似非気狂い   作:覚め

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妖夢が人斬りという風潮はあまり好かない
が、切れば分かると説明されてきた人間が『なんだこいつ?』となった時に取る行動は斬るか気にせずどっかに行くかの二択だというのはわかる。


人斬り気狂い

「誰だ貴様」

 

「前に一度会っていますよね。嘘言わないでください」

 

「そうだったか?」

 

「これを持って私と試合をしてください」

 

律儀に渡されたのは木刀。おや?と思い前を向くとお相手は二本の木刀を。場所は竹林。退院して暇してたらこれだ。急に体が動かなくなったと思えば何故木刀の試合を…?とにかく始まった。俺の記憶にはない子とハンセイの試合。何があったのか、木刀の扱いに慣れている。そのまま握った木刀でよく分からん木刀ッ子を叩く。が、右腕の一本で塞がれて左腕の一本で薙ぎ払い。が、流石はハンセイ。なんか飛んで避けた。うん。なんか飛んだ。

 

「このっ…はっ!」

 

「邪魔」

 

「えぇ!?」

 

「我の前に飛び道具は無駄。その手にある物で戦うべし」

 

「このっ!」

 

飛んだ斬撃を木刀で弾き飛ばし、一言述べたうえで試合再開。もうさ、首絞めよう?ほら、お前なら出来る!ハンセイ、お前ならなんだって出来ると思っているんだよ!だから、ほら!戦え!そのまま木刀で手首打ってしまえ!そして首絞めろ!…いや待てよ。そもそも飛ぶ斬撃とかやってくるくらい早く木刀振れる奴が近づいてきたやつに対して振らない理由ある?なんなら体が人間なら一撃で死ぬんじゃない?逃げろ!死にたくないだろ!俺はお前の逃げ足を信じてるぞ!

 

「宜しい。ならばこそ、信じられた者の力だ」

 

「はい?」

 

「ふんっ」

 

「づっ!?」

 

なんか急に強くなったな…?なんなのこいつ。よくんからん…俺が信じたのは逃げ足だけだし…なんでこいつこんなに張り切ってんだ?なんかあった?なんかやったかな俺。あんま記憶にないな。というか、相手の木刀ヒビ入ってない?あれ、そんな強く振れるものなの?というか木刀ってヒビ入るんだ。俺全然知らなかった。だって、硬いだろ。外の世界にいた時は振り回して壁に当てたら壁が凹んでたし。ちなみにバチくそに怒られて木刀売られた。

 

「はっ━?」

 

「よく耐えた」

 

「ぎっ」

 

二撃目。木刀を丸ごと叩き折ってそのまま頭へ一直線。落とした後、少しして体が…戻らない。法則性は学んだと思ったんだけど。周りに人がいない時とか、結構動いた後とか。そういう時に体が戻ると思ったのに。どうやらそう動いてもないらしい。お相手を家に連れ込み、布団を被せる。ん?これ、家に連れ込んであれこれにゃんにゃんきゃっきゃしてしまった後に見えない?…いやいや、まさかな。そんなふうに見えるわけもなし。折れた木刀を持ってるこの姿で…気絶して連れ込んだの…?

 

「おいハンセイ…流石にダメだろ」

 

「妹紅もか?」

 

「私も?何がだ?…おいやめろよ。私はお前とか嫌だからな」

 

「そうではない。我にその欲はない」

 

「じゃあそいつはなんだ?」

 

「通り魔だ。故に迎撃した。」

 

「はぁ…」

 

なんだかでかいため息を吐かれた後で、同じ説明してみろよと言われる。はてこの周りにまた別の知り合いでも来てたかな?ここまで来る知り合い…慧音くらいしか分からんな。慧音だった。なんだよ予想通りかよ面白くもない。そのままハンセイは同じ説明をし、いやだのあれだの問題だのと喚く慧音を横目に追いやって見るのは先ほどの通り魔。胡座で見下していると、頑丈な通り魔だったようで。もう目を覚ました。頭にぶち込んだよな?

 

「っく…ん?」

 

「あ、これで事実がちゃんとするな」

 

「我は嘘は言わん。吐いた嘘は数え切れぬ」

 

「どっちだそれは。君、この男に何をされた?」

 

「ぅ…力づくで…」

 

「お!嘘だったか」

 

「擁護できんな。来い、牢行きだ」

 

「こいつなら脱獄余裕だろ」

 

「嘘をつくな通り魔、事実を話せ」

 

そうすると淡々と、通り魔目線の俺を話してくれた。どうにも俺が逃げ足を信じた後に様子が変わったらしく、その様子はどう見ても神か妖怪の類だったらしい。そのような力を纏っているように見えたらしい。どうにもおかしく見えたようで。ハンセイが神とか妖怪とか。まあ人外なことは認めてはやるけど、流石に神はない。どうにもおかしいし。妖怪…俺の体に住み着いた妖怪なら分かるけど。妖怪の生態知らないからよく分からないから結局わからない。

 

「はい…本当です」

 

「ハンセイが妖怪か神…いや妖怪だな」

 

「ああ。こいつは妖怪だ」

 

「失礼な。ちゃんと紹介しただろう。我、天上は神だ」

 

「天上だろうが。じゃあなんだ。天下は人間だろ?間は?」

 

「…半神と成る」

 

「ふむ」

 

一息置いて話が進む。が、それは良くて。どうやら通り魔は帰りたいらしい。ついでに帰り際に捨て台詞吐いて行った。どうやら今後も通り魔をしに来るらしい。やっぱ殺しておくべきだったよ。首絞めたりさ?次首絞めるべきだったな。木刀の返却の要求さえなければ決まった帰り方だったよ。だからさっさと帰れ。帰るタイミング見逃したみたいな反応でここで狼狽えるな。慧音と妹紅の話がうんたらかんたらと進み、俺と通り魔はここで狼狽えるばかりである。ハンセイは違うらしいけど。

 

「我は今天上だ」

 

「あ?今は神だってのか?」

 

「ならば私と同じだな。特定の条件下で人外になる」

 

「…待て。じゃあお前、その喋り方は?」

 

「我のものだ」

 

「…ハンセイって名前は?」

 

「我のものだ」

 

そんな返答で誰もが理解できるわけじゃないんだよな。それで分かるだけの理解力があるならお前の言葉で一から百まで全部わかるんだよ。ちゃんと説明しろ。ほれ、俺の名前とか。俺の性格とか。お前なら全部大体わかってるだろ?大体っていうか全部知ってるだろ。ほれほれ、お前について話してもいいんだぞ?なんかあんだろ。どこの妖怪ですとか、どんな妖怪ですとか。あるよな?あるだろ。あれ。そら、話せよ。

 

「やっべぇわかんねぇ…」

 

「人間の名前はハンセイか?」

 

「違う。」

 

「その人間の名前は?」

 

「知らん。我の前ではこの男は名乗らぬ。」

 

「お前がその男と変わる条件は?」

 

「周りに人妖神がいない時。又は我が疲れ果てた時。」




Q.ハンセイは嘘を吐く?
A.嘘は吐かない。本当を嘘にされたことはある。
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