似非気狂い   作:覚め

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つまり地霊殿らへん


温泉爆誕

「うーむ、殺風景」

 

俺は今、温泉に来ている。来ているとは言っても慧音と妹紅の付き添いだ。そんで持って混浴なんてないから俺だけ男湯ってわけ。ちなみに、男湯に入ってから身体を動かせるようになった。やっぱり一人の時はハンセイは出ないみたい。それを確認してから俺はすぐに水を浴びて湧き水に浸かった。里の中なので勿論殺風景。覗き防止で柵は高く、見えるのは空ばかり。やはり吹き抜けの温泉は良い。空を見て優越感に浸れる。これが夜であればもっと良かった。

 

「ハンセイ〜!そっちに石鹸ない〜?」

 

「ない!」

 

…できるだけ早くあがろう。このままでは少しドギマギしながら男湯に入り続けることになりそうだ。少ししてから着替えを…あれ。着替えがない。正確に言えばタキシードがない。パンツはある。一体何故。考えてみるが、思いつかない。盗まれたのだろうか?それ以外はありえないように思える。だって、脱衣所にいたのはハンセイだし。体をタオルで拭いて、パンツを履いて、タキシードを探し回る。困ったな、妹紅に買ってもらったやつだから無くしたらかなり怒られる。いくら探しても見つからない。

 

「…困ったな」

 

「お困りで?」

 

「男湯に侵入する女がいて困っている。どこかへ行け」

 

「それより、服がないんじゃない?」

 

「貴様が奪ったのか」

 

「あーいやいや!違う違う!あたいは死神でね!そろそろ死ぬってやつが何でか知らないけど死ななくてさ!地上に出て来たのがここってだけさ!」

 

「それで?日銭欲しさに売ったと」

 

「違うってばもー!あたいが出て来た時に盗んだやつがいたんだよ!」

 

「連れて来い。さもなくば殺す」

 

「死神をかい!?」

 

そのまま探し回りに。ただの温泉旅行が、何故こんなことに。俺だってただ浸かっただけでいたかった。て言うか女死神がどうして男湯に来るんだ?頭おかしいんじゃないのか。聞けば閻魔は過去男子トイレの前に出て来たこともあるらしい。アホらし。とにかく、その馬鹿を殺せば俺の服は返ってくるのだとか。そこで俺の知り合いかどうかを確かめることに。写真を見せられる。うーん、知らない。ハンセイは知ってる?知ってるらしい。先日、早苗の演説を聞いていた男だったとか。俺の服を返せや。

 

「なるほど…なら、守矢か質屋って訳だ」

 

「今すぐ行け。今すぐ服を取り返せ。」

 

「はいはい」

 

向こうの女湯ではまだ慧音と妹紅の声がする。故に、まだ出るまでには時間がかかるはずだ。そのはずだ。そのはずであろう。つまりタイムリミットはまだ遠いはず。死神よ、パンツだけで神様待たすなよ…つーか死んでない人間って誰?俺じゃないよね?じゃあ俺の服盗んだ男?それならその時に…もしかして見せられた写真って死に損ねてる男!?はぁ!?まじで!?やられた!?くっそ、あの死に神逃すんじゃなかった。て言うかこれ、ハンセイも騙されたってこと?ハンセイも!?

 

「…や」

 

「閻魔の前で土下座か、そいつと共に閻魔に裁かれるか。どちらが良い」

 

「土下座かな。これ、服泥棒。どうやら守矢のご加護で生き延びてたらしいからさ。こいつも連行」

 

「も?」

 

「写真の奴はもう地獄に送ったよ。だから、服泥棒を捕まえたって訳」

 

「そうか。助かる」

 

「しかし人里で泥棒騒ぎとは、安心できないよねぇ」

 

「…帰れ」

 

「あ、ごめんごめん」

 

消えた。そこからゆっくり着替え始め、外に。妹紅と慧音はいなかった。うーん、やはりと言うか何と言うか。なんか、服泥棒のせいで疲れた。服泥棒にはハンセイが湯に浸からせるように言っておいたけど、溺れてないよな。そう思ってチラリと覗く。うーん、溺れてはない。とりあえずは良さそうだ。外で慧音と妹紅を待つか。しかし、ゆっくりできなかった。あの二人、声が大きいんだ。他に誰かいたらどうするんだ。…女湯もあの二人だけだったのか?というか、服泥棒は女湯には入らなかったのか?

 

「女物の方が売れると思うが…」

 

慧音先生の服はかなり高そうに見えるが。違うのかな?いやでも、慧音先生の着ていたものならかなり高く付くと思う。相場は知らんが。まあ、とにかくだな。二人を待つ。5分、十分、二十分。なかなか出てこない。こんなに風呂が長い…まさか中で妹紅が溺死してるんじゃないだろうな?ありそうだから困る。そんなことを考えていると、慧音と妹紅が謎の格好で出てくる。あれは…旅館に泊まった時、風呂上がりに何故か皆着る謎の浴衣だ。そんなものもあったのか。しっかりしてるな。

 

「良い湯だったぁ〜」

 

「久しぶりにゆっくりできたよ」

 

「…我が着く必要はあったか?」

 

「必要性で語るもんじゃないよ、そう言うのは。」

 

「途中から返事をしなくなったが、どうしたんだ?」

 

「あがっていた」

 

「…つまり、石鹸の話の後に?」

 

「ああ」

 

「…何故?」

 

「声」

 

「…あ、大きかったか!?」

 

正解である。これを機に、ではないが、とりあえず少しは声の大きさを考えてほしい。これだから人と関わらない不死者は、あまりにも迷惑だ。俺は人が入って来た時のことを考えると流石にダメだろうとは思う。同じ竹林住まいだからって、価値観まで同じだと思うなよ妹紅。ついでに服泥棒についても話す。なんとか取り返すことはできたが、危うくパンツ一丁で出るところだった。ハンセイ、都合良く内容変えるなよ。溺れてはないけど倒れてることは言うなよ。良いな。

 

「服泥棒か…もし私たちの服が取られていたらと思うとゾッとするな。」

 

「…しかし、ハンセイの言う通りなら私たちは下着だけは無事だぞ」

 

「だから良いと言うわけではないぞ妹紅」

 

「我儘箱入り娘が…」

 

「まだ言われるの?」




妹紅は常に認識がバグっていると考えています。バグれ。
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