A.どう考えても土着信仰最強格の前で姿を現すとか、やってることが風見幽香の家に入って勝手に茶しばくようなもんだからね。死を覚悟するでしょ、普通。
「それで、あれが巫女か?」
「神様」
「私じゃなくてお前の中にいる神に祈れ。私に祈られても困る」
「神なんだから叶えてよ」
まあ確かに、なんか嫌そうな反応をされたので仕方なしにハンセイに祈る。でも出て来てない神に祈っても意味あるのかな。…別に出てこなくてもいいけど、俺に被害が及びませんように。及ばせに来ても絶対回避してやる。神様も仏様も…女神は神だよな。とにかくそこら辺に土下座してでも回避してやる。巫女がここを襲い、東風谷やさっきまで話してたデカい神も出陣。俺の隣に霧雨が座った。ハンセイじゃない口調で喋られると違和感があるんだって。泣いちゃいそう。
「しっかし、なんで霊夢は2対1なのにあんな優勢なんだ?」
「数で有利不利が出るの?」
「出る。数が増えれば弾幕も増えるしな」
「へぇ…」
「ま、弾幕したことない奴にはわからないだろうけど」
「弾幕ごっこは知らんが、マジックなら得意だぞ。」
「お?魔法見せるぞ」
「何もない手のひらからトランプ出してやる」
「は?」
ほれほれと見せてやる。すると霧雨はどうも納得がいかないようで、そんなことできて何かやることあるのかと聞かれた。真面目に殺してやろうかとも思ったが、我慢我慢。これでも、この得意芸をそれっぽい格好で警察に見つからないようにこっそりやると日銭くらいは稼げたんだぞ。路上で何かやる時は許可を得てないと面倒なことになるからな。そんなことやっててもなんでマジシャンってのはクソデカいハット帽を被ってるのかは分からなかったし。でも金がたくさん入るからだろうな。
「これが出来てもどうってことはないけどね。ただ…やる度にトランプがどっかに行くんだよ」
「お、神隠しか?」
「神隠しならここに来てないとおかしいでしょ」
「ん、それもそうか…なんか霊夢終わらせてないか?」
「早いな。霧雨とは大違いだ」
「霧雨はやめろ」
「だねぇ」
「うわっなんだこいつ!?」
「いつの間に…神様っていつも急に現れるの?」
「さぁ…そもそもこいつ神なのか?」
膝元に出現したのは変な帽子を被った神。何故か一目見て神だと分かった。帽子を取ったら金髪だった。小さい、それはもうさっきまでいた神と対比するかのような体積だった。おそらく脅威の格差ならぬ胸囲の格差などと言われたこともあっただろう。いや、これは別なのか?まあ、そんなことはいい。問題は俺の膝元から全然動かないところだ。どうやっても動かない。なんなら掴めてるかも怪しい。脇を持ち上げようとしたのに何故か肩を通り抜けたりする。おかしいな、何処か幻覚を見ているのだろうか。
「まあでも、確かに姿形だとこっちの方が威厳があるのかな?」
「お、寺子屋の子供から看板娘に」
「それでも俺の膝から動かないのね。なんかさっきよりも微動だにしないんだけど」
「あはは」
「霧雨手伝え」
「仕方ないな…恋符!」
「それ以外!それ以外で!」
そんなことをやっていたら謎の大きな玉が俺たちに当たってしまう。弾幕ごっこって終わったよね?なんで流れ弾飛んでるの?…何、ジェスチャー?…次、俺?…この神じゃなくて?俺?指さしで確認してみると、俺を指差すと頷かれ、神を指差すと首を横に張られた。いかん、巻き込まれた。何故。どうにかして心当たり…もしかして妖怪に飛ばされた時にできたあのクレーターのこと!?じゃあ俺じゃないよ!信じて欲しい。飛ばすように言ったのも飛ばされたのも俺だが、ただ着地はハンセイだ。
「痛っ!?痛い!お祓い棒が痛い!」
「これが痛いやつは妖怪です」
「痛くないし…ぜんっぜん痛くないよ…?」
「こらこら、私の子孫に何やるの」
「…はい?」
「…ねえ、そろそろ叩くのやめてよ」
「アンタの中にいる神なんかほとんど妖怪でしょ。中に刺すわよ」
「…あれ、もしかしてこれ無視されてる?」
「諏訪子、どう言うことだ?」
「まあ、あれかな。私だって全部把握してるわけじゃないし」
「お前の子孫に元気な奴がいた、と」
「やめて。」
しかし、そうか。俺は妖怪ではなかったのか。と、博麗の巫女がデカい神に拘束されてどこかに連れて行かれた。そうして俺の前に推定神様が俺を見つめるように立った。こっちも大きい。膝元にいた時よりも大人びている。その姿のまま俺の手を掴んでこう言った。お前は私の家族だ、と。…頭イカれてんのか。手を振り解こうとしたが振り解けない。話をよく聞けば俺はこの神の子孫らしい。神様ってのはね。子供も残さないし、信仰する人間にしか姿を現さないし、とにかく人に対して秘匿されてなきゃいけないの。あ、ハンセイが当てはまらないわ。
「早苗、親戚がこんなところにもいたよ」
「えっ」
「どうやってここに来たの?気になるなぁ」
「…外で路頭に迷った時、風向きが変わったと思ったらここ」
「はぁ!?私の子孫を神隠し!?どこに住んでたの!?そこに一番近い神にブチギレてやる!」
「覚えてないよそんなこと」
「えっ」
周りを見渡してどうやら事態は終わりを迎えたのだと思い、鳥居を潜る。神様を見ることもできたし、ハンセイとしても満足だろう?鳥居を潜ろうとして体が止まる。いや、動いてはいるんだけど、動きがとても遅いような。そうだなぁ、なんか、ほんとゆっくり。なんで?…もしかしてこれ、死ぬ前のやつ?首の後ろから手が伸びる。そのまま首を絞められるかのような速さで首の前で腕を組まれる。これって確かさっきの神様の手だよね。もしかして、このまま死ぬってこと?
「…私の目の前で出てきたら、存在剥がして消すから」
「っ!?」
「いや、なんでもないよ。私の名前は洩矢諏訪子。君の名前は名乗りたくなったらでいいから。次会う時は鳥居が見えるくらいの位置から君が良いかな」
「あ、はぁ…?」
諏訪子目線のハンセイ:自分の子孫に知らない神入ってる。出てこない限りは知らんぷりするけど、目の前で出てきた瞬間神殺し。