「意気込みだけは買ってやろう、フフフ……だが滑稽過ぎて笑いが出るわ」

 

「つぅ……!?」

 

ムンドゥスの放った赤い針の様な魔力弾がレーザーを突き抜けながら幽香の腹に刺さった

 

「どうした?我を殺すのではないのか?その程度の力でか?」

 

激痛に膝を着く幽香にそれはそれは楽しそうに問う

 

「舐め!……ぐっ……かぁ……はっ……!?」

 

幽香の返事に合わせ針の魔力弾を数発放ち発言を妨げる

 

「どうした?」

 

針を撃ち続けながら聞く、それどころではないとわかっているのに

 

「……ブッ」

 

全身を串刺しにされ、倒れ、口から血を止めどなく吐く

 

「フッフッフ……」

 

次の標的を決めようと顔を背けた瞬間だった

 

 

「ウアアアアアアアアァ!!」

 

 

意識を飛ばし、肉体と妖力の限界を越えた幽香がムンドゥスに殴り掛かった

 

 

ドン

 

 

ムンドゥスから放たれた魔力弾が幽香を撃ち、大地で爆ぜた

 

 

「ウゥ……ガアアアアアァ!!」

 

 

耐えた幽香が爆煙を払い咆哮した

 

 

 

ドドドドドドドド

 

 

 

直後、大量の魔弾が幽香を襲う

 

魔弾は魔界の大地に巨大なクレーターを作る程撃たれた、巨大な爆煙があがり、すぐ消え去る

 

「……ぅ……ぁ…………」

 

意識はまだあった、だが体はピクリとも動かせず、そして唯一動いた首はすぐ力無く落ち、目を閉じた

 

 

風見幽香、限界を越え挑むも倒れる

 

 

「さっきはよくもやってくれたねぇ……!!」

 

戻った怒り心頭の萃香がムンドゥスの前に立った

 

「なまじ中途半端に強いと難しいものだ……」

 

「何だってぇ?」

 

余裕を感じさせる言葉に萃香の表情が更に怒りで満ちる、そこにムンドゥスは言い放った

 

 

「蟻を潰さぬ様に踏むのは力の加減が難しいのだ……フフフ……」

 

 

「舐められた……もんだねぇ!!」

 

 

ムンドゥスの発言にキレた萃香は力任せに殴りまくる、しかし、やはりムンドゥスには効いている様子は見受けられない

 

「おおぉ!っらあぁ!!」

 

萃香の渾身の拳がムンドゥスの胸を打った

 

「もう良い」

 

ムンドゥスが萃香に手をかざし魔力を浴びせようとした時、萃香の前に霊夢が立ちはだかった

 

「はぁ……はぁ……ハアッ!!」

 

ナイトメアからつい先程受けたダメージを僅かに回復させた霊夢は無理を押しムンドゥスに向かい弾幕を放つ

 

「……フッ」

 

ムンドゥスが笑うとかざした手から魔力が放たれた

 

「……!?」

 

放たれた魔力は霊夢を避け後ろの萃香にだけ直撃し声も出せぬ間に萃香を衝撃が襲った

 

「……」

 

衝撃に意識を飛ばされた萃香は能力が解け、縮みながらその場に倒れた

 

 

幻想郷最上位の鬼であり勇儀と同じ四天王、小さな百鬼夜行、伊吹萃香、その力を振るうも太刀打ち出来ず、倒れる

 

 

「なんで萃香だけ……」

 

霊夢は自分が攻撃されなかった事が解せずムンドゥスに問い掛けた

 

「お前は最後と言った……そして……」

 

霊夢から視線を外したムンドゥスは異常な力を感じる方向へ視線を向けた

 

「残るは……」

 

弾幕をその身に受けながら見回す、ムンドゥスの目がある一点に向かう前にフランが叫んだ

 

「あたしの能力でバラバラにしてやる!」

 

掌に目を作り出す

 

「これで終わりだー!!」

 

作り出した目を握り潰そうと力む

 

 

「きゅっとして……」

 

 

しかし……

 

 

「きゅっと……!!して……!!」

 

 

目は握り潰せなかった

 

「な、なんで……なんで潰せないの!?」

 

邪魔をされた訳ではない、こんな事など今まで無かったフランは理解出来ない事態に動転する

 

「フフフ……」

 

そこへムンドゥスの笑いが向けられた

 

「潰せぬのは能力のせいではない、お前の力が足りないからだ……我が力の全てが籠るそれを潰す力量がお前には無い、己の無力を呪え……力無き者よ」

 

そう語るとムンドゥスはフランから視線を外し一点を睨み付けた

 

「残るはお前だ、自身では満足な力も出せん脆弱な神よ……」

 

その3つの赤き瞳は神奈子へと向けられた

 

「……遊びが過ぎたな!既に力は溜まっておる!」

 

神奈子は身に凄まじい神気を宿していた

 

最初に弾幕を放ったのは13人、そう、神奈子1人だけが攻撃に参加せず今の今まで力を溜めていたのだ、ムンドゥスを倒せるだけの威力を

 

「皆……ようやってくれた……!」

 

力を溜める時間を稼いでくれた事を感謝し、溜め込んだ全ての神気を御柱に注いだ

 

「これで終わらせてくれよう!」

 

御柱を構えた神奈子はそれをムンドゥスに向ける

 

「神祭「エクスパンデッド・オンバシラ」!!」

 

撃たれた御柱がムンドゥス目掛け直進していく

 

「フフフ……」

 

その御柱をかざした手で迎え撃つ

 

重なりあった衝撃がバリバリとエネルギーの拡散に変わり辺りを荒れ狂い大地を削る

 

「ぬぅ……ああああぁ!!」

 

そして神奈子は御柱に最後の命令を与える、かつてバーンと対峙した時と同じ命令を

 

カッ

 

閃光を発し爆発した御柱が神気の奔流を起こし荒れ狂う

 

「よし!バーンだってタダじゃ済まなかったんだ!それにあの時よりもっと強い!これなら……!!」

 

爆発を眺めながら魔理沙が呟いた、これは希望ではない、ムンドゥスの強さを知った上で神奈子の繰り出した攻撃の威力なら倒せると見たのだ

 

 

ただ1つ誤算があれば……

 

 

「……おのれぇ!!」

 

神奈子が忌々しく叫んだ、それにつられ気付いたのはパチュリーとレミリア

 

「なんだよ?やったんじゃないの……ッ!?」

 

魔理沙も気付いた、魔力が全く衰えていない事に、そして高まった事に

 

 

キンッ

 

 

金属を叩いた様な音を出し爆発が止まった

 

 

ブワッ

 

 

煙を払う様に神気は消し飛ばされた

 

 

誤算、それはムンドゥスの力を今が全てだと思っていた事

 

 

「曲がりなりにも神は神……流石の我も無傷とはいかんか……」

 

 

姿を現したムンドゥスは健在、神気が右腕を消し飛ばしているが魔力も衰退せず余裕の態度は崩れない

 

「ぬぅ……!?」

 

姿を確認した神奈子がすぐにムンドゥスに向かい駆けた、狙いは右腕の付け根、そこから攻撃しようとしていた

 

「フハハ!!……フン!!」

 

ムンドゥスの魔力が更に高まる、高まった魔力が消し飛んだ右腕に集まり瞬時に再生する

 

「ハアッ!!」

 

再生した右腕から大量の黒い魔力を放ち神奈子の周囲を囲む

 

「……チィ!?」

 

その状況で察した神奈子が舌打ちした瞬間、魔力は神奈子を覆い球体の形になる

 

 

「アアアアッ!!ウアアアアアアアアァ!?」

 

 

球体から悲痛な叫びだけが響く

 

 

何をされているかはおおよそ想像がつく、悲痛な叫びが苦痛を与えられているのだと容易に想像出来た

 

「やめろぉおおお!!」

 

神奈子を救うべく6人は魔球の破壊を試みる

 

「ダメッ!!強過ぎて壊せない……!?」

 

ビクともしない魔球はパチュリーの知識、5人の力でも壊せなかった

 

「アアッ!?アアアアアアアアッ!!」

 

叫びだけが木霊する

 

「ッ!!……クソォ……クソォォォ!!」

 

神奈子の叫びを聞く事しか出来なかった

 

 

「フフフ……ハハハ……ハーッハッハッハ!!」

 

 

2つの叫びにムンドゥスの高笑いが混じり場は狂喜と苦しみが染めた

 

 

「……」

 

 

場を静寂が包む、魔球から声は聞こえなくなり、誰も喋らない

 

「フフフ……」

 

ムンドゥスが魔球を消すと神奈子は現れた

 

「か、神奈子ぉ……」

 

受け止めた魔理沙が嘆きの声をあげた

 

「……」

 

神奈子の体は見るも無惨だった、全身をズタズタに引き裂かれ

 

左腕が肩から無くなり、右腕は捻れ切れる寸前、そして……下半身が全て無くなっていた

 

想像を絶する地獄を与えられた神奈子は眠るように目を閉じていた

 

 

幻想郷の神、八坂神奈子、神の力を全て込めた乾坤一擲の一撃は帝王に届くも滅する事叶わず……倒れる

 

 

 

「フフフ……どんな気分だ?力が通じず仲間を1人、また1人と倒される気分は?フハハハハハハ!!」

 

笑うムンドゥスに全員が拳を握り締める

 

「……どうして私達は攻撃されなかったの?」

 

レミリアが感情を抑え先程から疑問だった事を聞いた、ムンドゥスは幾度も攻撃する機会があった、なのに攻撃してこなかった事を

 

「そこの女は最後に殺すと決めている……お前達5人を相手にしなかったのは……」

 

霊夢を除く5人を見つめる

 

「お前達から僅かに感じる魔力の事を聞く為だ」

 

「魔力……?」

 

「そう、お前達からは我に近き魔力を感じる……我に匹敵しうるかもしれん魔力を……」

 

そう語るムンドゥスに余裕は感じられなかった、その言葉からは警戒が感じられる

 

(あいつが言ってるのはおそらくバーンの魔力……あいつと長く一緒に居たから体に魔力がこびり付いていたんだな)

 

そう推測する妹紅は4人を見る、4人も同じ考えだった、妹紅を見て頷く

 

(チルノは無事にバーンに会えたかな……)

 

そう思っている妹紅にレミリアが首を振った

 

(わかってるさレミリア……幻想郷の事は幻想郷の者が……だろ?でもな……もう頼っちまってるんだよな……でもさ!)

 

「お前には紹介出来ないな!アイツは私達の大事な友達だからな!」

 

チルノを向かわせているが断られるかもしれない、例え断られてもバーンは大事な友達、妹紅は友を売る事はしなかった

 

「そうね……まぁお前はここで死ぬんだ、知らずとも問題あるまいよ」

 

微笑むレミリアが続く

 

「貴方って彼と比べて品が無いわよね、ゲスな臭いしかしないわ」

 

パチュリーはとても嫌そうにしている

 

「あたしも一緒だよ!あんたなんかに教えないよーだ!」

 

フランもあっかんべーっとムンドゥスを挑発する

 

「私は別に教えても良いけどね……あんたが死ぬならね!」

 

霊夢も続く

 

「そんな訳だぜ!アイツもお前なんか眼中に無いだろうさ!悪いがお引き取り願うぜ!この世からな!」

 

箒を突き立てた魔理沙の担架で締められる

 

「……吐かせてやろう、その身に絶望を刻んでな、それよりだ……」

 

魔力を溢れさせ、凄味を増していくムンドゥス

 

「何故お前達は戦おうとする?力は通じず、仲間も倒れた、そしてその魔力の主を庇う……まさか自暴自棄ではあるまい?後は何がある?」

 

充分な絶望を与えたにも関わらず折れぬ6人に問うた

 

「何も無いさ……後は……」

 

妹紅が自嘲気味に笑う

 

 

 

「勇気だけだ!!」

 

 

 

残るは意志を支える勇気だけ……幻想郷の運命は岐路に向かい進む

 

 

 

 




やり過ぎてしまった……かな?絶望感を出したかったんですが……どうですかね?

もっと短く纏めるつもりだったんですが書いてる内に長く長く……

次回はもっと頑張ります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。