クトゥルフ×童話モチーフなオリキャラ達をブルアカに放り込んでみたお話 作:ストーリー*テラー
『次の仕事だ、シュラハト、ヴァイスハイト』
「ああ」
「仰せのままに、理事長」
再会もほどほどに、俺達は帰って来ていた理事長に招集を受けた。
この方もこの方で忙しくされているからな。
シュラハト、ヴァイスハイトというのは、名前のない俺達を識別する為、理事長が独自に使っている呼び方だ。
……結構な頻度で変わる為、あまり信頼していない。
『
「……は」
『全ての過程は滞りなく進んでいる。これからもその働きを期待しよう』
過程、理事長がよく口にする言葉だ。
……この方には、一体何が見えているんだ?
『
「ありがとうございます」
理事長から淡々と告げられる賞賛と、特に感慨もなくその言葉を処理していく俺と魔女。
『伝えるべき賞賛は告げた。本題に入ろう』
『いずれ滅びと、その嚮導が現れる、それを先んじて叩け』
「わかった」
「私もですか?」
『ヴァイスハイトは学園から支援するだけでいい。奴等の知らん情報を必要以上にくれてやるつもりはない』
『 そして並びに、これから先の戦闘においてシュラハト・ヴァイスハイト両名の枷を、両者同意の上で限定的に外すことを許可する』
「……は?」
「なっ」
……枷を外して良いと言ったのか、理事長は。
それほどの戦闘になると。
『ただし、ヴァイスハイトはこの学園内、シュラハトは外部においては四割を限度とする』
『良いな?』
「ああ」
「はい」
本当に、何が見えているんだ、この方は。
『しかし、今すぐやって来る訳ではない、その時となればまた言葉を伝えよう』
『もう一つ、これはお前達二人で行ってもらう』
『指定する座標へと飛び、とある人物に接触してもらう』
「誰にだ」
「……どこへ?」
俺と魔女の二人がかりで出会わなければならない人物。
……いや、まさかな。
『その、まさかだ』
▼◆▼
そして、俺達は。
「え〜……と」
「初めまして、とこんばんは……かな」
「……」
「……ああ」
めのまえの一人を除いて誰もいない、夜更けの一室へと訪れていた。
連邦捜査部
▼◆▼
「まずは、助けてくれてありがとね」
「……お前達の為ではない、命令だった」
「それでも、結果的に助けられたんだよ、何度も……ね?」
そう言いながら己の腹のとある部位を撫でる、先生。
あの時か。
「その傷、まだ……」
「瀕死人が気にする様なことではない。これこそ、俺のミスだ」
先生が撃たれ、空崎ヒナが燃え尽きかけていた時に、俺が奴等の邪魔をした。
頰傷はその名残だ。
「あの後もその前も、君は予測できない動きをしてた。それも命令なの?」
「ああ」
「そっか」
「……それで、そっちの君は?」
「顔合わせの為、狼と共にこちらへお邪魔させて頂きました」
「私のことは魔女、と呼んでください、シャーレの先生」
……こいつ。
「敬語はいらないよ、というか……狼? 魔女?」
「俺達に、個体名となる明確な姓名はない」
「はい。あえて申すのであれば、それぞれ狼と魔女、が名前となります」
「そんな……」
何を想像したのか、先生は悲痛を顔に出す。
「俺達個人の事情はこれくらいで良いだろう。何か他に聞きたいことはあるか」
「……君達に、命令してるのって」
「理事長と我々が呼んでいる、あなたと同じ大人です、先生」
「……」
「り、理事長……」
……はあ、面倒だが仕方ない。
「すまないが、こいつは少々人見知りだ。見ての通り、現在進行形で表情筋が死んでいる」
「なっ」
こちらを睨み付ける魔女。
その頰には、若干の朱が差している様に見える。
「
「……!」
「すまないな、それで何か聞きたいことは」
「え、え? え〜と……」
圧が凄すぎて若干先生も戸惑っていた。
それでは会話に支障が出かねんだろう。
「君達は、どこの生徒なの?」
「さあな。正式な学校に所属した覚えはない」
「え、でもその格好って」
「……ヘルメット団の様なものだ」
「そう、なんだね」
そこは答えられない為、誤魔化すしかない。
質問されたことに答えろ、という割に誤魔化さなければならない情報が多過ぎるぞ、理事長。
「まだ、あるか」
「んー……あ、君達はどうしてここに?」
「先生と顔合わせしておけと言われてな」
魔女はともかく俺はあまり顔を晒したくない。
故に自ずとタイミングは真夜中となる訳だ。
「……しかし大丈夫か」
「えっ?」
「隈が酷い」
「うえっ……あっ化粧」
「……成程、常習的にそれか」
忙しいとは耳にしていたが、ここまでとは。
……ふむ、まあいいか。
「魔女」
「……何」
「書類作業、手伝うぞ」
「え」
「……!?」
「顔合わせをしろとは言われたが、その後の言及はない。この程度なら構わないだろう」
「だ、だめだよ子供はもう帰らないとっ」
表情で抗議して来る魔女と、大人という立場から拒絶する先生。
面倒なところはそっくりだなこの二人。
「……目の前の人間の不調を無視する人間になれというのだな、教職という立場は」
「……わ、私は例外……?」
「悪人なら一考の余地はあるとして、俺はお前程の善人な阿呆を知らない」
「あ、あほ……」
「やるぞ、魔女」
「ちょ、ちょっと狼……!」
「異論は聞かない」
「う……仕方ないわね」
不満気に書類作業へ取り掛かる魔女。
意思の固さが裏目に出るとはな。
「うう……」
一方で、諦めた様子で作業に戻ろうとする先生。
……何やってるんだ。
「お前は寝ていろ」
「えっ」
寝不足の阿呆を抱き抱えて……寝る場所はどこなんだ?
「ちょっ、待っ……お、おろして……!」
「寝床にならな、今の先生に必要なのは睡眠だろう」
うちの学園ならともかく、キヴォトスで一番貧弱なこいつがその辺りをおろそかにしてどうするんだ。
「黙って従え」
「はい……」
……しかし、寝る場所が見つからん。
「あ、そ、そこのソファーで良いから……」
「あれは寝る場所では無いと思うが」
「仮眠したい時、よく使ってるんだ」
「そうか」
ならば、良い。
先生を長椅子のところまで運び、ゆっくりと降ろす。
「あう……」
……似た様な二人を相手にしているだけだというのに、そこそこ疲れたな。
さっさと書類を片付けよう。
「待たせたな」
「あんたって」
「何だ」
「……時々、やけに強引な時あるわよね」
「長引かせる方が俺には面倒だ、さっさと終わらせたい」
「変わんないのね、ほんと」
「さっさと済ませるぞ。……この量は、できるだけ多く処理するべきだ」
「はいはい」
魔女は魔女で、かなりの書類の山を作っていたが。
先生のこれは、あれを優に超えている。
「何で外に出てまで書類を処理しなきゃならないのかしら……」
「さあな」
「いやあんたが言い出したことでしょ」
「そうだな、すまない」
「……まあ良いわよ、あんたが言わなくたっていずれ私だって目に付いてただろうし」
魔女ちゃんはコーラルピンクの髪をした158cmくらいの女の子。