東方大魔王伝   作:黒太陽

8 / 45
第7話 パーティーとチェス ~盤上の決闘~

「うへぇ……またですかぁ……」

 

そう洩らしたのは美鈴

 

(今月で何回目ですか?まぁ暇潰しにはなりますけど……)

 

うんざりしながら目の前の妖怪を見ている

 

「良いからバーンってのに会わせろ!ベコベコにしてやんぜぇ!」

 

いきり立つ妖怪に美鈴は告げる

 

「バーンさんに会いたければ私を倒してからにしてもらいましょう」

 

目を閉じながら応対する

 

「そりゃ簡単で良い!行く……ボハァッ!?」

 

美鈴の脚を受け彼方へ消える

 

「妖夢さんを倒したのが知られてからひっきりなしに来ますね……まぁ珍し物見たさにくる人もいますが」

 

独り言を話ながらまた門に構える美鈴

 

バーンが妖夢を倒した事は次の日には幻想郷に知れ渡っていた、そう射命丸文である、妖夢が挑んだ事を知った文は妖夢に詳細を聞き、妖夢はそれに真面目に答えたのだ

 

バーンが実力者の妖夢を倒した事で信憑性を得た記事に幻想郷の民は興味を示し、倒して名を上げようとする妖怪や実物の大魔王見たさに紅魔館にやって来る者が絶えなかった、多過ぎる来客にバーンはその品定めを美鈴に任せたので美鈴の眼鏡にかなわない者は今の様に門前払いを受けるのだ

 

(お嬢様怒ってるだろうなぁ……)

 

不安な顔で空を見上げた

 

 

 

 

「気に入らないわね」

 

図書館に来たレミリアは魔導書を読むバーンに言い放つ

 

「紅魔館の主は私なのよ?なのに来る客来る客みんな貴方ばかり、貴方は客人なのよ?少しは控えて欲しいわね」

 

怒りを含み話すレミリア、だがバーンは動じない

 

「余のせいでは無い、怒るなら射命丸文に向ければよかろう」

 

「確かにそうね、でも貴方も原因の1つでもあるのよ?」

 

「確かに……ここを去れと言いたいのか?」

 

「そうじゃないわ、ただ控えて欲しいのよ、貴方は客人、主である私に配慮して欲しいの」

 

レミリアはバーンを追い出すつもりは無い、だが面白く無いのだ、紅魔館に来る者がバーンにしか関心を持っていない事が……

 

「……お前の言う通りだ、すまなかった配慮しよう」

 

「わかってくれれば良いのよ、それより貴方が来てからもう1ヶ月ね」

 

器量が小さいと思われるのはわかっている、これはバーンと対等でありたいと思うレミリアの嫉妬も含まれていた、それに配慮すると言っても現状が今すぐ変わるものでもない、そのためバーンの謝罪を聞いてこの話は終わる

 

「そうか……もうそんなに経つか……早いものだ」

 

幻想郷にバーンが来てから1ヶ月が経っていた

 

「それでパーティーを開こうと思うの、遅い貴方の歓迎会って名目でね」

 

「歓迎など必要無い」

 

レミリアの提案は拒否されてしまう

 

「あら?早速配慮してくれたの?良いのよ、紅魔館ではたまにパーティーをしてるから、名目に使うだけよ、それに招待するのは顔見知りだけだしね」

 

「……好きにするが良い」

 

再び魔導書を読み始めるバーンに笑みを浮かべたレミリア

 

「そう……どちらにしろ準備は進めてたの、パーティーは明日よ、もっと友人が増えると良いわね」

 

そう言うとレミリアは図書館を後にした

 

(気を使われていたのは余の方だったか……)

 

魔導書を読みながら微笑した

 

 

 

 

「アリス!明日のパーティー行くんだろ?」

 

「ええ魔理沙……大魔王も気になるしね」

 

友人にパーティーに来るか確認にしに行った魔理沙、友人は来るみたいだ

 

「他人に無関心なお前が珍しいな!あいつはマジでスゴいぜ?私なんて殺されかけたんだぜ」

 

「そんなに強いなら私も挑んでみようかしら?」

 

アリスは微笑みながら言った

 

「止めとけ、人形が壊されて返り討ちが関の山だぜ」

 

その言葉はすぐ返される

 

「随分買っているのね、魔理沙がそこまで言うなら止めとくわ」

 

「それが賢明だぜ、じゃアリスまた明日な!」

 

「ええまた明日ね」

 

箒に跨がると魔理沙は飛んでいった

 

 

 

 

「幽々子様、明日ですよパーティーは?」

 

「あらぁそうだったわね、すっかり忘れてたわ、楽しみね」

 

白玉楼の妖夢は主人に確認を取る

 

「私も楽しみです、バーンさんに会いたいと思っていましたので」

 

「私も気になってたのよ、妖夢が負けちゃったって言うし」

 

「次は負けません!修業して次は必ず勝ちます!」

 

意気込む妖夢を前に幽々子は違う事を考えている

 

(紫は彼に何を感じたのでしょうねぇ……)

 

 

 

 

「ルーミアちゃんは明日のパーティー来るの?」

 

「私は招待されてないのだー」

 

チルノと大妖精が友達の妖怪に聞く

 

「あたいの友達なら大丈夫よ!バーンだって許してくれるわ!」

 

「バーンって誰なのだー?」

 

「ルーミアちゃんは知らないんだ、えーと……大魔王だよ!」

 

「大魔王って美味しいのかー?」

 

「食べ物じゃないよルーミアちゃん、それに歯が立たないと思うなぁ……」

 

苦笑いしながら答えた

 

「じゃ明日紅魔館に来なさいよ!」

 

「わかったのだー」

 

ルーミアに約束を取りつけて二人は飛び立った

 

 

 

 

 

「霊夢さーん!」

 

「どうしたの文?」

「明日の紅魔館のパーティーに参加されるんですか?」

 

「ええ勿論よ、文は?」

 

「それが私は貰ってないんですよ……」

 

ガックリ肩を落とした文

 

「そりゃあんたバーンの歓迎会だからねぇ、あんな記事書いたあんたは呼ばれないわよね」

 

「あやや……それでですね潜入取材をしようと思ってるんですけど協力してくれませんか霊夢さん?」

 

「イヤよ面倒くさい、あんたが焼き鳥になって潜入するなら協力するけど?」

 

「あやや!?それは勘弁してください」

 

「まっ今回は諦めなさい、あんまり彼を怒らすとホントに焼き鳥になるわよ?」

 

「わかりました……今回は諦めます、楽しんで来てください霊夢さん」

 

そう言うとニヤけながら文は飛んで行った

 

 

 

 

「姫様、明日は何を着ていかれますか?」

 

「そうね……面倒だからいつもので良いわ、それにしても久しぶりに外に出るわね」

 

とある亭で彼女等は招待された明日のパーティーについて話している

 

「師匠も行くんですか?」

 

「行くわよ、気になる人がいるから……ね」

 

「もしかして大魔王バーンですか?」

 

「そうよ、前にちょっとね」

 

そこへ姫様が口を挟む

 

「てゐは留守番?」

 

「そうです姫様、今回は良いって言ってました」

 

「そう、じゃあ私はそろそろ寝るわ、おやすみなさい」

 

そう言うと姫様は襖を開け自分の部屋に戻った

 

「じゃあ私も寝ます、師匠おやすみなさい」

 

「ええ、おやすみなさい」

 

1人残された部屋で彼女は考える

 

(貴方の見込んだ可能性……見せて貰いましょうか八雲紫……)

 

 

 

 

 

 

 

パーティー当日

 

「ではみんな乾杯しましょう、バーンの幻想郷来訪を歓迎して……乾杯!」

 

「「カンパーイ!」」

 

バーンの歓迎会と言う名目のパーティーは始まった、歓迎会なのだが主賓のバーンが動かないのを予測していたレミリアは自ら先導してパーティーを進める

 

パーティーにはレミリアの顔見知りの妖怪や妖精、気に入った人間等も沢山いる、皆が立食を始め活気づいたその場で

 

「バーンさんお久しぶりです!」

 

真っ先に妖夢が挨拶しにくる、後ろには幽々子が覗いている

 

「久しいな、腕を上げたか?」

 

「いえ……まだまだです」

 

「そうか……鍛練に励むが良い」

 

「ハイ!」

 

(ふぅん……紫も苦し紛れで連れてきたって訳じゃなさそうね)

 

二人の会話の間にバーンを観察した幽々子はバーンの力を感じていた

 

(問題はアレがどれだけの力を持ってるか分からない事ね、私の能力も効かなかったし……ホント何なのかしらねぇアレ)

 

そう考えながら妖夢を置いて食事を始めた

 

 

「……化物ね」

 

呟いたのはアリス、遠目にバーンを観察していたアリスはバーンの魔力を感じていた

 

「みんなそう言うぜ、どうだアリス?挑むか?」

 

悪戯顔の魔理沙の冗談、返答はわかっている

 

「イヤよ、今の私じゃ命を掛けても傷を付けられるかどうかな相手よ?冗談じゃ無いわ」

 

「だよな~私も死ぬまでには バーン位になりたいぜ」

 

「笑うとこ?」

 

「うっせー!」

 

悪態ついた魔理沙は飲み物を含みながら思う

 

(魔法使いなら憧れるだろ……あれ位になりたいって……)

 

アリスと共に人混みに消える

 

 

「バーン!紹介するわ!あたいの友達のルーミアよ!」

 

チルノがルーミアと大妖精を連れて挨拶に来る

 

「ルーミアなのだーよろしくなのだー」

 

「バーンだ……ルーミア、こちらに来い」

 

「?何なのだー?」

 

バーンはルーミアのリボンに触れる

 

「ほお……強力な封印がなされているな、お前の力を大幅に抑えそして精神にも影響を与えている……強力な力だ、解いてやろう」

 

「別に良いのだー、このリボンはお気に入りなのだー」

 

「フッ……そうか……楽しむと良い」

 

「ありがとうなのだー」

 

嬉しそうに3人ではしゃぐ

 

「馴染んでるみたいじゃない、どうかしら幻想郷は?」

 

そこへ霊夢がやってくる

 

「余が居た世界と比べれば異な事よ、人と妖怪が共存する世界……余の世界の人間からすれば幻想の様に感じるだろう……幻想郷とは良く言ったものだ」

 

目を閉じ手にしたワインを一口飲みながらバーンは答える

 

「幻想郷は全てを受け入れる……」

 

「八雲紫の言葉か……」

 

「ええ、でもね……受け入れた後に拒否される者も居るの、あんたは大丈夫みたいだけどね、今は少しでも幻想郷の生活を楽しむと良いわ……」

 

そう言うとパーティーの喧騒の中へ消えていった

 

(含みのある物言いよ……何かを知っているようだが……無理に聞く必要は無い、いずれ分かるだろう)

 

 

 

パーティーは半ばまで進み、様々な催し物が出される、会場のボルテージが最高潮になろうかというその時、かの亭の姫がバーンの前に現れた

 

「ようやく見つけられたわ、あら中々男前じゃない」

 

「……何者だ?」

 

姫からただならぬ物を感じたバーンは警戒する

 

「蓬莱山輝夜、そう警戒しなくても良いわ見に来ただけよ、大魔王がどんな者か……ね、確かに力は高いみたいだけどまだまだ若いわね」

 

「……お前こそ妙な力を持っているが礼儀は知らぬようだな、それで姫とは……歳を取っても礼節は覚えられぬか」

 

「言うわね若僧が……」

 

舌戦に火花が散る

 

「ならば掛かってくるが良い、月人を地に伏せるのも催しには面白かろう……」

 

「増長した若僧を捻るのは容易い……けどそれじゃあ面白く無いわ、貴方は一応主賓だしね……貴方ボードゲーム、盤上遊戯をやった事はあるかしら?」

 

「チェスならばある」

 

「チェスね……囲碁なら一番なんだけどしょうがないわね、若僧にはちょうど良いハンデかしら……チェスで勝負といきましょう、構わないかしら?」

 

「良いだろう……咲夜、チェス盤を持ってくるのだ」

 

互いに邪悪な笑みを浮かべ、大魔王と姫、そのチェスは始まった

 

 

「何やってるのよバーンは?……チェス?」

 

主賓であるバーンの様子を見に来たレミリア、バーンと輝夜の周りには数名の観戦客がその頭脳戦を見守っている

 

「相手は輝夜なんだぜ、私はチェス出来ないから良くわかんないんだけど戦況はどうなんだぜ?」

 

観戦している魔理沙がレミリアに聞く

 

「面白い組み合わせね……まだ始まって間もないわ、今はお互いに牽制しあっている状態よ」

 

チェス盤を見たレミリアが答える

 

「いえ……もう10分以上経ってるわレミィ」

 

パチュリーが訂正する

 

「……どれだけ先を読み合っているのよこいつらは……」

 

呆れながら咲夜が出した椅子に座り観戦を始めた

 

 

「……挑発には乗らんか……伊達に歳は取っておらんようだな」

 

「若僧の見え透いた挑発に乗るほど若くはないわ」

 

盤上のみならず舌戦も繰り広げられる

 

「だがこのままでは埒が開かぬのも確か……余から打ってでよう」

 

勝負の一手を打つ

 

「……殴り合いがお好みのようね」

 

打たれた一手を見て頬を上げる輝夜

 

「ギャラリーを盛り上げるのも主賓の務めよ、来い輝夜」

 

「……面白くなりそうね」

 

笑みを浮かべ合う二人に周りは息を飲んだ

 

 

「……互角ね、ミスも無くお互いに最善手を出してる……でも場は煮えきった、勝つのはより老獪な方ね」

 

レミリアが終局を感じたその時バーンが動いた

 

「……」

 

無造作に切った一手に輝夜の唇が上がる

 

(そりゃ悪手じゃろ……大魔王!)

 

返しの一手を放った輝夜にバーンは笑みを向けた

 

「ようやく誘いに乗ったか……」

 

「?……あっ!?」

 

盤面を見た輝夜の表情が歪む

 

「もう遅い……蹂躙させてもらう」

 

バーンが駒を進める

 

「くぅ……」

 

(手を吟味せずに勝ちに逸った私のミス……巻き返すにはバーンのミスが……)

 

苦い顔つきで僅かな希望に賭けた

 

 

 

「……チェック」

 

「……これ以上は無駄な足掻きね……負けたわ」

 

長い戦いに遂に決着が着いた

 

「力量は互角、勝負を分けたのは一瞬の気の逸りだ、あれが無ければ余の負けだったかも知れぬ」

 

「その僅かな逸りが貴方と私の差ね……埋めるには歳を取りすぎてるわ、もう向上心が無いのよ私」

 

溜め息を着いた輝夜はバーンに精神の成長を望めぬ事を吐露する

 

「精神の成長に終わりは無い、環境や他人との関わりで精神は如何様にも形を変える……この一戦で何かが変わることもあるだろう」

 

「そうね……楽しかったわ、次は囲碁で勝負しましょう」

 

「その時までには覚えておこう」

 

人混みに消えた輝夜の後ろ姿を見送りながらバーンはワインを飲んだ

 

「ちょっと貴方、もうパーティーは終わるわよ?何やってるのよ」

 

「チェスに興じていただけよ、それに……それなりに盛況だったようだ」

 

レミリアとバーンの周りに居る観客は口々に今のチェス勝負について話し込んでいる

 

「まぁ良いわ、貴方も楽しんでくれたみたいだし、じゃあそろそろ御開きにしましょうか」

 

パーティーの終わりを宣言し、チェス勝負を最後に歓迎会は幕を閉じた

 

 

 

「……」

 

部屋に戻ろうとするバーンに彼女は近付き話し掛けた

 

「……体調は如何かしら?」

 

「……八雲紫の協力者か」

 

「知りたいなら永遠亭に来なさい……待ってるわ」

 

そう言うと彼女は輝夜達と共に会場から消えて行った

 

(罠……ではなさそうだな、フン……行ってみるとするか永遠亭とやらに)

 

意味深に告げられた言葉に興味を持ちながらバーンは部屋へ戻って行った

 

「あやや……これは面白い記事に出来そうですねぇ♪」

 

隠れていた鴉天狗がコソコソと紅魔館から脱出した

 

 

 

 

 

 

 

「おっ!帰ったか輝夜!……どうしたんだよ浮かない顔で?」

 

永遠亭に帰った輝夜達を迎える少女

 

「ちょっと落ち込んでるのよ……負けたからね」

 

「はぁ?負けたって……お前がぁ?誰にだよ!」

 

声を荒げて相手を尋ねる

 

「あの大魔王って呼ばれてるバーンよ……疲れてるからもう寝るわ、じゃあね」

 

「待てよ輝夜!お前が負けるってどういう事だよ!」

 

輝夜は返事をせずに部屋に入って行ってしまう

 

「あの輝夜が負けたぁ?んな事あり得ねぇ!どうせ不意討ちかなんかだ!私が化けの皮剥いでやる!」

 

怒り心頭の少女にウサ耳の少女が詳細を告げようとしたが少女は永遠亭を飛び出して行ってしまう

 

(彼が来る前に一悶着ありそうね)

 

彼女は少女の様子を見て直感した……

 

 




ここに来て初めてのバトル無しです、ちなみにチェスはやったことありません、なのでこうなりました。

次回からバーンの碁……ではなくようやくin出来た彼女の話です、予想つくと思いますが書きたかったネタなので頑張ります。

もうキャラの口調が訳分からなくなってきたな……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。