誰もいなくてどこにも行かない岩内さんの一日はこんなにつまらないよと言うことを伝えるだけの回です。
「…ふぁ」
眠い。トランプを買い漁り、パラパラと遊ばせて、それも飽きて。今日は誰とも約束がない。急に来る妹紅もこの家に代わってからは全然来なくなったし、氷精も。早苗は元々ここに気軽に来れる役職じゃないしな。眠い目を振り払い、寝るにはまだ早いと言う事実だけを認識し、まだ起きているだけの、本当に暇な休日。だからと言って人里に行こうにも人里に行けばハンセイが出る。俺は俺であって、ハンセイでは無い。こう言う日は俺のままでいたいのだ。でも暇だな。
「かと言って、寝るのもな。」
そんなことをすればただ一日が過ぎるだけの嫌な一日になる。そうなんだよな…ハンセイが出てない日って、そんなにないし。それこそ、条件もいまいち分かってない。ハンセイが疲れ切った時、早苗と諏訪子神の御前、それと…神子と戦った時。あの時は疲れてすら無いはずだった。本当に理由がわからない。何故だろうか?俺は理解ができなかった。歩いて、うーんと外出を諦める。魔法の練習でもするか。狸さんが持って来てくれた魔導書を使って…ん、読めるね。
「マリョクハ…?えーっと…魔力波か。」
つまりはビーム。掌に力を溜め…どん!と放出するらしい。しかしこれは今いる家では出来ないな…仕方ない。庭に出ようか。河童達が作ってくれた基盤にはちゃんと庭も作られており、鬼が舗装した結果広くなった岩だ。魔力が放てるならば程よいことだろう。えーと…うん。わからん。
「とりあえずこう言うのは溜めるんだよな。」
庭に刺さった謎の岩を登り、それっぽい構えをとる。そんでもって…放出!するとどうだろう。ぽすん、と音がして何も出ない。…成程、マミゾウさんが言っていたのはこのことか。魔力切れでは無いと思うけど…しかしながら、俺の魔力量では少し厳しいところがあるのか。なんとか試行錯誤して、術式とやらの部分を読めるようにした。こいつが使えたら、なんと少ない魔力量でも…いや、おかしくね?術式がよくわからんけど、電気系統で言えば抵抗みたいなもんだよな…それとも回路の方かな?やっべー全然わからん。
「まあとにかくやってみるだけやるしかないか」
最近は独り言も達者になった気がする。少し嫌なことだ。さっさと術式を理解して組み込み、良しこれでやってみよう。先程と同じ容量で力を溜め、放出。すると今度は、コ゜ッ、というような音が出て、何か漏れ出すような空気の勢いで魔力がちょろっと出た。ちなみにその魔力の出る様子は俺にも見えた。うーん…微妙。
「…なんだこのタイトル…」
今読めたので一応言葉にしてみるが、おそらくタイトルは『魔力のない人間には無理!魔力があればできる魔法最序盤編』と。しかもこれ…背表紙を見てみれば、紅魔館と書いてある。借り物だろうか?最後に返しに行かなければ。とりあえず…魔力波は諦めよう。こう、効率良くしても放つことが出来ないなら、それはもはや無理だ。俺はさっさと諦めて空を飛ぶ方にする。今度は行けた。
「おー…でも行く場所ねえしな」
空を見上げると、曇り空。俺の魔力がどれくらい持つかもわからないので、突っ込むのはやめておく。空を飛ぶ魔法の隣には、物を媒介にして飛べる魔法があった。つーか多分こいつの方が楽だ。と言うわけで媒介は靴。今履いてるからこれで良い。少し飛んでみると、成程飛びづらい。しかもこれ、多分だけど変わらん。魔力量を増やすようなマジックアイテム?魔道具?があれば話は別だが、見極め方もわからない俺には少し難しい問題である。
「ま、とりあえず行ってみるか」
曇天のその向こうへ。一応言っておくが、少なくとも自殺行為ではない。だって、落ちてる間に魔力が少しは練られるだろうから、その魔力で浮かぶ作戦だ。まあ少しの怪我はあるだろうが。俺はそれを無視して進むとする。雲を突き抜ける。かなり寒いしかなり痛かったが知らん。その上には、太陽といくつかの雲が。周りを見渡してみると、見知らぬ土地もあれば…と、土地!?!?驚きのあまり少し落ちかけてしまった。あっぶねー…死ぬかと思ったわ。
「上陸〜…離陸〜」
いや〜、俺の魔力ってすごいな。なんか意外と保つ。そして下に飛び降りる。雲を突き抜けてから徐々に上方向に力をかけ続け、そうしてまた地上に帰還。いつかあの土地を飛んで行ったり、あの土地を俺のものにしたりしてみたいものだな。まあ多分無理だ。無理というより、交通が…な。悪過ぎる。でも俺の家の上に土地があったなんて…少し信じられないな。まあ少し離れてはいるけど。今なら魔力波が出るのでは、と少し期待を込めて構えを取り放つ。今度は放てすらしなかった。なんだよ、もう。
「…はぁ。才能ないのかなぁ。なんでかなぁ」
なんでもない、というのが答えになるだろうか。少し雲の上を見れたので、かなり気分がいい。家の中に入り、少し浮いて移動してみる。…これ、楽だな。靴脱がなくて良いし。なんなら靴どころか泥も落とさなくて良いかもしれない。うーん…古代日本人がこれを普通の歩き方として発見しなかったのは少しわかるが、それにしても楽なので見つけていて欲しかった。空を飛んで移動すると靴の汚れが床に落ちてしまうけど、家の中に忘れ物した時に取りやすいし。
「寝るかぁ」
つまらない一日なので、気が向いてたら同時な別話投稿します