はぐれ者の先生補佐日記 作:誇り高いはぐれ者
テーテッテレテテー!
「ある日突然、指輪がウルフとレッドだけでキヴォトスとかいう知らない場所で目覚めちまった。俺が先生補佐らしいけどよ…本当に俺に出来んのか?」
「…アビドス高校?」
"うん。手紙が来ててね。"
シャーレの量が多すぎる仕事にも慣れてきたある日、突然そこに行くと伝えられた。なんでも、地域の暴力組織に追い詰められているらしく…物資の補給などをして欲しいらしい。
"なんでも昔は大きいところだったけど、気候の変化で厳しい状況らしいんだ"
「大きいって…この辺りよりもか?」
シャーレがあるこの地区も、かなりの大都市だ。東京と同じか、それ以上あるかもしれねえ。そんな街を見てからだと、大きいと言われても想像がつかねえ。
"街のど真ん中で道に迷って遭難するらしいよ"
「…なんだそりゃ、ただそいつが方向音痴だっただけだろ。」
"だよねえ…きっと誇張表現だよ。"
"まあ、そんな訳でアビドスの方に行こうと思うんだけど、ついて行く?"
「…いや、いいのかよ。書類仕事放置になんぞ。」
"もちろんあっちでもある程度仕事はやるけどさ、吠くんもそろそろ体動かしたいでしょ?"
どうやら俺を気遣っての話らしい。…まあ、そういう事なら
「じゃあ行くぜ。正直俺一人であの量をやれるとも思えねえし。」
"わかった。じゃあ、出発しようか。"
…と、意気揚々と出発したのが数日前。
俺達は今、遭難していた。
「クッソ…マジで遭難してるじゃねぇか…」
"まさかあの噂が本当だったとは…"
今はその辺に横たわり干からびている。このままだと脱水症状で死ぬすらあり得るぞ…どうすんだ、これ。
「……大丈夫?」
"…コクリ"
そんな時、誰かが自転車に乗って近くに来たらしい。俺は今そっちを向く気力すらねえけど、どうやら生徒らしい。…あ?この辺で生徒っつーと…
「あ、生きてた。道のど真ん中に倒れてるから、死んでるのかと。」
「喉も乾いたし…腹も減った…」
「え?……ホームレス?えっと…」
"いや…用事があって最近この辺りに来たは良いけど、お店が一軒もないから脱水と空腹で……"
「力尽きた、と。ただの相談者だったんだね。ここは元々そういう場所だから…食べ物がある店なんか、とっくに無くなってるよ。こっちじゃなくて、もっと郊外の方に行けば市街地があるけど。」
そうは言うが、俺たちには土地勘がねえ。そうなると、自力で向かうのは難しい。
"この辺来るの初めてでさ…"
「…なるほど。ちょっと待ってて…」
そう言うと、そいつは何かをゴソゴソと取り出し始めた。…なんだコイツ?銀髪に…オオカミの耳?キヴォトスにはこんなアクセサリー…いや、これ生えてんな。キヴォトスってこんなのも居るのか…
「はい、これ。エナジードリンク。ライディング用なんだけど…今はそれぐらいしか持ってなくて。でも、お腹の足しにはなると思う。えっと、コップは…」
しかし瞬間、先生は普通に口をつけて飲み始めた。
……アンタ一応先生だろ、そういうの気にしたらどうなんだ…?
「あ…それ…」
"?"
「…ううん、なんでもない。……気にしないで。あ、これコップ。」
「悪ぃな…」
俺は普通にコップに入れて飲む。流石にその辺を気にする感性はある。
"ありがとう、助かった…"
「うん。見た感じ、連邦生徒会から来た大人の人達みたいだけど…お疲れ様。学校に用があって来たの?この近くだと、うちの学校しか無いけど…もしかして…」
「…やっぱりか?俺達の用事があんのはアビドスだ。」
「……そっか。久しぶりのお客様だ。それじゃあ、私が案内してあげる。すぐそこだから。」
「っし……」
そうして俺は立ち上がる。
「…大丈夫?さっきまで倒れてたけど。というかもう1人の方動けなさそうだけど…」
「ああ。こういう時はだな…」
『クラップユアハンズ!』
『ゴジュウウルフ!!』
「…姿が変わった?」
この姿なら、体力がなくても多少は動ける。先生を運んで行くくらいなら出来るだろ。
"ごめんね、吠くん…"
「これくらいならなんとかなる。行くぞ。」
「それじゃあ、案内するね…ところでそれは何?」
「あー…後で説明する。」
そうして少し歩くと、本当にすぐそこだったらしく学校が見えてきた。とりあえず室内に入りゃ多少は涼しいだろ…
「おかえり、シロコせんぱ…い?うわっ!?何!?そこの2人は誰!?」
「わあ、シロコちゃんが大人二人を拉致してきました!」
「拉致!?シロコ先輩がついに犯罪に手を…」
校舎の部屋に入ると、猫の耳みてぇなのが付いてるツインテールの生徒に、ゆるい雰囲気の長いベージュの髪の生徒、黒いショートヘアの眼鏡の生徒が次々に発言する。…ついにって、何やらかしてきたんだコイツは…
「皆落ち着いて、速やかに拘束して隠す場所を探すわよ!体育倉庫にロープがあるから、それを…」
「……いや、普通にお客さん。というか、連れてきただけだから拉致とは言わない。」
「拉致したんじゃなくて…お客さん?」
「そうみたい…」
"始めまして!"
「……始め、まして。」
相変わらず敬語とかは苦手だ、これが敬語なのかは知らないが。
「わぁ、びっくりしました。お客様がいらっしゃるなんて、とっても久しぶりです!」
「そ、それもそうですね…でも来客の予定ってありましたっけ…」
"「シャーレ」の顧問先生です、よろしくね!"
「遠野吠、先生補佐だ。」
「!?」
自己紹介すると、三人は驚いたような顔をする。本当に来ると思っていなかったのか、それとも俺たちがまさか先生だとは思わなかったのか…
「…え、ええっ!?まさか!?」
「連邦捜査部シャーレの先生!?」
「わあ☆支援要請が受理されたのですね!良かったですね、アヤネちゃん!」
「はい!これで…弾薬や補給品の援助が受けられます。あ、早くホシノ先輩にも知らせてあげないと…あれ?ホシノ先輩は?」
"ん?まだ他にも居るんだね?"
そう言うと誰かをキョロキョロと探し始めた。どうやらまだ1人居るらしい…ん?ここ学校だよな?にしてはやけな人を見ねぇけど…
「委員長は隣の部屋で寝てるよ。私、起こしてくる。」
ダダダダダダダッ!
音が鳴り響く。それは銃声。つまり…襲撃だ。
"なんだ!?"
「ひゃーっはははは!」
「攻撃、攻撃だ!奴らは既に弾薬の補給を断たれている!襲撃せよ!学校を占領するのだ!!」
「わわっ!?武装集団が学校に接近しています!カタカタヘルメット団のようです!」
「あいつら…!!性懲りもなく!」
なんか変な名前の奴らだな、と思ったが高校生の不良集団なんてそんなものかもしれねえ。俺高校どころか中学すら行ったことねえから知らねえけど。
「ホシノ先輩を連れてきたよ!先輩!寝ぼけてないで、起きて!」
「むにゃ…まだ起きる時間じゃないよー。」
そう言って連れてこられたのは、何とものんびりした奴だった。まだ眠そうな辺り、本当に寝ていたらしい。
「ホシノ先輩!ヘルメット団が襲撃を!こちらはシャーレの先生方です!」
"始めまして、シャーレの先生です。よろしくね!"
「ありゃ〜そりゃ大変だね…あ、先生?よろしくー、むにゃ。」
「先輩、しっかりして!出勤だよ!装備持って!学校を守らないと!」
本当に大丈夫か、これ…?
物資の補充だけでなんとかなるか?
「ふぁあー…むにゃ。おちおち昼寝も出来ないじゃないかー、ヘルメット団めー。」
「すぐに出るよ。先生のおかげで、弾薬と補給品は十分。」
「行くか…」
「えっ、吠先生も出られるんですか?でも先生はヘイローも…」
"ああ、大丈夫!吠くんは戦えるよ!"
「いや、戦えるって…外の人達は銃弾一発で致命傷に」
「とりあえず行くぞ!」
「ああっ、待ってください…!皆さん、追いかけてください!…先生も何故止めないんですか!?」
"うーん…まあ、見てればわかるよ。"
そうして俺は走って校庭までたどり着く。敵の数は…思ったより多いな。ただの不良がここまで集まれるもんなんだな…そんな事を思いながらも、テガソードを取り出す。
「行くぜ!」
『吠先生、それは…?』
『クラップユアハンズ!』
顔の横で2回クラップ、ステップして反対側で1回クラップ、目の前に大きく円を描いて2回クラップ、ターンしながら1回クラップ。いつも通りの動作を行い、姿を変える。ナンバーワンを目指す、はぐれ狼へと。
『ゴジュウウルフ!!』
「…またあの姿になった。」
「うへ〜まるで特撮ヒーローだね〜…」
「わあ☆先生カッコいいです!」
「いやいやいや!?何よアレ!?おかしいでしょ!」
『ウルフデカリバー50!』
「行くぜ!!」
「はっ!?なんだこれ!?」
「うわぁぁぁ!目が回る〜!!」
『ウルフ!デカリバーフィニッシュ!!』
生徒達の反応を横目に、ウルフデカリバーを持って走り出す。その辺に裂け目を3つ作ってからヘルメット団を何人かそこに蹴り飛ばし、3つの裂け目の中で移動させる。裂け目をこちらに近づけ、ほぼゼロ距離となったところを回転斬りで吹き飛ばす。…斬ってるはずなのに服が破れたりしねえのは、これも頑丈だからなのか?まあいい、周りの奴らを気絶させても、まだ全然残っている。
「…というか、こうして見てるより私たちも戦わなきゃじゃな〜い?」
「はっ!?そうよ!戦わないと…!」
「行きますよ〜!お仕置きの時間です〜!」
「前方は任せてね〜」
「このっ…!邪魔よ!」
「ん。ドローン、行ってきて。」
アビドスの生徒4人もそれぞれ各々の武器で周りのヘルメット団を一掃していく。…アイツの持ってる武器、ミニガンってやつじゃねぇか?確かかなり重いとか聞いたんだが…まあいいか。
「お前ら!クッソ…だったら!この前拾ったこれの力を…!」
「何アレ?指輪?」
それでついに残ってるのはボスだけになったんだが…ん?アイツの右手の指輪…まさか
「エンゲージ…!」
そうして取り出されたのは、テガソード。ただし、俺のものとは違い、手の部分が金ではなく銀色へと染まっている。それが表すものはつまり……
「まずい!お前ら下がれ!」
「えっ?」
『センタイリング!』
『ジュウオウジャー!』
そうしてヘルメット団のボスは赤い鷲の戦士、大空の王者ジュウオウイーグルへ姿を変えた。…なんでこの世界にユニバース戦士が、しかも陸王が持ってるリングの戦士が居るんだよ…!
「何、アレ…!?」
「イーグライザー!ハァッ!」
「きゃぁっ!!」
『剣が、伸びている!?』
「…!皆、おじさんの後ろに隠れて!」
あのホシノだったか、ピンク髪の小柄な生徒は持っている盾でジュウオウイーグルの専用武器イーグライザーの攻撃を防ぐが…そう長くは持たないだろう。
「ちっ…!それなら!」
俺はウルフデカリバーで斬撃を飛ばす…が、それはボスの横を通り抜けていく。
『ああ!外した!』
「へっ、どこ狙っ…て…?なんか吸い込まれてるような…うわぁぁぁぁ!?」
「残念だったな、狙いはこっちだ!」
俺の近くに裂け目を作ると、アイツの後ろに作られていた裂け目に吸い込まれたボスが、尻もちを付いて俺の近くへと転送される。
「さて…これで終わりだ。」
「しまっ…!?」
『フィニッシュフィンガー!ウルフ!!』
そうして俺は連続コンボを叩き込む!ユニバース戦士なら容赦はしねえ、フルパワーのコンボを叩き込んで吹っ飛ばす!そして電撃がヘルメット団のボスに走ると、大爆発!中から変身が解除されたボスが転がって出てきて、指輪は俺の元へと飛んできた。
「クッソ…!覚えてろよー!」
そうして無事戦闘は勝利で終わったわけだが…
『吠先生…今のは一体…?』
…また説明しねえとだな。
作者の実力不足で書けていないけれど、戦闘中も先生は指示を出しています。別に吠くんに聞こえてなかったり、そもそも指示を出していないわけではない。