似非気狂い   作:覚め

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慧音先生からすれば、多分だけど里の不安になってそうなんだよな、早苗さん。


里事情

「何をしている?」

 

「ん、少し久しぶりかな?」

 

「あそこの神が出張るとな。あの神の前で我が出ると首を刎ねられかねん」

 

「いやぁ、どっちかっていうと股裂だろう」

 

怖いことを言う。俺は今日、人里にトランプを買いに来た。実を言おう。人里でも作られているらしい。そこまで流通も多くないし、子供は皆手毬やら蹴鞠やら、鬼ごっこやらなんやらで遊びまわる為に売れないトランプがあったのだ。トランプは俺が扱う上で得意な部類に入る。他が下手すぎるとも言えるが。更に言えばハンセイが疲れ切って俺が出た時の弾幕ごっこにも使える。飛距離は短いけれど、ないよりマシだ。あと空飛べないことも説明すれば分かって…もらえる心当たりがかなり少ない。

 

「慧音は何をしていた?」

 

「ただの散歩だ。今日は妹紅が少し体調を崩してな。死んで体を元に戻すことを禁止して初めての体調不良だから、何もできずに苦しんでいる」

 

「哀れな」

 

「体質が体質だから、仕方ないんだろうけど。妹紅も人間だ。女の子だ。少しは気を遣ってほしい」

 

「…恐らく無理だな、それは」

 

「理由は?」

 

「今、寺子屋のあたりから立ち上る煙が」

 

「あいつ!」

 

慧音先生は走って行った。後を追いかけることはしない。何故なら、俺とハンセイが見ているのは早苗の宗教勧誘だからだ。遠くから見てることには理由がある。見つかると面倒だろうな、と少し思っているからだ。仕方ないね、ほんと。お陰で何話してるのか一切聞こえない。そうしていると後ろから呼びかけられた。慧音先生が戻って来たと思い振り返る。そこにはなんと博麗の巫女がいた。驚き。俺は驚いたが、ハンセイは顔に出さなかった。素晴らしいぞ、ハンセイ

 

「迷惑よねぇ、ああいうの」

 

「親戚らしい。あそこの神社の神に言われた」

 

「…驚いた。血筋とかって気にするのね」

 

「しない。言われたのならそうだと受け入れるのみだ」

 

「難しいな…」

 

「すまない!妹紅を叱りつけていたらかなり時間が…ああ。これは巫女様」

 

「良いわよ。ところでアレは許されてるの?」

 

「…まあ、無害ですから」

 

「ふぅん…そ。なら良いわ」

 

巫女様はさっさとどっかに消えて行った。慧音先生は早苗の方を見てうーんと首を傾げ続けている。俺の親戚が宗教の幹部やってるって思うと、なんか…少し、悪いな。まあでも由緒正しきちゃんとした神社だから、まだマシなんだけどね。俺見ちゃったから。こっちに来たからってテンション上がりながら巫女の口噛み酒売ろうとしてたの。諏訪子神に止められてただろ。曲がりなりにも可愛い見た目してんだから、親戚のおじさん的立ち位置の俺からすればいつか騙されそうで心配だ。余計なお世話か。

 

「…なんだ」

 

「いや、なんだ…ハンセイの好みは若い女なのかなと」

 

「巫山戯るな。我は湖に住まう生命全てが好みだ。」

 

「好みの対象が多いな、ハンセイは」

 

「まあ、良い」

 

「あ、ハンセイの言っていたとらんぷ?を見つけた。行くぞ」

 

「承知した」

 

慧音先生の後ろを歩く。導かれるがままに店に入る。これは…普通のトランプ。値段も安い。外の世界よりも安いのではないだろうか。トランプを見つめて、重さを比べて、ケースを叩いてみて。この日のために諏訪子神を使って良かった。これだ、と思うトランプを二個買う。実際トランプに違いはないだろと言われたらそうだろうが、噂では人里以外の場で作られた代物。俺の知らない何かが封入されているやもしれん。買う時は慎重に。まあでも関係はないね。店前で買ったトランプを使った手遊びをする。良いね、やっぱりトランプはこうでなくては。

 

「トランプがそんなに嬉しいのか?」

 

「手持ち無沙汰に耐えられなかった時はいつもこれ触ってたからねぇ」

 

勿論、普通にババ抜きとかジジ抜きとか、そこら辺も面白いんだけどね。外の世界では披露してばっかだったし。トランプをケースに戻し、身体の主導権もハンセイに戻る。うーん、満足。そうして慧音先生と寺子屋に戻り体調不良から自害しないように縛り上げられた妹紅を見て若干引く。うわぁ…ようやるわ。これ亀甲縛りじゃん。Rなあれでよく見る縛り方だ。それでいてかなりもがいている妹紅がまあ、うん。解いてあげる。流石にさぁ…あれ源流は確か拷問だろ?やめとこうぜ…

 

「どんな気持ちだ?妹紅」

 

「痒いところにっ…!手が届かないぃ…っ」

 

「めっちゃ食いしばってんな」

 

「ぃっ…!」

 

「不死人の癖に体調不良には何の対策も積まなかったのか」

 

「うるさい…っ…ふー…」

 

ちなみに体調不良とは言ってるがただの吐き気らしい。風邪かな。頭がガンガンと痛く、吐き気がし、何度かえずいた。風邪だな。妹紅はその場でのたうち回っている。可哀想。まあ、でもあのゴミ屋敷で患ったのが風邪だけってのはかなり珍しいよなぁ。永琳先生はこの謎の免疫力も検査すべきだろう。俺はしたいとは思わない。慧音と妹紅が言い争う。慧音が一言言っては、息を止めながら妹紅が反論する。それに間髪入れずに慧音が言葉を追加する。その繰り返し。恐らく妹紅に価値はないだろう。

 

「なにやってんだか」

 

「知らない。少なくとも私は。」

 

「して…殺…して…殺して…」

 

「永琳先生に薬を貰え」

 

「…ああ、すっかり忘れていた。薬か…」

 

「豆腐があればすぐに治るが…」

 

「それはハンセイだけだぞ」




諏訪子神「トランプを買いに行け。トランプ遊びは岩内にやらせろ。お前は弾幕ごっこ以外で使うな。使っても元に戻せ。」
ハンセイ「ハイ…」
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