似非気狂い   作:覚め

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トランプ嫌いのマジシャンがいたら、多分そいつは鳥が好き


特技

「岩内さんの特技は何ですか?」

 

この一言のせいである。トランプのマジック、というか何というか。まあ扱うのが得意といえばそれまでだが。トランプの背面の色を変えるマジックだったりとかはあまり得意ではない。無い場所から取り出すことが得意だ。コツを聞かれても知らん。俺にしかできないというか、あれだ。俺もよくわからない。そして今、その原理について詳しく聞かれている。すんごくスルーしている。トランプを二枚三枚と服の中に仕舞い込み、服を脱いでみるとすでになくなっている。胸ポケットにもない。たしかにここにいれたのに。

 

「そんで、着直してみると…ほら、ある」

 

「…これはどちらかというと、能力では?」

 

「だからって神まで仕舞うことはできないだろう。服の方だな。どこで買った?」

 

「でもこういうことは外の世界の時からできたんでしょ?じゃあ能力じゃん」

 

「しかしそうなると神がだな」

 

「我はこの体を選んで入ったに過ぎん。」

 

「出たなクソ神死を覚悟しろ」

 

体がハンセイに移った。殺す宣言されて急いで弁明。説明するから殺すな、だとか。そもそもハンセイは自然に生まれ出た神であって、人間の信仰などはあまり関係がない。そんな神様が自身の生まれ出た所を妖怪に取られ、悔し涙を流しながらあたりをウロウロ。数百年だか数千年だか知らんがとにかく時が流れ、紅魔館が現れたりした後で俺が幻想入り。めでたく人の体を借りて活動しているわけだ。力のない状態で里まで行けるかもわからないハンセイの、人間スポーン待ちだったわけだ。

 

「…あ、説明終わった?じゃあとりあえず」

 

「気が早い」

 

「まあまあ諏訪子。宿っている分、こいつは紅魔館の吸血鬼達に食べられずに済んだんだからさ?」

 

「神奈子…それはそれ、これはこれ。私が出てきた以上、もう宿る必要はないからさ」

 

「でも、ハンセイさんの言葉通りなら…まずその生まれ出た所を取り戻さなければならないのでは?」

 

「チッ助かったな」

 

「あ、もう取り戻してるよ。抜かりなく。」

 

「…次出たら即殺しに行くから。聞いてるんでしょ?」

 

「あ、これマジのやつだ」

 

ちなみにだが、デカい神こと神奈子神は俺にそんな思い入れがない模様。理由を尋ねてみたら『友達の子供ってだけで、そんなに興味湧くか?』とのこと。うん、言われてみれば確かに。と言いたい所だが、生憎俺は友達に子供が出来るような年になったばかりだと思うので、そんな感覚がわからない。まあとにかくそんなこんなで話が進み、守矢神社へ。ついて行くと言うよりも神奈子神による拉致の方が言い方としては正しいだろう。もしかしたら連行の方が正しいかも。

 

「早苗より安定してますね」

 

「褒め言葉として受け取っておく」

 

「年の功とも言いますね!」

 

「お前鬼畜か?」

 

「まあ、褒められたものではありませんが…」

 

「褒めてないからな、早苗」

 

「…やーい、私と同年代」

 

「お前のほうが歳は上だろう」

 

「じゃ、俺帰るんで…」

 

「え、家あるの?」

 

「何で知ってんの??」

 

「だって早苗に呼ばれたし」

 

そういえばそうだった。ここはおとなしく早苗が頼んでいた河童を待つことにする。河童…カッパというと、やはりキュウリが好きなのかな。水いっぱいに含んでる奴。まあそっちの方が好きそうではあるよな。でも河童とか言っても…俺の知ってる河童じゃなかったんだよな。皿なかったし。あ、でも尻子玉とかはまだわからんわ。まあとにかく、だな。俺は工事の終わりを待つだけなので時間の流れを感じるだけだ。久しぶり…ではないな。畳の感触を指で感じながら三人の話を聞き流す。

 

「引っ越すつもりは?」

 

「ない」

 

「…残念」

 

「諏訪子様、まだチャンスはありますよ!」

 

「いや、私はそういう目で子孫を見たくないから」

 

「早苗が生まれた時のテンション、教えてやろうか」

 

「いらないです。あ、早苗、お前が持ってきたこの漫画面白いな」

 

「ですよねー!岩内さんがいつこっちに来たかは知らないですけど、とりあえず名作なんて呼ばれてるものは集めまくりました!」

 

「集めた理由は聞かないでおくけど、よくここまで集めれたもんだな」

 

「クラスの皆と話してみたくて…」

 

そこから、早苗の少し憧れであった作品について語り合うことをした。お前はどんだけ人間関係に飢えた幼少期を送ったんだか。男子の話題にもついていこうとしたのか、漫画の中には有名な漫画雑誌が。早苗の感性では何が好きなのだろうか?聞いてみたところ、もとから好きだったようだ。どちらかというと少女漫画はあまり、と言った感じ。恋愛に興味ないしー、よくわからない謎のステッキにも惹かれなかったしー、とのことだ。神奈子神や諏訪子神はこの子を見てどう思っていたのだろうか。

 

「べっつにー?人の感性と私たちの感性は違うからね」

 

「私たちは信仰が得られるならその媒体が板だろうが絵だろうが、私たちの姿そのままを写すのであれば何でも良いからね。」

 

「嘘ついたらまた新しい神様になっちゃうもんねー」

 

「困った家族ですよ本当…最近の信仰は嘘をつかないとダメなのに。私の吐く嘘に適応して進化してください」

 

「無理難題だね?やめて」

 

「ほら、あんな人たちしか私を叱る人いなかったんですよ」

 

「…それ以前に、お前は友達が皆無だった人間だろ。」

 

「…心に刺さるのでやめてください」




一方その頃河童は守矢のためならえんやこらを合言葉に家を作り続けていた。
それを鬼が見て指摘を始めるので納期が伸びる伸びる。
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