爆煙は中々納まらなかった
純粋な魔力故なのか煙すら魔力を放ち2体の魔力を隠し中の様子を探る事が出来ない有り様だった
「……!!」
煙を見る6人の体に力が入る、声を出さないのは余りの爆発に声を失ったのもあるが何より信じているから、あの煙が晴れたらバーンの姿が現れると信じているから声を出さず見守る
バキィ
煙の中から妙な音が聞こえる、数回鳴った後、煙は遂に晴れ始めた
「ゴ……ゴアッフ……」
晴れ始めた煙から声が聞こえ、シルエットを写し始めた
「バ……」
写されたシルエットに希望を感じたチルノの言葉は遮られた
「フ……フフフ……フハハ……ハハ……!!」
遮ったのは笑い声、そして
「我……の……勝ちダァァァ!!」
写されたのはムンドゥスと
「…………ガ……フッ……」
首を掴まれたバーンだった
「バーン!!」
衝撃的な光景に6人は叫んだ、生きていたバーンが敗北し今まさにトドメを刺されようとしていたから
死に至るエネルギーを受けて2体が生きていたのはその強靭な肉体と再生能力のお陰だった、肉体が爆発のダメージを抑え、耐え、再生する、それで生きれたのだ、片方でも無ければ間違いなく即死、強過ぎた力が真なる竜の戦いの常識を覆した
「ダガ……死ォ……覚悟したゾォォ!!このクズガァアァ!!!」
手に持ったバーンの腕を握り潰し捨てる、煙の中で聞こえた音は掴んでいたバーンの腕を引き千切る音だった
「ガァァァァァ!!」
掴んだバーンに腕を振りかぶり、打った
「カァッ!!?……ハッ……!?」
力の源である鬼眼を
打たれた鬼眼は亀裂が入りそこから全身に広がっていく
「終わりダバーン!……死ネ!!」
掴んでいた手を離すとバーンは落ちていく、長い距離を落下し轟音をあげて大地に衝突した
「我ノ……勝ちダ!フハハハハハハハ!!」
帝王は笑う、勝利に!しかしそれを聞いていた者は誰もいなかった
「バーン……!!バーン!!」
6人が落ちたバーンに駆け寄る
「ッ!?お、おい……生きてるのかバーン?」
6人は思わず目を逸らしたくなるのを抑えバーンに問いかける
バーンの肉体は上乗せ部分の四肢がもがれ達磨の様になっており更に穴や火傷の様な傷もあった、全身に走る亀裂のせいで触るだけで崩れてしまいそうに見える
源である鬼眼が損傷した事で再生も不可能になっており、そして本体のバーンは目立った外傷は無いが目を開く事は無かった
「起きろよバーン……そ、そうゆうのは洒落になってないぜ?今なら許すから起きろよ!な?」
魔理沙は事実を受け入れられなかった
きっとだとかもしかしてだとかそんな曖昧な考え、と言うより願いを捨てきれずバーンが起きる事を促す
「嘘……だよね?バーン……?」
横たわるバーンを茫然と見つめるフラン、心が受け入れを拒んでいる
「何やってんのよバーン……こ、これからアイツをぶっ飛ばすんでしょ?なら早くやりなさいよ…」
チルノは起きている前提で話し掛ける、しかし反応が返らない
「チルノ……行くぞ」
「フランも……行くわよ」
「魔理沙……行きましょう」
茫然とする3人に妹紅、レミリア、パチュリーが促した
敵を討つ為に
「待ってお姉様!バーンは起きるから!絶対に起きるから!もうちょっと待って!!」
「そうよ!す、すぐに起きるに決まってんでしょ!それぐらい待ちなさいよね!!」
フランとチルノはまだ事実を受け入れられず食い下がる、幼いのもあるがそれだけバーンとの絆が深かったのが最大の理由
受け入れられる訳がないのだ、普通の友人でさえ受け入れ難いのにそれが半年と言えど掛け替えのない時間を過ごしたもはや友以上とすら言える存在だったのだ、心が事実を直視する事を拒んでいた
「わかってるさ二人共……今バーンは寝てるだけだぜ、そのうち起きるさ……今私達がやる事はバーンが気持ち良く起きれる様に回りを綺麗にしなくちゃな……」
諭す様に魔理沙が二人に話し掛けた、彼女は受け入れた、受け入れる他無かったから、その証拠に……
「……」
妖夢、萃香、幽香の3人が立っていた
バーンの魔力が途絶えた事で瞳が解除され意識が戻っていた3人は自然とバーンのもとに来ていた
「……ヤダ!!バーンは絶対起きるもん!!」
「バーン!!起きてよ!!起きてよぉ……!!」
それでも二人は食い下がる
信じる心は何度も問い掛ける
「起きてよぉぉぉ……!!!」
だが……
「…………」
返事が無い、ただの……
「耳障りな声が聞こえると思えバ……ゴミ共もいたんだっタナ」
絶望の帝王が舞い降りた
「……醜い姿ね、貴様にはそれがよく似合ってるわ」
レミリアの言うムンドゥスの醜い姿、死闘によるダメージとエネルギーの爆発によるダメージがムンドゥスの彫刻の様な体は崩壊させ正体を現していた、消え失せた顔面から3つの目玉が眼球ごと露出し外皮が崩れた箇所から無数の触手が生えている
まさに異形のモンスター、威厳を感じさせた面影は既に無かった
「今なら私達でも倒せそうだな、覚悟しな!お前を倒す……必ず!敵は討つ……!!」
正体を現したということは弱っている事、かつてムンドゥスが出現した時とほぼ同じ状態だった
「まだ挑む気でイルのか……聞かせて貰えるカ?頼みノバーンも死んだイマ……お前達は何故絶望せずまだ戦おうとスル?勝てる見込みは無いの二ダ……何故ダ?フッフッフ……教えてくれ……」
「皆殺シニする前に……!!」
魔力が溢れる、多大なダメージを受け、体が崩壊していて尚ムンドゥスにはまだ余力があった、肉体を再生させるのは無理だが皆殺しに出来る力は残っていた
「言ったところでお前に理解出来るのか?出来ないよな?お前は力だけのクズだもんな、皆殺し?やってみろよ!お前なら出来るかもな!でもタダじゃくたばらないぜ!」
魔理沙を中心に6人が並び立つ
「ここでやらなきゃ……!バーンに……」
「バーンに会わせる顔が無いんだよ!!」
叫ぶ魔理沙、他の5人もムンドゥスを睨む、挑む気だ、力は落ちたと言えどいまだ強大な力を持つムンドゥスに傷付いた体で……
「飽きたワその戯言は……死ネェェェ!!」
ビームを放とうと身を強張らせた
キュドッ!!
ムンドゥスを誰かが攻撃した
「!?ヌゥゥ……何モノダァァ!!」
攻撃の出所へ眼球を動かし攻撃者を確認する
「永琳……」
攻撃者は永琳、矢を模した力を命中させ衝撃でムンドゥスを怯ませたのだ
「マダこれ程の力をモツ者がいたのカ……」
受けた力の高さから永琳の実力を知る
「今なら私でも充分倒せるわね……フッ!!」
解放される力
幻想郷最強と噂されていた永琳の力が今明かされた
「強いナ……ダガァ……それでもバーンの半分以下……勝てんゾォ?それでハナァ?」
永琳の真の実力は相当な物だった、しかしそれはあくまで幻想郷の中での話、永琳の真の力でさえ枷の付いていたバーンと同程度でしかなかったのだ
「死ネ!ムシケラガ!!」
魔弾を永琳に向け放つ、だが永琳は微動だにしない
ブゥン
魔弾はスキマへ送られた
「一寸の虫にも五分の魂……ムシケラの一刺しで死に絶える事もある、往ねムンドゥス、ここは貴様の居る場所では無い……」
スキマから現れた紫が永琳の横に並ぶ
「貴様モカァ!!ヤクモユカリィィィ!!」
ここまで来て尚も諦めない雑魚共に抵抗する怨敵、怒るには充分だった、そもそもバーンさえ居なければ楽々と幻想郷を滅ぼし終えて魔に染め上げていた頃、それが怒りに拍車を掛け問答無用に二人に攻撃を開始した
「……さて、私も行こうかしらね」
フワッと浮かび上がった幽香は振り返りバーンを横目で見るとムンドゥスへ向かって行った
「フゥー……良し!!」
刀を構え深呼吸をした妖夢は同じくバーンを一目見た後幽香の後に続いた
「先に行くよ……整理がついたら来なさいな」
萃香は6人に告げるとバーンを見る事無く飛び出して行った
「……いつまでそうしてるんだ、行くぞ、皆戦ってる」
未だバーンに話し掛け続けるチルノとフランに妹紅が歩み寄る
「でも……でも……!!」
諦めきれないフランは尚も呼び続ける、友の名を
「わかってるだろ?バーンはもう……」
気持ちは痛い程良くわかる、気持ちは同じだからだ……それでも受け入れなければならない
バーンの死を……
「……わかった、チルノ……行こ」
「うん……わかったフラン」
立ち上がった二人はバーンを見つめる、その瞳から涙が一筋流れると二人は振り返り歩きだした
流れた涙はバーンの頬に落ち、流れていく
「さぁ……行くか!!」
集まった6人は戦闘を続ける5人とムンドゥスを見上げ身構えた
((待て……))
声が聞こえた、聞こえない筈の……聞きたかった声が……
「!?バーン……?バーンか!?」
魔力による念話、振り返った6人がバーンを見る、目を開けたバーンが6人を見ていた
((余の傍に来るのだ……急げ))
促されるままにバーンに駆け寄る
「バーン……良かった……生きてて……」
「死に体だが……な、もう声すら満足に出せん……」
掠れる様な小声、魔力を使わねばまともに話す事すら出来ない、本当に目覚めた事が不思議な程の……
「お前達の言葉と涙が……余を目覚めさせた……余にも起きるのだな……奇跡が……」
そう、奇跡……確かに死んでいたのだ、皆が完全に諦める程確実に……
それは友の呼び掛けが起こしたのかはたまた涙が神の涙の様に起こしたのか、それはわからない、だが確かに起きたのだ……
奇跡が……
「へへっ……よし!喜ぶのは後だ!待ってろバーン!お前の代わりに倒して来てやるよ!!」
嬉しさに鼻を啜りながら魔理沙は5人を見る、5人も闘志を燃え上がらせ頷いた
「待て……お前達では勝てん、だが余が勝つ道を示す、協力しろ」
6人をバーンは止めた
「勝つ道って……どうするの?」
レミリアは問う、もう動く事すら出来ない満身創痍のバーンがそれでも勝てると言うのだ、その言葉を信じて方法を聞いた
「凍れる時の秘法を使う」
バーンの口から告げられたのはパチュリーすら知らない単語だった
「凍れる……時の秘法?何よそれ?」
レミリアの催促を受けてバーンは説明を開始した
「凍れる時の秘法、これは使用した対象の時を停止させる術だ、成功すればムンドゥスにも防ぐ事は出来ん」
「そこまでの術を使わなかったのは何か条件があるのね?若しくは代償が……」
効果の説明にパチュリーが問う
「安心しろこの術に代償は無い、条件があるだけだ、その条件とは今日この日……太陽と月が重なり合う一瞬……」
「皆既日食か!?」
気付いた妹紅が声を出した
「そうだ、皆既日食の時に起こる特異な魔力と余の魔力を使いこの秘法は使用出来る……その時まで後僅か、これが最後の機だ、これをしくじれば滅びを待つより他は無い」
そう語るバーンは視線をムンドゥスに向ける
「ウアッ!?……ツゥ……!?」
魔弾を受けた永琳が痛みに顔を歪める
「勝テルと思うナァ!ゴミ共ガァァ!!」
ムンドゥスが魔弾、ビーム、レーザーなど乱射し5人を相手に弱りながらも優位を保っていた
「急ぎましょう……どうすれば良いの?」
切羽詰まる状況、猶予は残されていない、6人はすぐに行動を開始した
「チルノ、来い」
まずチルノを呼んだ
「この術は凍れるとある様に本質は冷気、マヒャドなど比較にならぬ突き詰め下げられた冷気だ、それは時すらも凍らせるある意味での極大氷結呪文と言える……」
「だからチルノ……お前がこの秘法の基点となるのだ」
「そ、そんなのあたいじゃ無理よ!?バーンがやれば良いじゃない!」
そんな大層な術をいくら冷気が得意だからと出来る訳無いとチルノは思い反論する
「余の力の源である鬼眼が損傷し魔力は出せるが上手く扱えないのだ……頼むチルノやってくれ、お前しか出来んのだ……」
「で、でも……」
それでも渋る、自信が無いのだ、初めての、しかも聞くからに極めて高度な術を自分が出来る自信が無かった
「案ずるな、お前一人ではない……パチュリー、魔理沙」
次にパチュリーと魔理沙を呼んだ
「お前達二人はチルノを補助しろ、魔力と大筋の道は余が作る、お前達でチルノが振り回されぬ様、迷わぬ様に誘導してやれ、魔法を扱うお前達しか出来ぬ事だ、頼む」
「わかったわ、任せて!」
「任せろバーン!よしやるぜ!」
二人はチルノの傍に来て肩に手を置く、魔力を巧みに扱う魔法使いだからこそこの役目は出来る、だが責任はチルノ並みに重い、誘導を間違えば術は完成しないからだ、二人はその責任の重さを感じながらも信用し任せてくれた事が嬉しくて意気を高まらせた
「よし……レミリア、フラン、妹紅」
最後にレミリア、フラン、妹紅
「お前達には……時を……稼いで欲しい……秘法が完成するまでの間ヤツに気付かれない様に……」
任せたのは危険な役目、死ぬ可能性が一番高いムンドゥスとの対峙、それを友に任せなければならない悔しさがバーンの言葉に滲んでいた
「なんだ簡単じゃない……わかったわバーン」
「いいよバーン!良かったぁ……難しい事だったらどうしようかと思ってたの!」
レミリアとフランは即断で了承してくれた、それは絆が成し得る信頼、無理難題だとしても快く受ける絆があった
「まぁそんな所だろうと思ってたからな、覚悟はとっくに出来てるよ」
それは妹紅も同じだった
「……死ぬなよ」
振り絞った願いを3人に向けた
「私の事は気にするなよ!命なんて安いもんさ……特に私のはな!」
微笑む妹紅、不死の蓬莱人だからこそ言える冗談をバーンに話す
「皆は死なないよ!あたしが守るもん!」
意気込むフラン、3人はおろか今も戦う5人全員を守りながら戦うつもりだ
「時間を稼ぐのは良いけど……別にアレを倒してしまっても構わないんでしょう?」
邪悪な笑みを向けるレミリア、秘法の完成前に倒すつもりなのだ
「フッ……要らぬ心配だったか」
3人の強い瞳と言葉に心配は杞憂と感じ
「始めるぞ」
秘法の作成を開始した
「じゃあ行ってくるわね」
3人も動き出した、ムンドゥスに向かい飛び出して行く
今、最後の戦いが始まった
「シネェ!!」
ビームを永琳に撃つ、この場で一番力のある永琳を先に始末するつもりなのだ
「させない!」
紫がスキマを使い永琳をビームから守る
「ジャマを……スルナァァァ!!」
紫を捕まえようと触手を伸ばす
「神槍「スピア・ザ・グングニル」!!」
「禁忌「レーヴァテイン」!!」
ドウッ!!
そこに姉妹の同時攻撃が炸裂しムンドゥスをよろけさせる
「キサマラァァァァ!!」
「不死「火の鳥ー鳳翼天翔」!!」
ドウンッ!!
不死鳥の突進がムンドゥスを押し飛ばす
「コノ……ムシケラガ!!ゴミガァァ!!」
怒りで正常な判断が出来なくなったムンドゥスは暴れる様に攻撃を乱射する
ズドドドッ!!
「私達も忘れてもらっては困りますね」
妖夢、幽香、萃香の3人も攻撃を加える
「ヌガァァァァ!!」
8人を相手に弱るムンドゥスは倒されはしないが倒すことも出来ず膠着状態で時は進む
「ん~……くぅ……!?」
道を進むチルノは苦戦していた、ただでさえ長く険しい道を膨大な魔力を持ちながら進むのだ、誤らない様に必死だった
(これは難儀ね……少しでも道を間違えば完成しないどころか私達が逆に凍らされる……)
(それに魔力だって暴発しない様に抑えなきゃならない上に皆既日食の瞬間に間に合わせなきゃならない……大変だぜこれは……)
パチュリーと魔理沙も苦戦している、バーン程の技量が無い二人は協力しても一歩一歩を確実に進ませる事しか出来ない
(この調子なら間に合う……後はムンドゥスが気付きさえしなければ……)
魔力を出し道を作ったバーンは進行状況を見るしか出来ず懸念される最悪の事態を考える、抗う術は無いのだが……
そしてまた時は進む……
「ガァァ!!ヌガァ!!」
永琳を捕捉したムンドゥスが殴り付ける、回りの攻撃を意に返さずひたすら永琳を殴り続ける
「ムンドゥス!!」
紫が弾幕を撃ちながら永琳のもとに飛ぶ
「ヤクモユカリィィィィィ!!」
永琳への攻撃を止めたムンドゥスが魔弾とレーザーを紫に放つ
「くっ……うぅ……」
スキマで防御したが絶え間無く撃たれる攻撃にスキマが限界を迎える
「……アゥッ!?」
破裂する寸前にスキマを閉じた紫をムンドゥスが殴り飛ばし魔弾を撃ち直撃させる
「……」
「……」
永琳と紫は意識こそあるが動けず地に倒れた
「ハァァ!!」
「ハッ!!」
「そぉらぁ!!」
すかさず幽香、妖夢、萃香の攻撃が入りムンドゥスの体を削り体液を撒き散らす
「ハァッ……ハァッ……キエウセロォォォ!!」
魔力を波動に変え3人に浴びせる
「ウアアッ!?」
波動を浴びた3人は墜落していく
「我ながラ情けない威力ダ……死にかけのゴミすら今ので殺せんトハ……」
度重なる戦いで弱ったムンドゥスの力は永琳と紫により更に削られ威力を大きく落としていた、そうでなければ3人はおろか永琳と紫すら軽く殺せているのだから
「ハァッ……ハァッ……」
大地に落ちた3人にトドメを刺すべくビーム放とうとする
「待てよクズ野郎……まだ私達がいる、トドメは私達に勝てたらしろよ……オラァ!!」
不死鳥を纏う妹紅が触手を焼き払いながら発射を阻止する
「我ヲ舐めるでナイワァァァァ!!」
突進してくる妹紅に腕で払う
「負けるかぁあああ!!」
ぶつかり合った不死鳥と腕は押し合う
バチィ!
不死鳥と腕は弾き合い妹紅の不死鳥は消える
「シ……ネェェェ!!」
動きの止まった妹紅に魔弾を放つ
「きゅっとしてドカーン!!」
魔弾は妹紅に当たる前に破壊される
「あんたは無理でもそれぐらいなら壊せるもんね!」
能力を使い妹紅を守ったフランだが顔は怒っている、他の5人を守れなかったから
「行くわよ二人共……ハアアァッ!!」
レミリアの号令で妹紅は再び不死鳥を纏い、フランは体に力を込めて3人は一斉にムンドゥスへ体当たりを食らわせる
「ヌゥグオオッ!?」
強烈な攻撃に堪らず下がったムンドゥス、3人の力は弱ったムンドゥスに届いた
しかしそれがムンドゥスの怒りを鎮める原因にもなった
(何ダこいつらハ……理解できン……何故ここまでやるのダ……勝てるハズがナイノニ……)
「!?」
その瞬間気付いた、この地の遥か上空から感じる特異な魔力に
(これは皆既日食ノ……!!?)
感じた……その特異な魔力を利用している者を……
ギョロ
3つの眼球が一斉に動いた
「キサマカァ……バァァァン!!」
また湧いた怒りを全開に睨み付けた
(気付かれたか!!ええい!後一歩の所で……!!)
何とか体を動かそうと試みるが鬼眼の体はピクリとも動かない
「皆既日食ノ魔力を利用して何カを企んでイタようだナァ……バァァァン?」
企みが何かはわからないがバーンのする事だ、自分にとって危険な事なのは間違いない、そう感じたムンドゥスはバーンにトドメを刺すべく手をかざす
「させるかぁぁぁ!!」
その手に妹紅が突進し撃たれた魔弾は逸れてバーン達の後方で爆発する
「邪魔はさせないよ!」「もう少し付き合って貰うわ」
姉妹がバーン達を守るように立ち塞がる
「みんな!!」
肩に手を置く魔理沙が叫ぶ、気付かれた今ムンドゥスは死に物狂いで阻止しに来るだろう、それから守るのだ、危険度が更に増した不安が声に出た
「魔理沙!!」
傍らのバーンが出ない声を振り絞り叫んだ
「集中しろ!パチュリーの補助だけでは辿り着けん!お前の力も必要なのだ!」
「あやつ等を信じろ……大丈夫だ……!!それはお前も良く知っている筈だ魔理沙!!」
傍らでなければ聞こえない弱々しい声だったが強い意思を放っている
「……悪い!後少しだ!続けるぜ!」
バーンの言葉に感化され気を取り直した魔理沙は後僅かの道を進むチルノの補助を再開する
皆既日食まで後5分を切っていた
「ツアアッ!!」
レミリアがムンドゥスの放つ魔弾に弾幕を当て軌道をずらす
「ム~~……!!」
ずらせれなかった魔弾や針をフランが能力で破壊する
「セアアアアアッ!!」
妹紅がバーン達に向かうムンドゥスを押し留める
「ジャマヲ……」
魔力を集中し
「スルナァァァァァ!!」
衝撃に変えて全方位に放った
「……ッアグッ!?アガァァァ!?」
その衝撃に妹紅が吹き飛ばされ大地に落ちる
「ぐぅぅうぅ……!?クソォォ……!!」
立ち上がろうとするが腕と足に力が入らない、右腕は神経をやったのか上げる事が出来ず左足は曲がらぬ方向へ曲がってしまっていた
「これぐらいで……諦める……かよ!負けられないんだァァァ!!」
炎を燃やして立ち上がる、立つことすら出来ない筈の傷で何故立てるのか?
それは意志、絶対に勝つという意志がダメージに悲鳴をあげる体を凌駕した
その姿はまさに炎の中から甦る不死鳥、傷付きながらもその美しき炎翼を広げ飛び立たんとする
「強くなったわね妹紅、バーンの影響かしら……」
そこに背後から来た者が妹紅に並ぶ
「輝夜……」
並んだ者は輝夜、ムンドゥスから受けたダメージでボロボロだが澄ました表情でムンドゥスを睨む
「寝てても良かったんだけど……あんたの必死な姿を見たら体が勝手に動いちゃってね……」
そう言うと輝夜は飛び上がる
「お、おい輝夜!!」
返事を返す暇もなく飛び上がった輝夜に慌てて呼び掛ける
「見てなさい妹紅……あんたが不死身なら……」
バーンに向かい魔弾を放とうとするムンドゥスに
「私もまた不死身だァァァ!!」
凄まじい力を込めた弾幕を撃ち込んだ
「ヌグオォォッ!?」
弾幕を一身に受けたムンドゥスはダメージを受け怯む
「オォオ……オアァァォァ!!」
弾幕を受けながら突進し
「カハァッ……!?」
輝夜を殴り飛ばした
「輝夜ァ!!」
殴り飛ばされた輝夜は徐々にスピードを緩め、地面を擦り落下した
「ジャマばかリシオッテェェェ!!」
攻撃するレミリアとフランに針弾幕を放ち回避している隙にレーザーを薙ぎ払う様にバーンに撃った
(結界を……!!ダメ!防げる力を溜める時間が……)
離れて見ていた霊夢は守る為に結界を張ろうとするが力の充填が間に合わない
スッ……
霊夢のかざしていた手に添う様に手が置かれる
「やれ霊夢、我が力を貸す」
「……わかったわ!!」
霊夢は結界を張るために霊力を放った
(この気は……!?)
目前に迫ったレーザーに3人は思わず目を閉じた、だがバーンだけは唇が緩んだ
バチッ
レーザーは3人を薙ぐ事はなく結界で防がれる
「助かったわ……神奈子!」
霊夢に手を貸したのは神奈子、唯一残る腕を動かせれる程に回復させ霊夢の結界の強度を上げたのだ
「イッタイ!!ドコマデジャマをスル!!死に損ナイドモガァァァ!!」
二人に向かい魔弾を連射する、レミリアとフランの援護虚しく逸らし、破壊しきれなかった魔弾数発が二人に向かう
「……ゥ…ゥゥ……」
結界を張って軽減はしたが二人は今度こそ完全に動くことすら出来なくなった
「後は私達だけか……」
仲間は倒され、残るはレミリア、フラン、妹紅の3人、ムンドゥスをバーン達のもとへ行かさぬ様に死力を振り絞り立ち塞がる
「ドケェェエエェェェ!!!」
皆既日食まで後……
「ゼエッ……ゼッ……ハァッ……!?アアアアッ!!」
3人は奮闘する、任された役目を果たす為に、それ以前に守る為に
「グガァァァァアアッ!?」
与えられたダメージが響き3人を突破出来ない
(ナゼダ!!ナゼ死ナン!?ナゼこんなヤツらニィィィィィ!!)
3人の粘りに帝王は焦る、何がここまでさせるのか、瀕死の体で粘り続ける3人に恐怖にも似た感情が生まれてくる
「ウッ……ウウゥ……」
ズルッ
一歩、ムンドゥスは後退した
「おやおや……まさかあんなに強かった魔帝ともあろう者が怯えてるの?こんなちっぽけな私達に……お笑いねぇ」
そこに鬼の首を取ったかの様なレミリアの邪悪な、されど誇らしげな言葉と表情が贈られる
「……モウココマデダ……ノコルワガチカラデ……」
そのレミリアの言葉がムンドゥスに決意させた
「コロシテヤルゾォォォォ!!」
残る魔力を集めたムンドゥスは特大の魔弾をバーンに向けて放った
「ウウゥグッ……グググググ……!!」
3人は魔弾を防ぐべく受け止めるが徐々に押されてしまう
「「「ウアアアアアアアアアッ!!」」」
意志は気迫を内包し一瞬、されど閃光の様に光り輝く
ズギャア!!
魔弾は3人の閃光のごとき一瞬の力の前に消滅する
「よ……し……」
それが最後の力だった、3人は飛び続ける事すら出来ず緩やかに落下していく
守りきれた
そう安堵しながら3人は結末を見届けるべく希望の友を見つめていた
「オワリダァァァァァァァァ!!!」
希望を砕く絶望の声が響いた
魔弾が最後の攻撃ではなかった、残る魔力を使うのは嘘、魔弾は囮だった
魔弾は邪魔な3人を引き付ける為に放った、バーンに当たれば良し、防がれても3人を殺せれば良し……結果的にはバーンに当たらず3人も殺せなかったが3人の無力化に成功した
そして最低でも防がれる事は今までの様子を見ればわかる
だから間髪入れずにムンドゥスはビームを撃ち込んだ
障害はもう無い……全てを終わらせる一撃が撃たれた
「ウグッ……クッ……!?」
迫るビームから何とか3人を守ろうと身を動かそうとする
しかし……
(無理か!?チルノ……パチュリー……魔理沙……!!)
体は動かない
奇跡は……二度起きなかった……
ドォォォォォォォ……
着弾したビームは大地を深く抉り、何も残されなかった
「オノレェェェェェェェェェェェ!!!」
ムンドゥスの憎悪の叫びが木霊した
「ハッ……ハッ……ま、間に合った……」
ビームは当たらず
バーンの背後に少女が立っていた
(お前は……鬼人……正邪……)
少女をバーンは知っていた
鬼人正邪、最後の日常でほとんど気紛れに助けた幻想郷に仇なした者
それがバーン達の最大の窮地を救った
「何故お前が……」
バーンが不思議に聞いた、命令した訳では無い、そこまでの事をした覚えも無い、来る筈の無い者が来たのだ疑問しか浮かばなかった
「バーン……!?」
答えようとした直後正邪の表情が引き締まり上空を睨む
「ハアアアッ!!」
飛来したビームはバーン達を避けて背後に着弾する
正邪の能力、何でもひっくり返す能力、それを使いムンドゥスの照準を反対にひっくり返したのだ、だが弱っていてもムンドゥスの強い力は正邪の全力を持ってしても着弾点をずらす事しか出来なかった
(そう……私の力は弱い……呪いで私の力は更に落ちた……普通は大人しく震えてろって所だよな……でも……)
次々と撃たれるビームを必死に逸らし続ける
「逃げ続けてた私を助けてくれ……た!バーンに……!何でも良いから……!!」
「恩返しがしたかったんだぁぁぁぁぁぁ!!!」
体から血を噴き出しながら叫ばれた
バーンにとっては単なる余興だったかもしれない、でもそれは正邪にとっては大恩、死から逃げ続けていた正邪を幻想郷で生き延びらせてくれた事は生きる事に必死だった正邪にとって叶わぬ願いだったからだ
その大恩を少しでも返したくて正邪は危険な道を進んで来た
報われるとは限らない道を……
「うぅ……あぁ……ぁ……」
正邪の力が弱くなっていく、ビームは急速にバーン達に迫り、掠めるまで迫っていた
「もう……よい……!止めろ鬼人正邪!……死ぬぞ!!」
掠れる声でバーンは呼び掛ける、バーンは正邪の力の秘密を知っていた
いくら弱っているとは言えムンドゥスの攻撃を力の弱い、尚且つ呪いを受けた正邪が逸らせれる訳が無い、それを出来た訳は……
「バーンは幻想郷を敵に……回すかもしれなかった……のに!私を助けて……くれた!!なら私の命くらい……掛けなきゃ!!返せないだろぉ!!!」
正邪の顔が痩せていく
生命、正邪の力の秘密は自分の生命力を能力に注いでいた
確かに命を使えば力は飛躍的に高まる、だがそれは諸刃の剣……力は高まるが命を削っていた
「正邪……」
その覚悟にバーンは名を呼ぶしか出来なかった
「ヌグァァァァァァァァァァ!!!」
ムンドゥスが尚もビームの連射を続ける、近付く等の冷静な判断が出来ず怒りのままに撃ち続ける
「あぅ……!?うぅ……うぅー……!!」
絶えないビームの連射に膝を着く
そして遂に限界が来た、正邪の衰弱で能力がムンドゥスに効かなくなりビームがバーン達目掛けて直進する
「……!!」
正邪がビームを止めた、体で
ギャウッ!
ビームは上空に消える、ビームが消えた後、舞い上がった正邪がバーンの傍に落ちた
「正邪!!」
バーンが名を呼ぶと正邪はバーンに向け笑顔を作る
「……少しは……役に立てた……かな?」
一言告げるとゆっくりと目を閉じた
「馬鹿者……」
呟いた後バーンも目を閉じた
(役に立った所では無い……最後の……決め手になってくれた……!!)
太陽と月が重なる
キィィィィン
ムンドゥスの頭上に魔力の輪が出来る
「!!?」
すぐに理解した、時を操る呪文だと、そして……
「バァァァァンキサマァァァァァ!!」
逃れられないと……
「終わりだムンドゥス……勝ったのは余……いや、余等の方だ!」
停止を始めたムンドゥスに告げる
勝者はこちらだと、バーン一人ではなく……
皆の絆の勝利だと
「バァァァァァァァァァァァァァァァン!!!」
地を裂くかの様な絶叫を出したムンドゥスは3つの瞳を強く発光させた
「……!?」
バーンは何かを感じた
(……いずれにせよ……か……)
意味の無い事だと考えムンドゥスの最期を見届ける
「バァァァン!!所詮は我ヲ封印シタに過ぎン!!我ハ必ず復活スル!!その時にお前ハ生きてはイマイ!!フハハハハハハハ!!!」
「……やれ」
ムンドゥスの最期の言葉を聞いたバーンは秘法の完了を命じる
「イッケーーー!!!」
キンッ
乾いた音が響きムンドゥスは全ての時を止められた
「やったな……」
バーンのもとにやって来た妹紅が呟いた
「まさか生きてるなんてね……奇跡よこれは……」
レミリアも呟く、まだ実感が湧いていない
「だな……でもまぁ……なぁパチュリー?」
言葉に困った魔理沙が振る
「これをやってないなんて言われたらお手上げね」
パチュリーも困った様に手を上げる
「何言ってんのよ!!あたい達の勝ちに決まってんじゃん!!」
チルノは笑顔満点に飛び回る
「でも……封印でしょ?倒せて無いよ?」
フランの指摘に5人は困った様に顔を見合わせる、ムンドゥスは封印されただけで死んだ訳では無い、いずれ復活する、だから根本的な解決にはなっていないのだ
「心配は要らん……奴の時は止まったままだ、弱った状態でな……余が回復すれば間違いなく奴を仕留める事が出来る」
「それに……」
「「勝ったー!!!」」
バーンの言葉を遮ってチルノとフランが大声で宣言した、懸念していた事が解消され一気に実感が湧いてきたのだ
(それに……宛も有る……)
友の喜ぶ様を見ながらバーンは名を呼んだ
「……八雲紫」
「……何かしら?」
スキマから現れた紫はバーンと少し話し込む、紫の驚愕の表情が出た後に何かを受けとると紫は無言でスキマを開き消えていった
「!?……ヌ……ウゥ……」
突然体に異変が起きた
(眠気が……する……鬼眼王の状態で魔力を使い果たした……影響……か?……いかん……寝ればもう起きれぬやもしれん……)
未知の現象に最悪の事態を考えながら落ちる瞼を抑えながら見つめた
「バーン!!」
守りたかった友を……
集まった6人が話し掛けるがバーンは声すら出せず瞼はゆっくりと、ゆっくりと落ちていく
(勝ったなお前達……お前達が生きてくれるだけで余は満足よ……良い気分だ……)
(こんな気持ちで眠るのも……悪くない……)
バーンの瞼は落ち
目の前は真っ黒の闇となった……
決着です、長くなりましたが1話で終わりました、凝縮し過ぎたか……
最後は皆で協力して終わらせたのはダイと対比にしたかったからです、だから最後は一人だったダイに対しバーンは最後は皆で戦う事にしました。
正邪は後書きで関係無い寄り道と書きましたが折角出したんだから……って事で最後の決め手になって貰いました、偽勇者一行みたいにチラチラと行方を見せながら……
次回は……まぁアレですね……ハイ