似非気狂い   作:覚め

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妖夢「また負けてしまった…許さん…いつか殺してやる…!」


薄情

「宴会?」

 

「そうだ。どうにも博麗神社で宴会をやるって噂があってな」

 

「断る」

 

「だろうな。じゃ、私も行かないか」

 

妹紅、お前は行ってくれ。久しぶりに自分の体を動かせそうだったのに。まあハンセイが豆腐を食いたくなったのなら、おそらく体は動かせないだろうが。面倒な。昔の自分でも思い出してみるか?…ダメだな。まともな時期しかねえわ。ここに来る前だって仕事やってたし…あ、外の世界の仕事。あれどうなったのかな。少なくとも俺は終わらせてなかったんだけど。いやでももう良いか。嫌いな人ばっかりだったし。今は気楽だよ。里から近ければいつでも引っ越せるし。

 

「つーわけだ。私とお前で小さな宴会の始まり〜」

 

「帰れ」

 

「酒もあるんだぞ?ほれ、人外は皆酒が好きなんだよ」

 

「酒を嫌う奴もいる」

 

「お前は?」

 

「…嫌いではない。数多ある星の中から選ぶほどではないが」

 

「好きなんだな?じゃあ注ぐぞ」

 

いったい何故ハンセイと呑むことに固執するのか。意味がわからない。こいつそんなに面白いのか。俺は話したことがないからわからない。いやでもこいつが酒飲むところを見るのは初めてだな。楽しみに見てみるか。呑むか?飲め!グイッと!…俺は酔わないのか。外の世界では酔っ払って暴れたらしいからなぁ。でも俺の体なのに酔わないのおかしいな。やっぱ人格変わると酒に対する耐久性が変わってくるのかな。変なの。俺もその耐久性が欲しかったところではある。

 

「良し!じゃあ焼くぞ〜!」

 

「冷奴」

 

「焼き鳥ってこんなのだったか?」

 

「湯豆腐」

 

「豆腐ばっかだなお前…」

 

「万能食材だぞ」

 

「なんだお前もう酔ったのか?」

 

「酔ったのではない。これしかないだけだ」

 

「お前なぁ…ほれ、焼き鳥だ。お食べ。」

 

「殺生は…」

 

「やっぱり仏教じゃねえか」

 

「失礼な。神道だ」

 

やっぱこいつ意味わかんね。酒を飲んでいたところ、何やらぷつりと動きが止まる。かと言って俺が動かせるわけでもない。であれば、なんだろうか。あれ、本当に動かない。もしかしてハンセイの行動が止まった?頭ストップした?…え、酒で?酒飲んで、限界迎えてストップしたの?じゃあなにか。ハンセイが体動かしてる時に気絶したら俺動けなくなるってことか?…え、なんで?俺も動きたいよ。今ならハンセイも動けないんだよな?じゃあ俺が動くからさ。あ、もう目覚ましやがった。

 

「なんだ、寝てたか?」

 

「…気を失っていた」

 

「え?」

 

「失礼するぞー」

 

「あ、そうだった。慧音も呼んでたな」

 

「忘れてたのか?薄情な」

 

「未来なんぞ魑魅魍魎の択だ。覚えない魑魅魍魎もある」

 

「いや確かに私は人間ではないんだが…やっぱり酔ってるだろ?」

 

「私はまだ飲んですらいないのに…まったく。二人のつまみに差がありすぎるな?」

 

「あ、そうなんだよ。こいつ何故か豆腐しか食わないんだよ。」

 

「そう思って私は醤油を」

 

「慧音も酔ってる?」

 

醤油を受け取り冷奴に一つ。何やら優しいような醤油…醤油…?幻想郷の醤油というのはどういう立ち位置の食べ物かを俺は知らない。例えば、貴重だとかそこら辺にあるものだとか。そういうものだな。だが俺の知ってる醤油はこんなドロっとしたものではない。豆腐にかかる直前、ハンセイもそれに気付いたのか指で醤油らしきものを掬い、舐める。味覚繋がってないからわかんね。だがどうもあの粘度は違うだろうな。ハンセイはどうだろうか。あ、醤油をどっかに追いやった。違ったらしい。

 

「むぅ…?」

 

「おい慧音…これ醤油じゃなくてソースだぞ」

 

「…あれ?」

 

「ここに来るまでに何飲んだ?」

 

「…んぅ」

 

「あ、おい慧音!?寝るな!こんなところで!」

 

「っあ、ああ、すまない。いつもなら仕事が終われば寝ている時間だから…」

 

「家主の許可も得ずに寝るのか。尻軽め」

 

「なっ…ならば妹紅もだろう!」

 

「慧音!?」

 

「寂しがり家だろう、妹紅は」

 

「確かに…」

 

「やめろ!私を見るな!火を吹くぞ!」

 

そう言った火を吹き、酒が全て燃えたところで。妹紅が我に帰り、次に慧音が少し火傷した手を見て少し時間を経たせて酔いが覚め、ハンセイは燃えた酒を覗き込んで豆腐を食べていた。こいつなんなの?なんなのこいつ。意味わかんね。何をどうしたら燃えた酒を肴に…違うな。いやでもどっちも肴になるのかな?この場合どっちが主だ。豆腐か?酒か?…多分豆腐だろうな。つまり燃えた酒を肴に豆腐を食っているのだ、ハンセイは。頭おかしいな。

 

「おわわわっわわぁっわぁ」

 

「落ち着け妹紅、そうだこの家は川が近かったな?み、水だ水」

 

「見事に燃え尽きたなぁ」

 

「ハンセイは落ち着きすぎだ!」

 

「いやなに、延焼はしておらん。家も中途半端な石造り。ならば心配もなしだ」

 

「良かったな妹紅!」

 

「わ、私の二週間の稼ぎ…」

 

「そっちなのか!?家ではなく!?」

 

ちなみに家が焼けていたらオレは泣いていた。何故って、俺が作ったんだから。この家。ハンセイじゃないよ。俺だよ。すごいっしょ。骨組みが竹だから崩れるかと思ったけど、意外となんとかなって俺も驚いてる。ちなみに多分どっかで交換しなきゃいけないはずだけど、わからないから先延ばしにしている。ま、なんとかなるだろう。冬を凌いだんだから。しかし宴会とは始まってみればすぐさまに終わりを迎え、各々が片付けに勤しんでいた。ハンセイはそもそも用意してないけどな。

 

「…困ったな。焦げ臭い」

 

「妹紅」

 

「…あ、えっと、あれだ。殺菌!」

 

「こいつはどうするべきだと思う慧音」

 

「子供なら頭突きだがな…」




ハンセイは酒に弱い
が、電源が切れても副電源(地の文)があるため倒れたりはしない。
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