本編を楽しみにしていた方は申し訳ありません、今しか無いと思ったので……
バーンの命が尽きるその時を間近にした紅魔館・図書館の一時
「~♪」
和気藹々と談笑するなか機嫌良く編み物をする大妖精
「大妖精って編むの早いし上手いよなぁ……どうしたらそんなに早くて上手いんだ?何か秘訣があるのか?」
妹紅が聞いた
「うふふ……それはですねぇ……」
編みながら大妖精は微笑み
「贈りたい人の事を想うからです!」
そして笑った
「相手の事を想いながら編むから上手に編めるんですよ、早くバーンさんに贈りたい……喜んでくれるかなぁ……とか考えながら編んでるんです!」
「へ~……その気持ち、まさしく愛!……ってやつだな!」
「そうですよ!」
「!?」
茶化す言葉に大妖精は即答し妹紅は仰天する、流石に即答で肯定されるとは思ってなかったからだ、そして何故か恥ずかしくなって顔が赤くなる
「聞いたぜ大妖精~!」
耳敏い魔理沙が楽しげにやってくる
「あたしもバーン大好きだよ!愛してるよー!」
「何言ってんのよ大ちゃん!フラン!あたいが最強に愛してるに決まってんでしょ!!」
フランとチルノも聞いていた、何だか良くわかっていないが自分の方が上だと言い張っている
「貴方達3人じゃ親子にしか見えないけどね」
本を下ろしたパチュリーが言った
「そうだねお母さん」
にやけながら魔理沙は茶化す、いつの間にかパチュリーは3人の母親の様に扱われていた
「お母さんじゃないわよ……」
パチュリーの呆れに皆は笑う、本当に楽しそうだ
「ふふ……♪」
一緒に笑いながら大妖精は編み物を続ける
(皆バーンさんが好きなんですね!)
このメンバーの基礎を担うのはバーン、バーンが居るから皆は笑い、皆が居るからバーンは笑うのだ
(あ、バーンさんで思いだした!そういえば前に冒険した事があったっけ……あの時は大変だったなぁ……)
ふと思いだした大妖精はかつての出来事を編みながら思い返し始める
3ヶ月前 紅魔館・図書館
「チルノちゃん休んでた方が良いよ~」
「大丈夫って……言ってんでしょ!」
朝、図書館にやって来た大妖精とチルノ、だが何やら揉めている様子
「どうした?……って顔が赤いぞ親分?大丈夫か?」
既に居た妹紅がチルノの異変に気付いた
「本当だぜ……何か変な物食ったのか?」
同じく居た魔理沙が聞く
「チルノちゃん熱があるんです……寝てようって言っても聞かなくて……」
大妖精が心配そうに答えた、確かにチルノの顔は赤くなりふらついていた
「熱?まさか……チルノだぜ?バカは風邪ひかないって言うだろ?変な物食ったんだろどうせさ」
「なんだとー!!」
魔理沙の馬鹿にした発言にいきり立つチルノ、だが力が入らず更に苦しそうになる
「本当に大丈夫かチルノ?」
妹紅がチルノの様子に心配になり話しかけるが
「大丈夫だって妹紅!すぐ治るからほっとけって、それにバカにつける薬は……」
ゴンッ!
「~イッテー!!」
魔理沙の後頭部を何かが殴った
「いくらなんでもそれは酷いわよ魔理沙」
「何すんだよパチュリー!」
殴った者を睨み付ける魔理沙、殴ったのはパチュリー、手には大きな魔導書が握られていた、どうやら角で殴ったらしい
「ちょっと見せてみなさい」
魔理沙へ返す事なくチルノに近寄りパチュリーは診察を始める
「……妖精風邪ね」
診察を終えたパチュリーが呟いた
「妖精も風邪ひくんだな」
妹紅が珍しそうにパチュリーを見る
「勿論よ、妖精だって風邪をひくわ、人間とは異なるから年に1回あるかないかくらいの頻度だけどね」
「なん……だと……!?」
パチュリーの診察結果に魔理沙は狼狽えた
「誤診……だよなパチュリー?チルノが風邪ひくなんてありえな……イテッ!?」
魔理沙はまた殴られた
「魔理沙しつこい!」
殴ったのはフラン、いい加減にしろとご立腹だ
「……悪かったよ、調子に乗り過ぎた」
皆の冷たい視線にようやく魔理沙は茶化すのを止める
「だからあたいは大丈夫だって!」
「ハイハイわかったから寝てろよ親分、な?」
妹紅が抑えてチルノは半ば無理矢理寝かされる
「それで……治るんですか?」
パチュリーに大妖精が聞いた
「放っておいても治るけど他の方法は二つあるわ、一つ目は薬を飲む事、飲めばすぐに治るわ、二つ目は1回休みになる事ね、簡単なのは二つ目、バーンにメラでも当てて貰えば後は明日まで待つだけだから」
そう言ったパチュリーは魔導書を読んでいるバーンを見た
「……」
バーンは魔導書を読みながら指先をチルノに向ける、いつでも良いぞ?との事らしい
「……一つ目でお願いします」
「フフ……わかったわ」
簡単だからと言っても親友のチルノがやられるのは見たくない、だから大妖精は一つ目の方法に決めた
「じゃあ永遠亭に行って永琳から薬を貰ってきなさい、彼女なら調合出来るわ」
「はい!」
元気良く返事した大妖精は出口へ向かう
「着いて行ってやろうか?」
魔理沙が問いかけた
「大丈夫です!それくらい一人で出来ますよ!」
そう言って大妖精は飛び出して行った
「なぁ妹紅……」
「どうした魔理沙?」
「いやぁ……こんな時ってお決まりのパターンがあるよなぁ……って思ってさ」
「あぁ……私も同じ事考えてたよ、私の予感だと……無いね」
「同じく」
二人は見合い苦笑った
永遠亭
「ごめんなさいね、切らしてるの……」
まさに予想的中だった
「そうですかぁ……」
目的の薬が無い事にガックリ肩を落とした大妖精は永琳に背を向ける
「妖精風邪の薬を欲しがる人は殆どいないのよ、だから私も作ってなかったの……」
「……材料が後一つあればすぐ出来るのだけれど……」
「!?どこにあるんですか?私が取って来ます!」
永琳の呟きに希望を見た大妖精が申し出た
「無縁塚にある結界の場所はわかる?」
「わかんないです……」
「行けばわかるわ目立つから、それでその結界の更に奥に様々な薬草が生えてる場所があるの、そこから……この薬草を取って来て」
図鑑を取り出して大妖精に見せる
「毒消し草って言うの、妖精風邪はある種の毒からくる病気なんだけどこの薬草は妖精風邪くらいしか使い道が無くてね、だから調達してなかったのよ」
「わかりました!行ってきます!」
薬草の外見を記憶した大妖精は意気揚々と永遠亭を飛び出して行った
紅魔館・図書館
「遅いな大妖精……」
「そうだな……て事はパターン入ったか」
帰りを待つ妹紅と魔理沙が呟いた
「この流れだと材料探しって所か」
魔理沙の予想、正解
「まぁ大妖精が探しに行ける場所なんだろうから危険な場所じゃないだろ」
妹紅が眠くなって寝たフランの髪を撫でながら返す
「確か薬の材料は毒消し草ね……場所は無縁塚の奥地だった筈よ」
パチュリーが魔導書を読みながら答えた
「無縁塚かぁ……ん~?待てよ……」
魔理沙が何かを思いだした
「文の新聞で最近無縁塚に危ない妖怪が出るって書いてたような……」
「ああ……確かそんな事書いてたな……」
「でもあの文の新聞よ?」
魔理沙の発言に二人が続いた
「そうなんだよ……文の新聞だから嘘臭いんだよなぁ……」
「でももし本当だったら?」
「「……」」
妹紅の言葉に二人は急に不安になってくる
「……行くか」
「……だな」
「……私も行くわ」
3人は頷き合うとバーンとフランを残し紅魔館を出発した
「……」
(妖怪か……)
残されたバーンは文文。新聞と妖怪図鑑を手に取り読み始める
「遠いなぁ……」
ふよふよと無縁塚を目指す大妖精だがあまり強くないからスピードが出ない
「あー!!」
突然声が掛けられる
「大妖精なのだー!!」
「ルーミアちゃん!!」
大妖精の前に現れたのはルーミア
「何してるのだー?」
「無縁塚に毒消し草を探しに行ってるんだよ」
「一緒に行くのだー!!」
ルーミアが仲間になった
ルーミアを仲間に無縁塚に向かう大妖精
その途中、茂みから何かが現れた!
「こんにちは、死ね」
妖怪が現れた!妖怪はいきなり襲いかかって来た!
「きゃあっ!?」
大妖精は目を閉じ身構えた
しかし攻撃は来なかった
「大丈夫なのだー!」
ルーミアの声に目を開くと妖怪はルーミアに殴られ倒れている
「ありがとうルーミアちゃん!!」
「良いって事なのだー!」
妖怪を蹴散らし二人は進む
無縁塚に続く平地
「うわわ!?また出たよルーミアちゃん!?」
二人はまた妖怪に絡まれていた、今回は数体居る、幼い外見のせいか妖怪も組み易しと感じたのだろう
「任せるのだー!」
大妖精を下がらせルーミアは飛び出し妖怪を蹴散らしていく
妖怪を粗方片付けた時だった
「!!待つのだー!!」
ルーミアが逃げ出した妖怪を追いかけて行き視界から消えていってしまう
「ルーミアちゃん待ってー!!」
大妖精は取り残されてしまった
「こんにちは、死ね」
大妖精は目を閉じ持てる限りの弾幕を放った
ドウッ!!
弾幕を放った大妖精が目を開くと目の前から妖怪は居なくなっていた
「……やった!奇跡かもしれないけどやったよチルノちゃん!」
妖怪を倒したと思った大妖精が笑顔で喜ぶ
「この調子で行くぞー!」
気分良く先に進む大妖精
その大妖精を上空から見守る3つのシルエットがあった
「奇跡も魔法もあるのよ大妖精」
「魔法少女魔理沙ちゃん参上!」
微笑む二人の魔法使いと
「……僕と契約して魔法少女に……ってなんだこれ」
蓬来人だった
無縁塚
「うー……やっぱり怖いなぁ」
大妖精は怖がっていた、無縁塚の独特な雰囲気が何か出そうな気がしてしょうがないのだ
「あ、あれが結界だ!」
無縁塚の奥にある結界を発見し近寄った
「スゴいなぁ……中に何があるのかな?」
結界をまじまじと見つめる大妖精
結界の中は魔界に繋がっておりその魔界には魔帝が封印されている
その魔帝が復活し幻想郷を荒らすのだがそれはまだ先のお話
「あ!それより毒消し草だ!」
目的を思いだした大妖精は結界の更に奥にある場所を目指し進み始めた
「……今度こそ」
その大妖精を背後から狙う影が一つ
「……こんにち……ぶっ!?」
影は襲い掛かる前に蹴り飛ばされる
「?」
声に振り向いた大妖精だが誰も居ない
「……気のせい?」
そう呟いた大妖精は進んで行った
「奇跡も魔法もあると言ったな……アレは嘘だ」
二人に合流した妹紅が微笑んだ
「嘘じゃねえよ、魔法はあるし奇跡も早苗が出来る……幻想郷に住むくせにバカだろ妹紅……そう思うだろ?なぁお母さん?」
「そうね、そこに異論は無いわ……って誰がお母さんよ」
魔理沙とパチュリーが小馬鹿にする様に言った
「……お前ら後で焼き土下座な」
妹紅が炎を燃え上がらせて怒る
「おい……」
3人に妖怪が話しかける
「あーん?焼き土下座だぁ?やれんのかお前によ?」
「焼き土下座なんて程度の低い事言っちゃって……せめて火炙りぐらい言ってみなさいよ」
「……お前ら覚悟は出来てるんだろうな?」
妖怪は無視された
「お?お?やるのか?」
「勝ち目の無い勝負はするものじゃないわ」
「上等……!」
バチバチと睨み合う3人
「……おい!!」
妖怪が叫んだ
「「「あ"あ"ッ!?」」」
3人が妖怪を睨み付ける
「お前らさっきから邪魔ばかりしやがって!落とし前つけてもらうぜ!」
妖怪はさっきから大妖精を襲っていた妖怪だった
妖怪が合図をすると大量の妖怪が現れ3人を囲む
「降参するなら今の内だぞ?」
得意顔の妖怪が告げた瞬間だった
ゴゴゴゴゴゴ
3人の魔力と妖力が上がっていく
「何が邪魔だよ……邪魔なのはお前らだろうが!」
魔理沙、吼える
「あの子を襲おうとするなんて……トイレはすませたかしら?神様にお祈りは?部屋の隅でガタガタふるえて命乞いする心の準備は出来てるかしら?」
お母……パチュリー、睨む
「お前ら……誰の友達に手を出そうとしたかわかってるのか?」
妹紅、激昂
「!?」
3人の怒りに一瞬たじろいだ妖怪だがすぐに命令を下した
「やっちまえ!!」
号令で妖怪達は3人に襲い掛かる
「行くぜー!!」
3人も魔理沙の合図で迎え撃った
「何か騒がしいなぁ……まさかゾンビ!?」
遠くから聞こえる音に身震いした大妖精は奥へ急いだ
「おととい来やがれ!」
妖怪達を蹴散らした3人、妖怪達は3人に全く敵わず全滅させられていた
「まぁこんな所か」
手に付いた汚れをパンパンと落としながら妹紅
「そうね……もう大丈夫でしょう、帰りましょうか」
パチュリーの促しに妹紅は頷き帰ろうとするが
「なーんか違うような気がするぜ……」
魔理沙は違和感を感じ首を傾げる
「違うって何が?」
「いや、妖怪はこんな奴じゃなかった様な……」
思い出そうと頭を捻る
「早く戻らないとバレてしまうわ、急ぎましょう」
パチュリーに催促されて魔理沙は違和感を覚えながらも飛び立ち3人は紅魔館へと帰って行った
永遠亭
「あら?」
居間にやってきた永琳が文文。新聞を見つけた
「無縁塚の奥地に凶悪な妖怪現れる……」
記事を見て呟き書いてある妖怪の特徴を読んだ
(単独妖怪……この特徴って……)
材料から永琳はある結論に辿り着いた
「妖精食い……」
妖精食い
妖精を主な主食とする妖怪、妖精は1回休みになると元となる自然の付近で復活するが妖精食いは特殊な術で復活場所を好きに移動させられる、この妖怪に捕らわれた妖精は最後、復活する毎に食べられる運命に堕ちる
(確か異世界から落ちて来た魔物が幻想郷に適応して妖怪と呼ばれる様になった者ね、元はトロルだったかしら)
(まぁ食べられたからと言って私には関係無い事、あの子達がなんとかするでしょう)
そこまで干渉する気の無い永琳は新聞を放ると診察室に戻って行った
無縁塚奥地・薬草の草原
「着いた!」
目的地に着いた大妖精
「どれかなぁ?」
すぐに毒消し草を探し始める
「ん~……無いなぁ……」
薬草を掻き分けながら探すが中々見つからない
「……あ!」
少し離れた場所に目的の毒消し草を見つけた
「見つけた!」
急いで毒消し草へと飛ぶ大妖精
「あっ!?」
草に絡まり速度が落ちた
ブゥン
大妖精の目の前を腕が通り過ぎた
「えっ……何……?」
唖然とする大妖精は腕の先へ視線を送る
「ひっ!!」
全体を捉えた大妖精が飛び上がった、自分の5倍以上はあろうかという妖怪の巨体を見たからだ
「旨そうな妖精だ……」
妖怪は大妖精を見て舌を舐めずる
「わあぁぁぁ!!」
恐怖を感じ一目散に逃げ出す大妖精
「逃がさん」
追い掛けた妖怪が叩こうと腕を振る
「きゃっ!?」
避けようとしたが避けきれず肩に指が当たり大妖精は地面を転げる
「イタ……わっ!?」
起き上がった大妖精は目前に迫る手を転がって避ける
「わわわ……」
そしてまた逃げる
何度か傷付きながらも逃亡を繰返した大妖精だが逃げ切る事は出来ず岩壁に追いやられてしまった
「もう逃げ場は無い」
大妖精へと歩を進める妖怪、口からは涎が出ている
「嫌……」
食べられると直感した大妖精は顔を背ける
(ゴメンねチルノちゃん……やっぱり弱い私じゃダメだったよ……)
(明日……明日になったらお見舞い行くからね)
目の前の妖怪が復活場所を変えれるなど知らない大妖精は明日を思う
だが捕まったら最後、明日は妖怪の前など露知らず……
(!!)
チルノの事を思っていた大妖精は昔に二人で交わした会話を思いだす
「ゴメンねチルノちゃん……また助けて貰っちゃって……」
「大ちゃんは弱いんだからしょうがないよ!あたいが守ってあげるから大丈夫!」
「……チルノちゃんはこんな弱い私と居て楽しいの?」
「?……楽しいよ?なんで?」
「だって私チルノちゃんに守って貰ってばっかりだし……」
「何言ってんのよ大ちゃん!あたい達友達じゃん!」
「!!」
「友達は助け合うものでしょ?大ちゃんが弱いならあたいが守る!それだけよ!」
「……うふふ」
「どしたの大ちゃん?」
「なんでもないよチルノちゃん!ありがとう!」
「変な大ちゃんだなぁ」
「「アハハハハ」」
(そうだよね!友達は助け合うものなんだよねチルノちゃん!)
瞳に意思が溢れてくる
(チルノちゃんが苦しいなら助けるのは私の番だ!)
怯えは消えた
「私がやるんだ!チルノちゃんの……為に!」
傷付いた体を起き上がらせ妖怪を睨んだ
「ええーい!」
弾幕を妖怪に撃ち込む
「抵抗するな!」
弾幕を受けた妖怪が捕まえようと腕を伸ばす
「やああっ!!」
腕を避けた大妖精が弾幕を撃ち続ける
「グブゥ!!」
一転して攻撃を仕掛けて来た大妖精に妖怪は手に持つ棍棒を振り回す
「えい!」
ギリギリで避けながら弾幕を当て続けるが徐々に回避の割合が多くなる、更に力の弱い大妖精の弾幕は効いてなかった
「うー……やああああっ!!」
このままでは駄目だと感じた大妖精は持てる力を全て弾幕に変えて放った
ゴッ
「あうっ!?」
弾幕を打ち払った棍棒の一撃が大妖精を打った
「い……痛……」
吹き飛ばされた大妖精は痛みで起き上がれなかった
「手間取らせてくれたな……」
妖怪が大妖精を掴んだ
「ようやく食える」
口を開ける、涎がボトボトと下に落ちている
「ヤダ!ヤダヤダ!!」
必死に抵抗するが振りほどけない
絶体絶命のピンチに恐怖がまた大妖精を支配する
「イヤーーーーー!!」
悲痛な絶叫が木霊する
ザンッ
「ぐあああああっ!?」
妖怪の絶叫が響いた
「誰の知り合いを食おうとしている……」
絶叫の後に静かに語る者が居た
「誰ダァ!!」
腕を切り飛ばされた妖怪が睨み付ける
「今より死に行く貴様に名乗る名は無い……」
大妖精を抱き抱える者は冷たく睨み返した
「ウガァァァァァァァァ!!」
妖怪は棍棒を振りかざし痛恨の一撃を放った
「フン……」
鼻を鳴らすと現れた者は片手に大妖精を抱えもう片方の手を手刀に構え魔力を込める
手刀に炎が宿る
「フェニックスエンド!!」
放たれた炎刀は棍棒を無かった様に切り裂き妖怪を両断した
「ギャアアアア!?」
両断された妖怪は燃え上がり瞬時に燃え尽きた
(魔法剣を真似てはみたが……)
威力の高さを実感するが気分は良くない
(やはりダイやバランの真似など性に合わんな)
新たな技は封印され二度と使われる事は無かった
「……」
現れた者は大妖精を寝かせ回復呪文を唱える
「見事だったぞ」
そう告げた後、現れた者は魔力の残光を残し消えていった
「うーん……」
目を覚ました大妖精は辺りを見回す
「あれ?妖怪はどこに行ったんでしょう?」
起き上がり更に見回すが誰も居ない
(居ないなぁ……それに体があんまり痛くない……)
体の調子を確かめる大妖精は目的に気付く
「そうだ!毒消し草だ!」
すぐに毒消し草の生えている場所に向かい遂に手に入れる
「やったよチルノちゃん!すぐ行くからね!」
達成感に笑う大妖精は永遠亭へと飛んで行った
紅魔館・図書館
「ただいま帰りました!」
「おかえり大妖精」
帰ってきた大妖精を皆が迎える
「作って貰えました!」
薬を掲げて大妖精が満面の笑みを見せる
「やったな大妖精、早く飲ませてやんな」
「ハイッ!」
妹紅に促されチルノに早速薬を飲ませる
「あたいふっかーつ!!」
「早っ!?」
飲んだ瞬間に快復したチルノに皆は笑った
そんな穏やかな雰囲気の中、大妖精が3人に言いだした
「妹紅さん、魔理沙さん、パチュリーさん、助けてくれてありがとうございました!」
突然の感謝の言葉に目を白黒させる3人
「気付いてたのか……」
魔理沙が照れ臭そうに鼻を掻く
「勿論ですよ!私があの変な妖怪を倒せる訳ないじゃないですか!それに3人共服が汚れてますよ!」
「……アハハ、これは気付かなかったな」
3人は暴れた事で服がかなり汚れていた
それを指摘された妹紅は苦笑する
「ごめんなさいね、心配だったの」
「いえ!嬉しかったです!」
大妖精の笑顔にパチュリーは微笑んだ
そして3人に改めて礼を言うと大妖精はバーンの元に向かった
「ありがとうございますバーンさん!」
「……何の話だ?」
魔導書を読みしらばっくれるバーン
「わかってますよ私は!助けてくれたんですよね!」
「知らんな」
否定するバーン
「あ、バーン……どこ行ってたの?」
そこにフラン起きて来る
「……どこにも行っておらん」
「えー!あたしが1回起きた時居なかったよー!嘘つきー!」
「知らんな」
フランの指摘に表情を変えず否定するバーン
「……」
ガシッ
「どうした大妖精?」
いきなり抱きついてきた大妖精にバーンは視線を送る
「うふふ……何でもないですバーンさん♪」
「可笑しな奴よ……」
大妖精を見つめてバーンは微笑んだ
(やっぱりバーンさんは優しいなぁ)
追想を終えた大妖精は改めてバーンを想う
(次は皆で冒険したいなぁ)
そんな事を考えながら編み物は進む
「ハイ!次はチルノちゃんの番だよ!」
まだ異変が起きていなかった紅魔館の一時
妖精が体験した小さな大冒険
妖精はまた冒険をしたいと心から願う
しかしその願いは限りなく薄い望みだとはまだこの時は知るよしも無かった……
大ちゃんは良い子ですねぇ……大ちゃんも好きですが私はチルノ派です。
内容はありきたりで大冒険とはかけ離れてますがお許しください。
バーンの使ったフェニックスエンドは以前頂いたとある方の感想から考えました、本編には出ませんが魔法を宿した手刀なんて格好良いのでおまけ的な感じで出しました、嘘じゃないです。
次回から本編に戻ります、頑張ります!