東方大魔王伝   作:黒太陽

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第2話 悪魔の妹

「お嬢様、失礼します」

 

主の居る部屋に着いた咲夜はノックの後に部屋に入った

 

「早かったわね、大した相手じゃ無かったようね」

 

「えー!咲夜勝っちゃったの?ツマンナーイ!」

 

笑顔で話す主、不満気な妹、だが咲夜は苦笑い

 

(大した相手じゃ無いのは私だったんですよ……)

 

 

「申し訳ありませんお嬢様、私では荷が重い仕事でした、それでお嬢様に面会です」

 

頭を下げた咲夜の言葉に呼応し部屋に入るバーン

 

「あら、負けちゃったの咲夜」

 

「やった!ね!お姉様!」

 

「まぁ待ちなさいフラン」

 

せがむ妹を抑え、主は話し出した

 

「ようこそ紅魔館へ、私が紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ、こっちは妹のフランドール・スカーレット」

 

「余の名はバーン、大魔……いや、何でもない」

 

「?」

 

言いかけた言葉を訂正したバーンの真意がわからず首を傾げるレミリア

 

(ヨ?ヨって何?)

 

フランは違う事で首を傾げる

 

「本題に入らせてもらう前に1つ言っておく事がある、余は戦いに来たのでは無い、まずはそこを理解してもらいたい」

 

「へぇ、なら美鈴を攻撃したのは何故?」

 

「余の問いに答えず眠りを装い攻撃してきた為だ」

 

「ふぅん……咲夜!美鈴をここに」

 

「かしこまりました」

 

レミリアが咲夜に命令を下し、咲夜が応えた瞬間

 

「あ、お嬢様」

 

美鈴が現れる

 

「美鈴、あなた門番の仕事をせずに訪ねてきた客人を攻撃したって本当?」

 

レミリアの言葉には少しばかりの怒気が混じっている

 

「あ、えっと……はい、申し訳ありません、凄い気を持っていたので賊かと……」

 

しゅんとしながら美鈴は答えた

 

「どうやら本当のようね、今回はこちらの不手際、謝りますわ」

 

「いや、良い、余も必要以上に怪我をさせた、誤解が解けたならそれで構わん、それで本題に入りたいのだがよろしいか?」

 

「えぇ、どうぞ話して」

 

 

 

 

 

∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴大魔王説明中∴∴∴∴∴∴

 

 

 

「なるほどね、幻想郷の情報と貴方を召喚し体に枷を着けた犯人の情報が知りたいと」

 

「そういう事だ、情報を得た後に今後の身の振り方を考えるつもりだ」

 

「犯人については心当たりはあるわね」

 

「何?」

 

バーンはピクリと反応した

 

「えぇ、そんな事が出来るのはおそらく八雲紫の仕業だと思うわ、ここ幻想郷の賢者なんて言われているわね」

 

「八雲紫……」

 

「でもアイツは神出鬼没だから会おうと思っても会えないのよ……だから八雲紫については運に任せるしかないわね……それと幻想郷について知りたいなら紅魔館にある図書館を使うと良いわ、あそこには色々と置いてあるから、今回の非礼のお詫びも兼ねてね」

 

「感謝するレミリア・スカーレット」

 

「レミリアで良いわ、だから貴方の事もバーンと呼んでよろしいかしら?」

 

「構わぬ、今の余は肩書きを持たぬ身だ、好きに呼ぶと良い」

 

「わかったわ、咲夜、バーンを図書館に、パチェにも説明しといてね」

 

「かしこまりました、ではバーン様こちらへ」

 

咲夜につられ椅子を立った瞬間

 

 

「えーーー!!お姉様!約束だよ!!咲夜が負けたら遊んでも良いって言ったじゃん!!」

 

 

フランのカン高い声が部屋に響いた

 

 

「?」

 

バーンは状況が掴めずフランを見た後レミリアに視線を移す

 

 

「フラン!バーンは戦いに来たんじゃないのよ、だから諦めなさい」

 

「ヤダよ!お姉様約束したじゃん!ここに来たら遊んでも良いって!!」

 

「確かにそう言ったけど……でも今回はダメよフラン」

 

なだめるレミリアを見ながらバーンは問う

 

「行っても良いのか?」

 

「ダメー!バーンはフランと遊ぶの!」

 

バーンの問いにフランが答えた

 

「もう!フラン!……わかったわ、バーンに聞いてみるから少し待ちなさい」

 

「むー……わかった……」

 

「……と言う訳なの、バーンが良ければ相手をして貰えないかしら?勿論お礼はするわ」

 

レミリアの願いにバーンは少し考えた後答えた

 

「確認するが遊びとは子守りではあるまい?」

 

「察しが良くて助かるわ、そう、弾幕ごっこで相手をして欲しいの」

 

(弾幕……なるほど、美鈴や咲夜が使用していた攻撃方法か)

 

「それで貴方のお礼は……貴方の居住、つまり貴方の住む所を提供するわ、どうかしら?」

 

フランの相手をするだけでこの幻想郷での居住が得られる、バーンにとって悪くない話だ

 

「フ……良いだろう、受けよう」

バーンはその提案を受け入れた

 

「ありがとうバーン、では早速………」

 

レミリアの言葉を遮りバーンが告げた

 

「裏があることはわかっている、その上で乗ってやったのだ、余を落胆させるなよ?」

 

バーンの言葉に一瞬呆けたレミリアだがバーンの言葉の意味を理解し笑みを浮かべた

 

「フフ……安心して、少なくとも貴方を落胆させる事にはならないと思うわ」

 

 

二人の人外が互いに微笑し合う

 

 

「じゃあ行きましょうか、まだ夜ではないから地下でやりましょう、行くわよフラン」

 

「ハーイお姉様!ほらバーンも早くぅ!」

 

フランに急かされバーン達は地下へ向かった

 

 

 

「さて、じゃあ始めなさい、わかってると思うけど壊しちゃダメよ?」

 

地下室へやってきたバーンとフランにレミリアから開始の催促が飛ぶ

 

「壊すなとは館の事か?それとも妹に対してか?」

 

「さぁ?どうでしょうね?」

 

またも互いに笑い合う二人

 

「もぉー!早くやろうよぉ!」

 

「フ……すまんな、では始めるか」

 

バーンがフランと相対した瞬間、弾ける様にフランは跳ねた

 

「いっくよー!うりゃりゃりゃりゃー!!」

 

掛け声と共に大量の弾幕が放たれバーンを襲う

 

「フゥ……」

 

迫る弾幕にバーンはまたかと言うようなため息をつく、そして弾幕を弾いた

 

「凄いわね、当然の様に弾いてるわ」

 

「私の弾幕所かナイフも刺さらなかったんですよ」

 

「中々の化物のようね、さぁフランはどうでしょうねぇ?」

 

「妹様大丈夫かなぁ?」

 

観戦する三名をよそに戦いは激しさを増していった

 

 

「どうしたの?避けたりするだけじゃ勝てないよぉ!」

 

飛びながら絶え間なく放たれる弾幕を避け、弾き続けるバーンにフランが挑発する

 

「確かにな……ならば見るが良い……余の魔力を」

 

バーンは構えた手刀を振り抜き唱えた

 

「バギクロス」

 

放たれた真空の刃が弾幕の軌道をずらし、相殺する

 

「スッゴーい!!ねぇ!もっと見せてよ!」

 

嬉しそうにねだるフラン 、自分の弾幕が相殺された事など気にもしない

 

「……何よアレ?簡単にしてるけど……」

 

驚いたのはレミリアと咲夜

 

「あんなものじゃないですよお嬢様!あの人はもっと凄い事が出来るんですよ!」

 

美鈴が付け加える

 

「もしかして私、とんでもない化物とフランを戦わせてる?」

 

「そのようですねお嬢様、ですがバーン様なら流石に無茶はしないかと……」

 

「だと良いけどねぇ……」

 

 

 

 

「ねぇー!もっと本気出してよー!」

 

弾幕を放ちながらフランはバーンにせがむ

 

「フッ……幼いお前には過ぎた事だ、どうしてもと言うなら余に出させて見るがいい」

 

「よぉーし!なら絶対本気にしちゃうからねー!」

 

そう直後、フランの魔力が高まった

 

「ムッ!」

 

魔力の高まりを感じたバーンの前でフランの体が四体に分裂した

 

「禁忌「フォーオブアカインド」!!」

 

「面白い芸だ、それでそれからどうするのだ?一斉に攻撃するのか?」

 

バーンの表情に変化は無い、余裕の表情はフランが四体になっても変わらなかった

 

「そうだよ!避けれるかなぁ?」

 

四方に散らばったフラン達から大量の弾幕が放たれた

 

 

「1つ教えておいてやる、戦いとはフィーリングでするものではない、相手の力量を見誤ると痛い目を見る……」

 

バーンは手を上に掲げ唱える

 

「イオナズン」

 

バーンを中心とした大爆発は弾幕とフランを飲み込み地下室を目映く照らした

 

 

「……美鈴、あなたが言ってたのってこれ?」

 

「そ、そうです……」

 

「決着……ですかね?」

 

爆風を感じながら三人は小声で話し合う

 

 

 

 

「この様にな」

 

 

爆風が収まった場所でバーンは分裂が解け、床に倒れるフランに喋りかける

 

 

「もう良いだろうフラン?」

 

 

倒れたフランに遊びの終わりを告げる、だがフランから返ってきたのは返事ではなかった

 

「アハッ!イッターイ……フフ……スゴイネ……ウフフ……」

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

 

 

 

 

地下室に狂気を混じらせたカン高い声が響いた

 

 

 

 

 

「不味いですよ!妹様が暴走しちゃいましたよ!」

 

「危険です!止めてきます!」

 

慌てたのは美鈴と咲夜、フランの暴走の危険性を知っている二人はフランを止めようと駆け出そうとする

 

「待ちなさい、様子を見ましょう」

 

だがレミリアにより止められる

 

「ですがお嬢様!いくらバーン様でも今の妹様は危険です!」

 

「良いから見てなさい、見てみたいのよこの結末を……」

 

レミリアの言葉に無言で応えた二人は視線を二人に戻した

 

 

 

(狂気に囚われている……これは術ではなく元から存在していたものか)

 

「キャハハハハ!!」

 

質量の高い弾と低い弾を織り交ぜ弾幕を展開する、その弾幕を弾くバーン

 

(攻撃に規則性が無くなった……狂気に身を任せたか)

 

フランを観察しながら弾き続けるバーンは隙を見てメラを数発放つ

 

「アハハハハ!!」

 

笑い声を上げながらメラを回避したフランは不規則に飛びながら弾幕を打ち続ける

 

「ムゥ!?」

 

気付けばバーンの回りには弾幕が高密度に展開され逃げ場が無かった

 

「フン……」

 

再びイオナズンを唱え回りの弾幕を消滅させる、爆風を払ったバーンにフランの宣言が響く

 

「禁忌「レーヴァテイン」!!」

 

魔力で作られた剣がバーンに向けられて投合された

 

「カラミティエンド!!」

 

剣に合わせてバーンはその手刀で迎え撃つ

 

ガガガガ

 

削るような、打ち合うような音を響かせ剣と手刀はせめぎ合う

 

「ハァッ!!」

 

バーンが力を込め振り抜くと剣は破壊され空中に消えた

 

「アハ!スゴイネ!デモ、コレハドウカナー?」

 

狂気の表情を更にひきつらせフランは次の攻撃の準備をする

 

「面倒な奴だ……少し荒くなるが気絶させるほかあるまい」

 

バーンがフランに向かい歩を進めた、だがその歩みはすぐに止まる

 

「それは……なんだ?」

 

バーンが歩みを止めた理由はフラン、フランの手に異様な物が握られていたからだ

 

(アレは……マズイ!)

 

そう感じたバーンは直ぐ様構えを取り呪文を放とうとした

 

 

 

「きゅっとしてドカーン」

 

 

 

「ウグォ!?」

 

苦痛の声を上げた後、バーンはその場に倒れた

 

 

「えっ?バーンさん?えっ?」

 

「どうやら使ったみたいねフランの奴」

 

「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力……ですか」

 

何が起きたか理解したレミリアは少し残念そうに倒れるバーンを見ていた

 

「バーン程の実力者でもあの子の能力の前では無力……か、咲夜、死んでしまったのはしょうがないわ、せめて丁重に弔ってやりなさい、フランは私が抑えるわ」

 

「はい……わかりました……」

 

咲夜がバーンを遠目で見つめる先にはフランがバーンに何かを話していた

 

「モゥオワリィ?デモタノシカッタヨバーン!」

 

狂気の笑顔で話すフランだが返事の無いバーンに興味を無くし背を向けた

 

 

 

「驚かされたわ……よもや余がこれ程のダメージを受けるとはな……」

 

 

「エッ?」

 

振り向いたフランが見たのは立ち上がり悠然とフランを見据えるバーンの姿

 

「アハッ!スゴイネ!ドウヤッタノ?シンゾウヲコワシタノニ!」

 

「答える義務は無い」

 

「ソウダネ!ジャアツギハバラバラにシテアゲル!」

 

フランの手に再び異様な物が握られる

 

「きゅっとして……」

 

物を握り潰す刹那

 

「もうその手は食わぬ」

 

フランの腕を掴んだバーンはその細い腕を握り潰した

 

「アアアアアア!?」

 

苦痛で喚き暴れるフラン、しかしバーンはその手を離さない

 

「……」

 

バーンは指先に黒い気を圧縮した弾を作り出し、フランの胴に目掛け撃ち込んだ

 

「ギャッ!?」

 

吹き飛んだフランはその場で倒れ動かなくなる、そこへ歩み寄るバーン

 

「……」

 

(余を殺す事が出来る力……厄介だ、殺すか……)

 

フランを見下すその瞳は暗く、殺意に満ちていく、手刀を胸まで上げ、トドメを刺す準備をする

 

「……!?」

 

(殺す……そうだ……余は一度既に死んで……)

 

暫しの硬直の後バーンはゆっくりと手刀を下ろした

 

「妹様!」

 

そこへ美鈴と咲夜が走り込んで来る

 

「案ずるな、気絶しているだけだ……かなりのダメージはあるがな……」

 

「良かった……」

 

フランの安否を確認し安堵する二人、そこにレミリアがやってくる

 

「聞かせてくれないかしら?貴方、何故生きてるの?」

 

疑問をバーンに問う

 

「フランは余の心臓を破壊したのだ、だが余には心臓が3つある、1つを破壊されただけでは余は死なん、力の低下はあるがな」

 

「……貴方って本当に化物ね」

 

「フ……あながち間違いでは無い」

 

笑う二人に咲夜が割り込む

 

「妹様を治療してきます」

 

「待て咲夜、フランをここに……」

 

連れてこられたフランに手をかざしバーンは唱えた

 

「ベホマ」

 

淡い光がフランを包み肉体の怪我はみるみる良くなって行く

 

「これは……?」

 

「回復魔法だ、肉体の治癒は終わった、だが疲労は治せん、休ませておくんだな」

 

「はい!」

 

返事をした咲夜はフランを抱え地下室を出ていった

 

「貴方何でも出来るのね」

 

「余の居た世界では珍しい事では無い、力の差はあるがな」

 

「あのーバーンさん……出来れば私もお願いしたいかなーなんて……」

 

「それはお前の責だと言っただろう」

 

「そうよ!門番の仕事をちゃんとしない貴方が悪いんだから受け入れなさい!」

 

「はい……」

 

 

 

 

 

 

「楽しめたかしらバーン?」

 

「思った以上に楽しめた、フランも満足だと良いがな」

 

「フフ……約束通りバーンをこの紅魔館に客人として迎え入れるわ、何かある時は咲夜に言って」

 

「感謝するレミリア」

 

部屋に戻った二人は紅茶を飲みながら談笑する、美鈴は門番の仕事に戻った

 

「レミリアよ、この幻想郷にはフランや咲夜の様に能力を持つ者が多いのか?」

 

「多くは居ないわね、能力を持たない者も大勢居る、能力の強さもピンキリだしね」

 

「ほぉ、ならばお前はどうなのだ?」

 

「私は持っているわ、運命を操る程度の能力よ」

 

「運命を操る?」

 

「えぇ、血を吸えば未来を知ることが出来るの、その未来、運命を変えれるかどうかは私にはわからないけどね……吸って見ましょうか?」

 

「……いや、遠慮しておこう、お前に見てもらわなくてもわかる、余の運命は変わったのだ、結末は余が決める」

 

「そう……もうすぐ夕食の時間ね、悪いけど図書館は明日で良いかしら?」

 

「構わん、急ぐ事でも無いのでな」

 

「じゃあ行きましょうか、紅魔館へようこそバーン」

 

 

紅魔館で住む事になったバーン、その運命は何に向かうのか……




ひとまずこれで紅魔館の戦闘は終わりです。

バーン様は原作ではバギクロスを使いません、ですが大魔王なので使用は可能と思うんです、ベギラゴンもマヒャドも……なのでそういう設定にしてます。


次話はいよいよあの天才が……
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