タケノコみたいな何かを見つけた。竹林で。でも何故だろう、とてもタケノコには見えない。しかもなんか、光ってるようにも見える。何故だろうか。俺にはわからない。光る竹はかぐや姫だが、そのお姫様は今現在この近くに住んでいるためその線はない。もしや輝夜達は竹から生まれた竹人間では、とも思ったのだが、恐らくそれもない。であれば、なんだろう。妹紅に見せようにも、最近は妹紅も姿を出さない。どうしたものかな、どうもしないのが一番だが。
「…そもそも食えるのか、これ」
そんな疑問を抱えていたある時、とある妖怪が家を訪れた。名前はナズーリン。なんだかどことなく有名な何かを感じるような耳をしていたが、ねずみのようかいだからかな。そしてナズーリンは俺の持つタケノコらしきものを指差して飛倉の破片と呼んだ。このタケノコらしきものは飛倉の破片と言うらしく、とても食えたものではないらしい。よかった、食べなくて。そんでナズーリンはこの物体が欲しいと言い出した。まあぶっちゃけ食えない光るタケノコがあっても邪魔なのであげるけどね。
「等価交換と行こう」
「なるほど。当然だね。私の持つもので何か欲しい者はあるかい?」
並べられたのは恐らく昼食用のサンドイッチ、ダウンジングに使うのかな?と思われる謎の棒。それと良くわからないお面らしきものに、よくわからない謎のキーホルダー。その他にも雑多なものが。どこに収納していたのか知りたい。その収納術を是非ともご教授願いたいが、それはまだ先の関係ということで。とにかく対価としてハンセイが選んだのは、よくわからないキーホルダー。魚なのか人魚なのか人なのか、まじで良くわからないキーホルダーだ。何か、感じることでもあったのだろうか?
「へぇ…それなんだ」
「人と湖の調和が感じ取れる」
「そ、そう…いや、君が満足しているならそれでいいんだ。うん、多分。」
「…」
何やらよくわからないと言った反応のまま、ナズーリンは消え去った。一体どうしたのだろうか。というかあの光るタケノコはまじで何だったのか。何?タケノコがなにかに必要なの?やっぱ料理するんだろ?俺に食えないって言っといて回収して食べる気だろ。妖怪の言うことなんて信じるんじゃなかった。くそっ、こりゃやらかしたな。とりあえず気を持ち直して、体も取り戻して。さあ、今日の特筆すべきことが謎の商人であることのみだと良いのだけれども。
「なあ、ハンセイ」
「…なんだ」
「なんか、変なやつ来なかったか?ほら、光り輝く謎の食べ物と何かを交換しようとしてくるネズミとか」
「来たが、どうした?」
「あいつとなに交換した?」
「これだ」
「…は?」
当然の反応を妹紅がした。俺もそう思う。しかし、久しぶりに来た妹紅も変わってないな。こいつ多分、前の冬で飢えたな。目がおかしいのに体は健康な時、妹紅は大概ストレスでおかしくなっているか飢えて飯を見かけた途端に少し体の動きが止まる。尚、妹紅の不死性からかは分からないが、妹紅は飢えすぎると人肉を飯と判断するため、今の妹紅は飢えすぎてはないが飢えてはいる、と言ったところか。しかし妹紅はそんな状態なのにあのタケノコを食べ物としか認識してなかったのか。なんともまあ…変な奴だ。
「…今年の備蓄の余りだ。勝手に食え」
「あ〜、助かる」
「食ったら帰れ」
「いや、慧音に用事がある。この後は里に寄るよ」
「…?」
「だから、ハンセイも行かないか?お前の様子だと最近会ってないだろ?」
かもしれない。が、新築祝いだってあったんだ。その後個人的に会いに行ったこともあったから、慧音とはそこまで久しぶりではない。ついでに言えば、妹紅に会うにはかなり面倒な手順が必要なので俺からも会いに行かないし、ハンセイは多分会いたがらないし、妹紅も冬の間は色々と忙しいだろう。備蓄とか、備蓄とか、飢えとか。後は…あるかな。あんま記憶ないわ。そう言いながらも、腕に所々見える、謎の跡から目を逸らす。そう言うのを見ると痛々しいのでやめて欲しい。
「…あのなぁ」
「?」
「誰もが真昼間から暇だと思うな。妹紅は特に。まだ人と関わる方だろう。ハンセイは関わらないとしても。」
「まあハンセイは確かに関わらないが、実際慧音もこうやって応対してくれるしな?」
「妹紅。次同じことやったら次から頭突きだからな」
「うげっ」
空を見る。雲の継ぎ目に船が見えた。木造船。皆が異変だなんだと騒ぎ、その正体ではないかとハンセイが怪しんでいた船であろう。実際にそうだったことが今判明した。しかしそうなればもちろん、空を漕ぐ船なんてものになるので。…行ってみたいと思うのは、ただの好奇心からくるものであろうか?それともただ単に海を見たことのない人間が船を見たくなっているだけなのだろうか。少なくとも俺は海を見たことがないはずだ。それに伴って船も…実際テレビでしか。
「空も飛べぬのに」
「?お前飛べただろ?」
「我はな。先ほど船が見えた」
「なるほど…ってそれはどうでも良いんだ。聞いてくれ、そろそろ慧音に愛想尽かされそう」
「そもそも、再三注意している部屋の汚さが改善されない限りはな」
「我も同意見だが?」
「やばい、二人に見限られたら冬が…」
「人をアテに冬を越すな。やはり長引いた冬の時に分け与えたのが失敗か」
「…我はあれからもう渡さなくなった」
「なんでだよ!?」
妹紅の思考の何処かには貴族よろしくの謎の図々しさかあってほしい。