「ふぁ〜」
「眠いんですか?」
「まあな…ここ最近、つーか異変以降、俺が出るのは基本寝る時だったし。つーかまだ異変の後遺症痛いし」
「あらま」
「そんな時に本家の仕事手伝えって…おかしくないすか」
「ですが、これもお仕事ですので。」
幟を掲げながら早苗の演説を聞く。声でかいなこいつ。他にも信者が手伝ったりしているが…これ、神様を中に宿してる奴が他の神社を宣伝するのってアリなの?俺は言ってしまえば依代だろ?ダメじゃない?今の俺ってかなりダメな立ち位置してない?…え、ちょっとよくわからんけど…ま、本家が良いならそれで良いか。諏訪子神が良くなさそうだとは思うけどね。少し休憩。今日は日差しが妙に強い。やっぱり日を遮るものは買うべきだよなぁ…どーすっかな。日傘は多分ここには無いし。
「皆さーん!どうぞ守矢神社をよろしくお願いしまーす!」
「早苗、俺帰って良い?」
「ダメです!」
「マジかぁ…あ、やべっ」
なんか、右側から寺の集団が来た。ザ・僧侶みたいな服装で。少し隠れる。ハンセイが変なことしなければ、俺もここで隠れることはなかったのに。ハンセイめ…中途半端に願いを叶えやがって。許さねえ。でも居なくなると自衛手段がなくなるから許す。願いがあるとすれば、どうにか楽に生きて行ける方向に導いて欲しい。縁結びでも何でも無い湖の神様だけどね。それにしては力がありすぎると思いますよ、俺は。寺の集団が早苗の前を通り過ぎたので、前に出る。あーこっわ。
「おや、改宗ですか?」
「ひぃっ!?」
「…岩内さん、仏教に魂を売ったんですか」
「早苗、落ち着け」
「嫌です」
「大体寅丸と俺は面識がほとんどないからな。魔界に入る前の少ししかない」
「そんな!あんなにも熱く語ったのにですか!?」
「お前黙れ」
「星、あまり人を困らせてはいけません」
「すみません」
早苗にあーだこーだと言い訳を垂れ、何とか落ち着かせる。あいつら、ここでも宣伝してるのかよ。面倒だな…妖怪しかいないんだから、妖怪相手に布教すれば良いのに。そうすればあいつらもちゃんと妖怪の更生として仕事ができるだろう。変われるかは知らないが。ま、とにかく俺はこのまま本家様のお手伝いでかの布教活動に終止符を打つとする。あーあ、暇だからって里に赴かなければ良かった。早苗とも会わずに済んだのに…早苗みたいなタイプの元気っ子はたまにで良いんだよ。こっちは疲れるんだから。
「ため息が多いですね」
「何でもない。時間的にもそろそろ終わりだろ、さっさと帰れ」
「おや、もうそんな時間でしたか。では、我が家に行きましょう!」
「何で?」
「…ただの信者である皆様にこれを持って守矢神社まで行けと言うんですか?」
「早苗は力持ちだもんなぁ」
「そんなぁ、可憐な少女ですよ。岩内さんも筋肉あるんですから、手伝ってくださいね」
語気は強くなかった。ただ、目の圧が強かった。だから俺はこうして運んでいるわけだ。どうして。やっぱり珍しく外に出歩こうかなとか考えるべきではなかったんだ。家で大人しく豆腐食べてれば良かった。やらかしたな…ま、そんなこと言っても仕方ないし。守矢神社に荷物を持って行く。ハンセイがよく動くおかげで、俺は変に筋肉が付いた。そのせいでこんなことをしているので、どうか今後は同じように筋肉がつかないことを祈るばかりだ。無論、そんなことは出来ないが。
「岩内さん、飛べないんですか?」
「飛べないよ。前の異変の時も、俺だけ飛んでなかっただろ」
「んー…そうでしたっけ?あんまり覚えてませんけど…」
「ま、そもそも俺が飛べたら人間の定義がよくわからなくなるしな」
「ほぼ半分神様みたいな岩内さんに言われると少し首を傾げたくなりますよ、私」
「…どの部分が?」
「力、ですかね。今も妖怪があまり近寄ってきてませんよ。恐れられてるか、私の所の二柱を恐れているのかは知りませんけどね」
「お前は?」
「…今の私は、御二方の力を受けているだけですから」
「そうか。俺と変わらないのか」
守矢神社で荷物を置く。さあ、竹林へ帰ろう。足を一歩階段を降りようと向けたところ、諏訪子神に止められた。諏訪子神の顔を見れば、久しぶりに見た孫にテンションの上がる爺ちゃんのよう。そんな顔を前に、一応心に良心のある俺は何も出来ず。たまに食卓を囲んで寝ることとなった。最近、家でまともに眠れることが少ないから助かる。氷精が悪いと言えばそうだ。ハンセイがたまに氷精と寝るときに冷えて冷えて寝れたものではないなんてこともままある。そういうときは外に出るに限るけどな。外の方が温度高いし。
「よっこい」
「ね、岩内。最近あったことを話してみて。」
「お、私も気になるな。それこそ能力関連の話とか」
「私もですね。もしかしたら相性がいいかも…」
「近縁な結ばないからね」
「…寺の奴らに改宗かうんたら聞かれたことかな」
「神奈子」
「まて、おちつけ諏訪子」
「私もその場にいました。岩内さん、仏教ってどれくらい修めたんですか?」
「…さあ?」
「さあって」
「もしかして、学舎とか」
「失礼な。ちゃんとあるよ。とは言っても、高校生の終わりくらいにここに来てるからなぁ。俺はわからん」
「なんでそんなに長い事幻想郷に?」
里の問題として、布教って入るのかな。