東方大魔王伝   作:黒太陽

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最終話 さらば……愛する幻想郷よ……

紅魔館・図書館

 

「バーンの奴遅いな……」

 

魔理沙は読んでいた魔導書を机に放りながら呟いた

 

「そうね……朝って言ってたけどもう10時だし……」

 

魔導書を読みながらパチュリー

 

「忘れてるんでしょうか?」

 

「まさか……あのバーンが忘れるわけないだろ」

 

大妖精の疑問に答える妹紅

 

「あたし眠くなってきた……」

 

「寝たらダメよフラン!まだバーンに渡してないでしょ!!」

 

眠気に襲われるフランにチルノが渇を入れる

 

 

「なぁ……この半年色んな事があったよなぁ……」

 

「なんだ魔理沙いきなり?」

 

不意の魔理沙の発言に皆が顔を向ける

 

「ああ……ふと思ってさ、お前等もそう思うだろ?」

 

「そうね……バーンが来てから本当に色んな事があったわね……」

 

「まずあいつの印象は無愛想で近寄りがたい奴だったな」

 

「私はまずおかしい、からだったわね……あれが始めてだったわ、魔力を感じて戦慄したのって……」

 

「そうですね、チルノちゃんなんか何回休みにされたか……100回くらいかな?」

 

「あ、あれはあたいがバーンに花を持たせてやっただけよ!本気出せばバーンなんかイチコロだし!」

 

「よく言うぜ親分……その後だろ?私がバーンに挑んだのは?」

 

「その前に妖夢とチェスだけど輝夜が挑んでるわね」

 

「あの時は痛かったなぁ……だっていきなり殴るんだもん」

 

「……あれは本当に悪かったよ、許してくれ」

「そんでその後に神奈子とバーンがやりあったんだよな、あれは凄かったなぁ……今の方が強いけどあの時も仰天したもんだ」

 

「確かその前くらいからでしょ?バーンの態度が変わり始めたのって」

 

「そうそう!チルノが仮病使って大妖精がお使い行ってきた辺りからなんか優しくなって来たよな!」

 

「えへへ……あれは嬉しかったなぁ」

 

「それでナイトメア異変だったな、魔理沙とバーンが喧嘩してそりゃあ大変だった……」

 

「うっ……あれはしょうがないだろ!」

 

「確かにバーンの言い方も悪かったけどバーンの考えをわからずに感情的になったお前も悪いと思うぞ?」

 

「まぁまぁ!仲直り出来たんですからもう良いじゃないですか!」

 

「そうだな、それでナイトメア異変の最中にバーンが幽香とやりあったんだよな?私は見てないけど」

 

「私も最後しか見てないからよくわからないけど見た感じは善戦してたみたいだぜ幽香」

 

「流石USC……実力も高いわね」

 

「そんで逃げたナイトメアを探してる時に正邪が来たのよね!」

 

「あの時は参ったわよ……まさかレミィがバーンに唆されて紅魔館が戦場になるなんて夢にも思わなかったわ……」

 

「萃香との勝負も凄かったな!そりゃあバーンが殴り合いしなけりゃバーンの勝ちだったろうけどさ」

 

「あー……あれはなんか私も年甲斐もなく熱くなったよ」

 

「そういや妹紅は歳がよくわからないバーン除いて私達の中で一番歳上だったな……見た目は私と変わらない歳なのに……詐称すんなよな、犯罪だぜ妹紅」

 

「トラウマにしてやろうかお嬢ちゃん?」

 

「それ魔理沙以外全員に当てはまるわよ?私も加勢するわ妹紅」

 

「おーおー!やってみやがれ!」

 

「誰がロリババァですってー!!」

 

「あたしもやるー!」

 

「もお!!やめてください!!」

 

「「「ハーイ」」」

 

「それでなんだっけ……ああその後だったな、ムンドゥスが復活したのは」

 

「今思い出してもマジでよく生きていたなって思うぜ……」

 

「本当ね……でもあの時は幻想郷が1つになってた……」

 

「だな……じゃなきゃ勝てなかったよ絶対に……」

 

「閃光のように……魔理沙のあの叫びがなかったら私は諦めてたかもしれないわね」

 

「あの時の魔理沙かっこよかったねー!」

 

「恥ずかしいからやめてくれ……結局バーンが来て助けてくれたんだし……」

 

「まぁそう不貞腐れるなよ、でもバーンが来てくれたのは本当に嬉しかったなぁ……しかも枷の無い全力で!思わず抱き締めるところだったよ!」

 

「大胆な発言ですね……」

 

「そっか、大妖精は居なかったもんな、いやぁ最高に格好良かったぜ?あの時は流石の私も妹紅と同じく抱き締めたかった!なぁパチュリー?」

 

「そうね……私なんかなんであの時抱き締めなかったのか後悔してる……わけないわよ?」

 

「すごく……手遅れです……」

 

「まっ!本気のバーンはまぁまぁだったわね!あたいの次くらい!」

 

「カイザーフェニックスからマヒャド、闘魔滅砕砲にフェニックスウィング、そしてカラミティエンド!その強さまさに大魔王!!って感じだったな!」

 

「悪魔なんてものの数分で全滅だもんなぁ……」

 

「ってもやっぱりアレだぜ!アレ!」

 

「ああ……天地魔闘の構え……だな」

 

「アレだけは私がいくら強くなっても破れない気がするわ……」

 

「まったくだぜ……」

 

「ムンドゥスでも破れなかったもんなぁ……」

 

「私も見たかったです……」

 

「でもムンドゥスは倒せなかった……」

 

「そうだな……それでバーンは成ったんだよな……」

 

「鬼眼王……だっけ?ムンドゥスと同じ化物になっちまったんだよな……そんでトチ狂って幻想郷から去るなんて言いだしてさ」

 

「私達の為だったんですよね?私達を守る為にバーンさんは……」

 

「それでもムンドゥスには勝てなかった……私達のせいで……」

 

「バーンが死んだ時は信じられなかったよ、チルノとフランがいくら呼び掛けても返事がなくてさ……」

 

「でも復活したじゃん!」

 

「まぁな、結果的には凍れる時の秘法で勝ったけどあの時程自分の力の無さを恨んだ事はなかったな」

 

「そうね……でも勝って、バーンも起こして……これからでしょ?」

 

「わかってるさ!これからもっと強くなって……カイザーフェニックスに!バーンに勝つ!!」

 

「正直途方もない目標だけどな……でも頂への道を見つけたんだ!険しくたって自分に向いてなくたって不可能だって……そんなもん関係ない!ただ登る!もう憧れじゃない……越えてやるぜ!」

 

「あたしも!それがバーンが一番喜ぶと思うから!」

 

「あたいだって負けない!バーンを最初に倒すのはあたいよ!!」

 

「私も負けません!!」

 

「頑張りましょう……バーンもきっとそれを望む筈……!」

 

 

6人の意気は高まる

 

 

バーンが居たから強くなり、強くあろうと出来る

 

 

全てはバーンが居たからこそ

 

 

これまでがそうであった様にこれからもそうあり続ける

 

それがバーンとの約束

 

交わした約束ではないが不思議とそれがバーンとの暗黙の約束になりそれをバーンとの絆としていた

 

 

 

キィ……

 

 

 

ドアの開く音が聞こえる

 

「来た!準備出来てるな大妖精!」

 

「ハイッ!」

 

「大ちゃんやっぱりあたいにやらせてくんない?」

 

「ジャンケンで負けただろ?諦めろって親分」

 

「大ちゃんいーなー……」

 

「……静かに!来るッ!」

 

期待を胸に秘める6人の前に二人は現れた

 

「……」

 

「……」

 

バーンは現れた、レミリアと共に

 

「遅いわよバーン!」

 

笑顔のチルノの言葉

 

「……遅くなった」

 

普通に返した筈だった

 

(なんか暗い……?)

 

なのに感じられてしまう

 

「ようレミリア!二人で仲良く来るなんて珍しいな!まさか一緒に寝てたのかぁ~?」

 

無論冗談、それぐらい皆ならわかる

 

「……そうね」

 

「……どした?なんかあったのかレミリア?」

 

いつもなら怒って否定する筈なのに肯定、しかもなげやりな感じがする

 

魔理沙の問いにレミリアは答えず沈黙したまま

 

(……?何だ?)

 

皆も二人の様子に首を傾げる

 

 

そして少しの間を置いた後、バーンが口を開いた

 

 

「……今日呼んだのはお前達に褒美をやろうと思ってな」

 

 

バーンの言葉に6人は驚いた

 

「なんかくれるの!?やったー!!」

 

喜ぶチルノは同じく喜ぶ大妖精とフランと共に目を輝かせている

 

「なんだなんだ?珍しいキノコでもくれるのか?」

 

魔理沙も嬉しそうだ

 

(あー……まさか被って先にやられるとは……)

 

妹紅は少し悔しげに苦笑する

 

(でもこれはこれで良い感じになりそう……)

 

パチュリーも苦笑の後、笑顔を作る

 

「……」

 

6人の笑顔とは対称にどこか寂しげな顔のバーンとレミリア

 

 

「……パチュリー、魔理沙」

 

始まった

 

「少し……いやかなり期待してしまうわね」

 

「何くれるんだ?」

 

二人を呼んだバーンは目の前に来た二人に懐から2冊の本を渡した

 

「これ……魔導書?」

 

「えらく質素な魔導書だな……何の魔導書だ?名前も書いてないし……」

 

渡された魔導書は二人が見た事も無い物だった

 

「それは……余の魔導書だ」

 

魔導書を眺める二人にバーンが告げる

 

「バーンの……?って事は……」

 

「つまりこれって……」

 

二人はすぐに言葉の意味を察した

 

「それには余の生涯を賭けて蓄えた魔を記してある、魔法使いのお前達には最も適した物だ」

 

二人に贈ったのは魔導書、バーンが今までに培った力の全てを記した本

 

「パチュリーには多彩な魔法を記した、それを読み更に励め、魔の深淵へ向かってな」

 

「わかったわ……!!」

 

自分にとって最高の贈り物と言える物を貰ったパチュリーは満面の笑みでバーンに約束した

 

「魔理沙の方は主に力を記した、力を高める方法をな」

 

「良いのかよ?こんなの貰ったら私がバーンを越えるのも時間の問題だぜ?」

 

「……そうならねばくれてやった意味があるまい」

 

「へっ……そうだな!ありがとうバーン!大事にするぜ!」

 

冗談混じりに礼を言った魔理沙は更なる向上を心に刻む

 

これで二人に心配は無い

 

 

「妹紅」

 

次に呼んだのは妹紅

 

「私は別にいいのに……」

 

少し照れくさそうにバーンへ向かう

 

「お前にはこれだ、御守り……と言う物になる」

 

「これ……香霖堂にあった紋章と同じだな……鳥か?」

 

渡されたのは掌大の円形の物

 

「そうだ、調べてみたがロトの紋章に描かれているのは不死鳥を象った物らしい、その世界ではラーミアと呼ばれる不死鳥が存在する、それを象ったのだろう」

 

「へぇ……不死鳥って色んな世界に居るんだな」

 

手にした御守りを掲げながら呟く妹紅にバーンは続ける

 

「それには耐性を付加してある、不死のお前に一番怖いのは精神破壊や封印の類……だからそれにはそれに対する耐性を施してある、肌身離さず持っていろ」

 

バーンが御守りを贈った理由は妹紅の戦い方にあった

 

不死故に死を軽く見る妹紅はダメージ覚悟の特攻をするなど自己を省みないきらいがあった

 

その為一番それらを受ける可能性が高い妹紅にバーンは安全を贈ったのだ、仮に受けても大丈夫な様に

 

「……悪い、気をつけるよ」

 

妹紅は謝った

 

「確かにそうだよな、私は不死だからって自分を軽視してた……皆が危ない時は私が助けなきゃならないのに……」

 

長い時を生き、戦い続けていた妹紅はバーンの考えを言われる前に理解し反省していた

 

「わかったならよい、お前は皆の中では年長者、お前が守ってやれ」

 

「わかった!ありがとうバーン!」

 

その上でバーンの気遣いに深く感謝した

 

「不死鳥を象る事にしたのは余とお前の共通する象徴だからだ」

 

「不死鳥を誇りとしろ……死ぬ事は許さん、わかったな?」

 

「任せとけ!」

 

力強く答えた妹紅

 

 

もう彼女に心配は無い

 

 

「チルノ、大妖精、フラン……来い」

 

最後は幼い3人

 

「なになに?なによ!なにくれんの!?」

 

「はいバーンさん!!」

 

「やった!なんだろなんだろ!!」

 

とても嬉しそうにやってくる3人にバーンは3つの球体を差し出した

 

「お前達にはこれだ」

 

「……なにこれ?ボール?」

 

「金属……ですか?」

 

「大きい飴?」

 

渡されたビー玉程の小さな球体を訝しげに眺めた

 

「それはマネマネ銀を加工して作った物だ、それには仕掛けを施してある」

 

「爆弾とか?」

 

「それはないんじゃないかなチルノちゃん……」

 

「なになにー?教えてよバーン!」

 

無邪気な3人にバーンは微笑みながら話した

 

「仕掛けとはお前達が成長した時に装飾品になる仕掛けだ、成長したお前達に合う装飾品になる様にしてある」

 

「装飾品?アクセサリーの事?」

 

「そうだ」

 

「本当に変わるんですか!?」

 

「無論」

 

「嬉しいけどなんであたし達はアクセサリーなの?」

 

「……」

 

フランの問いに一拍置いて話しだす

 

「お前達が心身共に成長した時に……飾り気がなければならぬからだ」

 

「いつかお前達にも好意を抱く者が現れよう……その時に着飾る物がなければ恥を晒す事になる、醜態は晒すのは好ましくない、故に嗜みとしてそれを持ち女としての品位を上げておけ」

 

元よりこの3人には心配しかない

 

頭の悪いチルノ、力の弱い大妖精、いつまでも幼さが抜けないフラン

 

この3人は今すぐにどうこうではない

 

だからそれは諦めてこれにした

 

これもまた先の為だから

 

「ありがとバーン!」

 

フランが言った、意味がわかっているのかはわからないが感謝の気持ちは籠っている

 

「バーンさんお父さんみたいです」

 

少し赤面しながら大妖精

 

「バーンじゃダメなの?」

 

わかっていないチルノ、いやわかった上か

 

「……」

 

3人には何も言わない

 

(お前達の無邪気さにも救われた……特にチルノ、お前にな……)

 

3人を見つめる瞳に輝きは無かった

 

 

 

「……以上だ、レミリアには昨日渡してある、そして……お前達に言わねばならん事がある」

 

「その前にちょっと良いかバーン?」

 

終わりを告げようとしたバーンを妹紅が止めた

 

「……大妖精」

 

「ハイッ!!」

 

トコトコと大妖精がバーンに歩み寄り

 

「私達からのプレゼントです!!」

 

満面の笑みでバーンに包みを差し出した

 

「……余にか?」

 

「勿論です!」

 

戸惑いながらもプレゼントを受け取る

 

「何してんだよバーン!開けろって!」

 

受け取ったまま動かないバーンに魔理沙が促す

 

「……」

 

促されるままに包みを開け、中身を取り出したバーンは固まった

 

「着けてあげなさい、チルノ、フラン」

 

「うんっ!!」

 

プレゼントを奪った二人がバーンに着せる

 

「中々似合うな」

 

着飾ったバーンを見た妹紅が満足気に微笑む

 

「これは……スカーフか?」

 

着せられた物を触りながら聞いた

 

「おっ!知ってるのか!そうだぜ!スカーフだよ、良いだろ?」

 

「皆で編んだのよ」

 

魔理沙とパチュリーも笑って答えた

 

 

バーンに贈られたのはスカーフ、バーンの服装に合わせ、映える様に見せる赤いスカーフだった

 

 

「……何故余に?」

 

貰ういわれが無いバーンは問う

 

「バーンいつもありがとーって事だよ!」

 

「それには皆の気持ちが籠ってます!」

 

「感謝しなさいよ!」

 

 

そう感謝……

 

バーンが居たから楽しくて、生きられ、強くなれた

 

その想いが形となってバーンに贈られたのだ

 

 

 

「……ッ!!」

 

それを見たレミリアは苦悶の表情で顔を伏せる

 

(こんな……こんな惨い事があって良いの……?)

 

 

無知とは罪なのかもしれない

 

バーンが死ぬ事を知らないが故に皆は笑顔で贈り物を渡す

 

辛過ぎて見るに耐えなかった……

 

 

「……」

 

沈黙するバーン、スカーフを触りながらたたずんでいる

 

「……気に入らなかったか?」

 

その様子に不安気に妹紅が尋ね皆の顔が曇りかける

 

「……いや」

 

バーンの声が響く

 

「そうではない、感謝する……お前達」

 

礼の言葉を贈った

 

だが笑う事は出来ない

 

無表情で礼を言う

 

それしか出来なかった

 

 

 

「へへへ……それはいつかバーンを越えるぜ!って約束の証でもあるんだぜ!」

 

 

いつかなど無い……

 

 

「これからもよろしくお願いするわ」

 

 

これからも無い……

 

 

「ずっと一緒ですよバーンさん!」

 

 

一緒には居られない……

 

 

「あたしもっと強くなるから!!」

 

 

言わねばならない……

 

 

「バーンを倒してあたいがサイキョーになってやるわ!」

 

 

約束は果たせないと……

 

 

「てな訳だよ、今日から大丈夫なんだろ?早速頼むよ!」

 

 

すまぬ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無理だ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは告げられ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別れの時だ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうゆう事だ?別れって?」

 

6人は意味がわからず問う

 

その中で一人だけ青ざめる者が居た

 

 

「その時が来たのだ」

 

 

「なんだその時って?」

 

 

魔理沙が聞いた瞬間だった

 

 

「やだ!!」

 

 

図書館にチルノの声が響き渡る

 

「やだ!!絶対やだっ!!」

 

必死にダメだと叫ぶ、最初にわかったのはチルノだった

 

「落ち着きなさいチルノ」

 

パチュリーが抑えるが

 

「やだぁぁぁ!!」

 

制止を聞かず喚く

 

「落ち着けチルノ!!」

 

「どうしたのチルノちゃん!!」

 

妹紅と大妖精も加わりようやくチルノは少し落ち着く

 

「それで……どうゆう訳なんだバーン?チルノがここまで乱すなんて普通じゃない、別れって、その時ってなんだ?」

 

睨み付ける妹紅、彼女はまだあの時には居なかった、だから何の事か知らない

 

「……帰るつもりか?」

 

魔理沙、彼女はあの時に居た、だからチルノが叫んだ時に薄々わかった

 

「違う……」

 

帰るのは否定された

 

「まさか去るつもり……」

 

パチュリーもわかっていた

 

「そうであり、そうではない……」

 

まさにその通り

 

「嘘……ですよね?」

 

大妖精、受け入れたくない

 

「嘘では無い……」

 

そう、嘘では無い

 

「えっ?えっ……?バーン……?」

 

フラン、混乱している

 

「もうお前達と歩む事は叶わん」

道は無いのだ

 

 

「なんのことだぁ!!!」

 

 

痺れを切らした妹紅が叫んだ

 

「バーン!!一体何の事だ!その時って何だ!?」

 

自分だけ蚊帳の外に居ると感じた妹紅が机を殴って立ち上がった

 

「答えろよバーン!!」

 

妹紅の怒りに皆は黙った

 

 

静かになったその場でバーンは静かに語りだした

 

 

「余は死ぬ」

 

 

一瞬だけ時が止まった

 

 

「……冗談か?」

 

「違う」

 

「……死ぬってどうゆう事だ?」

 

「ムンドゥスから死の呪いを受けた、もう幾許も時は残されておらん」

 

「んだとぉ……!!」

 

拳を握り締める妹紅、許せれなかった

 

「なんで言ってくれなかったの?」

 

「言う必要が無かったからだ」

 

「皆で協力すれば解けたかもしれないのに?」

 

「それは無い」

 

「……ッ!?」

 

顔を歪ませるパチュリー

 

「私達じゃ役に立たないって事か?」

 

「そうゆうつもりでは無い……が、意味は同じか」

 

「ならなんでッ……!?」

 

魔理沙も顔を歪ませた

 

 

「もうバーンの好きにさせてあげて……」

 

ずっと黙っていたレミリアが話しだした

 

「なんでお姉様!!」

 

フランが食って掛かる

 

「バーンはね……頑張ったのよ、私達の為に……激痛に耐えながら……死ぬってゆうのに……」

 

レミリアは諦めていた

 

もう運命は変えられない

 

ならばせめて最後は愛するバーンの好きな様にと……

 

「これも運命よ、知りながらも突き進んだ道だ……後悔など有ろう筈も無い」

 

レミリアを庇う様にバーンが告げた

 

これは自分が望んだ事、だからレミリアを含め誰も責めるなと

 

「余は……異変だったのだ……この幻想郷で、バーンと言う名の幻想……」

 

「そう……思え……」

 

その上でもう自分の事は忘れろ

 

過ごした日々は全て一時の幻……幻想だったのだと

 

永琳の幻想の旅と言う言葉でそう考えた

 

そうすれば傷は少ないのではと考えて

 

 

「もう……バーンを休ませてあげて?」

 

だからバーンの死を受け止めて認めて欲しい

 

そう皆に願った

 

 

「嫌です……」

 

 

大妖精が俯きながら呟いた

 

「なんで……なんで言ってくれなかったんですか!!」

 

顔を上げた大妖精がバーンに叫ぶ

 

「苦しいなら苦しいって言ってくださいよ!!」

 

「つらいならつらいって言ってくださいよ!!」

 

涙が頬を伝う……

 

「言ってくれなきゃ……わかんないじゃないですかぁ……」

 

その場でへたりこんで泣きだした

 

「あたい達……友達でしょ!!」

 

またチルノが叫んだ

 

「なんでバーンだけつらい思いすんのよ!!なんでバーンだけ傷だらけになんのよ!!」

 

「友達は……助け合うもんでしょ……!!」

 

必死に堪えながらバーンを睨み付けた

 

 

「……」

 

 

二人の言葉に感じる物があったバーン

 

「……今更無意味だ、お前達はただ余の死を受け入れるだけでよい」

 

だが壁はまだ壊せない

 

 

「いい加減にしろ!!」

 

 

破壊音と共に妹紅の怒声が響く、皆が目をやると妹紅は炎をたぎらせ机を殴り壊していた

 

「勝負だバーン……逃げるなよ!!」

 

告げながら近付いていく

 

「……やめておけ、勝負にすらならん」

 

「それに……意味が無……」

 

 

「意味が有る無しじゃないんだよ!!」

 

遮る怒声、それはいつかの時と同じ激しい怒り

 

「私はお前が許せないんだ!!」

 

怒りを炎に変えて睨み付けた

 

「……私もやるぜ」

 

「……私もやるわ」

 

妹紅の横に魔理沙とパチュリーが並び立つ

 

「あたしも……!!」

 

その後にフランも

 

「あたいもやるわ!!」

 

「私だって……!!」

 

チルノ、そして大妖精すら並び

 

バーンに立ちはだかった

 

「お前達……」

 

それはバーンにすら予想出来ない事態だった

 

死を告げた後に起きるのは悲しみだけだと思っていた

 

それしか無いと思っていた

 

だが見えるのは激しい怒りで睨む6人の姿だったからだ

 

 

「勝負だ……!私達が勝ったら言う事を聞いて貰う!!」

 

 

その言葉にずっと考えていた者が動いた

 

 

スッ……

 

 

「レミリア……」

 

 

傍に居たレミリアが6人に並んだ

 

「悪いわねバーン……私も気持ちは皆と同じなの……」

 

諦めていた、諦めていたがそれは言い聞かせていたに過ぎなかった

 

気持ちの上では皆と同じ

 

許せなかった

 

だから6人に並んだ

 

この行為が無意味と知っていても許せれなかったから

 

 

「……」

 

 

7人の瞳を受けるバーンは考えた末に……

 

 

「お前達がそれを望むなら……かかってくるがいい」

 

 

勝負を受けた

 

 

「わかってるな皆!!」

 

 

「勿論だぜ!!」

 

 

「ええ……これは……」

 

 

「これだけは譲れません……!!」

 

 

「絶対……」

 

 

「絶対に勝つわよ!!」

 

 

「行くわよ……バーン!!」

 

 

 

 

「……来るがいい」

 

 

 

最期の戦いは始まった……始まってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッ……ハアッ……ッアア!!」

 

妹紅の炎がバーンを襲う

 

「……」

 

焼く事は出来ない、火傷どころか衣服すら焼けない

 

「やああっ!!」

 

大妖精の弾幕

 

「……」

 

効かない

 

他の者も攻撃を繰り返すがダメージが全く無い

 

「クソォォ!!」

 

それでも攻撃は止めない、だが効かない

 

「……!!」

 

堪えかねたフランが目を作り出す

 

「……やめろ」

 

「ウルサイ!!」

 

バーンの制止を聞かずフランは腕に力を込める

 

「きゅっとして……!!」

 

 

 

「やめろフラン!!」

 

 

 

妹紅の大声にビクッっと反応したフランは目を消して妹紅を見た

 

「それはやっちゃダメだフラン……」

 

「でも……勝たないと……」

 

「わかってるさ……でもな、バーンは敵じゃない」

 

止めたのは相手がバーンだから

 

「それをやったらバーンとは友達でいられなくなる……」

 

敵ならフランの能力を使っても問題は無い

 

だが相手はバーン、敵では無い

 

殺し合いではないのだこれは……

 

効く効かないではない、殺意が籠るのがダメなのだ

 

フランにその気が無くても殺しうる力はこの戦いでは禁じ手

 

「それは嫌でしょ?」

 

パチュリーが聞いた

 

パチュリーもバーンを殺しうる魔法、メドローアがある、だがそれは使わない、絶対に使わない、パチュリーはわかっているから

 

それを使ってしまうのはバーンを殺す気があるとなる、そうなればそれはもう友とは呼べなくなる

 

だから怒りに燃える妹紅でもその一線は越えない様にと考えていたからこそフランを止めた

 

 

「……ごめんなさい」

 

フランも理解し謝った、自分が如何に考えていなかったかを悟り謝った

 

「いいさ……行くぞフラン!!」

 

「うん!!」

 

 

まだ戦いは続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ……」

 

息を切らせ、攻撃を止めた魔理沙が呟き

 

「コノッ!!コノォォォ!!」

 

攻撃を続けるチルノを見上げる

 

(わかってたけど化物過ぎる……)

 

攻撃は効かない、誰の攻撃も

 

それもその筈、今のバーンは全く敵わなかったムンドゥスと同等、勝てる訳が無い

 

(でもな……今はあの時以上に負けられない!!)

 

魔力を高めまた攻撃を開始する

 

(やっぱり貴方は変わったわ……ゴメンねバーン……)

 

レミリアはバーンの心中を察し謝罪しながらも攻撃する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけるなよ……!!」

 

妹紅が言った

 

「ふざけるなよバーン!!」

 

更に怒りを燃やし睨む

 

「ふざけてなどいない」

 

バーンは目を閉じ答える

 

「それがふざけてるって言ってんだよ!!」

 

身を震わせながら叫んだ

 

「なんで攻撃しないんだ!!」

 

妹紅含め誰も傷は無かった

 

疲れこそあるが体に傷は無い

 

バーンは戦いが始まってから一切の攻撃をしていなかった

 

 

「……お前達を傷付ける意味を感じないからだ」

 

「ふざけんな!!」

 

 

「お前言ってたじゃないか!勝つ事に優越を感じるって……楽しいって……!!」

 

「……」

 

「やれよバーン!!これは勝負なんだ!!撃てよ!!」

 

炎を纏い飛翔する

 

「お前のカイザーフェニックスを!!」

 

炎を更に燃え上がらせ頼んだ

 

(楽しくなど……)

 

その頼みに手に魔力を込める

 

「これが最後だ……これがお前の望む余の不死鳥……これが……余のメラゾーマ……」

 

 

「オオオオッ!!」

 

 

「……カイザーフェニックス」

 

 

撃たれた炎鳥は突進してくる妹紅を迎え撃つ

 

炎鳥と妹紅の衝突は炎を一瞬周囲に撒き散らし

 

 

「……ッカァ!?」

 

妹紅を破った

 

 

(諦めてくれればと思ったが……致し方あるまい)

 

床に落ちる妹紅を見ながらバーンは攻撃を決意する

 

 

 

「……」

 

かざした手から冷気が生み出されチルノに向かう

 

「うぅ……うぎぎぎぎ……!!」

 

自身の冷気で対抗するチルノ

 

フッ……

 

限界を迎え冷気が止まり妹紅と同じく床に落ちる

 

 

 

 

「……」

 

暗黒闘気を圧縮した弾を1発撃ちだす

 

「コノヤロー!!」

 

魔理沙も弾幕を撃つが弾は逸らされる事もなく真っ直ぐに魔理沙に向かう

 

ドゥッ……

 

衝撃が体を貫き魔理沙は床に落ちる

 

 

 

「負けないよ!!」

 

フランが凄まじい速さでバーンに突っ込む

 

吸血鬼の身体能力を駆使し力任せに体当たりを仕掛けた

 

ガァン……

 

衝撃音と共に辺りを風圧が襲う

 

「……気が済んだか?」

 

「……バーンが一番わかってるでしょ!!」

 

体当たりを微動だにせず受けたバーンの問いにフランが叫んだ

 

「……」

 

手刀を振る

 

「あぐっ!?」

 

防御した腕ごとフランは吹き飛ばされる

 

「……まだぁ!!」

 

体勢を立て直し再び突撃する

 

「……」

 

「あうっ!?」

 

また手刀に払われる

 

「負けない!!」

 

魔力をたぎらせ三度突撃する

 

「……」

 

体当たりを受けとめ

 

「……」

 

掌底で浮かし

 

「……」

 

手刀で払った

 

「う……あぁ……ぁ……」

 

壁に衝突したフランは床に立つも膝から崩れ落ちた

 

 

 

「これが私の成果!!」

 

その言葉に振り向いたバーンの前には巨大な10の火球

 

「フィンガー・フレア・ボムズ!!」

 

パチュリーの指の動きに合わせ10の火球はバーンを襲う

 

「……マホプラウス」

 

呟きと共に前面に魔方陣が展開される

 

「そんな……!?」

 

火球は全て魔方陣に止められ1つに集束していく

 

「……」

 

バーンが指を弾くと集束され圧縮された火球がパチュリーへ向かう

 

「くぅ……!?」

 

高速で迫る火球に回避が出来ず身構える

 

ピタッ……

 

火球はパチュリーの目の前で止まった

 

「……お前の負けだ」

 

火球を消したバーンが告げる

 

「……ッ!!」

 

力の差を感じたパチュリーは床に崩れた

 

 

 

「えいっ!えーい!!」

 

大妖精が攻撃を続けている

 

「よせ……」

 

効かぬ攻撃を繰り返す大妖精に止める様に告ぐ

 

「やめません!!」

 

でも攻撃は止めない

 

「力の弱いお前が敵う筈なかろうが……」

 

「わかってます!!」

 

そんな事は重々承知している

 

それでもやらねばならない

 

力の有る無しは関係無い

 

気持ちは皆と同じだから

 

自分だけ戦わないなんて選択肢は無い

 

だから止める事など有りはしない

 

「……バギクロス」

 

強烈な風が大妖精を吹き飛ばし壁に叩きつけた

 

「あぅぅ……」

 

叩きつけられた大妖精は起き上がれず床に倒れた

 

 

 

「流石ね…… 」

 

6人を倒したバーンにレミリアが話し掛けた

 

「当然の結果だ」

 

レミリアを見ずに返す

 

「どうやっても勝てる筈がないのだ……」

 

そう、勝てる筈が無い、例えフランの能力やメドローアを使ったとしてもバーンから受け入れない限り勝つ事は不可能な事

 

「そうね……絶対に勝てないでしょうね、でもねバーン……」

 

レミリアはバーンへ微笑み、バーンは震えた

 

「わかっていて……何故!!」

 

唇を噛み

 

「何故立ち上がる……!!」

 

拳を握り締め

 

 

「何故だ……お前達……」

 

 

それらに目を向けた

 

「お前風に言えば愚問だな……ってやつだぜ!!」

 

「負けられないからな……!!」

 

「こんな程度であたい達は諦めないわよ!!」

 

傷つきながらも立ち上がった6人を見た

 

「まだ私達は負けてない……勝負はこれからよ」

 

集まった7人の意思が向けられる

 

「……よせ」

 

「嫌です!!」

 

「よせと言っている……」

 

「ヤダよ!!」

 

「やめぬか……!」

 

「……やめない」

 

 

「やめろと言っている!!」

 

 

バーンが叫んだ

 

「……これ以上、お前達を傷つけさせるな……」

 

力を抜き、頼んだ、これ以上友を痛めたくないと

 

「……じゃあ負けを認めるか?」

 

妹紅が悲しげに聞く、バーンの心中は察しているがそれでもこれだけは譲れないから

 

「勝敗は既に決しているだろう……」

 

「なら勝負は続行だな」

 

「余の意思を汲んでくれ……」

 

 

「だったら!!」

 

 

怒声、それも今までで一番感情の籠った

 

「だったらなんで言ってくれなかった!!友達だろ!!お前にとっては違うのか!?それが私達を傷つけるってなんでわからない!!」

 

抑えきれない感情が目から溢れてくる

 

 

「私達これからだっただろ!!」

 

 

許せなかったのはバーンが一人でそれを抱え込んでいたから

 

言ってくれれば皆で協力して助けるのにそれをしてくれなかったから

 

バーンが自分達を想っての事だとはわかる、でもこれからを見ていた6人は例え自分達を想ってだとしても許す事は出来なかった、相手がバーンでも

 

 

友達だから……

 

 

「……」

 

バーンは何も語らない、その想いを受けてもまだ壊せない

 

(……これならば諦める筈だ)

 

だがヒビは入った

 

「……やめぬならこれを食らわすまでよ」

 

 

力を凝縮し

 

構えた

 

天地魔闘の構えを

 

 

「「「!!」」」

 

構えに皆の体が強張る

 

「……行くぞ皆!!」

 

だが天地魔闘の構えを持ってしても7人は止められなかった

 

構えを前に力を最大に高める

 

勝つ為に

 

 

(折れぬか……)

 

7人の意思が決して折れないと知ったバーンは

 

(これをすればあやつらは……)

 

心を揺さぶられた

 

 

 

「……よし!!」

 

全てを込めた

 

最大まで高めた力はまさに閃光

 

バーンにたった1回勝つ為だけに閃光のように力を振り絞り

 

 

スペルは宣言された

 

 

「不死「火の鳥-鳳翼天翔-」!!」

 

「凍符「パーフェクトフリーズ」!!」

 

「日符「ロイヤルフレア」!!」

 

「恋符「マスタースパーク」!!」

 

「風符「ウインドフォール」!!」

 

「禁忌「レーヴァテイン」!!」

 

「神槍「スピア・ザ・グングニル」!!」

 

 

7人の力はバーンに向かう

 

 

「……天地……魔闘!!」

 

 

友の力を前にバーンは叫んだ後に沈黙し

 

 

目を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

ドウッ!!

 

 

 

 

 

 

集まった力は紅魔館を揺らし少ない窓を全て破壊した

 

力の余波が館内を駆け巡り紅魔館全体を力が覆う

 

 

 

図書館の本は吹き飛び、撒き散らされ、爆煙が舞う

 

 

 

 

その爆煙が収まると爆発の中心には二つのシルエットがあった

 

 

 

「……」

 

立ち尽くすバーンと

 

 

「……クソォ!!」

 

拳を打ち付ける妹紅の姿

 

 

「ダメか……」

 

そして周りには6人

 

 

バーンは倒せなかった

 

7人の力を集めてもバーンに傷をつける事すら叶わなかった

 

しかし誰も倒されていない

 

何故なら……

 

「……」

 

バーンは構えのまま動かなかったから

 

「どうしたバーン!!なんで天地魔闘をしないんだ!?」

 

拳を胸に置いたまま顔を下げた妹紅が叫ぶ

 

「もうよい……」

 

構えを解いたバーンが告げる

 

「よくないんだよ!!」

 

拳を振り上げ打つ

 

「もう……よいのだ……」

 

拳を受け止め、認めた

 

 

 

 

 

 

「余の……負けだ……」

 

 

 

 

 

 

バーンには出来なかった、脅しに手加減無しの天地魔闘を見せたがそれでも誰も諦めなかった

 

 

放てば皆死ぬ

 

 

だから出来なかった

 

 

折れない心を前に……

 

 

殺したくないが故に……

 

 

遂に生まれて初めて心の底から

 

 

 

 

敗北を認めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「納得のいく結果じゃない……けど勝ちは勝ちだ!言う事を聞いてもらうぞバーン!!」

 

「……生きろとの願いは叶えられんぞ?」

 

「そんな事わかってるさ……だから私達の願いは……」

 

妹紅は今、最も皆が望む事を言う

 

 

「お前の!本当の気持ちだ!!」

 

 

「余の……気持ち?」

 

 

「そうだ……お前の本当の気持ちを教えてくれないか?バーン……お前の本当の気持ちを……」

 

 

望みはバーンの本音だった

 

「生きたいんだろ?」

 

「……死の運命は受け入れている」

 

 

「そうじゃないだろ!!」

 

バーンの返事に感情がぶつけられる

 

「そうじゃない……そんな気取った言葉じゃない……お前の……」

 

「バーンの本当の気持ちだよ!!気取らないでさぁ!今の気持ちを教えてくれよ!」

 

魂の叫び

 

「本当に受け入れてるのかよ!!」

 

心が揺れる

 

「言えよバーン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「余とて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        死にたくはない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         生きたい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出た、本当の気持ちが

 

生きたいと……

 

 

7人の想いがバーンの心の壁を壊した

 

 

「決まっておろうが……!!」

 

 

堰をきった感情が溢れてくる

 

 

「幾度も……幾度も願った……生きたいと……!!」

 

 

止まらない

 

 

 

 

 

 

「お前達と……これから先も……この幻想郷で……!生きていたかった……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スゥー……

 

 

 

 

 

 

 

 

一筋の涙が流れた

 

 

「バーン……」

 

流れた涙はバーンのもの

 

(余が……涙を……)

 

初めての経験に戸惑いが隠せない、何故なら魔族の王だったものが涙を流した

 

(余が涙など……これではまるで……)

 

 

 

人間の様に……

 

 

 

「うぅ……あぅぅ……バーン!!」

 

堪えきれなくなったチルノがバーンに抱きついた

 

 

 

 

 

 

 

サラッ……

 

 

 

 

 

 

「えっ……えっ!?」

 

チルノの手は粉を握っていた

 

 

「……時間だ」

 

 

バーンは告げた

 

 

呪いの期限が来た事を……死を迎えた体が灰になっていくのを……

 

 

「やだっ!!ダメッ!!」

 

 

必死に頭を振るチルノ、もう顔は涙でいっぱい

 

6人も同様、溢れる涙が止まらない

 

「別れの時が来たのだ……許せチルノ……」

 

少しずつ、少しずつ体は灰になっていく

 

 

「妹紅」

 

「なんだバーン?」

 

「すまなかったな、余は初めて友を持ったが故、お前には苦労を掛けた……」

 

「気にするなよ、私も気にしてない」

 

「……皆を頼んだぞ」

 

「任せてくれ!!」

 

 

 

「パチュリー」

 

「何?」

 

「もうお前に教える事は出来ん……許せ……」

 

「いいのよ……もう貴方からは沢山教えて貰ったから」

 

「尚も精進せよ……余の愛弟子よ」

 

「はい……!!」

 

 

 

「魔理沙」

 

「……おう」

 

「あまり破天荒はするな……お前はそこだけが気掛かりよ……」

 

「……わかったぜ」

 

「強くなれ……お前もまた余の愛弟子だ」

 

「わかったぜ……師匠ッ!!」

 

 

 

「フラン」

 

「うぅ……」

 

「泣くな……お前も誇り高い吸血鬼だろうに……」

 

「でも……でも……!!」

 

「だが、今日くらいは咎めはせん……レミリアと仲良くするがよい」

 

「うん……わかった……!!」

 

 

 

「大妖精」

 

「グスン……なんですかぁ?」

 

「チルノとフランに比べればお前は賢い、力はなくとも二人を導いてやれ」

 

「はい……はいっ……!!」

 

「いつかの時の様に無茶はせんようにな」

 

「……!!うぇぇぇん……」

 

 

 

「チルノ」

 

「何よバーン……」

 

「お前の友にならなければよかった……あれは効いたぞ?」

 

「ごめん……ごめんなさいバーン……!!謝るから……!謝るから死んじゃやだぁ!!」

 

「……許せ最初の友よ」

 

「やだぁぁぁ……!!」

 

 

 

「レミリア」

 

「……行かないで」

 

「すまぬ……」

 

「わかってる……でもこれだけは言わせて?」

 

「なんだ?」

 

「愛してる」

「余もお前を愛している」

 

「……ありがとう……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

別れの言葉を交わした時には既に体の大半が灰になっていた

 

 

「間もなく余は死ぬ……」

 

優しい瞳が皆に向けられた

「そんな顔をするな……それでは心配で死ぬにも死にきれん」

 

バーンを見送る7人の顔は涙で濡れていた

 

「……私達と居て楽しかったか?」

 

「無論だ、そこに一切の疑問は無い」

 

「これで……お別れなんだよね?」

 

「余は死ぬ……だがこれは別れではない」

 

悲しむ友にバーンは言った

 

 

「死は別れではない、とこしえに想う事こそ……本当に共に在るということなのだ……」

 

 

これは別れではない、ただ離れているだけ、想い続けていればそれが真に共にあると意味を込めた

 

「じゃあ……また会えるよな?」

 

「お前達が想い続ければあるいはな」

 

 

そして灰は足から床に落ち始めた

 

 

「……太陽」

 

消え行くバーンが呟いた

 

「余は太陽となりてお前達をこの幻想郷から照らそう……」

 

 

「だから……強く……」

 

 

 

 

「強く生きろ……」

 

 

 

 

 

残るは顔だけになったバーンに皆は涙に濡れながら笑った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       さよなら……バーン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     それが余の聞いた最後の言葉……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館・バルコニー

 

「いつまで泣いてんだチルノ」

 

7人はバルコニーに出ていた、一人一人が瓶を持って

 

「だって……だってバーンが……」

 

立ち直れない、それだけチルノの中でバーンは大きな存在だったから

 

「チルノ!!」

 

魔理沙が叫ぶ

 

 

「バーンは死んだ!!もういない!!」

 

 

 

「だけど私達の心に……魂に生き続ける!!」

 

 

 

「泣くなチルノ!!強く生きろって言われただろ!!」

 

 

 

「だから泣くな!!胸を張れ!!これからは私達が幻想郷を守らなきゃならない!!」

 

 

 

「バーンの意思を継いで……!!」

 

 

 

涙は止まっていない

 

でも意思を継いだ顔は前を向いていた

 

 

「……わかった!!」

 

 

強く生きろ

 

バーンの想いは確かに魂に刻まれた

 

 

「やるぞ!!」

 

 

瓶を構えた7人は一斉に振り撒いた

 

 

バーンの灰を

 

 

その時、一陣の風が吹いた

 

 

 

「バーン……またな」

 

 

 

舞い上がる灰を見上げながらまたの再会を強く願う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰は流れていく

 

 

 

 

白玉楼、妖怪の山、永遠亭、守矢神社、人間の里、太陽の畑、旧都、地霊殿

 

 

 

 

幻想郷を流れていく

 

 

 

 

至る場所に流れ、スキマをも通り過ぎ灰は流れる

 

 

 

 

 

灰が過ぎ去った後に仲間はバーンの死を悟る

 

 

 

 

 

最後に灰は紅魔館へ戻り、友に少しだけ身に纏わせると

 

 

 

 

 

博麗神社へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰となったバーンは幻想郷に消え、戻る事はなかった

 

 

そしてかつて王だった者の残した道具はバーンの遺産として後の幻想郷に伝えられたという……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        そして、幻想へ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お待たせしました、最終話です。
納得のいくものを書こうとしたら遅くなりました。

大妖精のスペカはオリジナルです、アイシクルフォールらしきものを使ってたらしいので風属性にしました。

この結末は最初から決めてました、でも皆さんのバーンを想う感想で助かる道にしようかと本気で悩みました、ですがやはり決めていた道にしました、バーンは救われていました、死にながらも意思を残し、幻想郷へ消えていきました。


元々この物語は私が某笑顔動画で幻想入り動画を見て考えたのが始まりでした、動画を作りたいけどそんな技術は無い、なら小説にしよう!と思って書いたのがこの作品です。

正直私の力不足でバーンを始め東方キャラを上手くは書けていないと思いますが感想を頂けたのは本当に嬉しかったです、ありがとうございました。


















これでバーンの物語は終わりましたがこれはバーンの物語であり東方の物語でもあります。

つまり……
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