「トランプあるけど、これも当たるわけじゃないしな」
「むしろ心読まれるなら当てるのは無理では?」
「潔くあきらめた方がいい。私は言って置くよ」
「ただ、ムカつくんだよなぁ」
「不遜ですね」
「むぅ…」
トランプをパラパラと手元で遊ばせる。こんな場所で投げたらどうなるのやら。少なくとも何枚かは俺の目の届かぬところに飛んで、そのまま行方不明となるだろう。…最近こう言うことなかったから、逆に良いと思うな、これ。手元でトランプを遊ばせている手を止め、少し、俺も原理不明の手品をしてやろう。幸い黄色いやつの視線はこっちだしな。左手から右手へ、トランプを移す。右手から左手へ、またトランプを移す。その際に二枚ほど消す。これを何度も繰り返すだけだ。消える原理?知らん。少なくとも俺はよく分かってない。
「…ん?」
「眺めてる間にトランプは消えてしまいました。さあ、どこへ行ったでしょう?」
「そうだなぁ…服の中が定石だろうけど、君のその腕の広げ方を見るに違うね。となれば、ここだ」
こいつ躊躇もなく服に手を突っ込んだな。そして俺の腹しかない感触に違和感を覚えたであろう。そこへ早苗が強襲。ゲリラ豪雨のような弾幕である。そのまま当たり続けるが、黄色い奴は無視して話を続けた。化け物か?こいつ。黄色い奴の頭上から消したトランプをパラパラと落とす。これが俺の弾幕。お前当たったね。終わり。そう言うと、ハッとしたような顔でコチラを見た。その上で煽りもかましてきた。
「すまない、もう諦めたから遊戯に移ったのかとばかり…」
「知ってるか?太古じゃ爆発も手品なんだぜ」
「ならば君は知っているかい?聖徳太子は全てに長けた人物。数ある伝説を打ち立てたことを」
「…富士山でも登ったの?」
「諸説ありますが…最初の登頂者と。ですがかぐや姫の物語が実在していれば、おそらくそちらの方が先かと…」
「え、私より先に登った人が…?昔は文献がなかったから私が一番だと思っていたのに?」
「よっ…それ!」
トランプをクシャクシャに持ち、ばら撒く。黄色い奴の目が一瞬そちらを向く。空を滑空のように滑って移動し、全力でトランプを投げる。こちとらトランプでスイカに刺さった人間見てから貫通させようと頑張ってきた人間だぞ。舐めんな。トランプは容易に黄色い奴がいた場所を通り抜けた。やっぱ当たんねーよな。トランプも無限じゃないんだから…あれ、もう四十二枚しかない。やべえか、これ。また買わなきゃ行けないな…本当最悪。なんか、探し物してくれる機械とかないかな。
「落ち着いて聞いて欲しい。君の体は今、君に宿っている神に侵されつつある。オートモードなどと言っても、それは君の人生を神に捧げているだけなんだよ」
「また…!」
「君には君の人生がある。そこの現人神と違って君はただの人間なんだから」
ただの人間。とある一部の人間には刺さるだろうな。だけれども、俺も原理不明な手品以外はただの人間。そういうことは俺が一番分かっている。だからこそ、少しこの態度がムカつく。勝手に勘違いされるのは本当にムカつくんだ。つーか、ハンセイの部分が普通の人間じゃないだけで、俺の部分は完全に人だからな。奇跡も何も起こらん、本当に神様の血を引いてるのかもわからん。ただの人間だ。トランプ以外はな。最も、早苗の奇跡の力とか言われたらそこまでだが。まあどうってことはないだろ。
「早苗」
「はい!」
「俺ちょっとアレ無理」
「どこへ行くんだ?行く前にその神を私に移してから行くことだ」
「…実力行使!」
殴る。殴り抜けた。が、ダメージは一切無し。更には俺の一撃を受けて道場でも作ろうとか言い出す。そんなに俺は弱いかな、この野郎。ので、早苗を抱き寄せて伝える。博麗の巫女も連れてこい。お前と博麗の巫女がいれば、なんとか勝てるだろう。と言うわけで俺はその間お話を…ん?え、現状の詳しい説明?知らねえよそんなの。俺だってわかんねーんだもん。雑談で時間過ごさせてよ。俺面倒なんだから、こう言うこと、ね?…ダメだった。雑談という名の尋問によって過ぎて行く時間に対して勿体無いとか思いながら尋問に答えて行く。
「なるほど…大体わかった。こっちに来たまえ」
「嫌に決まってんでしょ。そろそろ二人とも戻ってくるはずだし、俺はそうなれば帰るだけだから」
「それは残念」
「大体、異変解決なんて変な奴しかやらねえんだから。異変が終わった後も生きてたら人里で遊んでこい」
「…死んだ者がいるのかい?」
「俺は知らん。が、死んでた奴はいたらしいぞ」
「そうか…ま、私は死なないけどね」
「最近そいつは人里にいるらしい」
「…ん?」
俺と黄色い奴の周りを弾幕が襲う。俺はゆっくり下降するも、それに黄色い奴がついてくる。おい、真似すんなよ。…もしかして、盾にされてる?そりゃいかん。早苗の後ろに素早く移動する。あー怖かった。なんなのあいつ、怖いしキツいし…できれば関わりたくない。聖の方がいい。強引さは変わらないけど、雰囲気っていうのかな。聖の方がいい人オーラ出てるから、勝手にそう思ってるだけかもしれないけど。でも、この黄色いやつに関わった人間はみんな俺と同じような感想を述べると思う。流石にね。
「…そんなに嫌われること、した?」
「私のカウンセラーに嫌われるなんて、相当じゃない」
「え、岩内さんって霊夢さんのカウンセラーだったんですか?」
「どっちかっていうと永琳先生か八雲紫だろ」
「…そうかしら?」
神子視点の推定岩内さんは、珍妙な技を使う人。それ以下でもそれ以上でもない。