クトゥルフ×童話モチーフなオリキャラ達をブルアカに放り込んでみたお話 作:ストーリー*テラー
ねえねえ、聞いたことある? 逸れ狼の武勇伝
逸れ狼? なにそれ知らないけど……あ 七囚人って奴のメンバーとか?
あー違う違う まあそっちもよく知らないけどさー 今回のはそれとは別だよ
じゃあ 何だってのさ
逸れ狼ってのは 姿以外何にもわからないお化けの別名なんだ
姿以外って それ七囚人と何か違うの?
まーまー待て待て話を聞いて 逸れ狼が怖いのはここからだから
逸れ狼って キヴォトスの至る所に現れるんだ それも一日の間に
それの 何がおかしいの?
いやいや 隣接する地区の学園を みたいな距離感じゃないよ? 東の端から西の端くらいの距離だから
え? どうやって
それがわからないんだってばー 出自はわからない 手段もわからない 目的すらもわからない ないない尽くしの狼耳 それが逸れ狼なんだから
ええ 怖いなー ……というか それ武勇伝? 怪談の間違いじゃなくって?
内容が普通のお化けにしては強過ぎるから武勇伝なんだって 私も詳しくは知らなーい
例えば?
ゲヘナの風紀委員長と定期的にやり合ってるとか トリニティでも大暴れしたとか
えっ
普通のお化けっぽいのもあるみたいだけどね というか実在するのかどうかもわかんないし
全部でたらめってこと?
だって 流石に非現実的過ぎるじゃん 幾つかが本物 で大体は誇張表現だって考えるのが普通でしょ
まあ それもそっか
……あそーだ! この前話してたカフェなんだけどさ 凄く
「……」
賑やかな市街地を通り抜け、薄暗く人気のない場所へと移動する。
「……ここなら、良い」
俺達は、目立ってはならない。
「魔女、聞こえてるだろう」
だと言うのに、ここ最近は半端に目立つ荒事ばかり。
これは、良くないことだ。
「……早くしろ、魔女」
『はいはい。忙しいのに文句言わないでよ全く』
「ああ」
しかし、命令であればそれを遂行しないと言う選択肢も、ない。
……理事長は何がしたいのだろうか。
『……ええ、門を繋いだ。良いわよ』
「わかった」
その言葉を皮切りに、俺は何もない空間を潜り抜ける。
……さっきの奴らが噂していたことの一部は、
そうして歩き切った時、見慣れた、珊瑚が混ざった様な、桃色の髪をした女が目に入る。
「お帰りなさい、狼。お仕事お疲れ様」
「ああ、今、戻った」
魔女、この場所の統率者。
命令以外で俺達に関わらない理事長に代わり、この学園を纏め上げた生徒会長。
それが、魔女という女だ。
「……相変わらず、一人か。お前の生徒会は」
「他の子達に任せる訳にはいかないでしょ、こんなこと」
「それはそう、だな」
「それに、あんたに言われちゃおしまいよね、
「……」
狼、俺のことで、この学園でたった一人の風紀委員だ。
「最近の理事長は、度が過ぎている。これ以上動けば隠匿も厳しいだろう」
「理事長の命令は絶対よ、私達は従うだけ。……まあ、ちょっとおかしいとは思うけどね」
「ああ」
そして、理事長という、この
「正直、秘匿はもう無理って諦めるのも手の一つかもしれないわ」
「それは……」
「ええ、わかってる。最後の手段の話よ」
他にも生徒はいるが、学園外に影響があるのはこの三人だけだろう。
外というのはそれだけ、慎重にならざる得ない場所だからな。
「……というかあんた、また身長伸びたの?」
「成長という概念はない」
「その筈だけどね、なんか会う度大きくなってる気がするのよねあんた」
「……お前の猫背が酷くなっているだけじゃないのか、書類仕事ばかりだろう」
「そうかしら……?」
俺の言葉で、ぐいっと背を逸らす魔女。
ポキポキと小気味良い音がなっている。
「……偶には、体を動かさないとかもしれないわね」
「そうしろ」
「それをやる気なさそうなあんたに言われるなんてね。まあそれにしたってあんたは大きいと思うわ」
「そうか」
「どれくらいだったかしら」
「……」
確か、情報整理の時に外のやり方で測った。
その時は……。
「182、だった筈だ」
「それどれくらいよ」
「さあ、比べたことがない」
これも俺の良くない所だろう、というのは理解できている。
何せ、この高さは人目を集めるからな。
「……すれんだー、だそうだ」
「だから、それが何って話」
「俺の知ったことでもない、聞いただけだ」
騒々しく俺の方を見て言っていただけのことだ。
それ以上でもそれ以下でもないだろう。
「ねえ狼」
「なんだ?」
「これから、私達はどうなるのかしらね」
「……」
前を見つめる目は、どこか悲しそうだ。
……魔女にしては珍しく、不安さを隠しきれていないな。
「なる様にしかならない」
「いやそうだけど」
「俺が関わった案件には、センセイと呼ばれる大人がいた」
「……大人? 何の話よ」
「奴がこの場所を変えるきっかけになるかもしれないし、ならないのかもしれない」
「何それ」
「この先の話なんて、その程度にあやふやなものだろう」
「……そうかしらね」
「どうあっても、今はやるべき目の前のことを、やるしかない」
主人公(狼)は182cmのスレンダーでダウナー気味な美少女。