似非気狂い   作:覚め

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萃香は北西の方から来ないと思ったか。
反対側からも来れるぞ。
なんならあいつ元ネタは元人間だから全方位から来れるかもしれんぞ


鬼門

「…何だ」

 

「いやぁ、お前を宴会で見たことがないからな。個人的にどれくらい先が飲めるかなって」

 

「我は飲まん。失せろ」

 

「嫌いか?」

 

「嫌いだ」

 

ハンセイは酒を飲まない。飲んだら体が硬直することを知った為だ。そのおかげで慧音と妹紅に勧められても飲まないと言う選択肢を取るようになった。ありがたい。その場にいた氷精が暴れだすも、鬼が鎮圧。えっと、誰だっけこいつ。そもそも名前聞いてたか?…萃香とかだったかな。まあとにかくそんなやつ。そんな奴を見て、氷精がこちらにしがみつく。ハンセイは氷精を宥める。こいつもこいつだ。氷精を住まわせるために家を増築したんじゃないだろうな。もしそうならあり得ない話だ。諏訪子さんに頼んで消してもらう。

 

「ハンセイ!やってしまえハンセイ!あたいはムカついた!」

 

「なんでこいつが偉そうに…」

 

「義理があるからな。では手品を」

 

「ん?あれ、瓢箪から水が…」

 

「その道具は見たところ酒が底なしに存在しているな。液体であれば我に操れないものはない」

 

「すげー!」

 

「あー」

 

「…何をしている」

 

「酒が入るの待ってんだよ。口開けて。ほら、あー」

 

そのまま恐らくハンセイの持つ全力の速さで萃香の喉元に酒を直撃。酒で喉焼いとけ。しかしそんな酒でさえも萃香は飲み干すつもりのようで。量も速さも増すと言うのに何故か萃香は顔色をどんどん赤く酔っ払いの顔に変えていきながら口の中に全てをしまった。きもいよ、この鬼。ん、鬼といえば。確かツノをへし折ると力が消えるとか消えないとか。試してみる価値あるんじゃないのかな、ハンセイ。目の前の鬼のツノ、水圧カッターとかでこう、スパッと。

 

「…ちなみにだけど、ツノ折るとか考えてるならやめておくれよ。そこら辺の妖怪と変わらなくなっちまうからね」

 

「そう言われたら折るしかないだろうっ」

 

「だからこうなる。神様が私に勝てると思った?残念だけど、鬼の方が強いねぇ」

 

「ハンセイ!」

 

「っ…はっ…」

 

「腹パンで済ましたんだから良いだろう。じゃーなー!」

 

…もうあいつがきた方角全部鬼門だろ。となると必然的に家の出入り口はもう鬼門なのだがな。しかし腹パンか。となれば俺、次入れ替わったら厠に閉じ籠るかな。肛門括約筋が恐らく絞められないだろう。俺は腹痛で死に至る。くっそ、余計なこと考えなければよかった。なんどよツノを折るって。めちゃくちゃ難易度高えじゃん。しかもあいつ…俺の方に駆け寄った時の踏み込みのせいで家の壁が少し崩れかけてるし。いくらなんでも直していけよ…なんならあいつに作ってもらったらどうよ?力あるんだろ?

 

「それは無理だ。金も材木もない。」

 

「ハンセイの腹が…凹んでる…」

 

「これはすぐに戻る。氷精は湖に帰ったらどうだ」

 

「えー…あたいいなかったら爆発しそうだけど」

 

「なにも爆発しない。心配するな。我は無事だ。」

 

「…まあ、そう?」

 

「そうぁ」

 

「ダメじゃん!」

 

こんだけ痛がるハンセイは珍しいぞ。なんなら伝染してらのか知らないけど俺もダメージ食らってる。気分悪い。吐きたくても吐けない。まずいなこれ。なにが一番まずいって、腹を殴られた上でハンセイ越しに俺にダメージが来てることと、ハンセイがその気持ちを汲み取ってなのかめっちゃ気持ち悪がってること。あいつだけ二重の苦しみを与えてきてる。ハンセイ、もうあいつと関わるなよ。腹パンされたらもう次は死だからな。俺の気持ち悪さは今を超えるだろうし。

 

「ハンセイ〜、タケノコが手に入ったから売りに行くぞ〜」

 

「ぬっぐっ…ぅ…」

 

「あたいが代わりに行く!」

 

「お前じゃハンセイの好きな豆腐わからんだろ」

 

「豆腐って種類とかあるの…!?」

 

「…ハンセイ、どうした。そんな土下座して」

 

「ちが…ぅ…」

 

「あ?ん?なに?全然聞こえねえぞ?」

 

「違う…!っ、鬼にやられた…」

 

「…は?」

 

そう言うと、妹紅は駆け寄って腹を炎で暖めてくれた。が、違うそうじゃない。あの、鎮静剤とか鎮痛剤とか、そう言うのを永琳先生から持ってきて…お願い。ダメだ、ハンセイが話せないから伝えられない。誰がこんなことを…くそっ、許せねえ。かと言って俺が出ると脱糞嘔吐に加えて更なる何かが出そうなので出るわけにもいかない。なんてことだ。絶体絶命。そのままハンセイが何もできずに土下座を維持すること俺の体感時間で五時間。恐らく俺とハンセイ以外にとっては30分程度だろうが、とにかく痛い。

 

「く、すり…」

 

「あ、薬か!?待ってろ、何が欲しい!?」

 

「ちんつー…ざい」

 

「チルノ、なんて言ってる!?」

 

「ち、ちんちーざい?」

 

「は?…とにかく、行ってくる!」

 

「ち、鎮痛…がっ」

 

「ハンセイは寝ろ!」

 

馬鹿、腹を壊してる奴に腹パンはダメだろ!と思ったら、背中だった。いやそんなことよりも腹痛がだなこの野郎…うっ!流石にそろそろ限界が近いか!?ハンセイの土下座がもっと深くなった!殴られた中身の痛みが引いた代わりに皮膚の痛みも出てきたか!?…え、てことはもしかしてやばい?…もしかしなくても、薬待てない?もしかして、腹痛だけで今日が終わる!?やっぱり鬼って不吉だわ!

 

「医者連れてきたぞ!」

 

「見事な土下座…黄金比さえも思わせる」

 

「良いから早く!腹パン食らってやばいかもなんだ!」

 

「そう。なら麻酔して強制入院ね」

 

「!?」

 

「そうした方がいいのか…」




白状します。
腹パンで一話行くと思わなかった。
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