似非気狂い   作:覚め

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人間一人復活したところで何も変わらないけど、その影響を受ける神格生物がいるなら話は別だよねって。


聖様

「どうしますか?貴方も乗り気ではないように見えますが」

 

「…お前が決めることだ、人間。」

 

ハンセイと聖の対戦は、ほとんど互角。と言いたいが、聖が何故か水の抵抗をほぼものともしていない上、一撃ごとに多分骨が折れてるような、というか骨を粉砕するような音が聞こえる。流石にそれはないと願いたいが、おそらく無理だろう。幸いなことに、いつぞやの酒呑童子のような、俺にも届く痛みではないことがある。この際、もう痛みは無視しよう。俺が出た時の痛み。次俺を出す時は永遠亭でよろしくしたい。流石に全身の痛みには耐えられないからね。

 

「…星、そちらは…あれ?」

 

「負けました…」

 

「さっきより弱かったぞ」

 

「退治のしがいがありません」

 

「目的を達成した瞬間に力が抜けるタイプね。」

 

「…なら仕方ないですね。私も、星まで倒されたとあれば動かないわけにはいきません。」

 

「あ、我は抜けるぞ」

 

こいつが異変に首突っ込んだ挙句にそれを途中放棄?何かあったのか?…新居の崩壊?と言うか此処からどうやって帰るの?…帰れないとか、ないよな。俺がそう思った途端にハンセイは何やら助走をつけて船から飛び出した。そのまま何故か魔界から帰宅し、何故か飛んだ状態を維持したままどこかに突き進む。何があるのか、何をするのか。わかんね。と言うかマジで抜け出すのね。ちょっと驚き。突き進んだ先には湖が。そのすぐ横には、いつぞやの吸血鬼。あー、成る程ね。妖怪が湖の近くに来たから対峙しに来たのね。

 

「あら、久しぶりね」

 

「…訪問を許した覚えはないが?」

 

「ここは誰のものでもなかったから私のものにしたわ。許可も何もいらないのよ」

 

「氷精がいたはずだ」

 

「あら、家主だったの?住み着いた野良犬かと思って追い出しちゃったわよ」

 

「…宜しい。神罰だ」

 

湖の水が辺り一面を津波として襲う。こいつこんなに強かったの。そう思いながら水から逃げつつこちらに迫るクソみたいな吸血鬼を見る。と言うかこいつはどうして急に湖に住み着こうとしたんだ?ハンセイが魔界に行ってたからとか?あり得るがそういうのってどうやって知るんだろう。つーか知り方あるのか。知ったところですぐに帰ってくるかもしれないのに。お前神様じゃねえんだから湖の力受け取れねえぞ。なんならお前は生命体として有名な類だろ。自分のことよく分かっとけ。

 

「その通りである。悪魔崇拝者、貴様は踏み入れてはならぬ領域に入った。よってその命を持って償わせる」

 

「残念だけど、悪魔崇拝者に神の声は届かないわよ!」

 

「で、あろうな。故に何を言わずとも取らせてもらう」

 

急に悪魔崇拝者の動きが鈍くなる。飛んでいたのに、ふよふよと滑空にもならない飛び方で水の届かない範囲に落ちる。何だ?…何があった?え、ハンセイの能力って水操るだけじゃないの?…違うの??吸血鬼って水飲んでたのかな?それとも別に何かあるのか?あるんだったら知りたい。一体何をしたのか。何?吸血鬼の顔の周り全部水素にして酸素消したとか?…有り得んな。流石にパワープレイがすぎる。それは…と言うかそれができるなら湿度20%もあれば大体殺せるだろ。

 

「がっ…ぁ…」

 

「我が操るのは水ではなく液体。貴様の血流を一部止めた。」

 

「ま、私もいるんですけどね」

 

「門番か。今すぐ連れ帰れ。同じ目に遭わすぞ」

 

「昔馴染みじゃないですか〜…あ、いやすみませんやめてください、連れて帰りますね」

 

「次、悪魔の方を連れて来た時には次の手を使うことを言っておけ。殺す」

 

「あ、はい」

 

…やってることえぐいな。血流を止めるって…止める?は?待って止めたの!?お前それ…言ってることをそのまま理解するなら、逆流もやろうと思えばできるってことだよな…いや確か、弁があったはずだけど、あれも水圧とかで何とかできるならの話だけど。いやできたらダメだな。何?逆流って。できたら怖いし。つーか言い方的に脳みそに血が回らなくなるから即死もあり得る。まずいな、これ。ハンセイが能力の使い方次第で幻想郷の支配者になるかもしれない。やったぜ。

 

「氷精は時間で戻るからいいが…あんな悪魔崇拝者に目をつけられるとは。どう思う、人魚」

 

「…え、私のこと認知してたの?」

 

「湖に居ればな」

 

「魚の秩序を保っている私にも感謝してよ」

 

「している。しているから、あの悪魔崇拝者を追い払いに来たのだ」

 

「と言うかまあ、私も外来種ではあるけど」

 

「我の力が弱った時のな。益虫と害虫の区別がつかなければ神はできない」

 

「あの妖精の力、もう少し強くできない?それか私でも良いんだけど」

 

「無理だ。幸か不幸か、我に力が流れている。今氷精に流れているのは一割にも満たない。我はこの体を守らねば殺される身だ、力も要る」

 

「…殺せるの?」

 

どうやら俺は殺す殺されないの基準になってたらしい。まあ、確かに諏訪子神が殺す殺さないを決める立場にはなっているが。そもそも俺が死んだらハンセイはどこに行くんだ?やっぱり、湖に戻るのか?氷精みたいに?流石に神様が死んだ時のアレコレは知らないからなぁ。でも確か、神様も戦で負けたりしてるんだろ?その時に一回くらい死んだ神様もいるだろ。俺の家はただの一般家庭の出だから、それこそ宗教系の学校に通わないと知ることは叶わないだろう。知ることができるかは知らない。

 

「…貴方、あの妖精に随分と入れ込むのね」

 

「入れ込むわけではない。奴も此処の生態系だからな。その中でも随分と住処を決めずに動き回るから目にかけているだけだ」

 

「あー、確かに。前に博麗の巫女に落とされたの見たわよ」




博麗の巫女に落とされる(紅霧異変)
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